人生は一度きりだ
それ以上でもそれ以下でもない
人間の存在価値なんて、地球や宇宙全体では埃以下のものでしかない。
だからせいぜい、自分の満足できる程度に生きていこうと思っていた。
しかし、二度目の人生まで生きることになるなんて思ってもいなかった。
「うっ、この感じ……今日がその日か」
俺は竜崎
そんな俺の外見は、「身長が190cm、髪は茶、筋肉モリモリマッチョマンの変態」ではなく、黒髪短髪の筋肉質な体格で目つきが悪く、表情を変えれば相手を挑発しているかのように見えるらしい。
これは決して、厨二病が継続して発症している訳ではなく、転生した時に持った生まれつきの外見と実際に起こっている出来事だから困る出来事である。
数分後には、黒い球がある部屋に転送されて戦いに出ることになる。普通の社会では、味わえない非日常な戦闘がな。
そう思いながら、部屋でグダグダとしていた服から黒い球から、支給されたパワードスーツに着替えてその上に普段着を着て転送されるのを待つ。
そして、転送が始まると既に何人かの人が来ていたが俺のようにスーツを着ているのは、既に戦い慣れた西以外にいない。
どうやら、俺と西以外は初心者で何かしらの理由でくたばったのか。
「あの~……」
「ん?」
俺がそう思っていると、メガネを掛けた会社員風の男性が俺に声を掛けてきた。
「あなたはここの住人ですか?」
「ん、あぁ……別に住人って訳じゃないが少なくともここにいる殆どのメンバーよか、ある程度の情報を知っているぐらいだ」
「良かったらその情報、教えて頂けませんか?」
「まぁ、生き残ったらな…ってオイオイ、また来たのか」
俺の答えに、会社員の男性は困惑していたがそれと同時に転送が始まって誰もいない空間から、肌色の体が出てきた。
ん?肌色?そういう服なのか?
俺がそう思っていると、転送は続いていって見えてきたのは女性特有の股間の部分や乳房などで、どうやら裸の状態で死にかけたようだな。
そして、全身が現れると力無く倒れそうになったので意識のない女性の腕を持って支えると、そっと倒してきていたトレンチコートを被せた。
手首などを確認すると、鋭い刃物で切ったような傷と出血が確認されたので自殺を図ったようだ。
全く、自殺しようとして地獄よりも酷いところに来るなんて彼女も運がないな。
そう思っていると、どうやら意識が戻ったようだ。
「うっ、ここは?」
「地獄よりも酷い場所さ」
彼女の問いに、俺は答えつつもこの部屋に居合わせた住人を見回した。
まず、前々から知っていた西と俺に話しかけてきた会社員風の男性、男子高校生2人に病院服の老人、パーカーを着た男性外人と柄の悪そうな男性2人、そして裸の女性だ。
戦力になりそうなのは、今の段階ではいないな。いや、平凡な日本人なら当たり前か。だって、グロテスクな現場に居合わせる方が稀なんだからな。
それに、非日常な状況に置かれると前もって意識しながら生活していないと行動できないだろう。
まぁ、そう言う俺も始めは逃げ回るしかできなかったのでとやかく言うのはよしておこう。
そう思っていると、寝かせていた女性が起き上がって俺に聞いてきた。
「あの……これ、どうすれば?」
「状況が変わるまで着ていろ。じゃねぇと襲われちまうぜ?」
そんな彼女を、ちらっと見てから柄の悪そうな男共を見た。
彼らはどう見ても、アウトローな雰囲気を醸し出しているので警戒していると、ガンを飛ばしたように受け止められたようで声を荒げながら俺に近づいてこう言ってきた。
「オイゴルァ、さっきから何見てんだよ!!」
「いや何、てっきりヤクザみたいな雰囲気だなぁと」
「ふざけんじゃねぇ!!」
「ぷっ、アホス」
(おい、西。見てねぇで止めろよ。てか、吹いただろ、テメー。後で覚えておけよ~)
西の小言に、俺は目をそらしながらそう思っているとアウトローな雰囲気の男性は、その態度が癪に障ったようで殴りかかったがすぐに驚愕の表情になった。
何しろ、普段着の下にはパワードスーツを着込んでいるからな。生身の殴りは通用しない。
せめて星人レベルの威力じゃないと何回、殴っても意味がない。
『あーたーらしーいあーさがきた、きぼーうのあーさーが』
そう思っていると、黒い球からラジオ体操に使われる曲が流れてきたのでその場にいて、俺と殴った男を見ていた全員が黒い球に顔を向けた。
そして、黒い球の表面にはこう書かれた文字が浮かび上がった。
『てめぇ達の命は、
無くなりました。
新しい命を
どう使おうと
私の勝手です。
と言う理屈なわけだす。』
「り」や「い」、「す」が左右逆転している文字の後にやっつける星人の特徴が出てきた。
しかし、事情を知っている西以外は何かのテレビ番組のように冗談だ、と解釈しているので真面目に受け取ってはいない。
そして変化はそれだけでなく、黒い球の左右と後ろから球を構成していたが壁面が飛び出してきて、左右には武器が収納されていて後ろにはケースがしまわれていた。
「さて、これはテレビの演出で星人を制限時間内にやっつけると1000万円がもらえるぞ! しかも、ケースにしまわれている衣装を着込むと倍の金額になるらしいぞ!」
俺がそう言うと、皆はこいつはなに言ってんだという顔で俺を見てきたがそれに便乗して、西がこう付け加えた。
「プロデューサーがうちの父さんで、アメリカのケーブル局との共同製作でやっているらしい。元々はエール大学の学生が考えた企画だって」
「はぁ? エール大学?」
「この地球には人間にバレないように犯罪者の宇宙人が入り込んで生活しているんだって」
「そうそう、俺達は日本政府の秘密組織にスカウトされて君達と一緒に、その宇宙人をやっつけに行くミッションを与えられたんだ」
俺達がそう言うと、その場にいた殆どの奴らは口車に乗せられてスーツを着込もうと、スーツケースを取っていくが時間切れになったようで着込めずに転送が始まった。
そんな中、俺は裸だった女性のスーツケースを手に持ちながら戦いに必要な武器を、持てる範囲で持って転送されていった。