黒い球と共に   作:八雲ネム

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今回はオリジナル展開です。


第9話 情報共有

 やらかしてしまった。

 今の状況は、俺はベッドで横になっていて岸本がその脇で俺に寄り添うように寝ている。

 しかも、互いに全裸なので昨夜はお楽しみでしたね、と言った状態だ。

 ここに至るまでの経緯は以下の通り。

 

 

 ガンツのミッションが終了

 

 ↓

 

 加藤や岸本ら、生存

 

 ↓

 

 俺、岸本と家に帰る

 

 ↓

 

 照明を消して岸本と合体

 

 ↓

 

 翌朝、「どうしてこうなった」

 

 

 いやまぁ、告白されたので風俗嬢とやる気持ちで誘ってみたらすんなり承諾されて流れに任せた結果、そうなってしまった訳だ。

 これはもう、責任を持たないといけないなぁと思っていると寝ている彼女が、起きたようにもぞもぞと動き始めたため、俺は彼女に声を掛けた。

 

「お目覚めかな?」

「ん、ん~~~、おはよう。誠さん」

「昨日はやりまくりだった訳だが、体の方は大丈夫か?」

「大丈夫ですよ。優しく、手ほどきされたので」

「ならいい、早く起きて朝飯にしよう」

「えぇ」

 

 ネギ星人戦から、昨日の仏像戦までの間の協同生活によって互いの性格はよく知っているので、俺の言葉でそれぞれの服を着るために動き出した。

 俺自身、他者とはあまり関わらないことを彼女は知っているので告白して肉体を重ね合わせても、余裕がなければすぐに見捨ててもいいとは言っていた。

 その方が俺も楽では良いし、彼女自身が自分の力で戦えるようになりたいと言っていたのでそれについては細かく言うつもりはない。

 

 そのため、朝食を食べ終えてグダグダと過ごしていると俺の携帯にメールが来たようで、着信を知らせるバイブが鳴った。

 その確認のため、俺はメールを見てみると西からで内容は2人で話したいとのことだった。

 私生活で、西が俺に会いたがるとは珍しいと思いつつ、俺が着替えていると、岸本が俺に声を掛けてきた。

 

「どこ行くの?」

「西と打ち合わせ」

「そう……西くんからなんだ」

「私生活で会うなんてこと、滅多にないんだけどね~」

 

 俺がそう言うと、彼女は微妙な表情をしたがいくらなんでも彼女も連れて行く訳にはいかない。

 何故なら、俺と西とで話し合うことは来たるべき日であるカタストロフィに備えるためだ。

 そのため、2人で話し合うことは今後のあらゆる状況に備えて世界中の俺達と同じように、戦っている奴らとのやり取りをすることだ。

 

 普段だったら、電脳世界(ネット)でも政府や警察の監視が及ばない裏サイトと呼ばれるネットワークで、やり取りをするのだが今回は会って話したいことから誰かと引き合わせるのだろう。

 そう思いながら、西に指示された場所に向かって電車を乗り継いでいくと、西以外に珍しい奴がそこにいた。

 

「前回の自衛官じゃねぇか」

「そうそう、ミッション後に彼から俺に話したいことがあるって言ってこの時間に、この店で落ち合うことになってたんだ」

「そうなのか?」

「………(コクリ」

 

 西の言葉に、俺は彼に尋ねると彼は頷いたので一先ずはその店に入ることにした。立ち話、と言うには人が多すぎるからな。

 

 

 

 

 

 岸本side

 

 

 竜崎くんが出掛けていった後、食器を洗ってから選択や家の掃除をしてから付けていたテレビの前で、お茶を飲みながら彼について改めて思い返してみた。

 

 彼、竜崎誠という人物は普通に見れば一匹狼といった感じ。

 私が例の部屋、ガンツと呼ばれる大きくて黒い鉄球のようなモノリスが置いてある部屋に呼び出された時、お風呂場で自殺した私にコートを被せてくれた。

 その部屋で、私に向けられたのは劣情混じりの視線で、そんな中でもそういった目線で見てこなかったのは竜崎くんと加藤くん、そして西くんだけだった。

 

 西くんは家庭の事情からか、そう言ったことについて余裕がないように感じられたけど竜崎くんと加藤くんは、それぞれの事情があるのに私を守ってくれる素振りを見せてくれた。

 とは言え、竜崎くんは劣情などの感情はあったらしいけどそれ以上に、ミッションに対する責任感であまりそそられなかったらしい。

 らしい、と言うのは本人からそう言われただけで実際にそういった感情を私に向けても、あまり興味がなさそうだったので確かめようがなかったけど。

 

 それでも、ガンツに呼び出されて例の部屋に行って様々な“星人”と呼ばれる異形の奴らと戦っていき、1つの屋根の下で衣食住を共にしていくと気が付いたら彼を目で追っている日が多くなった。

 始めは、優しい加藤くんに一目惚れしていたけど冷静に見ていくと、意気地なしな感じがしてきたのを覚えています。

 確かに、平和な日常での優しさは必要なのでしょうが、私達がいるのは生死を分けた戦場であると思っているし、竜崎くんも普段からそう考えているようです。

 

 なので、例の部屋と普段の日常生活でのギャップは激しいけどそれは、平和な時間と戦う時間とでのON/OFFの切り替えが無意識のうちに起こっていると考えている。

 だから、私は彼のそんなところに惹かれたんだと思う。

 そして竜崎くんの隣に立って、彼のペースで一緒に歩きたいと思うようになった。

 

 

 

 

 

 竜崎side

 

 

「―――――へぇ、政府も絡んでいるんだ」

「あぁ、来たるべきカタストロフィの日に備えて財閥の連中も含めて対策を練っているらしい」

「竜崎も知ってんだろ?核戦争が起こるって話」

「星人が核を使うなんて考えらんねぇがな」

 

 西の言葉に、ケラケラと笑いながらそう返して話を聞く。

 そもそも、ガンツというもの自体が人為的に作られた話があってブラジルの民家に、あれがトラックで運ばれているのを目撃されている。

 つまり、世界中に俺達と同じように戦っている奴らがいてそいつらとインターネットを介して、情報のやり取りをしている。

 

 と言っても、一般人が到底辿り着けないようなサイトを使っているので、機密性に富んでいるのは間違いない。

 わかっているのは、カタストロフィを研究しているチームが算出した結果だけで、その時に世界の秩序が崩壊すると言うことだけである。

 そのため、俺や西は懸命に戦って武器を生産したりして戦っている訳だが、崩壊する秩序の中でもしぶとく生き残ってやろうと思っている。

 

 それから、俺と西はその自衛官という肩書きを持つ東郷 十三(とうごう じゅうぞう)とメールアドレスを交換してからお開きにした。

 彼は、都内で重要な任務を終えたがそれが完了して帰宅途中に事故死したようだが、ミッション終了後に家に戻ると電話で今回のことを伝えられたらしい。

 しかも相手は幕僚長であり、話している時はかなり緊張していたようだがそれでも一通りのことを言われるとある程度、納得したようである。

 

 何故かというと、前々から星人と俺達が戦っていることを考えると俺達の冷静さは腑に落ちるし、強力な武器も既存のそれとは一致しないことにも納得できるというものだ。

 その結果、俺や西を探そうと都内を散策していると偶然にも西と出会ったので彼を介して、俺と連絡を取ってこのことを話してきたらしい。

 偶然とは言え、今回の話は実に有意義ではあった。

 

 何故なら、前々から財閥が関わっている話は出ていたのだが政府も関与しているとなると、賭け事でも行われているんじゃなかろうか。

 どっちが勝つとか、どのぐらい生き残るのかとかな。

 全く、自分達だけが安全圏にいて賭け事に興じるとか、暇つぶしの一環かよと突っ込みたくなるがそれはどうでも良い。

 

 俺としては、あの戦闘にスリルを感じているのでミッションが始まったらどうやって生き残ろうか、と考えて行動している。

 理由は、普段の日常では味わえないからであり、それと同時に星人も強くなっている気がする。

 2年間も戦い続ければ、星人の比較もある程度までできる上に西もネット小説として、黒い球の部屋というページでサイトまである。

 

 それによると、かなり前から開いていて古くは2000年代にまで遡れる。

 例の部屋に来た当初の俺も、先人達からこのサイトを教えられてこれを元に生き残ってきた経緯があるので、しばらくしたら岸本にも見せるとしよう。

 俺はそう思いつつ、ゲームセンターで適当に時間を潰してから家に帰った。




補足ですが、主人公達が話していた場所は店の中でも他の人に会話が聞こえにくい場所です。
公の場で、下手に話すと頭が吹っ飛ぶのは主人公と西は知っていますし、東郷も西から聞かされているからです。
この時点で、主人公達の頭が吹っ飛べば話が一気に進んでしまいますので。
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