黒い球と共に   作:八雲ネム

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第13話 かっぺ星人討伐戦、開始

「おっ、来てる来てる」

 

 俺が転送されると、加藤達以外にも多数の人間達がガンツのある部屋に来ていた。

 そのため、加藤達を見るとニュースで新宿の悲惨さを知っているようで俺に聞いてきた。

 

「竜崎、これは一体?」

「どうやら、新宿で起こったことと関連しているようだがよくわからん。なぁ、和泉」

「……良くもやってくれたな」

「なんのことだか知らんがここに帰ってくるとか、よっぽど運がないな」

「………ふん!」

 

 加藤に尋ねられた俺は、和泉に声を掛けると怒った表情をしていたのでとぼけると、彼は苛立ち気にそう言って立ち去ったため、加藤に小声でこう言った。

 

「彼が新宿の犯人だ」

「なっ……」

「だが誰にも言うなよ。討伐どころか同士討ちになるから」

「………くっ」

 

 俺の発言に、彼は驚きと悔しさで歯を食いしばったが起こってしまったものは仕方ない。

 彼の表情を見て西に視線を向けると相変わらず、憎たらしい笑みを浮かべているので事情をある程度、察しているようだ。

 そのため、周囲を見回すと顔なじみの奴がいた。

 

「風、ここにいたか」

「あぁ、この部屋はなんだ」

「簡単に言うと、特定のターゲットを討伐しないと解放されないという奴だ」

「………訳わからん」

「まぁ、最初は誰だって同じ感想さ」

 

 風に声を掛けると、腑に落ちない表情をしているが俺がそう言うとますます、首を傾げていた。

 それも当然で、乱射魔に殺されたと思ったらこの部屋で息もしている上に脈もあるんだから、訳わからん状態になるのも仕方ない。

 そのことを確認すると、岸本と玄野が転送されてきた。

 

「あっ、無事だったんだね」

「岸本もな」

「和泉、てめぇ!!」

 

 岸本が、俺の無事を確認して安堵していると玄野が和泉に掴みかかった。

 しかし、パワードスーツを着込んでなかったようで和泉に返り討ちにされて失神してしまった。

 

「情けねぇ、掴みかかることしか知らんのか。こいつは」

「だっさ~~」

 

 とまぁ、周囲の反応は冷淡なもので失神したのを確認された後は起こされることもなく、挙げ句の果てには最後にやって来た黒人に蹴られたりしていた。

 俺や岸本、西は壁際に立って壁に寄っかかるように立っているといつも通りの曲が流れた。

 その直前に、アイドルの名前が挙がっていたが現実逃避でもしているのだろうか。目をつぶっていたからよくわからん。

 とは言え、曲の後に討伐対象が現れたのだが雑魚そうな星人だな。

 

 だが、GANTZの表示する説明は全く当てにならないので今回はフル装備で行こうかな。

 Zガンが置いてある部屋に行って、タブレット型コンピュータを弄ってガンダムみたいなロボットとハードスーツ、Zガンにエアバイクと持てる範囲でフル装備だ。久し振りに暴れ回っても良いかもしれない。

 俺がそうしている間に、加藤が初参加のメンバーに事情を説明しているがいつものように聞き入れられていない。

 大体、最初は誰だって信用しないってのをなんでわからないのかな。

 

 しかし、俺がガンツがいる部屋に戻ると風が聞いてきた。

 

「竜崎、このスーツを着れば死ににくくなるのか?」

「あぁそうだ」

「そうか、なら着ていこう」

 

 どうやら、知らない奴よりも殴り合った仲の俺の言葉を信じるようで、彼は周囲の人間から見えないところに行って着替え始めたようだ。

 そして、風が帰ってきたところで転送が始まったようだ。

 

「風、転送されたところであまり動かないでくれよ? 説明し切れていない部分もあるから」

「……わかった。そうしよう」

 

 その言葉と同時に、風が転送されたようなので肩の力を抜く意味合いで深呼吸した。

 そして俺と岸本、おっさんと黒髪ロングでつばの大きい帽子を被っている女性が残った。

 その女性は、岸本の説得でパワードスーツを着替え始めたので俺はおっさんに話しかけた。

 

「おっさんも自分の名前が書いてあるケースを取って着替え始めて。そしたら生き残れるから」

「う、うん。わかったよ」

 

 そして、おっさんも着替え終わると黒髪ロング→おっさん→岸本→俺の順番で転送が始まったので、岸本が彼女を落ち着かせる一方で俺はおっさんに転送先で留まるように伝えた。

 

 

 

 そして、俺達が向かった先は幕張だった。

 

 

 

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「ふむ、討伐対象は建物内か」

「どうするの? ロボットまで持ってきて」

「そもそも、あれを使えるのは俺だけだから問題ない。その内、西も使いそうだがな」

 

 そう言う俺は、巨大ロボットの足下で岸本達と会話をしていた。

 今回、俺達の他にも大勢の奴らが参加することになったがその多くが、短絡的な考えの奴らなので戦力としては期待できない。

 とは言え、西なんかはいつも通りに透明になって不意打ちを画作しているようだし、スーツ組だけでもなんとかするか。

 

「加藤、風と一緒にあいつらを任せて良いか?」

「しかし……」

「お前さんにはリーダーの気質がある。いざという時はまとめてやれ」

「………わかった」

 

 俺の言葉に、加藤は渋々ではあるが頷いてくれたのでハードスーツのまま、星人がいる建物に向かった。

 何しろ、喚くことしかできない奴らをまとめるなんて俺にはできない上に、やかましいのは大嫌いと速攻で言えるほど苦手だ。

 それに、加藤は未だに星人を討伐することにためらいがあるようなので、俺が積極的に戦わないと時間オーバーになってしまう。

 そのため、俺が歩いていると岸本の他におっさんとグラビアアイドルの下平 玲花(しもひら れいか)だった。

 

 グラビアアイドルも兵士にカウントするんですね、ガンツさん。別に良いけど。

 だってねぇ、玄野達が来る前はイケメン俳優も事故死であの部屋に来ていたのだが、映画の演出だのなんだのとほざいて速攻でくたばった。

 今回の場合、岸本のおかげでパワードスーツを着込んでいるからすぐに死ななそうだが、すぐに戦力にはなりそうにないので岸本の戦い方を見せるか。

 

 そう思いつつ、俺は彼らに事情を話した。

 

 あの部屋に、呼ばれた時点で既に死んでいること。

 今こうして、生きているのはコピーであってオリジナルの俺達は既に他界していること。

 今から、起こる出来事から解放されるには100点を取るしかないこと。

 そのスーツは、死ななくするスーツではあるが一定以上のダメージをもらえば、ただの布と同じになること。

 

 その上で、無駄死にしたくなかったら星人と戦って討伐することなどを伝えると、おっさんとグラビアアイドルは覚悟を決めたようだ。

 そのため、俺は岸本に目を向けると予め持ってきていたXショットガンを2人に渡した。

 それを確認してから、俺は2人に淡々とこう言った。

 

 

 

「生き残りたかったら戦え。じゃないと意味がないからな」

 

 

 

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「……ねぇ」

「ん? なんだ?」

「なんであんなこと言ったの? 普段だったら気にしないのに」

 

 俺がパワードスーツを着たまま、会場内を歩いていると岸本がそう聞いてきたので答えた。

 

「何となくではあるが、あの2人は鍛えれば最後まで生き残りそうだからだ」

「ふーん」

「まぁ、これはあくまで俺の勘だからあまり気にしなくていい」

「どーだか」

 

 俺の答えに、岸本はジト目で俺を見てきたがそれをスルーして星人がいる部屋に入ると、どうやら恐竜博の恐竜が今回の討伐相手らしい。

 そのため、俺は巨大な腕を構えると岸本も俺から受け取ったZガンを持って恐竜に向けた。

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