休みって最高。
加藤side
「おい」
「なんだ?」
「竜崎という男、アイツは一体何モンだ?」
「………」
竜崎が、風と呼んでいた男からそう聞かれたので聞いた範囲のことを彼に伝える。
「2年前にあの部屋に呼ばれたらしい。今までに最低でも7回は100点クリア」
俺がそう言う伝えると、風は不敵の笑みを浮かべたが今は初心者の奴らをまとめないといけない。
説得しようにも、マトモに耳を傾けてくれるのは坂田と桜井ぐらいしかいないので、周囲の警戒をするしかない。
俺はそう思いつつ、竜崎が向かった方向へと視線を送った。
和泉side
―――――これだ
―――――この感じ
―――――生きている感じがする
―――――現実を実感できる
俺は、筋肉隆々になった二足歩行のトリケラトプスと戦っている時に、かつての記憶が甦ってきていた、
竜崎と西、そして俺が一緒に戦っていた時にはよく3人で役割分担をしていたり、強い星人が出た時には共闘して倒していた。
竜崎が重騎士で相手と殴り合い、西は不意打ちメインで足止めをして俺は軽戦士として相手に斬りかかる。
そんな記憶が甦り、自分が望んだやり方であの部屋に行った訳ではなかったが、あの時を思い出してついにやけてしまう。
そして竜崎や西は相変わらず、あの部屋で戦っていたようで他の奴らとの雰囲気の違いをすぐに感じることができた。
彼らに追いつくため、あの部屋にいなかった半年以上のブランクを埋めるために、こいつらを土台にして昔の感覚を思い出す。
そのため、俺は星人に対してガンツソードで斬りかかった。
竜崎side
「この岩、発泡スチロールだよ」
「スーツのおかげって言ってるだろ?」
「ふーん、よくわかんないけど」
「誠くん、まだ星人がたくさんいる」
初参加のおっさんこと、鈴木さんは恐竜博で置かれていた岩を破壊するとそう言ってきたので、俺が答えるとよくわからない様子だった。
確かに、ガンツの技術は地球のそれとは大幅にかけ離れているからわからなくて当然か。俺自身もよくわからない部分があるし。
そう思っていると、岸本が自身のコントローラでマップを見せながらそう言った。
そのため、俺達は移動するとそこには巨大な恐竜の形をした星人がいた。
「………でかすぎるだろ」
「Zガンでも倒しきれるかどうか、と言ったところね」
先程、小型の肉食恐竜を岸本が手持ちのZガンで潰したのだが目の前で寝ている草食の首長恐竜は、世界最大の恐竜だったはずだ。名前は忘れたけど。
そのため、どうやって倒そうかと考えていると首長恐竜の子供と思われる恐竜が起きて、こっちを見てきたので先手必勝でビームを頭に向けて放った。
すると、首が消えた訳だがそれでぶっ倒れないのが星人クオリティ。
頭がない状態で、歩き始めたではないか。
「どーやら、心臓を潰さないといけないらしいな」
「そうね。動物なんだから頭か心臓が弱点なのが基本だよね」
俺と岸本は、そう言い合ってから互いの武器を星人に向けた。
「どうやら、心臓は胴体の首寄りにあって右胸らへんだな」
「わかった。誠くんはアイツの気を引いてくれる?」
「しゃーねぇな。やってやるよ」
岸本の提案に乗ると、彼女は別行動をとってその場からいなくなったので俺は構えを取った。
こうすることで、集中力が高まるので相手の動きを予測しやすくなる。
すると、首長恐竜は頭が消失した長い首を使って俺を地面に叩き潰すかの様に地面を叩こうとした。
しかし、その動きは俺からすれば緩慢な動きなので殴り返してやった。
すると、そいつは大きく叫ぼうとした瞬間に胴体が消えた。
いや、正確には岸本がZガンで恐竜の胴体を潰したからであり、これでその点数が岸本に入った。
しかし、レイカはこう言ったグロテスクな光景を目の当たりにするのは初めてのようで、吐き気を催したようなので木の裏で吐くように伝えるとそうした。
そして一頻り、落ち着いたところで周囲を確認すると今度はティラノサウルスが2体出てきた。
「オイオイ、こいつらもやらないといけないのか」
「でもどれだけ、数が出て来ようともやっつければいい話でしょ」
岸本がそう言うと、Zガンを撃って片方のティラノサウルスを潰したため、口笛を吹きながらとビームを放ってこう言った。
「確かに、先制攻撃してしまえば簡単だもんな」
すると、ティラノサウルスはその実力を発揮せずに穴あきチーズになって絶命したので、そのことを確認してその場を立ち去ろうとすると岸本が聞いてきた。
「あの恐竜、倒さなくて良いの?」
「あれとやるには場所が悪すぎる。天井なんかが崩落してきたら、それも躱しながら戦わないといけなくなるから外でやった方が良い」
「それもそうね」
俺の答えに、岸本は納得したようなのでその場を後にして外に出ると加藤達は、複数の小型恐竜に囲まれていながら善戦していた。
加藤side
「くっそ、今回の相手はこいつらかよ!!」
俺はそう叫びながら、Yガンで応戦していると風が自身の肉体を使って恐竜を倒していった。
そして、坂田と桜井も目には見えない能力を使って倒しているようだ。ポーズから見るとサイコキネシスみたいなものだろうか。
そのため、俺は彼らにこう言った。
「とにかく、右胸を狙え!」
「わかった!」
彼らの返事を聞いて、俺はYガンを撃ちまくった。
竜崎side
「終わったようだな」
「竜崎か………そっちはどうなんだ?」
「相変わらず、星人を倒していたが一区切りついたんでこっちに来た」
小型恐竜を殲滅したのを確認した後、俺が彼らの元に行ってそう言うと加藤達の周りにいた奴らを見渡した。
俺達も含めて16人。てか、玄野のことをナチュラルに忘れてた。アイツ、どこに行ったんだか。
それはともかく、今の現状について初参加の奴らに説明をした。
「さて………俺や加藤、岸本は今夜のことを何度もやっている。理由は、俺達は既に死んでいてある理由で甦った」
「し、死んでいる!?」
「甦った!?」
俺の言葉に、彼らはざわついたが話を続ける。
「甦った理由は、来るカタストロフィに向けて訳わからんあの生物達を殺しまくることだ」
「カタストロフィ……?」
「核戦争なんかが予想されているが、俺個人は今夜のことを大規模にしたような事が起きるんじゃないかと思っている」
その言葉に、加藤達も唖然としているがそれを無視して続けていく。
「だがあんたは運が良い。俺が来た当初は、武器も貧弱で説明もないままに始まったんだからな」
「じゃあ、なんで俺達を助けに来なかったり、あんたが説明しなかったんだ? 立ち位置的にもそいつよりも上のように見えるんだが」
俺の言葉に、サングラスを掛けた奴が聞いてきたのでありのままの答えを返す。
「別に俺はあんたらを守るヒーローでもなんでもない。それに、加藤の忠告を無視したあんたらに説明しても効果は薄い。最悪、俺達を首謀者に祭り上げて襲う可能性すら考えられる」
「ならば1回、実演させた方が手っ取り早い訳さ」
そう言い切ると、彼らは黙り込んだが状況は悠長なことを許してくれないようだ。
「きゅー!きゅー!」
「どうやら、お客さんのようだぜ」
「1体でも多く潰すわ!」
ガンツに記載されていたかっぺ星人が、小型恐竜を集めてきたので俺が構えると岸本もZガンを構えて撃った。