「ふーむ、それにしてもネギ星人か。弱そうだったな」
「あ、あの!」
「ん?」
転送された俺が、そう呟くと後ろから声を掛けられた。
振り返ると、俺のトレンチコートを着ている裸だった女性が立っていてその隣には、2人の男子高校生がいたのでどうやら、他のメンバーは西と一緒にどこかに行ったらしい。
そのため、俺はスーツケースを女性に渡しながらこう言った。
「これを駐車場の物陰で着替えていけ。そうすれば少なくとも死ににくくなる」
「あ、ありがとう……ございます」
俺の言葉に、女性は戸惑いつつも受け取って丁度よく空いていた車庫型の駐車場で、蛍光灯の光が当たらない場所で着替え始めた。
その間に、男子高校生達の疑問を解消するとしようか。まぁ、肝心な話は誤魔化すがな。
「本当なのか? テレビ番組って……俺達、死にかけたんだぜ?」
「催眠術の一種を使ったから幻覚を見せるのは簡単だよ。それに、皆もスカウトされたはずだよ? あの部屋に来る前に誰かに話しかけられなかったか?」
俺がそう言うと、男子高校生の中で背の低い奴が何かに気が付いたようだった。
俺が言ったのは、あくまではったりだったがどうやら心当たりがあるようだな。上手く、引っ掛かってくれて助かったよ。
そんな訳で、軽く談笑していると女性がパワードスーツを着替え終えたようで、空のスーツケースを持って物陰から出てきた。
しかし、状況が状況なので女性は戸惑っていた。
「あの……今の状況って何なんですか?」
「さっきも言っただろう? テレビ番組の一環だって」
「い、いえ……そう言うことではなくて……」
「ま、細かいことは後で話すよ。じゃないと制限時間をオーバーしちゃうし」
まぁ、この話に穴がありすぎるから細かいところに突っ込まれると反応に困る。
なので、俺がそう言って切り上げて歩き始めると女性は納得できない様子だったが渋々、男子高校生と一緒についてきてくれた。
そうして、歩いているとターゲットとなる星人が二階建てのアパートから飛び出してきた。
しかも、二階の廊下から勢いよく飛び出したので軽く、数メートルもの距離を飛んでから顔面から着地した。
人間だったら、救急車を呼ぶところだが耐久性に定評のある星人だ。この程度で死にはしない。
と言っても、今までに戦ってきた星人の中では戦闘力は著しく低そうだがな。
しかし、大金に目を眩んだ奴らにしてみればそんなことはどうでも良いようで、子供の星人が逃げ出した方向へと向かっていった。
「お、おい! ……行っちまった」
「………」
その際、大柄な男子高校生が呼び止めようとしたが反応されずにスルーされたので、やや呆然としていたので俺は彼に声を掛けた。
「どうする? このまま、歩き続けても意味は無いと思うけど?」
「俺はあいつらを止めるために追うよ。いくら何でも殺すほどじゃないだろ」
「まぁ……せやな」
彼の返事に、戸惑いながらも答えたのだが結局は殺すことになる。
理由はわからないが、少なくとも黒い球が求めているのは星人を殺すことであり、俺達はそのために死んだ瞬間にあの部屋に転送された。
そのことを思い出したので、俺に答えた大柄な男子高校生が走り始めたのを止められなかった。
「やれやれ、正義感だけは1人前だな。悪いことじゃねぇけど」
「………」
「君らはどうする? あの高校生を追うかい?」
「!? お、俺は……」
「行きます。私、状況がわからないんですけど何もしないよりかはマシですから」
「そ、なら行くぞ」
もう1人の男子高校生は、答えに困っていたがスーツを着込んだ女性はすぐに決断した。
まぁ、自殺しようとしたら変なテレビ番組に参加させられた挙げ句にコスプレまで、させられたんだから引くに引けないといった感じだな。
そのため、大柄な男子高校生を追う形で走り始めるとそのすぐ後ろには、もう1人の男子高校生が走ってついてきた。
しかし、俺達は一歩遅れたようで途中で大柄な男子高校生を見失ったようだ。
とは言え、俺達がいるのはエリアの端の方なので小型の端末を取り出して、マップを確認するとメンバーが1人減っている。
あの星人がやった、とは思えないのでどうやらエリア外に踏み出したようだ。
そうなると、頭の中に埋め込まれた爆弾によって頭が粉々に吹っ飛ぶので、適当な言い訳を考えてからこう言った。
「どうやら状況が変わったようだ。ターゲットとなる星人は10体いて、その内の半分は大柄でパワーがあるらしい」
「!?」
「なので、俺はそのターゲットを倒しに行く。君達はどうする?」
「お、俺はそんなのやってられないからすぐに帰らせてもらう。ドロップアウトしても問題ないだろ?」
「確かにな。全部、やっつけに行くから問題ないさ」
「わ、私は……」
俺がそう言うと、男子高校生はすぐに逃げる選択をしたが女性の方は戸惑っていた。
なので、俺は手持ちの武器の中で一つだけ、彼女に渡した。
「これは?」
「俺達が使っている武器の中では最弱だが星人相手には充分な威力がある。どうするかは好きに決めると良い」
俺はそう言うと、星人を倒すために走り出した。
初心者の彼らが戦えるとは思っていないし、女性の方にスーツと武器を渡したのも打算があってやったことだ。
それに、あくまで戸惑っている彼らの歩調に合わせているだけで本来はそこまで優しくはない。
元々、俺個人は他人のことをどうでも良いと思っている上にあまり、人とは絡まずに単独行動をするタイプだ。
今回の場合、女性の方はスタイルが良かったので下心があってやっただけだった。
そのため、この後に死んだとしてもやり損ねたなぁと思うぐらいで特に気にしない。
そう思いながら、目標に向かって走っているとそこは惨劇となっていた。
「あーあ、今回もダメだったか」
俺はそう言いつつ、持っていたXショットガンを構えた。
女性に渡したのは、Xガンと呼ばれる拳銃のような銃でこれはライフル型をしている。
そのため、俺はそれを構えてロックオンしてから引き金を2回、引いた。
なんせ、大柄な男子高校生がついていった奴らはネギ星人の大人版に惨殺されてしまっているので、こういう場合は先制攻撃に限る(ちなみに大柄な男子高校生は無傷な模様)。
すると、大人のネギ星人は胴体がはじけ飛んで上半身と下半身が泣き別れになった。
まぁ、黒い球から支給される武器の中では初期装備になる訳だがそれでも、当たれば星人に対しては充分な威力を発揮する。
如何せん、引き金を引いてから数秒間のタイムラグがあるので俺としては、強敵の場合は遠距離からスナイプする方が良い、
その方が、リスクは低い上に武器自体もかなり強いのがあるので、今回の敵は弱そうだったらこの2つにした。
「オイ! お前、人を殺してもなんともないのかよ!?」
「はぁ?」
俺がそう思っていると、大柄な男子高校生がそう言ってきたので思わず、聞き返してしまった。
どうやら、あの星人も人間と同等に考えているようだったのでこう言い返した。
「まぁ、それも含めて説明してやるからあの部屋に戻ってからな」
「なっ……てあぁ!?」
俺がそう言うと、転送が始まって俺は一足先にあの部屋に戻った。
今回の敵には、あまり得点が期待できないな。