オニ星人討伐後、俺達は平和に暮らしていたものの池袋の惨劇は大々的に報道され、今まで俺達が隠してきた意味が無くなった。
とは言え、未だに頭の中の爆弾が健在なら俺達から発信することは出来ない。
西は相変わらず、ネットを介して星人に関しての内容を公開しているが特定の人物に、行き着くような名前の出し方をしていない。
しかし、それでも顔が映った写真なんかがネット上では挙げられているのでその内、俺達に行き着く輩がいるかもしれないな。
それを察して、西は数日前に黒い球の部屋を閉鎖してしまった。
警察が箝口令を発令して、特定の人物に行き着くような写真に目を光らせているが、それでもネットの広さは半端ではなく、既に何枚かの写真がネット上で挙げられている。
そして、何よりも俺に話しかけてきた男性がミステリーハンターでフリーライターだ、と言って取材を求めてきている。
名前は菊池誠一さん。トレンチコートを着て、メガネがよく似合っているお兄さんだ。
そんな彼が、俺に取材を求めている理由は報道機関に渡ったものが、没収されたのだがそのコピーを俺に見せてきたからだ。
「これは東京の多摩地区…板橋区……千葉の幕張……石川県………福岡県………こういった原因不明の建物破壊は、日本各地で発見されている。僕が調べた結果、世界各国で同類の現象を検証するサイトがあった」
「………」
「他にも黒い球を信仰している宗教団体がドイツにあって僕はピンときた」
「………」
「何か知っていたら教えてもらえないか!?」
これがフツーのミステリーハンターだったら、残念なことを書きまくってイタい人に見られるが彼ならある程度のことを話せるだろう。
理由は、大真面目にガンツについて追っているからな。
だからこそ、ガンツのキーワードを伏せながらの見解を言うことになった。
「同様な事件が2年前から発生していると」
「あぁ」
「だがそれなのに何故、世間一般に知れ渡っていないのか。そこがキーになる」
「何故?」
「理由は、黒い服を着た人達が黒い球に関する情報を発信することができないんじゃ無いのか、と言う考えに行き着く」
「………」
「例えば……そうですね。黒い球の事について少しでも関連づける事を話せば爆死するとか……ですかね」
「!?」
俺の発言は、暗に黒い球のチームだと言っているようなものであり、そうなれば質問の内容を変える必要がある。
そのことに気が付いた菊池さんは、顎に手をやりながら考え込んでからこう言ってきた。
「た……たまに連絡しても………いいか?」
「えぇ、どうぞー」
俺が呑気にそう言うと、緊張していた菊池さんが肩の力が抜けたように笑って交換してから去って行った。
そして、菊池さんと入れ違うように岸本が帰ってきたのと同時にレイカまで来たのだから、今日の昼食は味わって食べれそうにないなと思ったのであった。
和泉side
「よぉ」
「あっ……」
電車に乗る俺の隣に、西が座り込んできた。
オニ星人後、こいつに関しても多少は記憶が甦ってきたがそれでもまだまだだ。
そう思う俺を余所に、西は余裕の笑みを浮かべて聞いてきた。
「どうよ…今のチーム……」
「………ありゃダメだな」
「………」
「竜崎を中心に活動を続けているようだが、前のチームは全滅したようだから竜崎以外はカタストロフィの時点で役に立たない。もっと強い武器を集めないと。もう…時間がない」
「日本はもう、今から頑張ったって遅いだろ…アメリカとかドイツとか…イスラエルとかに任せとけば良いじゃん」
俺の言葉に、西がそう言ってきたがそれでも日本人としての誇りがあるため、俺はこう返した。
「俺は日本人だ。竜崎と共に日本人の優秀さをトップであると言うことを見せたい」
そう答えると、気に入らないようで次の質問が来た。
「ところでお前…昔のことを思い出したのか?」
「お前のことも多少、思い出してきた。それでも断片的にだがな」
「そいつは上々だ。大いに助かる」
西がそう言うと、携帯で話していた奴らの会話が聞こえてきた。
「はい、います。あ、やっちゃって良いんすか? はい、わかりました」
「ちっ、また奴らか…………」
「なに? また来たの?」
俺がそう言うと、西もニヤつきながら周波数を変えた。
以前、竜崎の方でも襲撃を受けたと報告があったから俺達は前もって、パワードスーツを着込んでいたんだ。
俺達が見えなくなったため、黒服の片方が慌てた様子だがその混乱が命取りになる。
そう思いながら、俺はガンツソードを取りだしてそいつらを切り捨てた。
「ったぁく、オフの日ですら襲撃してくるとか、こいつら暇すぎるだろ~~」
「あぁ、住所まで特定されていたら厄介なことになる」
「勘弁してくれよ~、ゆっくり休めないじゃん」
俺達が愚痴りながら、佇んでいると新手が先頭車両の方から来たので西は1番後ろの座席に寄り添う形で寝転んだため、俺はガンツソードの刃を伸ばしてから車両水平に切った。
そもそも、電車という狭い空間では進める方向や場所取りが難しいので、まとめてやれるのにはもってこいだ。
そのため、切り捨てた後で自宅の最寄り駅に降りると電話があった。
「もしもし………」
「よぉ…無事だったんだな」
俺が電話に出ると、よく知った声が聞こえてきた。
聞くだけで、妙に落ち着く声だったのですぐに俺の目標としている人物だとわかった。
「竜崎か、どうした?」
「こっちは襲撃を受けてさ~。それで、とある人からの情報なんだが黒服の集団に住所を漏らした人がいるらしいよ~」
「マジか………」
そいつは面倒だな。
「しかも、情報をくれた人が今夜は襲撃の日なんだって。だから今からそっちに行こうか?」
「………あぁ、助かる」
住所を特定されているのが痛いな。
しかも、今夜が襲撃の日だとするこの後も攻撃を受ける可能性が高いので、竜崎の支援をありがたく使わせてもらおう。
奴には悪いが、折れ合ってくたばりたくはないからな。
そう思いながら、電話を切って自宅があるマンションに向かうと駅から黒服の奴らがぞろぞろとやって来た。
「ったく、今日は厄日だな」
そう呟きながら、刃を収納したガンツソードを取りだした。
竜崎side
「はぁ、ったく。自宅周辺で襲撃されるとか、今までになかったぞ」
「そうなの? 竜崎くんってこんな人達に追われるほど人気なんじゃないの?」
「だからっつって野郎に追っかけ回される男性俳優ほど、虚しいものはないだろ」
俺は周波数を元に戻して、そう呟くと岸本も周波数を戻して言ってきたのでヤレヤレといった感じで返した。
一見、平和そうに見える会話だが俺達が通った道には黒服の奴らが2,30体、転がっていてその全てが死体に成り代わっていた。
そのため、とっとと家に戻るとフリーライターの菊池さんから電話があった。
『竜崎クン、すまない…君と出会う前に入手した個人情報をある地下組織に渡してしまった。恐らく、今日ぐらいに襲撃があるだろう』
「さっき、俺の所にも来ましたからねぇ」
『!? そ、そうか』
俺がそう言うと、菊池さんは軽く動揺したようだがそれを無視して話を続ける。
「それで? 誰の個人情報を渡したんです?」
『あ、あぁ……そいつの名前は和泉紫音だ』
「あいあーい、了解でーす」
俺がそう言って、切ってから和泉に電話するとあっちでも襲撃を受けたらしい。
そのため、支援する旨を伝えると了承してくれたので俺は、岸本と共に和泉の住所がある駅へ向かった。
流石の俺も、かつての優秀な仲間を見殺しにできるほど無関心ではないからな。
ということで、菊池さんの登場と吸血鬼の襲撃でした。
ある意味、菊池さんの行動によって和泉は殺されたようなので、本作では生き残らせようかなと思っています。