黒い球と共に   作:八雲ネム

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ダビデ像戦、始まりますよ~。


第31話 ラストミッション

「………? 照明が点いてないな」

「竜崎か」

「ねぇ、なんで点いてないの? 気味悪いんだけど」

「点かないんだ。何故だかな」

 

 転送されると照明が点いておらず、外の灯りだけが部屋に入ってきている状態なので互いの顔を認識しにくい。

 それでも、誰が誰なのかがわかるので既にいるメンバーを確認していくと、西もいたので彼に声を掛けた。

 

「西、テレビでえらいことになってたよ」

「どーせ、終わる世界なんだ。関係ねーだろ」

「だな」

 

 俺達がそう言い合っていると、それまで黙っていた稲葉が何かを呟きだしてからこう叫んだ。

 

「だめだ!絶対!ここで!このミッションで!死ぬ!俺は死ぬ!」

 

 急に叫びだしたので、玄野や加藤は驚きの表情を露わにするがそれでも続けていく。

 

「予感がする!やばい!死ぬ!だめだちくしょう!俺はもうすぐ死ぬ!」

「稲葉君、大丈夫だよ。ちょっと落ち着こ!」

「確かに今回、生きて帰れる気がしない………」

「ちくしょう…ちくしょう……吐き気がする…気分悪い……」

 

 イナバの発言に、鈴木さんは彼を落ち着かせようとしているが桜井も彼の雰囲気に押されて弱気になったが、岸本やレイカ達は普段通りだった。

 星人討伐に長い間、付き合っている俺や西はどんな星人が出てきてもどうだって良い訳で、風や玄野のように目的があって生き残っている奴らもイナバのように気圧されていない。

 しかし、そんな中でもイナバは自分の思いを露わにしていく。

 

「人間の命は重くない!!見て来ただろ!!ボロクズみたいに壊れちまう様を!!」

 

「神なんかいない!!みんなどっかで神がいると思ってる!!でも神なんかいない!! 神がいたら!! 神に慈悲があれば!! 人間があんな風に死ぬかよ!! 俺らこんな目に負うかよ!!」

 

「寧ろ、悪魔の存在の方が説得力がある……災厄は………悪いことは重なる…確率論なんか無視して重なっていく…この世は悪魔に翻弄されるだけの場所なんだよ………」

 

 イナバの雰囲気に、加藤達も飲まれそうになった時に玄野がそれを覆すようにこう言い始めた。

 

「悪魔がいたとして、知ったこっちゃないって」

「!?」

「今まで竜崎達が生き残ったのは! 知恵を使って持てる能力を駆使して生き延びようとした結果だ!! 人間は! 立ち向かうことが出来るはずだ!!」

「………不安を抱えたまま、何もしないのは愚の骨頂だ。最後の最後まで知恵を絞って協力し合うんだ。自分達だけが頼りだ」

「よ、よく…おまえらはこんな状況で……こんな地獄で……」

 

 玄野の発言に、加藤も背中を押されたようにそう言ったのでイナバは顔に手を当てながら、そう呟いたが次の瞬間にはいつもの音楽が流れて武器が取り出せるようになった。

 しかし、その音楽は壊れたレコーダーのように途切れ途切れに流れたので不気味ではある。

 そしていつものように、現れた画面は文字化けしてよくわからない状態だったので、俺達は100点の武器を取りに行った。

 

 今回の場合、ハードスーツの火力よりも武器単体での火力の方が良い気がする。

 言ってしまえば、そういった予感がしたのでZガンとLロケランを携行して、Xショットガンは太ももに付けた。

 岸本達も、ZガンやXショットガンを装備して転送されていくとそこは日本ではなく、ヨーロッパのイタリアのようだった。

 そのため、周囲を見渡すと既に他のガンツメンバーの死体が散乱していてその中には、ハードスーツを着ているヤツの死体もあった。

 

 そこから推測できるのは、ハードスーツレベルの防御力を持ってしても防ぎきれる相手ではないと言うことで、貫通攻撃すら可能だと言うことだろう。

 ハードスーツをあの部屋に置いてきて正解だったな。あれ、動きが鈍るし。

 そんな訳で、周囲を警戒しながら歩みを進めて広場まで行くとそこには、ダビデ像を模した多くの星人と色んな人種がガンツスーツを着込んで戦っていた。

 

 広場に来る途中、倒れていたイタリア人らしき人物に話しかけられたので英語で返すとどうやら、今回の星人に倒されたらしい。

 しかも、他の海外チームも参戦しているがそいつらも全滅するレベルで強いという話だ。

 こりゃ、今までで1番大変なミッションだと思いながら加藤達に説明すると項垂れていたので、みんなを引っ張りながら来たのだが流石に多すぎだろう。

 

 体高が数メートルもある星人もいれば、30センチ程度の星人もいるがそいつらは一貫してスーツの防御力を無視した攻撃力を有している様だ。

 そのため、死にたくない思いから加藤は戻る様に指示して俺も四方八方から攻撃されたくないので、来た道を戻ることにした。

 しかし、俺達の存在に気付いた星人が少なからずいてその対応に岸本とレイカが、それぞれのXショットガンを使って撃破した。

 

 彼女達が倒した星人は、小型のものだったので中型の星人には俺のZガンを使って倒した。

 幸い、西や和泉は既に別行動に移っていて加藤や玄野は俺達と共に戦う意思を示した一方で、桜井や鈴木さん、イナバとは散り散りになってしまった。

 とは言え、現状では彼らに構っているほどの余裕はないので残った俺達は広場に戻って、星人を殲滅していきながら彼らと合流するしかない。

 

 そのため、加藤は自分が持ってきたZガンを使うことにして、玄野は落ちているそれを使うことになった。

 また、岸本とレイカもZガンを保有しているのでXショットガンを、太ももの装着具に引っかけてからZガンで応戦した。

 だが今回のミッション、星人の数が多すぎて広場にいた奴らの処理に時間が掛かったが殲滅し終えると、桜井達が走っていった方向へ走った。

 

 このクソみたいな戦場で、運がよければ生き延びているだろうがその可能性が低い以上は応援に向かった方が良い。

 その判断で走っていくと、さっきの広場とは別の広場に彼らはいた。

 彼ら、と言うはイナバの他に鈴木さんと小島がいたからでその3人は今回の星人との戦闘で、既にボロボロになっていた。

 

 しかし、小島は黒野の姿を確認すると彼に近寄ってきたし、鈴木さんもホッとした表情で俺達に近づいてきた。

 イナバは少々、照れくさそうにしながら近寄る素振りを見せたが次の瞬間、大型の星人が降ってきてイナバを踏みつぶした。

 その事実に、呆気に取られた俺達だったがイナバがくたばった事実を実感すると、その怒りを戦う意思に変えてイナバを踏みつぶした星人に攻撃を加えた。

 

 そいつは他の星人に加えて、攻撃力と素早さが高く感じられたがオニ星人やぬらりひょんと比べるとまだ楽勝だ。

 彼らは本当に強かった、と思いながらチームプレーで攻撃を加えていくと戦いの途中なのに転送が始まった。

 

(まずい! このまま転送が続けばやる前にやられる!!)

 

 そう思って、がむしゃらにZガンを星人に向けて引き金を引くと瞬間的に背筋が凍ったため、反射的に右に倒れ込むと右足の殆どを巻き添えにする攻撃が来た。

 そのため、俺は倒れ込む勢いで寝転がると加藤に続いて玄野も転送されたのを確認できたので、早く俺も転送してくれと思いながら星人を見た。

 俺が攻撃した星人は、踏みつけようと近寄ってきたがその瞬間にZガンの攻撃が当たって、身体の半分が消えた。

 

「よし! これで転送される!」

 

 そう呟くと、転送が始まってあの部屋へ帰還することが出来た。

 

 

 

「竜崎くん!」

「よかった。生きて帰ってきて」

 

 俺がガンツのある部屋に帰還すると、岸本やレイカがそう言いながら近寄ってきて加藤達からも声を掛けられた。

 それだけ、今回の星人は強力だった訳だが生きて帰れることを実感した俺は、深いため息を吐いてガンツを見ると桜井の点数が表示されていた。

 そして、何よりも俺達の注目を集めたのが「おわり。」という表記。

 

 名前は相変わらず、文字化けしていて顔写真も荒くなっているがそれでも誰かはわかるし、他のメンバーにも終わりと表示されているので本当にカタストロフィ前のラストミッションだったようだ。

 とは言え、強制的に生き残ることが主目的になった今回のミッションで点数を稼いだ奴らは少なく、逃げに回った桜井や風とタケシのコンビは0点だった。

 しかし、その一方で激戦の中でも星人を討伐した加藤には65点が与えられて西も102点と、100点メニューを選べる状態になった。

 

 その事実に、玄野達はイナバの復活を要望したが強い武器を求める西の心には響かず、2番を選んで強い武器を保有して次に表示された和泉も同様に2番を選んだ。

 小島や鈴木さん、レイカはある程度の星人を倒したようだが100点には届かなかった。

 

 しかし、岸本が100点以上の点数を稼いだのでイナバの復活が可能になったが3番を宣言して復活を求めたが、復活させる前に画面が消えた。

 それはまるで、古びたコンピュータの不具合で急に止まったかのような消え方だった。

 そこから考えられるのは、今回のミッションは本来だったらヨーロッパだけで終わらせるつもりだったが、彼らだけではミッションがクリアできないと判断したあっちのガンツから要請がきたのだろう。

 しかし、こっちのガンツはいきなりの出来事だったので準備が整わないままに俺達を召集、ヨーロッパに送り出したが内部電源の関係で強制的に転送してきたのだろう。

 

 となれば、この事象も納得できるがだからといってイナバがくたばったことには変わりないため、玄野達はなんとかして復活させようとしたがレイカの番が終わって玄野に移った。

 玄野の点数は惜しくも100点には届かず、俺の点数も100点には届かず仕舞いだった。

 そして、その後のガンツはうんともすんとも言わなくなったので俺達は部屋を出ることにした。

 イナバがいなくなったことはショックだったが、だからといって今後の展開で彼が活躍できるかどうかは疑問だったし、例え生き返ってもすぐにくたばりそうな予感がする。

 

 

 

 そう思いながら、俺達はそれぞれの家へと帰っていった。




おっちゃんこと、鈴木さんが生存。
いや~、可能なら彼もダビデ像戦では生き残らせたかったので多恵ちゃんと合流して、稲葉を助けに行くことにしました。
その結果、彼がくたばることなく、カタストロフィまで生き残れました。

やったね、多恵(ry

原作との差異は、岸本と鈴木さんの生存と多恵ちゃんのミッション参加、玄野クローンの有無、そして何よりもレイカの恋愛感情が本作主人公に向いていると言うことでしょう。
やったね、竜崎!レイカが生き残れるよ!(フラグ並の感想)

後はカタストロフィ編だけ………どうすっぺかなぁ
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