黒い球と共に   作:八雲ネム

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第35話 再結集

「ハァ………ハァ………」

「……………」

 

 俺と金髪ロングの巨人は、互いの技量を生かして互角の戦いをしていると思いたい。

 俺はZガンを使って攻撃の隙を与えないし、向こうは向こうでこっちの攻撃を物ともせずに躱し続けている。

 彼我の体格差があり過ぎて、格闘術は全くと言って良いほど使えないから使える選択肢が少ないので相手の強さが把握できない。

 全く、チートとは言っても巨人族からすれば小人同然の俺が生身で暴れても歯牙に書けないんだろうなぁ、と思っているとついに俺達の転送が始まった。

 

「………またの機会に、だな」

 

 俺がそう呟くと、金髪ロングの巨人は目を細めた。

 多分だが、アイツはまたどこかで遭遇して戦いそうな気がしているだろうがそれは俺も同じだ。

 なんつーか、猛者の勘以上にうまい言葉が見つからないが一先ずはここでお開きになって、俺達は戦う前に集まった公園に帰還することになった。

 その際、巨人の1体を捕獲した様で武装解除された状態で公園に来ていた。

 

 そして、リーダー格のおっさんが発した言葉にその場にいたメンバーは再び騒がしくなった。

 

「諸君はここで解散!!各自、自由に移動してくれ!!また、いずれこちらから強制招集を掛ける!!」

「ふざけんな!!テメェ!!」

「おい!!」

「こいつ、ぶっ殺すぞ!!」

「あの玉の前の奴ら全員ぶっ殺す!!」

「全員、ランダムに転送しろ!!」

 

 そして、おっさんの言葉を理解した俺は玄野達にこう言った。

 

「玄野!加藤!」

「あぁ!」

「なんだ!?」

「転送したら合流しよう!」

「「わかった!!」」

 

 俺がそう言うと、転送が始まったのでどこに転送されるのかを考えながら動かないで待っていると、岸本とレイカが俺の手を握ってきた。

 どうやら、バラバラに転送されない様にした行動だったがそれは功を奏したのだった。

 

 

「台場かー、フ○テレビの本社があるってことは」

「特徴的な球体が崩壊してるわ」

「こんなご時世だから仕方ないわよ」

 

 俺たちが転送された先は台場であり、あることで有名になったテレビ番組の建物は球体部分が崩壊してるわ崩れかかっているし、建物全体から煙が立ち込めているのでとても中に入れたものではないな。

 そう思いながら、ガンツがある建物に入るために彼女達と共に会話をしながら移動を開始した。

 

 

 

 

 

 半日後

 

 

「みんな、こっちに戻ってきてからスーツにダメージは?」

「俺と多恵ちゃんにはないぜ」

「こっちもだ」

「問題ない」

「こっちもな」

 

 敵地に強襲をかけてから、半日後には東京のガンツメンバーはほぼ再集合ができた。

 しかし、桜井の行方はわかってない上に鈴木さんはカタストロフィ直後の巨人族の強襲でたけしを守るために戦死、西は恐らくではあるがあの部屋にいたのであろう。

 面倒ごとは嫌う彼は、自分に損しかない様な戦いには参加しないだろうと言うことが経験則からわかっているので、その程度のことはわかるんだが桜井に関してはわからない。

 

 多分、身内や大切な人がくたばったとは思うんだが憶測の域を出ないのでそれ以上はなぁ。

 とはいえ、今の目的はガンツがあるビルの一室に入り込んで強制的な転送と脳内の爆弾を取り除くことが先決だ。

 そのため、ロッククライミングの要領でビルの庭の壁を構成している部分を登っていき、その部屋まで登り切るとガンツはまだ部屋にあったので一安心だな。

 

「窓は………開くようだな」

「すげぇ………」

 

 俺が窓の取手に手をかけて、横に動かすと静かに動いたので現状では隠す必要はないということなのだろう。無闇に探す人もいないだろうしな。

 

「ガンツ、頭ん中にある爆弾と他のガンツが俺達を転送出来ないようにしてくれ」

「わかった。他にもやってほしいことがあったら言って。できる範囲でやるよ」

 

 そんな訳で、部屋に入ると俺はガンツの中にいる人に声をかけるとガンツはいつもの様に展開して、ハゲ頭の全裸男がひょっこりと頭を出してきた。

 そのことに、俺と和泉以外のメンバーが驚いていると誰もいない空間が急に、バチバチと電気が走って西が姿を現しながらこう言ってきた。

 

「おい、竜崎。何勝手に命令してんだよ」

「別にいつも通りだろ。それに、この場では基本的に誰からも命令を受けないと言うのが鉄則だっただろう?」

「………くそっ!」

 

 俺の反論に、西は悪態をつきながらそっぽを向いたが今は彼のご機嫌を直すよりもやらなければならないことがある。

 それは脳内の爆弾と、他のガンツによる転送を出来なくすることである。

 今回、俺達が巨人族の宇宙船に行くことになったのも他のガンツによって転送されたことであり、それの対策をしていれば俺達もあそこに行かなくてよかった。実際に西は行っていなかったようだし。

 しかし、俺としては敵がどういった存在でどの程度の力を有しているのかを確認するために、玄野達を巻き込んで一緒に行くことにした。

 

 その方が、チーム内でどんな相手なのかというのを把握しやすくなるのと同時に、今の玄野達なら行って帰ってくるだけだったら出来るだろうという確信があった。

 カタストロフィが開始した直後に、鈴木さんがくたばるのはジャブ程度に想定外だった。

 しかし、ぬらりひょん戦ですぐに戦闘不能になったことやダビデ像の星人の時に、小島がいなければくたばっていたと岸本経由で聞いていた。

 そのため、今回の件でくたばる可能性が高いと判断を下した。

 

 そして爆弾を取り除き、転送できないようにした後で強制招集を掛けた奴らの説明をした。

 

「結論から言うなら、あいつらは六菱や四井と言った大企業やら財閥のトップの連中で、かなり前からカタストロフィ対策を行っていた」

「誠くんもやってたみたいだけど?」

「個人でやるのと金持ちがやるのとでは規模が違うし、彼らの目的は地球の支配者になることだぜ? ただ単に星人相手に暴れ回っているようなヤツと同規模で考えない方が良い」

 

 そう、星人討伐に参加するようになって色んなところから情報を収集して整理した範囲内では、全てのガンツメンバーに対しての生殺与奪の権利を彼らは持っている。

 そして何より、メンバーを道具のようにしか見ていないようなので頭の爆弾を平気で作動させるし、強制召集やランダムに転送する愚行も行える。

 俺だったら、事前に通告して希望者のみを集めたりはするが、実際に目の当たりにしないと参加するヤツはそう多くないだろう。嫌々、やらされていた奴は多そうだし。

 

 アメリカは崩壊したとニュースになっていたが、中国も日本が巨人族の攻撃を受けたのと同時期に攻撃を食らったらしく、西によると崩壊したとのことだった。

 そんなことを聞いて、玄野達は呆れていたがそれでも巨人族を撃退したいという思いや、攫われた人達を助けたいという気持ちはあるらしい。

 

「こんなことを言うのはなんだけど、日本全国のガンツに中継をつなげても良いか?」

「良いけど何をする気だ?」

「人を集めるんだよ。助けに行くためにな」

「なーる。別に構わんよ」

 

 些か、人助けをするのは本意では無いがそれをきっかけに巨人族への反撃も同時並行で出来るなら、特に問題はない。

 そう思いながら、ガンツの前に座った玄野の演説を聴くことにした。

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