そんな訳で37話目、はっじまーるよー
「どうやら、宇宙船の弱点を発見したらしい」
俺はガンツを通して、アメリカのニューヨークに住んでいたはずのセバスと会話をしていた。
ニューヨークにも、東京に着陸したのと同規模の宇宙船がいて国としては負けたのだが政府高官の生き残りと民間の軍事会社が一体となって、ガンツの装備で迎撃に当たっているので向こうは優勢らしい。
中国やヨーロッパ方面でも、それぞれの形で迎撃しているので比較的、近いうちに着陸した宇宙船を破壊できるとのことだ。
こうして見るとやっぱり、日本の財閥と呼ばれている奴らが強い武器を保有しているのがわかる。
こういった場合、他の金持ち達も独占こそはしているが有能な人材を雇用している企業が多いので、日本だけが立ち遅れている感じがする。
いや寧ろ、自分達の狭い人間関係だけでこの局面を乗り越えようとしているので、柔軟な考え方や戦い方が出来ないといった方が正しいかな。
何はともあれ、俺達が出会った財閥のおっさん共は石頭が多そうなので、想定外の自体になったらまともに戦えないんじゃなかろうか。なんとなくだけど。
それはともかく
セバスがくれたのは、弱点があるという情報と宇宙船内部の人間が収容されている場所の地図だけだ。
後は自分達でなんとかしろ、ということだったので西が激怒したが俺達はおまえの道具じゃないから自分で聞き出せよ、と伝えるとブツブツと呟きながら黙った。
そのため、俺達はすぐに宇宙船に乗り込んで人命救助に当たることにした。
何故なら、巨人族の攻撃は日中に行われるのが基本なのでそれに合わせて行動した方が効率的だ。妨害工作にもなるしね。
そんな訳で、夜が明けて少ししてから俺達は宇宙船で東京の人達が収容されている場所へと向かった。
「作戦開始!!」
「この人を転送して!!」
「流れを止めろ!!」
俺達が転送された場所は、流れるプールを深くして流れを強くした感じの施設なのだがそこには、裸になった人達が強制的に流されていたので俺達は救出しながら流れを止めた。
ちなみに、現在の装備は俺と岡がハードスーツを着込んで他の皆はそれぞれが使いやすい装備を使っている。
ZガンやLロケラン、Oガトリングガンなどは俺が出して他のメンバーに渡してあるが、理由は敵地に潜入しているんだからあらゆる敵に対抗できるようにしてある。
しかし、人命救助には必要ないので近くの壁に立てかけて救助に当たり、俺と岡で周囲を見張るのが今の役割分担だ。
そして、1回目の救助は不気味なほど簡単に終わったのだが巨人族にとって地球人が逆侵攻するなんてことを、予想や考えもしなかったのだろう。
そのため、施設の奥に目を向けると巨人族の施設で既に殺された人達が屠殺場で殺された豚が、天井に吊されるように天井から逆さ吊りで流れていた。しかも、心臓の部分から大量の血を放出しながら。
(全く、無関係の人と言っても気分が悪くなるな。俺達が日常で肉を食べる前に、加工される過程で同じことを豚や牛なんかにしているとは言え)
そう思いながら、次の施設へと向かった。
「全員、転送終わったか!?」
「次々行くぞ。急ごう」
「休めないな………」
「腹ごしらえもガマンだな…」
「ちょっと待った」
玄野や加藤が急いで次に行こうとする中、関根と吉川がヤレヤレといった感じでそう呟いたが前島がそう言って、さっきまで水が勢いよく流れていた場所に小便をぶちまけた。
正確には、ガンツスーツの股間に当たる部分を脱いで男の象徴を出すと勢いよく出した。
あまりの光景に、俺達は少し唖然としたがここで悪乗りするのも悪くないだろう。
現に、矢沢さんも「俺も俺も」といってやり始めたからな。
「おまえらなーー、女性のいる前で………」
「恥ずかしくはないのかぁ?」
「あっ」
「えっ………」
その行為に、武田や色男である桑原もそう言ったが男共は全員で同じ行為をした。
まぁ、こんな状況にしたクソッタレ巨人族にはこのぐらいのお見舞いをしたいと思っていたんだ。
女性陣は引いた感じで見ていたが、俺達が一斉にやる光景はなかなか様になっていると思う。
そんな訳で、出し切った俺達は次の施設へと向かった。
「敵襲ーーー!!」
「転送早くしろぉ!!」
施設をいくつか、回って案外楽勝かもと思った時に巨人族の警備隊らしき奴らが壁を破壊しながらやって来た。
そのため、裸の人達はパニックに陥ったが集ったガンツメンバーはすぐに切り替えて、戦闘態勢に移行したのでまずは俺と岡のハードスーツでビームを放った。
向かう先は、双頭の獣で筋肉隆々の巨大な人型の体躯に狛犬のような顔のそいつは、実力を発揮せぬままに両方の頭を破壊されて終わった。
そのことに唖然としている中、吉川が2本のガンツソードを取りだして片方の巨人族に向かっていったので、島木と武田がそれぞれのZガンをもう片方に構えて引き金を引いた。
すると、もう片方は見るも無惨な姿に成り果てて吉川が向かった巨人も、手足をバラバラにされた後に首をちょんぱされた。
ここまで余裕だったのは、相手が警備員レベルの武装でやって来たことで例えるなら、機関銃やら対戦車用のロケランやらを装備した武装集団と拳銃だけを装備して警察犬しかいない警備隊とが戦うようなものだ。
どちらが勝つかは、子供でもわかるほどに装備が違いすぎるので特にこれと言って被害を出さずに済んだが、これがもしも軍隊レベルの組織だったらどうなるかはわからない。
少なくとも、誰一人として死なずに帰還させることは不可能な訳で、それでも1人でも多くの人を救いたいという玄野達の気持ちから裸の人達が全員、転送しきったら一先ずは腹ごしらえをすることにした。
腹が減っては戦は出来ぬ、というしね。
「しっかし、あれだな。宇宙船はやっぱ広いなぁ」
「一晩掛けて60%か……まだまだな」
「寝なくて大丈夫か?」
「時間が掛かりそうだから交代で攻略していった方が良いかもね」
「ガンツ、ハッキングはちゃんとしてる?」
「転送時にいくつか、ダミーも含めて他のガンツやネットワークを経由しているから大丈夫」
「ハッキング? 必要かそれ?」
俺達が戻ったのは、昼前になってからで思い思いに休んでいた。
現状では、宇宙船にある施設を全て破壊するのには時間が掛かるので休み休みで行くことになった。
カタストロフィが始まってから数日は経つが、こうしている間にも人々は宇宙船へと連れ攫われているのであまりのんびりとは出来ないが、休むことも仕事として飯を頬張ったり、仮眠を取ったりしている。
そうしている中、俺がガンツにハッキング対策について尋ねたので玄野が聞いてきた。
そのため、俺はこう言った。
「だって奴らは宇宙を渡ってくるんだぜ? ハッキングの技術はかなり進んでいるし、俺が巨人族側だったらまず、ガンツ側の要であるコイツを叩くね」
「………っ」
そう言いつつ、コンコンとガンツを叩くと玄野達はガンツの重要性を今更気付いたようで、そのことにため息を吐きつつもガンツに他の国の状況について聞いた。
こうやって、武器を取って巨人族と戦えるのはガンツがあってこそであり、それがない米軍や自衛隊は壊滅してしまった。
そのことから、今ここでガンツを失うと言うことは通信と移動手段の殆どを失うのと同じなので、慎重に行動するに越したことはない。
そう思いながら、俺はガンツが集めてくれた情報を整理すると意外なことに気が付いた。