黒い球と共に   作:八雲ネム

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おかしい。
昨日の時点で、お気に入り登録者数が13件だったのに今日になってから、投稿時には38件と急に増えた。
しかも、評価も3つほどついている……

ありがとうございます。
まさか、書き始めて割とすぐに評価をもらえるとは思っていませんでしたが、これを励みに書き続けようと思います。


第3話 日常と変化

「竜崎、お疲れ~」

「おー、お疲れ~」

 

 ネギ星人を討伐した翌日、俺は普通に大学の授業に出席した。

 大学に入学した当初から戦っている俺からすれば、今回の戦闘はヌルゲーの類であって別に疲れるほどではなかった。

 そして、今日の授業は午前に1つで午後は2つだけだったので特に問題ではない上に、基本的に楽な内容だったので余裕もあった。

 

 そのため、大学での数少ない友人と適度に遊んでから自宅に戻ると、普段とは違った光景が玄関で起こっていた。

 

「すう………すう………」

「………」

 

 予め、言っておくが俺は東京の大学に進学して来たお上りさんであり、決して誰かを玄関先で待たせておくような性格はしていない。

 ましてや、実家の家族や親戚な訳がなく、玄関先で座りながら寝ているのはトレンチコートを貸した少女だった。

 彼女の脇には、トレンチコートが入った紙袋が置いてあるから返しに来たのだろうが、寝るまで待つのは如何なものかと思う。

 

 だから、彼女を起こすことにした。

 

「おい、嬢ちゃん。こんな所で寝てると風邪引くぞ。ほら起きろって」

「………!?わっ、わぁ」

「よぉ」

 

 俺が、彼女の肩を持って揺らしながら起こすと彼女は驚いた様子で起きたが、相手が俺だとわかると安心したかの様にため息をついた。

 そして、彼女を部屋に入らせてから玄関先で待っていた理由を聞いた。

 

「ヘぇ~、もう一人いたんだ」

「う、うん。だからどうしようかと思ったんだけど、あのコートの中に運転免許証があったからここまで来れたの」

 

 彼女の言い分はあの後、玄野達と無事に家に帰れたがどうやら手首を切った時に深さが足りなかった様で死に損ねてしまった、という訳だ。

 そのため、俺のコートを持って彼女の自宅から飛び出したはいいが財布や携帯なんかも置いて来てしまったので、先立つものがない。

 そんな中、偶然にも小銭の入った財布と運転免許証があったのでここまで来れたらしい。

 

 しかし、俺の家に着いたものの当の本人は外出中だったので仕方なく、玄関先で待っていたとのこと。

 そして、眠気の襲われて寝ているところに俺が帰って来たから驚いたらしい。

 驚いたのは仕方ないとして、今後の課題は彼女の寝床だ。

 一応、俺もバイトをしているがあくまで趣味に使うお金を稼いでいる程度なので、人一人分の宿泊費は出せない。

 

 そんな背景から、そのことを彼女に聞いてみた。

 

「まぁ、来ちゃったもんは仕方ないとして寝床とか、どうすんのさ」

「それは………その………」

「……そう言えば、あんたは家事はできる方?」

「え?まぁ、多少はやったことあるかな」

 

 俺の問いに、彼女は答えに窮した様だったので話を変えて聞くと、そっちはすぐに答えてくれた。

 そして、その答えを聞いた俺は2つの選択肢の中で片方をすぐに決めた。

 それは―――――

 

「なら決定、住み込み家政婦として雇ってやるよ」

「え?………って、エエエエエ!?」

「安心しろ、住み込みと言ってもR–18みたいな展開は起きねーから」

「あぁ、よかった~」

 

 そう、住み込み家政婦だ。

 俺は1人で、上京して来たから親しい友人がいないし、俺を追いかけてくれる幼馴染もいない。

 小さい頃から、単独行動をしていたからぼっちだのなんだのと言われていたが、決して1人でいることが好きという訳でもない。

 あくまで、他人にあまり興味がなかっただけだ。

 

 そのため、基本は一人やもめで大学の友人を部屋に招き入れたこともない。

 だから、彼女1人が増えただけでは問題なく生活できるし、家事ができるんだったらお金さえあれば料理もある程度できるはずだ。味の良し悪しは別にしてな。

 まぁ、結局は自分の利益になるかどうかという打算で動いているので、今回のは損失よりも利益の方が多かっただけだ。

 

 とは言え、もしも家事ができないなんて抜かすなら適当なことを言って追い返していたところだ。

 只でさえ、一人暮らしであまり広くないのに利益なしに今以上の狭さになるんだったら、彼女には悪いが他のところに行ってもらうしかない。

 現実は非情である、という言葉がよく似合う光景なるな。

 

「ところでよぉ」

「何ですか?」

「名前を聞きたいのと服はどうするんだ?俺、そこまで金を持ってねーぞ」

「あぁ、なるほど。確かに言ってませんでしたね」

 

 そんな訳で、俺が話を振るとさっきまで不安がっていた態度を変えたので、『こいつ、強かだな』と思いながら彼女の話を聞いた。

 彼女の名前は岸本惠、家の事情に苦心して自殺を図った様だが運悪くガンツに転送された挙句、本体は生きていたんだから不運体質なのかもな。

 そして、服に関しては今着ているやつ以外にないとのことで、仕方ないが彼女の家からくすねて来るしかないな。

 

「え、それって空き巣なんじゃ………」

「大丈夫大丈夫、バレなきゃ罪に問われないんだよ」

「キメ顔で言ってますけど言ってる内容が酷すぎる」

「それとも男装系女子になってみるか?男物の服ならたくさんあるが」

「いやよ」

 

 俺の答えに、彼女は呆れ返っているが男装は余りしたくない様で即答された。

 幸いにも、ガンツスーツも持って着たらしいからそれを着させてから、彼女の自宅がある場所まで行った。

 空き巣をするにしても、ガンツスーツの透明化する技術があるので監視カメラが設置されていても問題ないし、顔がバレなきゃ、犯罪を立件するのは難しいからだ。

 

 

 

 翌日

 

 

 そんな訳で、彼女の自宅近くまでやってきました。

 

「………ちょっと待て、透明になるぞ」

「え?どうしてですか?」

「今から透明になっておけば怪しまれずに済む」

「なるほど………」

 

 俺が理由を言うと、岸本が納得した顔になったので互いに透明化したが、同じスーツを着ているので俺達からすればバレバレだ。

 

「うぅ、本当にバレてないよね?」

「大丈夫大丈夫、何度も実証したから問題ないよ」

「より一層、不安になってきた」

 

 失礼な。実証した当時はかなり恥ずかしがったんだぞ。今は、思い出すだけでは問題ないがからかわれてしまう要素だった。

 今では、その事実を知っているのは誰1人として知っている奴はいないがな。

 そんな訳で、彼女の自宅前まで来た訳だがそこで変化が起きた。

 

 なんと、その家から出て来たのはもう1人の岸本であるオリジナルの岸本だ。

 これで確定した。俺達はコピー商品で、星人と戦わせる道具でしかない。

 そう思っていると、岸本が俺の袖を握って来たので振り返ると顔を俯かせ、肩を震わせていた。

 どうやら、この事実は彼女にとってショックが大きかった様で俺は何も言わず、彼女が泣き止むまで待った。

 

 

 

「大丈夫か?」

「うん、大丈夫。ごめんね、待たせちゃって」

「気にしなくていい。踏ん切りがつけばそれでいいさ」

「誠は強いね。私はあんなに泣いたのに」

「まぁ、こういうのには慣れたからなぁ」

 

(強い、か。俺もガンツに呼ばれた当初は夢でフラッシュバックして不眠症になりかけたんだよなぁ)

 

 今でこそ、淡々と星人をやっつけているがガンツに呼ばれてあの部屋に来た当初は、心構えができていなかったから精神的に弱かった。

 何度も吐いたり、悪夢にうなされたりして大変だったが当時、あの部屋の先人達に救われてここまでやってこれた。

 

 だから当面はあの部屋で戦い続けるし、やめることはいつでもという訳ではないが100点を取ればやめることはできる。

 なので、やめるんだったら自分が納得できるやめ方をしたいと思っている。

 俺がそう思って、彼女の言葉に返事を返すと彼女は笑ってこう言った。

 

「じゃあ、私の服。持ってくるね」

「あぁ、足音に注意しろよ? 見えなくたって音は出るんだからな」

「わかってるわ」

 

 

 

 俺の注意に、彼女は明るくそう言うと彼女の家に向かって行った。




まさかの同居。
した理由は至ってシンプル。

家事ができるかできないか。

できなかったらばっさり切り捨てるつもりでした。
一方の原作主人公は、と言うとつまらないと思いつつも普段通りの日常を送っています。
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