黒い球と共に   作:八雲ネム

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第39話 戦場では想定外が当たり前

「………おや?」

「おっ」

「だめだーッ」

「もうだめだ!!」

 

 俺達が移動していると、他のガンツメンバーである3人と遭遇したのでそっちに顔を向けると彼らは気になることを発言していた。

 

「だめだーッ」

「逃げられない!!」

「みんな死ぬ!!」

「………?」

 

 その不可解な発言に、俺達は近づいてみるとその内の1人は腹が裂けて内臓がはみ出ている上にもう1人は大量出血からか、腕を押さえながら力無く膝を降ろすとへたれ込んでしまった。

 そして、最後の1人もガンツスーツの耐久力が限界に達して身体のあちこちから、ゲル状の物体が漏れ出ているので彼らも巨人族と戦っていたのだろう。

 とは言え、こんな所に負傷者や戦闘能力が皆無なヤツを放置するのはいかがなものか、と思いながら近づくとその疑問はすぐに解決した。

 

 何故なら、彼らの後ろにあるプールのような正方形の穴の中に大量の裸の人とガンツメンバー、そして自衛隊員の死体が横たわっていたからだ。

 遠くの空からみれば、まるでプールの水のように大量にあるので彼らもまた、人命救助のために宇宙船に乗り込んだのだろう。

 そして、巨人族との戦いで負けたと言うことか。

 

「俺らも………あんた達と同じだ。攫われた人間を救出するために宇宙船の中に入って………こっちも猛者を集めてきたんだ。でも………全員やられた」

「うっ………」

 

 スーツが使い物にならなくなったそいつは、自分達が体験してきたことを俺達に伝えるとレイカは口に手を当てたが、あまりの死体の数と損傷具合を見れば吐き気も催すわな。

 そして、そいつは話を続ける。

 

「アイツらの戦力をナメていた………文明のレベルが違いすぎる。俺らは………脆弱すぎた」

「………」

「どうやってもいい………逃げるんだ………人間を救うとかそんな………甘いこと…言ってる場合じゃ…ない」

「………」

「奴らにとっては………人間の叡智や歴史なんてクソの価値にもならない。そもそも、敵だとも思ってないのかもしれない」

「………そうは言ってもなぁ、俺達は強制的にここに転送されてきたんだよ」

 

 俺はそう言うと、そいつは驚きの表情を浮かべて反応を返してきた。

 

「そうか………球までハッキングできるのか………そうか………もうだめだ………もうだめだ」

「俺は関西の2人の所へ行く」

「ああ………俺らも行こう………」

 

 そいつの言葉に、なんとも言えない気持ちになりつつも加藤と玄野がそう言ったが、臆病になったそいつを誰も責めることは出来ない。

 何故なら、彼らも巨人族と戦って仲間がくたばっていくのを見て心が折れたからだ。

 必死に戦って、抵抗して、もがいた結果が惨敗というのであれば心の1つや2つが折れてもおかしくはない。俺でさえも一旦は頭を冷やしたいぐらいだ。

 そのため、俺達は説得するために離れた奴らと合流するために移動しようとして、生き残ったそいつが何かを見つけたようである方向を指さして叫んだ。

 

「あッ! 来た!! 来たァァ!!」

 

 その方向を見ると、2人の子供とよくわからんヤツが数体いてそいつは、慌てた様子で子供達にこう言った。

 

「来るな! 向こうへ行け!! 近づくな!!」

「このこまいごなのーーー」

「まいごなのーーー」

 

 子供達の中で、女の子の方が持っている球体の鳥のような生物を見てそいつは慌てふためいているので、恐らくは巨人族が生産した生物なのだろう。

 となれば、巨大な怪鳥になるのだろうか。

 いや、変化している間に攻撃されれば速攻でお陀仏だろうから身体が弾け飛ぶのだろうか。

 

「ああぁあぁあもうだめだ!!」

 

 星人相手でも、前もって渡される情報が役に立たずに手探りで戦っていたなぁと思い返しながら、見ているとそいつは絶望的な表情になって鳥が弾ける直前のポップコーンのように、急に大きくなって弾け飛んだ。

 そして、その身体から光の球が幾つも飛散して俺達に近づいてきたため、そいつは伏せながら俺達にこう言ってきた。

 

「伏せろッ! 光に触れるな!!」

「触れるとどうなるんだ!?」

 

 そいつの言葉に、玄野が質問したが何も答えなかったので仕方なくではあるが伏せて、通り過ぎるのを待ったが光の球の1つが関根の身体に当たってしまった。

 そのため、彼の腕に変化が現れて軽いパニック状態になった。

 

「くッそッ、なんだよこれ!?」

「関根に光が入っちまった!! どうすりゃ良い!?」

「入った!? 入ったのか!? じゃあもうダメだ!!」

 

 そいつの言葉に、関根は軽くショックを受けていたが諦めるのにはまだ早いと思ったようで、すぐに切り替えてこう言った。

 

「もうダメってかよ………被害を最小限人抑える方法はないのかッ!?」

「球を頭に行かせるな!! とにかく、頭を乗っ取られるな!!」

「吉川!! 俺の腕を切ってくれ!!」

「なっ!?」

 

 彼の言葉に、吉川はかなり驚いたが一刻の猶予もないようで驚く吉川を急かした。

 

「俺の腕! 落としてくれ! 早く!!」

「いいのか!?」

「良いから早く!!」

「だったら肩に近い方を切れ! 手先の方だと残った光が頭に行くかもしれん!!」

 

 関根と吉川のやり取りの間にも、肘から手首の間の腕がブドウのように腫れ物が幾つも膨れあがっていたので自分の力では、頭に行かないようにするのが限界だった。

 そのため、吉川は押さえている部分から先を切ろうとしていたので俺がそう言うと、少し迷ったが押さえている部分の上から切り落とした。

 その痛みに、関根は悲鳴を上げたが切り落とした腕を投げ捨てると腕は変異を起こして、プラナリアのように頭や腕が生え始めた。

 

 その現象を見て、軽い吐き気を催したがすぐに破壊すれば良いだろうと思ってレイカに合図した。

 

「止血しましょう!!」

「ちくしょう………腕が…くッそ………」

 

 関根は顔を歪ませながらそう呟いたが、腕を切り落とした後に彼の身体からは異常が見られないことから俺の判断は正しかったようだ。

 そして、止血を終えるとよくわからん奴が背中からトンボのような羽を生やして飛び上がったので、敵性勢力と断定して俺達は攻撃を加えた。

 倒すと、さっきの変な鳥と同じように光の球が大量に発生させたので、負傷した関根を庇いながら回避することになった。

 

 そして光の球を回避しながら一体ずつ、確実に倒していくと今度は外見は骨だけの奴が複数体出てきた。

 そのため、OガトリングガンやLロケランも併用して攻撃していったがダメージらしいダメージが見受けられない。

 Zガンやハードスーツのビームでも効果がないようで、そのことで戸惑っていると吉川がガンツソードを持って向かっていった。

 

 ダメージを与えられない奴に、接近戦で立ち向かうのはハイリスクだがそれ以外に方法が見つからないので見守るしかない。

 余りの状況に、生き残ったそいつは何かを喚いたので黙らせると吉川はかなり不利な状況に陥った。

 なんせ、二刀流なのにその片方を手から離してしまったからだがその瞬間、玄野は叫んだ。

 

「諦めるな!諦めるなぁ!!」

 

 その言葉に、背中を押されたようで敵の攻撃を回避すると首に攻撃を加えると簡単に破壊できた。

 その事実がわかると吉川が攻略法を叫んだ。

 

「首の後ろだ!!ピンポイントで脆い所があるぞ!!」

 

 

 

 その情報に、俺達はそいつらに向かって走り始めた。

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