黒い球と共に   作:八雲ネム

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第42話 事実

「ここは………」

「宇宙、かよ………」

「母船の中ってマジだったのかよ」

「すげぇな、壁や天井が映像だって言われても信じてしまいそうだ」

 

 俺達が転送されてきたのは、壁の向こう側が真空の宇宙空間で近くには武装解除された巨人族が手を頭の後ろに回しているのが確認できる。

 そして、壁にはある程度の大きさで光っている地球が見えることから月と地球の間に母船がある、と言うことも事実のようだ。

 そのことに驚いている俺達を尻目に、電話をしてきた斉藤という人物が声を掛けてきた。

 

「あっちでアメリカが最後の戦闘をやってます!」

 

 彼の指さす方向には、多くの巨人が武装解除されていて他のガンツメンバーもそっちに移動しているようだったので、そのことを確認した俺達に彼はさらに話を続けた、

 

「ここに来たのは意味があるんです。驚きますよ、きっと」

「意味?」

 

 彼の言葉に首を傾げつつ、移動を開始しようとしてあることに気が付いた。

 

「………ってあれ? 関根、腕が生えてね?」

「? って、うわっ!」

 

 応急処置を受けた関根は、出血で顔を青白くしていたが転送されてから血色がよくなったので腕を見ると切り捨てた腕が元通りに戻っていた。

 そのことに、彼はかなり驚いていたがいつも通りの生活を送ることが出来ると安堵して、足を失った眼鏡君も元通りになっていたことから自分で歩くことにした。

 そのため、俺達がそれぞれの足で移動していくとまぁお国柄がよく反映されている光景に出会った。

 

 

 互いに抱き合って快楽に溺れる者、日本では禁止されている薬を吸っている者、酒に溺れる者。

 

 

 そして、普段の日本ではまずお目にかかれない光景も巨大な通路にはあった。

 それは複数の男性が、裸にした巨人族の女性を背景に写真を撮ることや巨人族の性交を見世物のように楽しむ人達、何よりも巨人族の女性相手にやり出す強者までいて加藤達には刺激が強すぎなとも思った。

 そしたら案の定、前嶋が先陣を切ってそいつらを殴りに行ったので大阪メンバーを除く、男性陣が殴り飛ばしていた。

 

「そんなことやってる場合じゃないです!!」

 

 とは言え、斉藤は彼らを止めるかのようにそう怒鳴って駆け出すと俺達もついていき、それを確認した彼はこう言った。

 

「あんなこと、戦場では日常茶飯事なんですよ! あのイギリス人達を殴ったって何にもなりませんよ!!」

 

 駆け出した俺達に、イギリス人達が何かを言ってきたが俺には関係ないわなと思って無視していたが、加藤や前嶋と言ったメンバーは怒りの表情でやりきれない感じだった。

 その後、矢沢さんが前嶋と話し合っていたがどうやら前嶋自身が童貞らしい。

 眼鏡君もそうだとはわかっていたが、それに対して武田や吉川から突っ込まれていた。

 

 俺も、ほんの数ヶ月前まで童貞だったが岸本達とやりまくったせいでとっくに捨てているので、彼女を作るのが面倒だったら風俗嬢とやれば良いんじゃないですかね。性病になったら面倒だが。

 その傍らでは、メアリーが風と会話していてどうやら武道一辺倒の風と共通点を見つけたらしい。

 まぁ、彼女も格闘家として生きていたようなのでお似合いのカップルだな。いや、タケシも生きていたら良い感じの家族になりそうだ。

 

 そんな訳で、俺達は通路を抜けてある場所に向かうとそこにはガンツが鎮座していて、外国人が声を掛けてきた。

 そのため、俺がある程度の会話をするとどこかに転送されて宇宙の真理がわかるらしい。

 宇宙の真理と聞くと、途端に胡散臭くなるのだが何はともあれ、行くことにした。何事も体験するのが1番良いからな。

 

 そして、俺達は真っ白な空間へと転送された。

 

 

 

 

 

「なんだ、ここは………」

 

 白い空間、というよりは出口のない白い部屋に飛ばされたようだ。

 その中心には、巨大な二体の像の様なものが手を広げて立っていて周囲にいた海外のガンツメンバーが、次々にその像へ質問を投げかけていた。

 それを見ていた俺達は、急に視界が歪んだかと思ったら目から涙が出るのを感じて手を当ててみると、涙が赤くなって流れていた。

 そのため、加藤達も同じような涙を流していたので菊地さんが声を掛けてきた。

 

「菊地さん、無事だったか。あの黒い球が作られている工場の写真を見た時は驚いたよ」

「竜崎くんも無事でよかった。まぁ、吸血鬼を返り討ちにした時からそう簡単に死なないとは思っていたよ」

 

 互いに無事なことを確認すると、加藤が赤い涙のことを菊地さんに聞いたが彼もわからないようでかれこれ30分はここにいるらしい。

 ここのことをカメラに収めようとしたらしいが、録画ボタンを押してもカメラ自体は動くが記録に残らないようで無用の長物となっている。

 それと、この部屋がどういった部屋なのかを聞くと真理の部屋だという。

 

 俺が想像していたのは、ただっ広い空間と目の前に巨大な扉がある某錬金術師の空間をだったのだがここでは全く違うらしいな。

 そんなことは今はどうでもよくて、俺達が聞きたいということを聞いてみたが日本語もわかるようで流暢な返事と共に今までの経緯を説明してくれた。

 

 ある惑星系、太陽のような恒星の周りを幾つもの惑星が公転している星々が消滅の危機に遭ったため、30年前から移住先に地球が選ばれて移住が始まったらしい。

 今までに戦ってきた星人は、その移民達であって巨人族はその中でも最も強力な種族で、文明も戦力も地球よりも遥かに上だとのこと。

 俺達は移民達のカウンターとして生み出された訳だが、そのきっかけになったのは真理の部屋にいる巨大な像が属する種族が地球に情報を送ったとのことだった。

 

 理由は、巨人属は彼らのいる惑星群に強襲を掛けたが撃退されて次に選ばれたのが地球だったため、巨人属を撃退できる最低限の軍事技術を信号として送ったらしい。

 そして、その信号がドイツの富豪の娘がキャッチしてガンツを量産して世界中に設置した。より資産を増やせると信じていたからこその行動だったらしい。

 まぁ、ゲームや採点自体は地球の方で勝手に変換しただけで特に何もしてないとのことだったし、球の中にいる人間は地球人の複製らしいので本当に軍事技術だけを送ってきた感じではある。

 

 そのため、加藤も含めたガンツメンバーから感謝の言葉が上がったが像は特に気にしない感じで、それらを一蹴すると次のようなことを言った。

 

「傲慢な人類よ。君達は、地球上で特別な存在だと思っているがそうではない」

「………」

「私達が残す選択をしたのは地球そのもののある程度の秩序であり、君達人類を救うためではない」

「!?」

 

 その言葉に、加藤達は唖然としていたが俺は思い当たる節がある。

 それはこの世界、星人と戦う世界に転生する時に見た担当官の目だった。

 彼らは、本当に気怠げに俺達を見て事務的に流していったので神と自称する彼らからすれば、俺達は蚊なんかの小さな昆虫でしかない。

 それからは、神という都合の良いものは存在しないというのが持論だ。

 そして、その像はこう言った。

 

「君達の存在は、我々からすれば極微小な昆虫と変わらない。君達が例え、何百何千万単位で死んでも私達から見れば大したことはない。君は子供の頃、庭のホースで蟻塚の蟻を大量に殺しただろう?」

「………」

「蟻の命と人間の命は重さが違うと人間は思っている。我々からすればとても傲慢な考え方だ」

「………」

「そして、君達が縋る神などというものは存在しない。人間の命はチリやゴミと何ら変わらない」

「………!!」

 

 あーあ、言い切りやがった。

 確かに彼ら、超文明の異星人からすれば俺達は塵芥の存在なのだろう。地球の歴史で言えば、大航海時代のヨーロッパの人達が黒人を人ではなく、動物を売り買いするかのような感覚かな。

 当時のことを直接、見聞きした訳じゃないからわからないけど少なくとも同じような感じで、俺達を見ているのだろう。

 

 

 

 その事実を包み隠さず、ただ淡々と告げられたことに加藤達は動揺することになった。




もう少しだけ続くんです、はい。
投稿ペースはそれほど、下がっていないんですが内容の進み具合がかなり遅くなっている今日この頃。
ここら辺をちゃんと書かないと落ち着かないのでもう少しお付き合い願いたいです。
あと、2~3話すれば巨人族の英雄と戦えますので待ってくだちぃ。オナシャス。
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