Final Fantasy ⅩⅤ Another Stella   作:虚ろな星屑

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その輝きを知らしめるために

 Star Magic.

 宙に宿る願望の力。

 

 空に捧ぐ祈りの歌。

 

 星空の聴く無限界。

 

 夜空に描く蜃気楼。

 

 天の御中紡ぐ神秘。

 

 兼ねて、否、寧ろ。

 

 それは、彼女に相応しき力。

 

 

 

 海が砕けて、景色は変化した。

 

「いい夜ね、こんな夜空は久しぶり」

 夜は危険、それは彼女が歩んだ道のりでは常識であった。

 彼女は最後に満天の空を見たのはいつのことだったか思い出そうとする。

 星に手を翳したつもりで水に邪魔される。

 

『摩訶不思議であるが、何はともあれ』

 思考への乱入者が、無粋な横やりを入れてきたらしい。

 まあ当然物理的な海水の槍であるが。

 

 あと摩訶不思議筆頭生物が何か言っている。

 

「しかしこれどうやって浮いてるのかしら」

 あ、それは不思議パワーです。原作準拠。

 包まれた球体の中で逆さまになって髪を波立たせている暇はないらしい。

 

『その小細工、打ち破ってくれるわ』

 揺れ動く視界を単純化する。

 美しき秩序の波が押し寄せる。

 迎え撃つは包括の守り。

 あらゆる衝撃を緩和する奇跡。

 それ自体は吹き飛ばされる。

 

「踏ん張りがきかないのは不便ね」

 三半規管に全く影響がない様子で考える。

 

 想定。

 魔術飛行機間、検索、変換、顕現。

 

 0へ向かう世界、風化なき世界。

 浮かぶ言の葉を紡ぐ。

 

「総べる翼よ」

 綴じる世界への祝福を授けよう。

 その白き姿こそあなたに相応しき力。

 

「終わらない明日を迎えに行こう」

 その夢に奪われた想いが力を貸す。

 崩れ落ちる力は役目を果たした。

 

『ハハハ、未来無き亡霊が。やはり貴様らは憎たらしい』

 それは神の力を否定した血族と、決別を決定した人類に向けられる侮蔑。

 

 未来を神々に託す人々よ、未来すら神々に委ねる人々よ。

 

 人類はいつまで揺り籠に揺られているつもりなのか。

 

「星よ」

 

 白い光が弾ける。

 翼から羽が落ちるように。

「進め」

 

 天から光が零れ落ちる。

 輝きは夜空を満たしていく。

 

『その力は、星の力でもない、神の力でもない。ならばそれは闇の力か?』

 

 否、笑い話に等しい。

 光を放つその姿は、闇と、そして光とも極点に位置する力。

 闇を抱え、光を背負い、星を眺め、運命を壊す。

 

 星天魔法。

 

 天を想う全知性の星への祈りが、その奇跡を起こすだろう。

 

 忘れることなかれ、星座は人が紡いだ物語であると。

 恐れることなかれ、知性は死ぬと星へ至ることを。

 

 感性そのものが武器となる。

 

 未来を燦燦と照らし、過去を虹光で紡ぐ。

 その未来は遥か彼方に流れる奇跡さえ巡る。

 

『ふざけるな、なんだ、なんなのだ。そのデタラメは』

 光が蛇の動きを縛る。

 ああ、蛇に翼は相応しくないか。

 

 今、知性の想像力が達している限界は。

 最強の六神を封じる空の堕としモノ。

 

 たった一つの星の繭が六神を封ずるなら、幾億の流星群は六神を圧倒する。

 

『まさか、星が、この輝き全てが星なのか?』

 星の力を感じるわけでもない、しかし、龍にはそれが星にしか感じられなかった。

 

「否、これは幻想」

 白光の翼に包まれながら呟く。

 靡く髪を導く風が声を広げる。

 

『なぜだ、なぜ全て阻まれる!?』

 光翼が翻る度に水は解ける。

 水に散らばった光はまた空を駆ける。

 

『手は一切抜いていない、ならば貴様に我が力が劣るとでもいうのか!?』

 失った翼の代わりに海水を纏いながら恐れ多くも問い質す。

 

「ええ、生憎、死に損なったわ」

 蒼い光が龍を貫いた。

 

『ふざけるな、我が力はこの海で最も強い!』

 海水の花火が打ち上げられた。

 破壊力は比較できかねるが。

 

「ああ、でも、この空では違うらしいわ」

 赤い光が空を捕えた。

 

「空よ、廻れ」

 空が光跡を残し回る。

 

『なんだ、何が起きている、星が繋がるなど』

 点から、線へ。

 

「この空の星が、抱える時の波が見える?」

 

『星の軌跡だというのか!ふざけたことを!』

 星の軌跡、比較明合成の星空が流れた。

 

『いや、星であってもアレほどの力はあるまい、ならば打ち砕くことはできる!』

 水流が集中して星を覆い始める、星が崩れて光を失っていった。

 砂糖でできた星屑はどうやら水に溶けたようだ。

 

「星座よ、舞え!」

 

 空が澄み渡った瞬間、笑って歌を歌った。

 星が繋がり、漸く星座を組み立てる。

 

『ハハハハ、ハハハ、そうか、そういうことか!」

 

 狂った龍が嗤いだした。

 その瞳にさえ未来が映ったが故に。

 

 飛び立つ翼が光を纏う。

 

「さあ、駆け抜けましょうか、この星夜を終わらせるために!」

 

『虹色の星座、ああ、美しい、もの、だ』

 

 照らし出した彼女に祝福を。

 星が瞬いたその夜の果てに、終わらない明日を紡ごう。

 

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