酔いどれサーヴァントを召喚した!?   作:小此木

1 / 2
ハーメルン初心者様誤字報告ありがとうございました。


酔いどれサーヴァントを召喚した!?

 

 

 

聖杯戦争

 

この戦いはそう呼ばれている。聖杯を求める七人のマスターと、彼らと契約した七騎のサーヴァントがその覇権を競う。他の六組が排除された結果、最後に残った一組にのみ、聖杯を手にし、願いを叶える権利が与えられる。勝利のためには、マスターか、そのサーヴァントを撃破。若しくは、マスターの令呪を無効化し、強制的にマスターとしての資格を失わせることが必要となる。

 

そして、今回は第四回目。第四次聖杯戦争が始まろうとしていた。

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)。 繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する。―――――Anfang、――――――告げる、――――告げる。」

 

此処は御三家と名高い"間桐"の家。今回のマスターに()()()()()間桐雁夜は自身の契約するサーヴァントを召喚する為、儀式を続ける。しかし、この儀式は彼自身が快く請け負った事ではない。人質…好いていた幼馴染の娘の命を救う為の事。この数時間前もやけ酒を行い未だ口臭は()の臭いが混じっていた。

 

「――――されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――。 汝三大の言霊を纏う七天、 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

今此処に歴史に名を遺す英霊を呼び出す儀式が整った。

 

が、

 

そこへ現れたのは―――

 

「何か酒の臭いがしたから来たんじゃが。ひっく。…酒はどこかのぅ?」

 

腰の曲がった一人の酔いどれの老人だった。それも、白髪リーゼントの。

 

「………雁夜、お前の魔術の資質は兄の鶴野を超えていたんじゃが…外の世界で此処まで落ちていたとは…()()話は無しじゃ。冥土の土産に儂の魔術で死ぬがいい。」

「…ま、待ってくれ!桜ちゃん、桜ちゃんだけは!!」

「五月蠅い!死ね!!「うぃ~、ちぃっと黙っとてくれんか?()よ」…ウグッ!?」

 

間桐の当主、臓硯は雁夜の不甲斐ない有様に落胆し即殺めようとしが、突然臓硯は動かなくなってしまった。

 

「さて、五月蠅い()は黙らせた。お主、」

「…な、何が…どうなって…」

「なに、軽く()()()()()しただけじゃ。ちと聞きたいんじゃが、お主―」

 

そして、雁夜が呼び出したであろう老人は『()を持っていないか?』そう聞いて来た。それを聞き老人を呆然と見ていた雁夜は、すぐさま我に返り、

 

「…さ、」

「ん?〝さ〟とは何じゃ?」

「…桜ちゃんを!…ゴフ!!こ、この屋敷の、地下に幽閉…されている、桜ちゃんを救ってくれ!!」

 

そう懇願した。自身が召喚しただろう目の前の老人は、どうやったかは分からないが臓硯の動きを封じた。藁にも縋る思いで雁夜はその老人へそう言ったのだ。

 

「…任せろ。」

「…た、頼んだ…」

 

その言葉を後に、雁夜の意識は遠のいていった。

 

 

 

■□■□

 

 

 

「…う、く…」

 

俺は、まだ生きてるのか?

 

「…お目覚めかな?」

「あ、アンタは―」

 

このファンキーな爺さんは…俺が召喚したサーヴァント!?

 

「臓硯は!?桜ちゃんは!?」

「これこれ、そう慌てるでない。桜と云う娘子は…ほれ、そこじゃ。」

 

そこって、俺が寝ている隣?…ああ、疲れて寝ちゃったのか。

 

「…良かった、桜ちゃんが無事で。」

「それと、あの()は駆除しておいたぞ。この屋敷中にいたからの。」

 

そうか、そうか。この爺さん、屋敷中の虫を駆除してくれたんだな。有り難い事だ。

 

ん?屋敷の虫って?…あれ?

 

む、虫ぃー!?

 

「お、おい爺さん!蟲ってあの庭に居た老人の姿をした()()か!?」

「そうじゃが、それがどうした?それに、お主の体の中に居た蟲も駆除しておいたぞ。(ちと、()()した部分もあるがの。)」

 

お、俺の体の中に居た蟲も!?ま、魔力回路は…問題ない。と云うより前より調子が良いだと!?一応パスが繋がっているようだが…この爺さんどんな英霊なんだ?

 

「お、俺の名前は間桐雁夜。爺さんアンタは?」

「儂の名は()()。早速だが、」

「ああ、聖杯戦争の事だ「いやいや違う。」…ん?」

「儂に()をくれんかの。さっきから手が震えて…」

 

って、酒がきれてふるえてるよこの爺さん!?仕方がない、酒なら此処の蔵にいくらかあったハズ。

 

 

 

 

 

「で、爺さん。アンタには感謝してもしきれない「お爺ちゃんありがとう!!」…桜ちゃんも蟲に襲われずにすんだしな。で、聖杯戦争なんだが、俺はアンタの望みを全力で叶えるようサポートをする。」

「ん?儂の望み?もう叶えられとるわ。この()()()()を飲むと云う望みがな。」

 

ん?

 

「えぇっと、望みは、叶ったのか?」

「ああそうじゃ。」

 

んん?

 

「な、名のある英霊と見るが、アンタはそれでいいのか?」

「違う違う。儂は英霊ではない、()()じゃ。それに、儂にとって酒は命。まぁ、死んでしまっているが、こうして様々な世界を回り酒を楽しんでいるしの。」

 

え、英霊じゃない…だと!?

 

「じゃ、じゃあ、聖杯戦争に付いては!?」

「な~んも知らん。ちょっと遠出をしながら漂っていたら、こっちから酒の臭いがしての。変な黒塗りの騎士が通路を遮断して、邪魔じゃったからそいつをノッキングしてこっちに来たわい。」

 

く、黒塗りの騎士?…それ、俺が召喚しようとしたバーサーカーの英霊じゃね!?

 

「…そ、それは壮絶な戦いで?」

「いや、数秒じゃ。全然強くは無かったからのう。」

 

あ、空いた口が塞がらない!!

 

「ま、酒を貰った()があるからの。その、聖杯なんちゃらの手伝いぐらいするぞい。」

 

俺はこの日、目の前の次郎と名乗る老人に桜ちゃんを助けてもらい。

 

「か、顔が元に戻ってる!?」

 

未知の技術で体を治療され以前の…いや、以前より体調が良くなり。

 

「さて、お主の要望じゃ。すこ~し鍛えてやるぞ。」

「よ、よろしくお願いします!!」

 

そして、一人でも桜ちゃんを守れるよう鍛えて貰った。フフフ、何度臨死体験をしたか覚えていない。それに、何故か食欲が増えて身体能力が上がった気がするんだが、気のせいだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タンカーのコンテナ並ぶ倉庫街で恐らくセイバーとランサーの二人が対峙している。それを俺は双眼鏡で眺めていた。

 

「…今は出ていかないほうがいいみたいだな。」

<バリ!!>

「ッ!?何だ!!」

 

だが、突然稲妻と共に1台のチャリオットが空から降り立った。決闘に横槍か。

 

『双方、剣を収めよ!王の前であるぞ!!』

 

チャリオットには一人の大男と少年が乗っていた。可愛そうに、無理やり連れて来られたのか少年は涙目だった。

 

『我が名は征服王イスカンダル!!此度の聖杯戦争においてはライダーのクラスを得て現界した!!』

 

そして、何処に誰がいるかも分からないのに大声で真名とクラスを叫んだ。自身の真名やクラスは情報を隠ぺいする為バレないようにするのが普通だが、彼のイスカンダルはそれを自身が言い放った。昔の武将みたいな英霊だな。そして、あろう事かセイバーとランサーを自身の配下にならないかと話だしたぞ!?ま、当然二人はその申し出を断ったけどな。突然真剣勝負を中断させられたし、他にも要因はあるだろうが、当然と言えば当然の結果。

で、次には自身を〝王〟と言ったライダーに怒りを覚えたサーバント、恐らくアーチャーの登場により話はややこしくなってきていた。

 

『…おい、そこでこそこそ隠れている雑種。とっとと出てきたらどうだ?』

 

やべ、見つかっちまった。

 

「…どうしよう。」

「儂一人で行く。ちいっと、挨拶してくるわ。」

「済まない次郎さん。」

 

この日から第四次聖杯戦争が…いや、聖杯戦争自体が終わりに近づいたと俺は感じた。

 

 

 

■□■□

 

 

 

彼は千鳥足で現れた。

 

「アイリスフィール、下がって。」

「クッ、バーサーカー…か?」

「むぅ、これは…」

「お、おい!酔ってる爺さんが侵入して来たじゃないか!!」

 

片手に酒瓶、腰は曲がっており白髪リーゼントという井出達。

 

「…フン、我が試してやろう。」

 

アーチャーが突然老人へ向け、街灯の上から4つ宝具を射出した。老人は微動だにせず、宝具が直撃した影響か土煙が老人を中心に広がっていった。

 

「な、何やってんだ!相手は一般人だぞ!!」

「たわけ!こんな時間、こんな場所に老人が入って来るものか!…ッ!?か、体が動かん!!」

 

ウェイバーの声に反論するアーチャーだったが、突如土煙の中から何かがアーチャーに命中した。

 

「奴は本当に只の老人か!?」

「え!?」

「坊主には見えなかったか。奴め、飛んできた宝具を全て()()で止め、その反撃に小さい器具から何か射出しアーチャーめに命中させおった。」

「そ、そんな事…あ、あの老人一般人じゃない!!」

「そう言っているだろう。何故そこまで驚く?」

「え、英霊みたいなパラメーターが見える!!ク、クラスは…ってええ!?」

 

ライダーのマスターであるウェイバー・ベルベットが魔術師の能力で見えた物をライダーに伝えた。

 

名前:ノッキングマスター次郎

フルコースメニュー

オードブル(前菜):百葉のクローバー

スープ:コンソメマグマ

魚料理:王陸鮫

肉料理:アシュラサウルス

メイン(主菜):ET米

サラダ:グラナレタス

デザート:オアシスメロン

ドリンク:ドッハムの湧き酒

 

「…何だそれは?」

「な、何だって言われても、そうなっているとしか言えないんだ!!」

 

普通分かるものはサーヴァントのクラス、筋力、耐久、敏捷、魔力、幸運で稀に宝具の一部が分かる程度だ。なのに、分かるのは名前と何故かフルコースのメニューだった。

 

「…済まんが、少し静かにしてもらえんかの。せっかくの月見酒が台無しじゃ。」

 

その言葉を発した後、その老人はいつの間にか消えていた。

 

「な、何だったんだ!?」

「分からん。だが、只者ではない事だけは分かったな。」

 

そして、動けるようになったアーチャーを筆頭に皆それぞれの拠点へ戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何故、何故ですジャンヌ!!」

「私はジャンヌではないと言っているだろう!!」

 

彼の老人は圧倒的だった。

 

「ん?何じゃこいつ等?ノッキング。」

 

キャスターが召喚した数多の魔獣も数秒で動きを止める謎の技術。

 

「オウ、爺さん。駆けつけ、一杯。」

「魂に染みる味わい。」

 

聖杯問答中ライダーやアーチャーが持っていた全ての酒を飲みほす程の大酒豪。

 

「切嗣!やめろー!!」

「令呪を持って命ずる!セイバー〝聖杯〟を破壊しろ!!」

 

破壊され聖杯から溢れ出した液状のアンリマユ相手に、その老人は落ち着いていた。

 

「あれ程忠告したのに、中身を出してしもうたか。…さて、あれはちと厄介じゃの。少し酒を断つか。」

「次郎さん大丈夫なんですか!?」

「あれぐらいなら、問題ない。ノッキングライフル、ハードタイプじゃ。」

 

酒を断つと雁夜へ発した直後、両手に小さな器具を持ち眼ではとらえられない速度で何かを射出。

 

「動きを止めたが後の処理が面倒じゃし、ふっ飛ばすか『ビッグバン』!!」

 

いつの間にか黒髪で筋肉隆々の男に若返っていた次郎のパンチで、アンリマユは()()へと打ち上げられその途中で消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「桜ちゃんただいま。」

「お帰り、お義父さん。」

 

第四次聖杯戦争が終わり、数カ月が経った。雁夜はルポライターの情報収集が終わり、今日数日ぶりに帰って来たのだ。

 

「あれ?次郎さんは?」

「次郎お爺様なら、この世界の酒を楽しむんだって出て行ったちゃった。」

「ハァ、まぁ仕方ないな。いつ帰って来ても大丈夫なように部屋は綺麗にしておこうな。」

「うん!…あ!次郎お爺様に良い物貰ったよ!」

「へぇ、どんなものだい?」

「へへへ、次郎お爺様のフルコースだって!!」

 

桜は雁夜の養子になり、あの忌々しい間桐の屋敷を出て次郎を含め三人で暮らしている。少しさびれた古民家だったが、普通に暮らすには問題なかった。

 

「…い、生きているのかい?」

「そうだよ。でも、()()()()()は私達に合わせてるって!」

「こ、これも修行か…」

 

雁夜と桜の二人は聖杯戦争中、次郎に戦い方を教わっていた。そのお陰か、大体捕獲レベル100ぐらいなら二人とも苦なく倒せるようになっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は様々な場所を旅している。

 

「フム、かるであ?何じゃそれ?」

 

別の宇宙でノッキングと云う技術を極めた男。

 

「人類が滅亡してしまっては…酒が飲めんからの。儂にとって酒は命。ま、今は死んで()()じゃがな。」

 

酒を愛し家族を愛した男。

 

「あ奴がソロモンか。久々に『ニ狼』と云う名を思い出してみるかの。」

 

特徴はその頭にあるリーゼント。

 

「周りの奴も邪魔じゃ。『グランドノッキング!!』」

 

彼の力の前に、あのギルガメッシュやヘラクレスでも全く敵わなかった。

 

『ミリオンノッキング!!』

 

彼は未知の〝酒〟を求めこの世界を旅する。

 

「そろそろ雁夜君と桜君の元へ帰ってみるかの。」

 

偶に拠点に帰る時もあった。

 

「あ!次郎お爺様おかえりなさい!!」

「おお、桜君か。大きくなったの。」

「次郎さん!貴方がフルコースに設定した捕獲レベルですが、弱くなってるって言ってもあれは無いでしょう!!」

「そうか?」

 

彼の名前はノッキングマスター次郎。ファンキーな格好の老人である。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。