そのうち設定変えます。
氷川家と日高家は隣同士って設定ですけど、あとあとのストーリー構成にちょっと影響でそうなので
「お疲れ様でした」
「ご苦労様タクミ君。今からみんなでラーメン食べに行くんだけど、どうかな?」
「すいません、俺今日はパスで」
「そっか、じゃあ今日はご苦労様。バイト代はいつもの口座に振り込んでるから」
「分かりました。じゃあ、お疲れ様でしたー!」
バイトの引越しの仕事を終えて、会社の方に挨拶して出る。
この会社はシャワー付きで助かる。
汗だくで帰るなんてまっぴらごめんだし、何より夏休み期間中はジムの時間以外空いてるのでバイトで多く稼げるし家に居なくて済むというのは大きかった。
バックパックを背負い直し、商店街に向かう揚げたてのコロッケの香りがしていて、食欲を誘う。
今日は夜出なくてはならないから軽く摘んでからでも良いだろうと思い財布の中身を確認していると荷物を抱える集団の姿が見えた。
靴紐を固く結び直して走り出した。
×××
「どうも皆さんお疲れ様です。それとなんでドラムセット一式運んでるんですか?」
「あ、タクミじゃん!バイト帰り?」
「ああ、どうも今井先輩!引越しのバイトしてたんですよ。時給の良さとシャワー付きで筋トレにもなるから結構良いんですよね。それで、どうしてみんな揃ってドラム運んでるんですか?」
「ドラム組は自分達の使うことになったから各自で運ぶことになったんだけど、流石にライブ近くてな。分担して運ばないとさすがに無理があるんだよ」
そう笑いながら巴は話してるがどうみても巴とひまりとあこちゃんと今井先輩だけで運ぶには大変だろう。
「夜から予定あるからそれまでなら空いてるけど手伝おうか?大変だろこの人数で運ぶのは」
「お、いいのか?助かるぜ」
「まあ、世話になりっぱなしだからこういう時にでも恩返しはするさ。
あこちゃんそれ俺が持つよ」
「あ、ありがとうございます」
受け取ると、あこちゃんは巴の後ろに隠れた。
まあ、悪名高い奴を目の前にしてるのだから仕方ないではあるが傷つくものは仕方ないだろう。
「コラ、あこ持って貰ったのにそれはないだろ」
「巴いいんだよ、別に気にしてないしぶっちゃけ仕方ないよ」
抱えた荷物を持って先に行こうとするが、足を止めた。
「それでこれ、どこ持ってけばいいの?」
その場は笑いに包まれたが、なんとも言えない俺の気持ちをどうすればいいのか分からなくなかった。
×××
「笑ったことは悪かったからさそんな拗ねるなよー」
「俺親切心から手伝おうと思ったのにさーそうやって笑われたら萎えるっての」
「まあ、仕方ないよ。circleの場所知らないもんねー」
「でも、あんなにカッコつけておきながら荷物運ぶ場所わからないってのは締まらないよねー」
せっかくの今井先輩のフォローをひまりの一言が打ち消す。
別にカッコつけたかった訳ではなかったけど、地味に傷付く。
「みんなおかえりーあ、タクミ君に手伝って貰ってたんだね」
「なあつぐー聞いてくれよ。俺せっかく手伝おうと」
したのにと言い終わらない内に言葉を切る。
ああそうだ今井先輩やAfterglowが揃ってるってことはあの二人もいるのは当たり前だった。
笑ってる日菜さんと顔に影が差した紗夜さんを見て少しだけ胃が痛くなる。
「え、タクミ君どうかしたの?」
「ああ、いやなんでもないよ。少し気になったことがあっただけだからそれで、このドラムはどこに運べばいいの?」
「えっと、それはあっちに運んでおいて!それと、降ろす時は気をつけてね」
ドラムセットを下ろして組み立て始める。
巴が手早く組み立てていくなか、俺の手は止まり二人の様子を伺う。
それを見兼ねた巴が声をかける。
「そんなに気になるなら声掛けたらどうだ?」
「いや、俺嫌われてるだろうし、
言い訳を口に出すとそれを遮るように巴は言った。
「あーもう、うだうだ言ってないで早く行ってこいよ!骨は拾ってやるから」
「・・・うだうだって宇田川だけにか?」
そう言うと、ケツを蹴られた。
我ながら最悪なジョークで怒られたので次にでもつぐの家のケーキの一つでも奢ろうと考えながら二人の元に向かう。
何時頃からか仲良かった筈の二人の間にも溝が出来た。
かつてのカストルとポルックスは今では頼朝と義経のような状態かという皮肉が頭を走る。別に頼朝と義経は双子ではないけれどどれをとっても争いで兄弟の片方は死んでるのを思い出して自分の思考に嫌気が差した。
すると、前で困ったような表情で二人を見つめる見知った顔を見つけた。
「大和先輩どうかしたんですか?」
「え、日高さんどうしてここにいるんですか?」
「俺Afterglowとは知り合いなんでその手伝いでドラム運びにきただけですよ。それより、日菜さんと紗夜さんに用があるなら声掛けたらどうですか?」
二人に声を掛ける勇気が出ないので大和先輩に行かせようなんて悪い考えが浮かび、促す。
「いえ、用があるのは日菜さんなんですけど姉妹同士でお話ししてるようですので終わってからにしようと思いまして」
ああ、残念なことに作戦はどうやら失敗に終わったらしい。
大和先輩が声を掛けないなら自分で行くしかないのだろう。
ちょうど大和先輩が呼んでいるという要件があれば二人の会話も少しだけ途切れるだろう。
「俺が呼んできますよ。あの二人とは一応従姉妹同士なんで」
「え、そうだったんですか?なら、お願いしますね」
そう言って、戻って行く大和先輩を見送り改めて勇気を振り絞る。
試合以上に緊張してしまうのはやはりあの二人に対して負い目を感じているからなのかもしれない。
心臓の高鳴りを抑えながら二人に声を掛けた。
「でね、彩ちゃんがとってもるんってしたんだー」
「そう。・・・丸山さんに迷惑をかけないようにね」
「あの、日菜さん。大和先輩が用があるから来て欲しいって言ってましたよ」
「あ、タクミも来てたんだー。麻耶ちゃんが呼んでるならアタシ行かないとお姉ちゃんタクミまた後でねー」
そう言って、大和さんの元へ向かう日菜さんを見送る。
「・・・」
「・・・」
二人っきりとなり会話が止まり間があく。
先程とは別で今度は胸にチクリとした痛みを感じ始めた。
「「あのっ」」
「紗夜さんからどうぞ」
「あなたこそ」
「「・・・」」
間に耐え切れなくなり、声を掛けようとすると被ってしまい互いに譲り合うがやがて紗夜さんが小声で話し始めた。
「・・・ありがとう。日菜と私のこと見兼ねて声を掛けてくれたのでしょう」
「まあ、俺は人の考え読むの得意なのでこれぐらい当然ですよ」
「そう」
「「・・・」」
また、二人の間に沈黙が広がる。
なんとも言えない空気感が少しだけ嫌になる。
「この前の話なんだけど、いいかしら?」
「あー外行きませんか?バイト終わったばかりなんで喉渇いちゃいまして」
左耳の塞がったピアスの穴を弄りながらそう言った。
この前の話という、今井先輩たちをナンパから助けたときの話だろう。
外に誘ったのは緊張して乾燥した口内が水分を求めているし、なにより少しだけ心を落ち着かせたかったから。
「紗夜行ってきなよ。さっきから休憩してなかったんでしょ」
「じゃあ、少しだけ休憩をもらいますね。後のことはお願いします今井さん」
そう言って、外に向かう紗夜さんの後を追うように外に向かった。
×××
「ホットコーヒーとブレンドティーが1点ずつお会計は以上でよろしいでしょうか?」
「大丈夫です」
「以上で490円になります」
そう言われて、財布から千円札をカルトンに置いて小銭を探す。
「自分の分くらい自分で払うから」
「気にしないで下さい。俺今日バイト代入ったのでドリンク代くらい持ちますよ」
そう言って、残りの90円を紗夜さんがお金を出す前にカルトンに置いた。
お釣りとドリンクを受け取り財布をポケットに仕舞い込んだ。
「それで、話ってなんでしたっけ?」
「・・・今井さんと湊さんを助けてくれた話です。あの時は一方的に話も聞かず喧嘩をしてなんて怒鳴ってすいませんでした」
頭をテーブルにぶつけそうな勢いで下げる紗夜さんに驚きながら熱々のブレンドティーを一口流し込む。
それだけで乾いた口内は潤い少しだけいつもの調子に戻ってきた気がした。
「そんなことだったら謝らなくて良いですよ。俺全然気にしてないですから」
「けど、私の勘違いで一方的に怒鳴っておきながら謝らないのは私の気がすまないから」
「嫌味みたいに聞こえちゃうかもしれないですけど、あの後今井先輩か湊先輩から訳を聞いたんですよね?」
「ええ、聞きました。喧嘩どころか暴力も振るってなかったと」
「・・・俺ボクシング始めてからは喧嘩はしなくなったんですよ。そんなことしてたらジムに迷惑かけちゃいますから。まあ、それ以前に俺に立ち向かう奴が居なくなって喧嘩にならなくなったってのが正しいのかもしれないですけど」
ボクシングを始めた当初なんてあのベビーフェイスデビルがボクシングを始めたらしいという話でもちきりだったし、元の強さと人間関係も相まってか喧嘩の対象として見られることも無くなっていた。
「紗夜さんは前にボクシングのこと野蛮なスポーツだなんて言ってましたよね。まあ、世間体からみても野蛮に見えるのは否定しませんが俺はそれに自分の存在価値をすべて賭けてるんですよ」
将来の夢どころかやりたいことすらない俺にとってみればいつだって紗夜さんと日菜さんの二人は眩しくて仕方なかった。
そんな二人は周りからも頭一つ飛び抜けてたし、それが原因で色々あったからこそ自分ぐらいはそんな二人の横に並び立てるようになりたくてボクシングを今は頑張っている。
そんな言葉は決して口にすることは出来なかった。
日菜さんのことを紗夜さんは負い目に感じているからそんな事を言えば嫌な思いをさせるのは目に見えている。
「大袈裟に聞こえるかもしれないけど、俺にとってみればそんな野蛮なスポーツに全てを賭けてるんです」
「・・・」
沈黙が流れてまた、間があく。
熱々だったブレンドティーも冷えて飲みやすい温度になっていて居心地が悪くなりそれを飲み干した。
「あなたがそこまで言うのなら私もきちんと応援しないといけないのかもしれないけど、・・・私にはそんな資格ないんでしょうね」
「え?」
「・・・嫌なことがあると左耳のピアスの穴を弄る癖があるからね」
「・・・そう・・・ですね。出ちゃってました?」
「ええ、私がこの前の話を持ち出した時に無意識にね。あなたはやはり口うるさい私のことを・・・嫌ってるのでしょ。散々当たって、散々傷つけてきたし、ドラムのことだって!」
そう言い切らない内にすぐに否定した。
「それは違います!・・・俺は紗夜さんのことを嫌ってなんかいないです。ただ、・・・怖いんですよ。大事なものほど壊れやすいから今の関係もいつかは壊れるんじゃないかって、いつかは昔みたいに周りから誰も居なくなるんじゃないかって」
そう苦笑しながら、空のカップを片手に席を立ち上がる。
「改まって話されたりすると、距離感じるんです,俺どう頑張っても友達出来ないし、人に好かれないんで紗夜さんと日菜さんにそんな風に距離置かれたらさすがにショックで3日は寝込んでる自信すらありますからね」
「・・・それぐらいで3日寝込むって言い過ぎじゃないかしら?」
「とにかく俺はそれくらい紗夜さんと日菜さんが大好きだってことなんですよ!・・・ああ、恥ずかしいですね改めてこんなこと言うのも」
火照った顔を冷やすように顔を手で煽ぐ。
恥ずかしい思いが込み上げてくるのを誤魔化すように空のカップを投げると放物線を描きながらゴミ箱に綺麗に入った。
「じゃあ、俺は先に戻りますね。流石に手伝うって言った手前ゆっくりはしてられないんで」
そう言って、先にライブハウスに向かって歩きだしながら、胸元のネックレスを強く握り締める。
これはまだ、紗夜さんと日菜さんの2人の仲が良かった頃に貰った誕生日プレゼントで、それは自分にとってかけがえのない宝物だった。
そして、そのネックレスに再度決意を込める。
「俺は絶対2人がきちんと向き合えるように頑張るから」
つよぽんぽん様 ☆8評価ありがとうございます。
感想評価お待ちしております。
アドバイスはとっても欲しいです!
あと、出来たらこの話の中で一番どの話が好きだったとか教えて欲しいです。
少女☆歌劇レヴュースタァライトのラ・レヴュー・エターナルの収録曲めっちゃ良いですね。3rdライブ行きたかったけど、行けなかったので曲だけでも聴いて気分に浸りながら3rdライブ振り返り放送を楽しんでました。
夢大路姉妹とクロディーヌのゼウスの仲裁のあいあいさんのポン酢の所とか他にも色々観たいのでブルーレイ購入を検討中です。