彼女達が笑うために   作:怠さの塊

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マジで久々の投稿です。
ぶっちゃけ書いては消してこれじゃないあれじゃないを続けてやっと投稿しました。
マジで物語を考える人って凄いなって感じです。


14話

「焼きそば上がった。これ1番ね」

 

「3番は焼きそば二つと焼き鳥。会計終わらしてるから出来上がったら渡してくれ」

 

「2番のお客様のホットドックはオッケーだぞ。焼きそばまだか?」

 

夕方過ぎてから急に混み始める屋台にジムの先輩方と出店を開いているが流石は祭りだな。

ひっきりなしに客が来るし、周りを見渡せば人混みしかない。

 

「4番焼きそば1つなー。飲み物はビールで」

 

「悪い誰か手が空いたらクーラーボックスに氷足してくれ!」

 

忙しいのは良いことだが、どうにもこれは忙し過ぎると思う。

大型テントの中にはジムのメンバーが勢揃いで、それぞれの作業に入っている。

何というか筋肉だらけでむさ苦しくて敵わない。

 

「うわ、まだ来るかよ。めんどくせぇ」

 

「ホラ、文句言わずに手を動かせよタクミ」

 

「藤谷先輩はドリンク担当だから良いですけど、俺なんて焼きそば担当ですよ。こんだけ、焼きそばばっかり作ったらそろそろめんどくさくなりますよ」

 

売り上げの殆どがジムの備品代に回るとはいえ、6時間以上焼きそば作り続ける身にもなって欲しい。

熱い鉄板とむさ苦しくてたまらないテントのダブルセットでとんでもない地獄だと思う。

 

「てか、俺そろそろ上がりますね。着替えたいし、花火も観に行く約束あるんで」

 

「チクショーいいなぁー。俺なんて、デートに誘おうもんなら花火の時間終わるまでシフトぶち込まれたからなお義父さんに」

 

「だれがお義父さんだ。テメーみたいなの息子にした覚えもねぇし、娘もくれてやるつもりはないぞ」

 

藤谷先輩の失言を聞きつけて、お義父さんもといコーチの宮村さんがやってきた。

その顔には、青筋が立ち今にも殴りかからん気迫を出している。

相変わらずの娘さんの溺愛っぷりには笑うしかない。

 

「まあ、コーチもデートくらいいいじゃないですか。せっかくの花火なんですし、娘さんが楽しめないのは損じゃないですか?」

 

「そうですよお義父さんじゃなくて宮村コーチ。俺は別にやましいことをするつもりはなくて、娘さんと清く正しいお付き合いをしているだけですって」

 

「清く正しいお付き合いって、大会期間中に隠れてキスすることでしたっけ?」

 

「馬鹿タクミお前なんでそれ知って・・・てか、なんてタイミングで言いやがるんだよ!」

 

「おっと、いけないこんな時間だー。じゃあ、俺上がりますおつかれしたー」

 

「棒読みで何言ってんだよ馬鹿。逃げるな戻って来いてか、助けて!」

 

コーチに捕まれ、人目の付かない場所に連れてかれる先輩を横目に服を着替え荷物を持って待ち合わせ場所に向かう。

流石に祭りだけあって人混みが多いため少し遅れるというメッセージを送り笑顔を浮かべる人々の横をすり抜けて行った。

 

×××

 

「悪い、予想以上に遅れた」

 

「もう、遅いよタクミ。花火まであと、10分くらいしかないよ」

 

「仕事お疲れ様。相変わらずの大繁盛だったな」

 

差し出されたペットボトルを受け取りガブ飲みして、喉を潤す。

辺りにはカップルや家族連れが何組かいた。

隠れスポットのはずだったんだけど、先客が居るのは仕方ない事だ。

 

「お疲れー。これ屋台のだけど後で食べてね?」

 

「どうもありがとうございます今井先輩。流石に賄いだけだとお腹空くので助かります」

 

Afterglowのメンバーで祭りを回っているときに、Roseliaのメンバーと会ったらしく一緒に花火を観ることになるとメッセージが送られていた。

Roseliaも揃って花火を観るのかと思ったが、あこちゃんや今井先輩主体で誘ったなら納得出来た。

 

「それにしても花火観るだけなのに荷物多くないか?バックにクーラーボックスって」

 

「まあ、あれだ………思い出作りだよ。夏休みの思い出の一つでも作っとこうと思ってな」

 

「せめて、屋台の袋くらいは持つから」

 

「ありがとう巴助かるよ」

 

荷物を少し持って貰うといくらか動きやすくなった。

 

「じゃあ、行きますか?」

 

RoseliaとAfterglowの面々に一言声を掛けるとそれぞれが頷いて応える。

 

×××

 

少し歩いた先のスペースにて立ち止まり鞄からライトを出して足元を照らし、辺りを確認する。

 

「ここでいいかな悪い巴。その鞄にブルーシート入ってるから取ってくれ」

 

「ブルーシートだな。ホラ」

 

「ありがとう・・・ってあれ?」

 

「貸しなさいタクミ私が広げるから」

 

「ありがとうございます紗夜さん」

 

受け取ったブルーシートを広げようとするクーラーボックスが邪魔をして上手く広げられないのを見てか紗夜さんが手を貸してくれた。

そして、広げたブルーシートに飛ばないように重り代わりにクーラーボックスを置いて固定し、蚊取り線香に火をつけてそばに置いた。

 

「じゃあ、こんなもんかな。皆な座っていいよ流石に立って花火観るのもしんどいし、後クーラーボックスの中に飲み物とかアイスとかぶち込んでるから好きなのどうぞ」

 

クーラーボックスをライトで照らしながらそう言うと、それぞれが飲み物を取っていく。

 

「あこちゃんはどれにする?」

 

「我は暗黒に染まりし、口の中で弾ける・・・コーラが良いかな」

 

「蘭アタシもコーラが良いな〜」

 

「モカ自分で取りなよ」

 

「え〜蘭のケチ〜」

 

「友希那と紗夜はどれにする?」

 

「私はお茶でいいわ」

 

「私もそうね………お茶でいいわリサ」

 

「了解」

 

「タクミは何飲むんだ?」

 

「ジンジャーエールあるからそれ取って」

 

近くのベンチに座り、屋台の食べ物を広げているとジンジャーエールを手渡される。

焼き鳥に、焼きそばに焼きとうもろこし屋台の定番と言ったらこの辺りだろうというのが並び食欲を刺激する。

 

「そういえば、今井先輩これいくらでした?後で出すんで教えてほしいんですが」

 

「ああ良いよ気にしないで。私達だって飲み物貰ってるし、それにお礼なら紗夜に言ってあげてよ。買うの提案したのは紗夜だから」

 

紗夜さんの方を見ると顔を赤くして、そっぽを向く。

耳まで赤くしているその姿をみて笑みが溢れた。

 

「別に私は何もしてません!ただ、お腹が空いては大変だろうと思っただけです」

 

「そうでしたか・・・ありがとうございます。ちょうどお腹も空いていたので」

 

お礼を言った後に食べ始める。

疲れた身体に濃い味が染み込み、強炭酸の飲み物も喉に流し込むと喉に刺激が走る。

 

「ねぇ、タクミ」

 

「なんですか?紗夜さ「ドーン」

 

言いかけた言葉が花火の大きな音に掻き消された。

様々な色や大きさの花火が空へと打ち上がり、あたりを照らす。

何分ぐらい経っただろうか。

ふと、周りを見渡せば各人それぞれが空に上がる大輪の花に目を輝かせている。

隣に座る紗夜さんに目を向けても同じような目をしている。

 

「・・・綺麗ね」

 

「そうですね・・・でも、花火より紗夜さんの方が綺麗ですよ」

 

いつになく臭い台詞を吐けばタイミングよく花火が止まった。

ちょうど休憩を挟む時間だったのだろう。

慌ててこっちを見た紗夜さんの顔には赤みが刺しており、口をあけている。

 

「お姉ちゃん何も聞こえないよー」

 

「いいからあこにはまだ早い!」

 

この姉はまるで人を教育に悪いとばかりに扱いをしやがると溜息をついた。

 

「何を言ってるの?」

 

「素直に感想を述べただけですよ・・・綺麗だと思ったからそう言ったただそれだけです。いつもの紗夜だって綺麗だけど、浴衣姿だと違った綺麗さがあるなって」

 

そう言い切ると、何も言い返せなくなってか落ち着きがなくなり髪を弄り始めた。

なんと言うかわかりやすい人だと思う。

 

「ヒューヒューアツアツだね〜」

 

「紗夜も赤くなって可愛いなー」

 

「今井さんも青葉さんも揶揄わないで下さい!」

 

そんなことを考える俺を他所にモカが揶揄い始め、今井先輩もそれに乗っかる。

それに赤くなった紗夜さんが言い返している最中にまた花火が打ち上がり始めた。

それにより、話が中断されみんなが打ち上がった花火を見上げる。

 

 

「そういえばお姉ちゃんなんで花火って色々な色になるの?」

 

「えっと・・・・・それはだなー」

 

あこちゃんの質問に首を傾げる巴を見て呆れてしまう。

 

「巴さーお前科学基礎の授業聞いてただろ?・・・・炎色反応」

 

「ああーそれだ!いいかーあこ。花火ってのは中に色んな種類の金属が含まれてるんだ。その金属が燃えた時の色が確か花火の色になるんだ」

 

一応は授業内容を覚えていたことに安堵する。

巴は基本的に学力は優秀だが苦手分野に置いてはなんとも言えないので心配ではあったがこれなら休み明けのテストも大丈夫だろう。

 

「へぇーじゃあ、あの赤色の花火には何が入ってるの?」

 

「えーっとそれはだなー?」

 

再度思い出そうする巴とは別に他の幼馴染の方に目を向けると目を逸らす蘭とひまりを軽く睨みつつ口を挟んだ。

 

「リチウムが含まれてるんだよ。あと、花火の色についてだが・・・正確にはその花火の中の金属が燃焼した時に出るエネルギーが光に変わって花火に色が出る。そして、花火の中に含まれる金属の種類によって色が変わってくるから沢山の色の花火が見られるんだよ」

 

空に浮かぶ花火を指差しながらあこちゃんにもわかりやすい説明をしようと思いながら話す。

 

「ほら、例えばあの青い花火にはガリウム、黄色の花火ならナトリウムみたいな感じで花火にはいくつかの種類の金属が含まれるから花火は綺麗な色で見えるってわけだ」

 

「うわぁータクミさんってドラムとかもそうですけど、教えるの上手くて先生みたいですね!」

 

「そりゃあどうも・・・まあ、詳しい内容は来年にでも習うからその時にで先生に聞きな」

 

ちょうど花火が終わり片付けをしながら話を切り上げた。

蚊取り線香の火を消して、後始末に取り掛かるとみんながそれぞれ率先して手伝ってくれた。

 

 

×××

 

「それじゃあ、こんなものですかね。手伝ってくれてありがとうございます」

 

「いいよいいよ、気にしないで飲み物とかまで用意してもらってるのはこっちの方なんだからさ」

 

「いや〜それにしても今日は楽しかったですな〜」

 

「モカってば、ずっと屋台で買ったものばっかり食べてたじゃん!」

 

「え〜ひーちゃんだってそうだったでしょ〜」

 

「いやーそれにしても和太鼓も盛り上がってたし今日は本当楽しかったよな!」

 

「あこもRoseliaのみんなとこれて超超楽しかった!ねぇ、りんりん?」

 

「そう・・・だねあこちゃん、普段は祭りとか・・・あんまり行かないから・・・とっても・・・新鮮だったかな?」

 

「お、燐子も楽しかった!ねぇねぇ、友希那と紗夜はどうだったどうだった?」

 

「どうと言われても」

 

「ただ、綺麗だったとしか良いようがないのではないですか?」

 

「もう、違うじゃんさー楽しかったって聞いてるんだよー」

 

そう言うリサ先輩の顔を見て友希那先輩が考えこむ動作をした。

 

「ええ、そうね。なんというかこうやってみんなで過ごす時間も悪くないものね。・・・・・でも遊んでる暇はないわ。私達にはやるべき事があるのだから」

 

「ええ、湊さんの言う通りです。今井さんも白金さんも宇田川さんも明日からはまた集中して練習に臨みましょう」

 

「まあ、息抜きくらいになったら俺としても良かったですかね。皆さんバンド練習以外でも忙しいと思うので・・・じゃあ、そろそろお開きにしましょう。親御さんもあまり遅いと心配するでしょうし」

 

 

×××

 

「別にわざわざ家まで着いて来なくてもいいのよ」

 

「・・・いや、だからって一人で帰す訳にも行かないですよ。他のみんなは迎えが来てたから良いですけど」

 

「だからってあなたの家とは逆方向なのよ。それに荷物だって今日は多いんだし」

 

「・・・・・本音言えばもう少し二人で居たいんですよ。紗夜さんの浴衣姿本当綺麗だし・・・・その・・・・ああ、もうらしくない!好きな人と少しでも長く一緒に居たいんです!」

 

「・・・・そう。」

 

夜の暗さのせいか表情が確認出来ないし声色からは何も察しきれない。

そうして歩いていると、ふと止まり口を開いた。

 

「私はきっと沢山助けられて支えられてきたし、沢山傷付けてもきた・・・・・それなのにどうして貴方はそうやって私に真っ直ぐに好意を伝えられるの?貴方は私のことを嫌ってないの?」

 

「・・・・・仮に俺が貴方に沢山傷付けられてきたとしてそれ以上に沢山助けられてたし救われたと思ってます。だから、もっと助けになりたいし、嫌いになんかなれる筈もないからですよ」

 

「まるで刷り込みね・・・最初が私達だったからでしょ」

 

ぐうの音も出ない返しをされた。

確かに最初に優しさを教えてくれたのは紗夜さんと日菜さんだったから二人のことが好きなのかもしれない。

そうじゃないと口では言いたいが反論出来ず言葉に詰まる。

再び歩き出す紗夜さんの後を二、三歩遅れて着いていき、気がつけば家の前まで着いていた。

 

「ここまでで構わないわ・・・・・それと」

 

ふと抱きしめられ唇に触れる感触とその後に耳元で囁かれる言葉に時間が止まる。

 

「今日はありがとう。貴方も帰る時は気をつけてね・・・おやすみなさい」

 

「・・・おやすみなさい」

 

どうにか口から絞り出した言葉とは他所に心はどこか遠くに行ってしまったような気がする。階段を上がっていく紗夜さんを見送り放心した心をどうにか引き戻し来た道を戻ろうとすると、見知った顔と目が合った。今一番会いたくなかった人だった。

 

「あれーもしかしてお姉ちゃん送って今帰り?」

 

「・・・ええ、日菜さんはパスパレの皆さんと花火大会の番組に出てたんですよね?」

 

「うん、そうだよーいいなーアタシもお姉ちゃんと一緒に花火見たかったなー」

 

「また、来年もあるんでその時にでも観れるといいですね」

 

「うん約束だよ。それと・・・・おやすみ」

 

また、唇が重なり笑顔の日菜さんと目が合う。

嗚呼、やっぱり見られていたんだなと寒気がした。

 

「おやすみなさい」

 

そう言って階段を上がっていく日菜さんを見送るが頭には紗夜さんが耳元で囁いたあの言葉が頭の中を駆け巡る。

感触が残る唇を触り溜息をついた。

 

「・・・・本当に私のことがそれでも好きなら私だけを見て日菜じゃなくて私を・・・」

 

言われた時の表情が頭に残る。

その言葉がまた俺を締め付けるもはや呪いとしか思えない。

 

 

 




もっと早く構成とか練って描けるよう努力します。
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