とある鎮守府の日常。   作:アラタ。。

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いろいろと立て込んでおりまして更新遅くなりました。


2日目

 朝食を食べ終え寝巻きから、白で統一された制服に着替え帽子をかぶる。自分の部屋にある姿鏡には制服姿が写っていて着崩れがないか確認し、慣れた手つきで右目に白い眼帯を付ける。

 

(これは別に、厨二病をこじらせているとかではない。)

 

 部屋の中はガランとしていて、卒業が決まってから少しずつ片付けをして今では勉強机と布団しか置いてない。今日までここで過ごしいろんなことを体験してきた。それは以前の俺では知り用のなかった事で、これから生きていく上でとても大切なものになる。

 俺はその事をしっかりと胸に刻み込みこれからを強く生きていかなければならない。あいつらのためにもな…

 

 玄関にはおじさんと女性が既に待っていてくれた。何か恥ずかしいな。

 

 「今日で君の制服姿を見られるのはこれで最後か。前までは小さかった君がこんなに立派になってお姉さんは嬉しいよ。」

 

 そう言い、女性は俺の頭を撫でてくる。いつもは嫌がるが今日くらいは大目に見ておくか…。行動を素直に受け入れたのが嬉しかったのか女性はさらに、俺を強く抱き寄せ包んでくる。

 言っておこう、いつもは嫌がるが今日くらいは大目に見ておく。普段はこんなに甘々ではないはずだ…。けど長い間暮らしてきた家族で女性の気持ちも分からなくはないし俺も寂し。だから、この行為(好意)をたんのぅ、では無く受け入れるのは当然か…。にしても、やはりこうされると不思議と文句も言えなく落ち着けるのはやはり甘えているのだろうか。

 

 女性は最後に抱く力を強くして俺を解放してくれた。それは、愛おしくてと言うよりも俺の感触をわずかでも残そうとする意志が伝わってきた。

 

 「うん。もう大丈夫…。ごめんねー、こんなに抱きついちゃって。暑苦しかったでしょ。」

 「いえ大丈夫です。その…こちらこそありがとうございました。」

 「あれ?いつも見たいに言い返してこないの?お姉さん反応に困っちゃうなー。」

 

 俺はそう言って礼を言う。と言うか今の女性を見るとそうせざるを得ない。女性は笑顔を貫いているが僅かに声が震え目が赤くなっている。本当は、いつも通りの会話で終わらせるべきなのだろうが、俺にはそんな心の強さや余裕は用いてない。

 

 「2人ともこれは最後の別れではないん。今日はお前さんの門出を祝う日でもある。わしら全員がこんな暗い雰囲気になってどうする。」

 

 その様子を見ておじさんは俺と女性の頭に手を置いて話す。おじさんの手は大きくて安心感があり、昔は良く俺と女性に言い聞かせる時はこうしてくれた。

 

 「お前さんの帰る場所はここで家族だ。もう1人ではない。そのことを決して忘れるな。」

 「はい。分かっています。」

 

 おじさんは優しい笑顔で頷く。

 

 「わかっていれば良い。後は、お前さんの自由に行動すればいい。儂らの役目は帰る場所を守る事と間違ったらお前さんを叱ってやるとこくらいしかない。だから安心して進めば良い。」

 

 俺と女性は頷き、おじさんは置いた手をゆっくりと離す。俺はずっと感傷に浸るのはやめようと心の中でそう決めていた。それは、俺の決心が揺らいでしまうい中途半端な気持ちになるからだ。卒業が決まって以降そう決めつけていたが実はそうでも無いみたいだ。

 今までの事を受け入れ認める。そうする事で自分の心の形や決意が徐々に見えてくるんじゃないかそう思えるようになった。これは弱さでは無い。そう気が付くと自然と心の重荷が少し軽くなった感じがした。

 何だか抽象的な例えだが、自分の事については難しい。でも、何はともあれこれで進む決意が強くなったのは間違えない。

 

 俺は鞄を持ち靴を履く。もうこれ以上余計な言葉はいらない。いつも通りでいいんだ。

 

 「いってきます。」

 

 2人とこの家にそう言い、玄関のドアに手をかけて開ける。空は今日の日を祝うかのように雲ひとつない晴天で清々しい青空が広がっていた。

 

 

 

 

 俺が住んでいるこの地域は港がすぐ近くにある。その港はここらの海域を守っている鎮守府が使っているものでその鎮守府と隣接するように造られているのが俺が通っている海軍上級学校だ。正式名称は「日本海軍特別支援上級学校」で長い。学校の人達や街の住民は好きに略して呼んでいる。

 この、特別支援と言うのは他の海軍学校とは大きく違う点がある。

 

 ・1つは、全国から成績優秀者が集まる事。これはこの学校に上がる前の成績で判断され自分の上司や教師の推薦により入学が許させる。その判断基準は今の戦役において利益があるものと、随分と大雑把だ。

 

 ・2つ目は年齢を問わないこと。この学校には上の条件に満たしていれば入学年齢は問わないことになっている。俺が知る限り上が40歳という人もいた。

 

 ・3つ目は希望した役職につけることが保証されている。これはこの学校を卒業できた人物へのおまけみたいなものだ。

 

 と、大きく分けて3つあるわけで全国から人が集まる。元々この土地には鎮守府と小さな町しかなかったが、上級学校が出来てからは町に多くの人が集まり宿泊施設や商店が密集し大きく発展を遂げた。

 学校までは家から電車とバスを乗り継いで1時間かかる。俺の家は町の中心部から少し離れた場所にあり、町が都会ならこっちは自然という表現があっている。

 小さい頃は良く女性に連れられ外で遊んだ。土で汚れて帰ってもおじさんは怒らず今日の出来事を酒を飲みながら楽しく聞いていた。ただ1度だけおじさんに怒られた事がありその時はとても悲しかった…

 

 バスを降りるとすぐ目の前に学校が見える。全生徒数はさほど多くはないが最新の設備を取り備えているため学校の規模はでかい。校門には卒業式の看板が立っていて周りには卒業生とその保護者が目立つ。卒業式後は皆各志望先にすぐに転属されるため、卒業式が始まるまでのこの時間帯に学友と好きな時間を過ごすのが毎年の事だそうだ。

 俺はその光景を気にしせずに校舎へと向かう。周りの卒業生やその保護者は俺をチラチラと目線で追いかけてくるのも気にしないでおこう。

 卒業式が始まるまでの間教室で本でも読むことにする。教室には他に誰もいなく静まり返っている。俺にはどうもあの様な場が苦手だ。家族は別として常に誰かといるということ自体気を使ったり変に頭を使ったりと疲れてしまう。ただでさえ、この学園には俺の居場所が少ないってのに。そんな事を考えていると教室のドアから見知った生徒が2人入ってくる。

 

 「お、やっぱりここにいたな。俺の思った通りだ。」

 「ちょっとそれ私が言ったんでしょ。」

 

 俺は、読んでいた本をしまい2人の方に体を向ける。1人は体が大きくガタイが良く筋肉が服の上からでも盛り上がってる。もう1人は短髪で女性としては身長が高く全体的にスリムな印象だ。と言うか、この2人が並ぶと正しく正反対だといつも思う。

 

 「2人ともこんな時間に教室に来るなんてどうしたの?」

 

 そう言うと、その男は呆れたように言ってくる。

 

 「どうしたもこうしたもないぜ。卒業式後にお前と話す時間が無いってのに外にいないから探しに来たんだよ。」

 「そうそう。君の事だから1人で教室に居るんじゃないかなと思って来たのよ。正解だったわね。」

 

 女性は少しドヤ顔をする。なぜそこでドヤ顔なんだか…

 眼鏡をかけていれば、眼鏡をクイッと持ち上げる感じがイメージできた。

 すると、男の方もそれに対抗するかのように胸を張り応戦する。ああ…また始まったよ。

 

 「おいおい、最初に教室にいるって言ったの俺だろう。お前は俺に着いてきただけだし。」

 「はあ?何言ってるの?私が最初に考えて言ったのよ。あなたが言うのは一足遅かったわ。」

 

 2人は言い争いを始めてしまった。いつも通りの日常ではあるが、見ていて飽きないのはこの学校で俺の楽しみの一つだからだろう。

 けど、2人の言い争いは誰かしら止めに入らないと治まらないのでいつも俺が止めに入る。

 

 「2人とも夫婦喧嘩はよそでやってよね。」

 「「だから夫婦じゃない!!」」

 

 おおー見事にはもった。ちなみに、この2人は付き合ってはいない。周りがいつも喧嘩している2人を見てからかっていて、何故か俺はその2人の子供設定になっている。年齢や身長差を考えるとそう見えなくもないが、あまり嬉しくはないんだよね。

 とりあえず、痴話喧嘩が終わりそうだったので話を進める。

 

 「落ち着いた?」

 「ああ、悪い。」

 「ごめんなさい。」

 

 2人は平謝りしてくる。その態度からまだ納得していないようだ。このまま2人の喧嘩を眺めているのも良いんだけど卒業式まで余り時間が無い。

 

 「それで?話ってなにかな。」

 「お前の希望先についてだが、やっぱり考えは変わらないのか?お前の実力ならもっといい所があると思うんだが。」

 

 男が聞いてきたのは俺の進路先の話だ。この学校には卒業と同時に、希望する進路へと進むことが保証されている。例えば陸海空の軍隊や軍の関連施設に研究所、他にも軍以外の進路も確保されている。

 もちろん成績優秀者はより良い所に進むことが出来、逆にスカウトされたりするのも多い。学校卒業人数が少ないため、毎年争奪戦になりそれが周りからすると注目の的となる。

 

 「うん。変わらないよ。俺は、軍には属さない。」

 

 この学校を卒業する者にとって、軍に属さなかった者は過去に一人もいない。どんな形であれ「日本軍」のカテゴリの中に入る事になるのが常識であり、半ば強制的でもあったからだ。それは、相互関係でありどちらもメリットがハッキリとしている。断ったり自ら後退するような人物はいない。

 それでも俺は、軍に属するのをためらった。それは俺の過去に原因がありもう関わり会いたくないと考えている。

 

 「まぁ、君には君の考えがあるんでしょ。最初にこの事を聞いた時は正直驚いたけど、私は君の考えを尊重するわ。」

 「ありがとう。そう言って貰えると助かるよ。」

 「いいのよ、私達からしたら可愛い弟みたいな感じなんだから。もっと頼ってよね。」

 

 そう女は言ってきた。正直、この学校に入いる時はとても不安だった。何せ過去の最年少入学の記録を破り、しかも入学してからは首席を1度も譲らなかった。

 この事もあり常に注目の的で周りの視線がいつも俺に向きそれがストレスだった。しかも、俺の見た目(眼帯)にも少しばかり原因があったのだろう、中々馴染む事が難しかった。

 そんな中、真っ先に話しかけてきたのがこの2人だった。2人は周りの目を気にすることなく毎日話を振ってきてご飯も一緒にとってくれた。それに2人がよく喧嘩しているのを周りは知っていて「夫婦」と呼んでからかい、何故か一緒にいた俺が2人の「子供」設定されていたりと、いつの間にか学校に馴染んでいたのがとても嬉しかった。

 

 それでもなぜ俺なんかに構うのか、気になって聞いてみたことがあった。普通なら妬むし嫉妬もする。最年少入学に首席で将来的に仲良くしとこうな感じならわかるが、軍に属さないとか言ってる奴とは仲良くなる必要が無いのだ。だってメリットが無い。今まで人を完全に信じきったことがない俺からすれば理解不能な行動だった。

 すると、2人は俺の問いかけに言った答えが今でも覚えている。

 

 「「だって弟みたいでほっとけなかった」」

 

 と言ってきた。しかも見事なハモリで。

(もう結婚しろよ…なて思ったのは秘密だ。)

 

 俺はその答えを聞いて笑ってしまった。もちろん2人の答えを侮辱したのではない。予想外すきだのだ。世の中にはこんな人もいるんだと初めて知った。

 俺の周りには自分の欲望に飲まれた人間や打算的にしか動かない奴らと関わってき。別にそれが悪いとは思っていない。それが普通なんだと当たり前なんだと思い過ごした。

 だけどあの家でおじさんと女性に会い幸せを知り、この学校で2人と会い優しさを知った。この事が俺にとって大きな心の変化をもたらした。俺は2人に感謝している。

 

 「ま、その弟に負けてるようじゃ駄目だがな。」

 「はぁ?あなただって毎年負け越してるじゃない。人の事言えないわよ。」

 

 一瞬、無言の静寂が流れ2人の喧嘩が始まった。

(ああ…また始まったよ。止めるの面倒だなぁー。)そんな事を思いながら俺は2人の喧嘩を内心楽しみながら見守っていた。

 

 

 

 卒業式は滞り無く終わり卒業生の中には泣いている人や嬉しそうな人など感情は様々だった。この学校の特徴として、卒業証書と同時に志望先が入った白い封筒が渡される。その封筒に書かれている指示に従い各々卒業式後に出発して行く。

 そう、俺もそうなるはずだったのだが何故か校舎内にある学長室の目の前にいる。右手には先程もらった卒業証書と封が切られた封筒を持ちノックをする。

 

 「空いてますよ。」

 

 中から返答があり俺はドアを開けて中に入る。部屋には数多くの賞状やトロフィーが飾られ中央にはテーブルとソファー、その奥に目的の人物が座る机がある。

 その人物はここの学長を務めると当時に、すぐ近くの鎮守府で提督をしていると言う異例の職務をしている。どちらも仕事の量が膨大で、どちらも務めるというのは仕事の質にも影響するのは周りからすれば目に見えてわかることだが、それを上手くこなしているのはこの人物の能力が非常に高いことがわかる。

 俺は、学長の存在を確かめると直ぐに本題へと移った。

 

 「ちょっと先輩、これはどういうことですか?」

 

 俺は封筒の中身を取り出しそれをテーブルへと叩きつけた。

 

 「どうって、そこに書いてある通りだけど何か問題でも?」

 「問題だらけじゃないですか!良く見てください!」

 

 俺は封筒の中身を前に突き出し書いてある内容見せた。

 

 

『 卒業おめでとうございます。元帥様の命令により貴殿はこれより海境島にある鎮守府への配属が決定しました。貴殿はこの海境島鎮守府においての「提督」へと配属されます。尚本籍も移し24時間以内に到着するようお願い申し上げます。』

 

 

 「って!俺の志望先と全然違うじゃないですか!」

 「あれ?そうだっけ。」

 「そうですよ!全く別物ですよ。」

 

 俺が志望先に提出していたのは軍とは全くベクトルが違っていた。なのに、卒業式後に見てみたらこんなふざけた手紙が入っていたて、最初は涙で視界がぼやけているんだと思った。俺にも涙くらい流せるんだと驚いたくらいだ。

 けど、涙は出ておらず間違いかと思い封筒に書いてある印字を確かめたけどどこにもおかしな所はなかった。俺は、慌てて周りの教師に説明を求めたが「分からない」の一点張りだった為学長に直接確かめるために来た。

 

 「これは何かの間違えです。すぐに訂正してください。」

 「でもね、その封筒に書かれていることはまず間違えなんてないんだよね。それは俺が保証する。」

 「でも、実際に間違えてますね。なにかの手違いがあった可能性が高いです。至急確認してください。」

 「んー手違いね。」

 

 学長(先輩)は俺の申し入れを受け入れない様子で椅子にもたれかかる。俺は、その態度を見て不満がつのり強い口調で迫り睨みつける。

 

 「ふざけないで下さい。俺の事情を知っていてわざとやっているんだったら性格が悪い。これ以上その態度をとるようだったら考えが…」

 「わかったわかった。悪かったよ。」

 

 学長(先輩)は俺の脅し文句を聞いた途端手を挙げてギブアップした。その様子から最初から強く抵抗する気はなかったように思える。なら、初めから言ってほしいものだ。

 

 「まず先にさっきの態度を謝っておく。まさか、ここの学校を歴代トップの成績で卒業するとは俺も少し意地悪したいと思ったんだよ。」

 「意地悪はともかく、あれは無いです。でも先輩の事ですからわざとじゃないと思ってました。それじゃあ続きを。」

 

 学長(先輩)は姿勢を正し目を俺に合わせた。

 

 「お前には残念だけど、そこの手紙に書いておるのは本当だよ。お前は海境島にある鎮守府の提督になってもらう。」

 「ッ…、理由を教えて下さい。」

 「理由はね、俺にもわからないんだよ。なにせその封筒を渡してきたのは、元帥だからね。ビックリしたよ。」

 

 俺はその言葉を聞いて驚く。「元帥」とは日本海軍の階級で2番目に高い位だ。元帥は4人しかおらず海軍が重要視する4つの拠点に元帥が居座る形をとっている。元帥自体の影響力は大きくほとんどの拠点や人事の権利を持っており、下の階級者は一切歯向かうことが出来ないくらい強大らしい。

 そんな元帥が、個人を名指しで動かすなど聞いたことがなく異例中の異例だ。しかもそんなことをする人物は1人しか思い当たらない…

 

 「あの爺さんが俺を提督に?」

 

 先輩は黙って頷く。展開が急すぎて頭が追いついていかない。俺の過去を知るのはごく限られた人物だけで元帥の爺さんもその1人だ。ならどうしてこの様な事をするのかが分からない。

 俺は今までの会話を整理して考えをまとめていると、先輩の横に立っていた女の人が1歩前に出て声を荒らげてわってきた。

 

 「ちょっと君!元帥に対してその言い方はなんですか!あなたの言い方は不敬罪に問われますよ!。」

 

 俺は考えをまとめている最中に割って入ってきたこと対し不満をつのらせながら女の人に向く。

 その女の人は長髪で眼鏡をかけ緑色の服と緑色の帽子をかぶっている。見覚えがあり確か名前は…

 

 「鳥海、落ち着きなさい。」

 「提督ですが…」

 「この件に関しては私の権限で不問にします。鳥海もこの事に関して一切の問は受け付けません。これは命令です。」

 「……わかりました。」

 

 先輩は鳥海に向かい強くハッキリとそう告げた。鳥海はその判断に納得はしていない様子だったが、艦娘において提督の命令は従わなければならない。鳥海は不満げな顔のまま後退した。

 

 「さて話を戻すけど、この話を受けるか受けないかどうする?」

 「拒否権があるとは思いませんが、もし受けなかった場合どうなりますか…」

 「別に何の制限もかからない。それに拒否権が無いわけじゃないよ。嫌なら嫌だと言えばいいど俺は元帥にそう報告はしたくない。怖いからね。」

 

 ここまでの話をまとめる。元帥の爺さんは俺の過去を知っている人物だ。なのにこの話を持ちかけてくるのはどうしてか…

 先輩は拒否権があるとは言っているが、それも理由が分からない。わざわざ卒業の時期に被せてきたんだそれなりの理由があるはず。だが、今のままでは圧倒的に情報が足りない。このままの状態で判断するのはいささか考えが浅いかもな。

 2人の手のひらで動かされるのは少しばかり気にくはないが、元帥の爺さんや先輩の考えがどういったものなのか、確かめるのにはこの話を受けるしかないか…

 

 

 「分かりました。この件を受けます。」

 「お、そうか。良かった良かった。これで元帥にいい報告ができる。」

 

 先輩は安心したかのように胸を撫で下ろす。俺はその様子を見て違和感を覚える。と言うより今までの話自体違和感だらけだけど、それも今確かめるのは難しそうだ。

 

 「海境島や提督マニュアルなどの書類を渡しておこう。向こうに着くまでに目を通しておくよに。他に質問はある?」

 「提督に就くにあたり秘書艦が着任するはずですが。」

 「ああ、それなら問題無い。先に海境島に着くように出発している。秘書艦に関しての簡単なプロフィールも同封してあるから。」

 「分かりました。こちらから質問は以上です。」

 

 先輩は椅子から立ち上がり真剣な顔で姿勢を正す。俺もそれに合わせて姿勢を正す。

 

 「では只今の時刻を持って海境島鎮守府の提督就任の許可をする。日本の為に世界の為にそして、海の自由の為に暁の水平線に勝利を…」

 

 

 

 

 「はぁ~、疲れた。俺嫌われちゃったかな?」

 「そんなの知りませんよ。」

 

 先の件が終了して数分後、どっと疲れが来たので今は鳥海に肩を揉んでもらっている。嘘がバレてないか心配だ。

 元帥からの話は最初から全て知っていた。だがこの話を聞いた時は、とうとうこの日が来たかと、思った。絶対に避けては通れない運命だ。それを背負わせてしまった罪悪感は凄まじいし今でも後悔している。それでも、進むしかないと元帥と『あの日』決断した。もうあとには戻れない。

 

 「それよりも提督。」

 「ん〜?あ、もうちょい右かな。」

 「あの子は一体何者なんですか?。元帥に対してあの発言や直の命令、提督の彼に対する行動、ハッキリと言って異常です。」

 「鳥海にはそう見えたか。そうだね、例えるなら彼は僕らにとっての『鍵』かな。今の戦局にとって大切なね。」

 「鍵ですか?抽象的すぎて答えになってませんが。」

 「俺も立場上教えるわけにはいかない。この話し合いに同席させてあげただけでも相当無理したんだ。」

 

 私はその言葉を聞いて、またかと思った。私は提督の秘書艦で一番近くでおつかえしている。なのにいつもとは言い難いけど、こう言った話で私を除け者にすることが多い。今日の話し合いだって私が引き下がらなかったらまた別室で待機させられていたに違いない。全く、提督にもしもの事がればどうするんだか。

 提督の机には数枚の資料がありその資料には赤いハンコで『外秘資料』と押されている。その中には先程の少年の顔写真が乗った資料も混じっていた。

 

 「とりあえず鳥海、今の話し合いは守秘義務だ。何があろうと口外は絶対禁止だ。」

 「はいはい、分かりましたよ。どうせ私は仲間外れですよ。」

 「って!痛い痛い!鳥海力入れすぎ!」

 

 痛みに悶える提督を見て少しストレスを発散すると同時に、先程の少年とほとんど聞いたことがない海境島鎮守府。ここに就く秘書艦はとても大変だと心からそう思った。

 

 




学長を先輩としたのは、作品上この方がいいと思いました。

更新はできるだけ頑張ります。頑張ります…
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