前回は初回サービスっつってたよな?
今回は何?何のサービス?
テキトーなこと言ったサービス?」
「うるせぇ!!
こういうのはなんかどんどん文が出て来ちまうんだよ!
これでもだいぶ端折った方だわ!
大体元ネタノベルゲーなんだから、これくらい長くなってもしゃーねぇだろうが!
何をするにしても全部字で表現しなきゃいけねぇんだからしょうがないの!」
「あのクソ生意気な絵本作家からちったぁ何か学べよ。
ガキ以下とか笑いを通り越して心配するぜ」
「黙ってろやちんちくりん」
「あ”ぁ?」
「お”?」
「お二人ともずっとそんなペースで疲れないんですか?」
「......そんで、これからどうすりゃいいんだっけ?」
「そんな友人と待ち合わせしてたみたいな感じで流さないで下さい!
なんですかアレ!
さも当たり前のように英霊倒してましたけどなんですかアレ!?
前々からおかしいとは思ってましたけど紫助さん本当に人間なんですか?!
実は私みたいなデミ・サーヴァントでバカを装ってたとかそんな新事実ですか!?
どうなんですか!!!」
「うるせぇな、耳元でいきなりばくおんぱ出すんじゃねぇよ。
人間なんでもこうかばつぐんだよバカ野郎。
普段の硬っ苦しいあのメガネっ娘は一体どこ行っちまったんだ?
アレか?服装をハレンチメタモルフォーゼした副作用か何かなのか?
そりゃ世の男共にとっちゃあハレンチメタモルフォーゼは夢よ。
あの子があーなったらいいなって皆四六時中思ってるよ。
でもさ、時と場合ってあるじゃん。
モヒカン共が世紀末でヒャッハーしてるようなこんな場所でやったって虚しいだけじゃん。
だから、ハレンチメタモルフォーゼは時と場合を選べメガネっ娘。
ていうか最後の方さりげにバカって言ったよね?」
「だからそんなんじゃないんですってば!!
私だって好き好んでこんな格好になった訳じゃありませんから!!
なんですかハレンチメタモルフォーゼって!?
貴方の頭の中だけでしょう!!
ねぇ先輩?!」
「その通りだよ」
鼻から赤い線を伸ばしながら神妙に頷く少年が1人。
決してバグ等といった不具合からではない。
健全な少年なら正しい反応。
それを射抜くような視線で見つめる青年が呟く。
「それはどっちの意味のその通り?
メガネっ娘のハレンチメタモルフォーゼが良い意味でのその通り?」
「その通りだよ」
「オイオイ選択肢バグっちゃったよ。
回線どころか思考までショートしてるよ。
まぁこれで証明されたなメガネっ娘。
こういう奴でもハレンチメタモルフォーゼは日々望んでるんだよ。
よかったな、どストライクみたいじゃん」
「せ、先輩......。
別に私は、その......あの、先輩にそういう目で......見られるのは、吝かではにゃいと言うか......その」
「あーあ、また一個証明されちゃったよ。
いや、二つほどはっきりしたか。
人生ってつくづく残酷だわな......死ぬより生きる方が辛いってか」
ガシガシと後頭部を乱暴に掻き乱し、徐に木刀を肩に乗せて歩き出す。
向かう矢先は具体的に何処というわけではなく、ただ単に付き合っていられないという意思表示。
それもそのはず。
誰が好き好んで桃色の空気を漂わせている男女の空間に一秒でも長く留まっていたいと思うのか。
さっさとこの場から離れたい。
いつの間にか全滅していた骸骨たちが今は恋しい。
他人の色恋沙汰を見るよりかは、骨の大軍とチャンバラごっこをしていた方がまだマシだ。
紫助は早々に立ち去ろうと決めた。
『あーテステス......こちらカルデア管制室より通信。
繰り返す、カルデア管制室より通信。
まだ音声しか復旧できていないんだ、返事がなければそちらの状況を確認できない。
聞こえていたら返答をお願いするよ』
「カルデアから通信!?
き、聞こえています!!
こちらマシュ・キリエライト、並びにマスター候補生“藤丸立香”共に生存しています!
こちらからの応答が聞こえるのならば返答を!」
『お、ようやく確認できたよお二人さん。
アレ、お二人さん?おかしいな、君たち二人以外にも生命反応があるはずなんだけど......まだレーダーが本調子じゃないのかな?』
「あ、忘れていました。
並びにマスター候補生"青葉紫助”も生存しています」
「マジかよ、こいつ素で俺のことスルーしたぞ」
「アレは流石にヒドイと俺も思うよ......」
「まぁお前さんからしたら別にいんじゃね。
ほら、あいつお前にぞっこんらしいし、俺には社交辞令とか無視とかで対応してくるから眩しくて仕方ねぇよ。
はぁ......なんで俺の周りにはそういう奴らばかりなんだよ。
出来てるか出来つつある奴しかいやしねぇ。
あーあ本当に死ねばいいのに!!」
「............すみません」
天を仰いで思いの丈を吐き出す青年。
その姿には哀愁や悲壮感といったものが滲み出ていて、フォローする言葉全てをシャットアウトする。
最早誰の言葉も彼の耳には届かないだろう。
嫉妬や僻みがこれほど堂々としている人も珍しい。
立香はそれらの感情とは別に、彼に対して興味を持ち始めた。
先ほどサーヴァントを倒した腕前といい、人間離れした身体能力、物怖じしない図太い神経等も含めて気になりつつあった。
そういえば同じ候補生のはずなのに彼の名前を聞いたことはおろか、姿も見たことがない。
マシュの反応を見るからに既に面識はあるようだが、自分にはない。
考えれば考えるほど謎が深まった。
『おぉ紫助君じゃないか!
何処に行ったのかと思えば君もレイシフトに巻き込まれちゃったのかい?』
「あぁどうもそういうことらしいな。
カレー食って便所探してたらこの始末だ。
折角用足してデザート作ろうとしたのに散々な仕打ちだよ。
オイ天才さんよ、この不始末どう落とし前つけてくれんの?」
『そんなあからさまに辛辣な反応をしないでくれよ。
私としても今回の件については予測していなかったんだ。
弘法にも筆の誤りというだろう?
いくら私が万能の天才だとしても、全ての事象に対して有効策を用意することは出来ない。
未来予知とかいうレベルじゃないね、限りなく鮮明な未来視の領域だ。
サーヴァントの霊格に押し上げられたとしても、こればかりはどうしようもない。
君だって、いつまでもここで無駄な問答をしたくないだろう?』
「あーあもう分かった分かったよ。
ったく、一言やぁ十で返しやがって。
はいはい、大人しく飲み込んでやることやりますよ」
『うん、大変よろしい反応だ。
今こちらでは生き残ったカルデアのスタッフが総力をあげてシステムの復旧に取り組んでいる。
安定まで多少時間はかかるがなぁに、何しろ私がついている。
君たち三人のバックアップ体制を現在最優先で立て直している最中だ。
安心してくれたまえ』
「はぁ......とりあえずよかった、のかな?」
「はい先輩。
これで無駄に歩き回る必要はなくなりました。
こちらのモニターを復旧させるのにそう時間はかからないはずですから、少し待機していましょう。
これからすべき事に対して指示やアドバイスがもらえます。
落ち着いて対処していきましょう」
通信が入るや否や安堵のため息を漏らす立香。
先程は勢いでなんとか乗り切ったようなものだが、いざ自分の立場を改めて再確認する。
突如として襲ってくる恐怖心や疲労感。
自分にかかる重力が増したように一気にそれは肩にのしかかってくる。
似たような状況を再現した訓練は体験済みだが、これは訓練ではなく実践のそれだ。
選択を誤れば死に直結しかねない危険な世界。
自分のように魔術をほんの少しも囓った事のない一般人が、過去の英霊相手に何ができるだろうか。
落ち着く時間があればあるほど、マイナス思考に落ちていく。
そしてそれは止まることなく立香の心を掻き乱す。
胸にあるのは不安だけだった。
「あの、自己紹介がまだでしたよね?
俺は藤丸立香と言います。」
「あ?なんでいきなり敬語になんだよ」
「いや......考えてみれば年上だし」
「そういうのは本当に敬うべき相手に使っとけ。
少なくとも俺には似合わねぇよ。
青葉紫助だ、詳しくはそこのメガネっ娘に聞いとけ。
俺はもう寝る」
「青葉紫助さんです。
見ての通りおバカな人です。
以上です」
「何その小学生の英語の教科書みたいな紹介。
もっと詳しく話して置いてやれよ、ふじお君が混乱するだろ」
「ふじお......?」
「分かりました。
先輩、彼は先輩と同じくマスター候補生のうちの一人青葉紫助さんです。
頭が基本的に残念な人です。
以上です」
「レベルが中一までにしか上がってねぇよ......」
「あはは......まぁよろしく、紫助さん」
やる気なさげに手を振られた。
話すことすらめんどくさいといった態度だ。
ますますもって謎だ。
やることなすこと全てが予測できない。
一言で表すならば変な人と言ったところだろう。
『やあやあお待たせして申し訳ない。
モニタリング体制が整ったぞぉ、これで君たちのいる世界が一望できるようになった。
マシュを中心として周囲の状況をスキャン。
ふむふむ......おぉ、これはこれは......あぁそっか』
「あの、一体何が見えるんですか?
それと......あなたは一体」
「周囲の確認より先に自己紹介をしてあげて下さいダ・ヴィンチちゃん」
『あぁ済まない忘れていたよ。
何せ生前は自己紹介なんてほとんどしなかったからね。
全然習慣として身についていなかったんだよ。
そもそも人と会う時間すら惜しかったからね。
ごほん、初めまして藤丸立香くん。
私は万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチ。
その名を知らない者はいない大天才なのだよ』
「え、えぇ!!
だってどこからどう見ても女性......。
僕の知っているダ・ヴィンチは男性のはず」
『自分の知ることだけが全てじゃないんだよ?
逸話や神話は形を変えて現代に広まっている。
人によって認識に齟齬があるのはそのせいさ。
真実は現代のものだけれど、事実だけは未来永劫過去のものだからね。
まぁ今はそういう話は置いておこう。
最優先すべき問題は君たちを無事に帰還させることだからね。
ひとまず考えられるこれからのことを説明するけれどいいかい?』
「は、はい。
よろしくお願いします」
『おーい固いぞ立香くん。
私のことは気軽にダ・ヴィンチちゃんと呼んでくれたまえ』
「.........ちゃん?」
「先輩、ここは迷うところではないかと」
「そう......だね、よろしくダ・ヴィンチちゃん」
『よろしい!
素直な子は大好きだよ私は。
それより先に彼を起こしてあげてくれないかな?
目下の問題をクリアするためには彼の力が必要不可欠だ』
振り返るとそこには寝息を立てて横になっている紫助の姿があった。
本当に眠ってしまったのか。
こんな炎揺らめく荒廃した土地のど真ん中で。
豪胆過ぎて本当にただのバカ何じゃないだろうか。
とりあえず揺すってみるものの起きる気配はない。
一度だけはっきりと"パプリカ"と彼は口にしたけれど起きなかった。
というかどんな夢を見ているのだろうか。
寝言ではっきりパプリカという単語を発するなんて。
「先輩、そんな優しい起こし方ではダメです。
紫助さんは一度寝てしまったらちょっとやそっとでは起きません。
コツを教えてあげます、少し離れていて下さい」
「う、うん」
マシュに言われるがまま下がってみる。
しかし、人を起こすだけなのにどうして下がらなければならないのだろうか。
頬を抓るなり何なりして物理的痛みをもって起こせば一発だと思うのに。
マシュは紫助から10mほど離れたところに位置している。
何故屈伸をする必要があるのだろうか。
何故伸脚をする必要があるのだろうか。
何故手足を回す必要があるのだろうか。
そもそも、何故準備体操をする必要があるのだろうか。
意味が理解できた時には、もう何もかもが遅かった。
「し・す・け・さぁぁぁぁぁぁん!!!
朝ですよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「どぅぅぅぅし!!!」
見惚れるほど美しいフォームで彼女は駆けた。
短い距離から成立するとは思えない綺麗な三段跳びを披露し、女の子座りの体制のまま紫助の腹部目掛けて着地した。
衝撃波でも出ているのではないかと思えるほどの威力をもって。
転がって悶絶したいだろうけれども、腹部に跨ったマシュがそれを許さない。
がっちりと両太ももで紫助の体をフォールドして放さなかった。
彼は痛みを全く紛らわせる事のできないまま頭を支えにしてブリッジの体制を取っていた。
どうやらあれが痛みを紛らわせるために咄嗟に思いついた行動らしい。
立香は思った。
たとえ子供であろうともアレを受けて起きたくはないと。
______________________________
「ほら先輩、頑張って下さい。
あと少しで目的地の霊脈に辿り着きます」
「大丈夫、まだ歩けるよ」
「問題なさそうですね。
あと少し我慢すれば戦力を増やすことができます。
どんな敵が待ち構えているか分かりません。
気をしっかりと引き締めて行きましょう」
「うん......そうだね」
「............」
ダ・ヴィンチのナビゲートによると、この先に霊脈が集中しているポイントがあるという。
そこでならカルデアが開発した守護英霊召喚システム・フェイトを起動させる事が出来るそうだ。
マスターと英霊による双方合意が得られれば神霊以外の英霊と契約を結ぶ事が可能となる。
その契約内容とは、人理を守護する事。
これにさえ彼らが頷いてくれれば、遠い縁の者であっても契約出来る。
これを使わない手はない。
だからこそ、召喚を確実に行うためそれに適した場所を求めて歩き続けている。
『今の所敵性反応はないから安心して欲しい。
仮にあったとしても事前に知らせる事が出来るから不意打ちになることもない。
だから君たちは安心して目的地の霊脈ポイントにまで行って召喚サークルを確立させて欲しい。
呼び出す事のできる英霊は皆過去に何らかの逸話を残した傑物たちだ。
きっと君たちの旅の手助けをしてくれる。
さてと、ここで一度分かっていることを再確認しておこうか。
現在君たちがいる場所は、過去に聖杯戦争が行われた冬木市という場所だ。
聖杯に内蔵されていた魔力の暴発により冬木市は半壊。
建物何百棟ものを諸共破壊し、多くの人達の命を奪い去った悲しい過去をもつ。
先程報告してもらったデータから推測するに、どうやらその聖杯戦争に関与していた英霊たちが一堂に会しているようだ。
さっき交戦したのがライダーのサーヴァント。
原因は不明だが、体の大半以上が影で覆われている。
我々はこのサーヴァントをシャドウ・サーヴァントと呼称する。
現在確認できているのが一騎だけ、他の六騎に関しては未だ情報なし。
既に敗退しているサーヴァントもいるかもしれないが、希望的観測はあまり持たない方がいいだろうね。
あくまで存命していると仮定して探索を続けた方がいい。
そして、帰還するためにはこの特異点となっている冬木市の根幹にある原因を排すること。
こんな惨状になっていてもあるんだよ、聖杯がね。
とは言っても万能の願望機としての性能は残っていないと思うよ。
アレはそんな簡単にほいほい作られるようなものじゃないんだ。
単純に膨大な量の魔力を貯蔵する魔力リソースの役割に落ちているのが関の山さ。
帰還するためにはその特異点の基盤となっている聖杯を回収すること。
いいね?我々に残された時間は少ない。
だけど焦る必要はない。
じっくりと確実性の高い方法を算出して事に当たって欲しい。
こっちも頑張ってナビするからさ』
『ここぞとばかりによく喋るなぁオイ』
とにかく進む以外道はない。
進んで仲間を見つけて親玉ぶっ飛ばして聖杯ゲットだぜ!
どこのポケットなんだかと謎のツッコミを入れた紫助以外の2人は、了解の旨を伝えて通信を終了させた。
そして執拗に腹を擦り、それ以降彼が口を開くことはなかった。
「......到着です。
敵性反応なし、危険度は限りなくゼロに近いレベル。
はい、問題なさそうです。
これより召喚サークルを構築します」
「もうスルーでいいんだ」
「はい、私と紫助さんはいつも大体こんな感じです。
気にかけても無視しても同じなので、楽な後者を取ってます。
ちょっと子どもっぽいんですよねあの人」
「いや......あんな事されたら誰でも似たような反応すると思うけど」
立香の至極真っ当な言い分を華麗にスルーして、大盾を地面に突き刺して簡易的な術式を描いていく。
問題なく術式がセットされ、その後にすぐ通信が入る。
『うん、問題なく完了したようだね。
システム・フェイト同期完了、霊基安定ラインクリア。
魔力充填率37.4%......うん、残念ながら今のカルデアの状況では召喚は一回が限度だ。
まぁ他にも電力を移して一回召喚できると考えれば妥当だよね。
寧ろ呼べるだけよかったと思わなくちゃ。
さて、諸々準備が整ったところでお目当の英霊を呼ぶとしましょう。
紫助くん、召喚の準備はいいかい?』
「あ?何で俺なんだよ。
俺は別に一人でも問題ねぇ、寧ろ呼ばなきゃいけないのはコイツの方だろ」
『それがそうもいかないんだ。
彼は魔術に関して丸っきりの初心者。
応用以前に基礎すら触れた事のない一般人なんだ。
カルデアから擬似的に魔力は通してあげられているけれど、根本的には魔術に精通していないのさ。
英霊たちが気難しい連中なのは知っているだろ?
資格なしと判を押されてしまえば契約失敗となり、次の召喚まで無駄に時間を割く羽目になってしまう。
最悪殺されちゃうかもしれない。
まぁそれでもいいのなら別に立香くんが呼んでも構わないよ?』
「はいはい、ご丁寧にどうも。
一人寂しい男に慰めの相棒を恵んでくれるってか。
有難すぎて涙が出そうだよ」
『そう不貞腐れないでくれよ。
勿論君が一人だからという理由だけじゃない。
曲がりなりにも魔術を極めた君だからこそ、その戦力を如何なく発揮して欲しいんだ』
「何だ、やっぱり天才様にはお見通しだったって訳か。
分かった分かった、呼んでやるからコイツらの前でその話すんのはやめろ。」
『脅すような真似をして申し訳ないね。
だけどこっちにも余裕がない。
だからここは一つ頼むよ』
「はいよ、戻れたら一杯ぐらい奢れよな」
そう言って彼はフラフラと漂うように術式の中心へと近づいていく。
一体何の話だったのだろうか。
曲がりなりにも魔術を極めた?
それはなんというか、自分たち一般人からしたらものを極めるということは凄いことだと思う。
でも、彼はそう思っていない。
なんだろうかこの認識のすれ違いは。
相変わらずその背中は酷く寂しそうだ。
「で、なんか詠唱とか必要なんだっけ?」
『それについては必要ないね。
起動さえすれば後は何者かが呼ばれる。
君にできることは、彼らを使役するに足りる者だと証明すること。
後はまぁ......話の通じる者が来ると祈り給え!』
「意外とテキトーなんだな。
祈りか............よし、やってみっか」
徐に彼は片膝をつき、聖母マリアへ祈るように身体を丸めた。
祈りを捧げる姿勢なのだが、正直大の男がその姿勢を取ると気持ちが悪い。
騎士の忠誠の姿勢ならば様になるのだが、如何せん似合わない。
まず彼に祈り自体似つかわしくない。
「うわぁ............紫助さん、全然様になってないですね。
気持ち悪いです」
そうマシュは呟いてしまった。
それでも彼は姿勢を崩さない。
角度を変えて彼の顔が見える位置にまで移動してみると何やらブツブツ呟いていた。
その呟きに耳を澄ましてみると。
「別嬪ネーチャン別嬪ネーチャン別嬪ネーチャン別嬪ネーチャン......」
あぁ、これはダメだ。
煩悩丸出しで一心不乱に祈るその有様は、はっきり言って痛々しい。
可哀想とすら思えて来るほどだ。
彼は英霊を一体何だと思っているのだろうか。
デリヘルか何かと勘違いしているのではないだろうか。
というか最早祈っていない。
欲望を具現化しようと躍起になっている哀れな人そのものだ。
『おぉ!顕現反応あり!
来るよ来るよ、君の最初の相棒が!』
「神よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
充満していく魔力。
目に見えるほどに収束された魔力は高速で回転し、急速に収縮してその魔力を弾けさせた。
青白い雷が迸り、術式の中心に何者かがその姿を現す。
赤き線が張り巡らされた白き甲冑を見に纏い、身の丈に沿わない剣を携えてそれは現界した。
正しくその有り様は騎士そのもの。
そして、その存在感は自分たちとは丸っきり別者。
神秘を凝縮させて人の形をした超常的存在。
これがサーヴァントと呼ばれるもの。
「サーヴァントセイバー、召喚に応じ推参した。
お前がオレのマスターか?」
「多分な」
「何だぁ?随分と気の抜けたマスターだな。
面がよく見えねぇな......もっとよく見せろ」
「あ?テメェこそ暑苦しい兜外して面見せろよ。
初対面の相手に失礼だと思わないの?
何なの?その格好はただの飾りなの?」
「......ッチ、ほらよこれでいいか」
兜が変形して甲冑の一部となっていき、その面貌を露わにしていく。
何やら雲行きが怪しい。
声質からしてかなり若い年齢なのだろう。
サーヴァントは全盛期の時代の姿をもって現界するらしい。
きっとこのセイバーが活躍したのはとても若い時だったのだろう。
「サーヴァント、セイバー。
改めて真名、モードレッドだ」
「............女?」
突如、何かが切れた音がした気がする。
毎度、あずき屋です。
ということでヒロインのようなそうでないようなもう一人の主人公、モーさんの登場です。
今作品の流れはこうしてバチバチと火花を散らしながら共に歩んでいく形で進みます。
会話とか文がクドいかとは思われます。
大半がクドいとは思います。
許してください。
いっぱいいっぱいです。
正直言えば私の欲望の現れです。
こうして言いたいことを言い合いながらも同じ道を歩いてくれる子がいたらいいなぁと思い、妄想しながら作ったものです。
色々ツッコミたいこともあるとは思いますが、楽しんでくれれば幸いです。
縁があれば次のページでお会いしましょう。