IS~存在しない者の戦い~   作:shin-Ex-

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第32話!

今回はトーナメント一回戦直前まで進みます!

「そして読者にとっておそろく予想外であろうことが起きるな」

「何が予想外かは見てのお楽しみに」

それでは本編どうぞ!


第32話

side ルミナ

 

「別に・・・・助けてくれなくても良かったのに」

 

「あのまま続けていれば勝っていましたわ」

 

ボーデヴィッヒにやられて体中に包帯を巻いたセシリアと鈴はベッドから体を起こした状態で一夏とシャルルに言う。

 

「へ~・・・・・二人共随分な言い草だな?(黒笑)」

 

そんな二人に俺が黒笑を浮かべて言った。

 

「え?あ、あの・・・・ルミナさん」

 

「な、なんでそんなに清々しい笑顔を浮かべてるの?」

 

俺の笑顔を見て恐怖を感じているのだろう。顔を引きつらせている。

 

「別に?ただ・・・・・危ないところを助けてもらったのにそれはないんじゃないかなと思ってね。そうか・・・・一夏とシャルルのやったことは余計なお世話だったのか(黒笑)」

 

もう一度黒笑を発動する。助けてもらったのに礼の一つも言わないのは失礼だ。

 

「「二人共助けてくれてありがとう(ございます)。感謝するわ(しますわ)」」

 

二人は手のひらを返したように一夏をシャルルに礼を言った。よほど恐ろしかったのだろう。

 

「お、おう・・・・」

 

「気にしなくていいよ」

 

そんな二人の様子を見て一夏とシャルルは苦笑いを浮かべた。

 

「まあ意地を張りたくなる気持ちもわかる。一夏に恥ずかしいところを見られて恥ずかしかったんだよな?」

 

俺はセシリアと鈴の二人だけに聞こえるようにボソッと言った。

 

「「なっ!?」」

 

二人は顔を茹でタコのように真っ赤にさせる。やっぱりこの二人は一夏関係でからかうと面白いな。あとこの場にはいない箒も。そういや箒姿が見えないがどこにいるんだろ?

 

「二人共どうしたんだ?顔真っ赤にさせて」

 

「な、なんでもありませんわ!」

 

「何聞いてんのよ馬鹿!」

 

「・・・え?俺なんで罵られてるの?」

 

「・・・・一夏、女の子には色々とあるんだよ?」

 

シャルルは悟ったように一夏に言った。恐らく俺がなんて言ったのかもわかっているんだろうな。

 

「色々?」

 

そして一夏。お前はもうちょっと悟れるようになろうぜ?こいつの鈍感一向に直る気配無いな・・・・・見ててちょっと不安になる。

 

ガタガタガタ・・・・

 

「ん?なんだこの音?」

 

地響きのような音が聞こえてきて、校舎が軽く揺れ始めた。

 

「地震か?」

 

「いや、それはないと思う・・・・というか音が近づいてきてるような・・・・」

 

バンッ!!

 

突然、大きな音を立てて扉が吹き飛んだ。そして多くの女子生徒が保健室の雪崩込んでくる。つうか扉壊すなよ・・・・・

 

「な、なんだ!?」

 

「ど、どうしたの皆?」

 

突然のことに一夏をシャルルは唖然としている。かくいう俺も少し驚いている。

 

「「「「これ!!」」」」

 

保健室に雪崩込んできた女子は全員同じ紙を突き出してきた。俺は身近にいた子にその紙を受け取り書かれている文を読む。

 

「えっと・・・・今月行われる学年別トーナメントはより実戦的な模擬戦闘を行うため二人組での参加を必須とする。なお、ペアができなかった者は抽選で選ばれた生徒同士で組むものとする。締切は・・・」

 

「とにかく!私と組も織斑くん!」

 

「一緒に優勝目指そうデュノアくん!」

 

「勝利の栄光を二人で掴もう!オーティアスくん!」

 

「「「私と組んでください!」」」

 

女子の皆は我先にと俺達とペアを組もうと声をかけてくる。あまりの迫力・・・・しかも相当の人数なのでいくらなんでも少し気圧される。

 

(この状態で特定の誰かと組むって言うと少し面倒なことになるな。ここはシャルルか一夏と組んで・・・・)

 

「皆悪い!俺はシャルルと組むから諦めてくれ!」

 

一夏は俺が言う前に先に言ってしまった。

 

(一夏の野郎・・・・・今回ばかりは恨むぞ。と、そんなこと言ってる場合じゃない。ここは・・・・・)

 

「うぅ、残念・・・・だったらここは・・・・」

 

「「「「オーティアスくん!」」」」

 

皆は残った俺に標的を定めてきた。そんな中俺は・・・・

 

「皆ごめんね」

 

窓から外に飛び降りて逃亡を図った。

 

「「「「また飛び降りた!?」」」」

 

保健室からは落胆と驚きの声が聞こえる。

 

「ふう・・・・ちょっと危なかったな」

 

俺はISを足のみ部分展開して着地して言った。

 

(まあここまでくれば大丈夫・・・・・)

 

「やっぱり来た!」

 

声のする方に振り向くとそこには十数人の女子生徒がいた。

 

「ふふふ・・・・前と同じように逃亡するという予想は当たったようね!」

 

どうやら行動パターンを読まれてしまい先回りされたようだ。俺としたことが不覚だ。いや、この場合は俺の行動パターンを読んだ彼女たちを褒めるべきか?ともかく・・・・・

 

「・・・・逃げよう」

 

俺は女子のいる方とは反対方向に走り出した。

 

「「「待ってオーティアスくん!!」」」

 

こうして俺と一年のおよそ8割の女子との追いかけっこが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

余談だがこのやりとりはIS学園史上最大の鬼ごっことして後に語り継がれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2時間後

 

「つ、疲れた・・・・・」

 

俺は寮の自室のベッドに倒れ込んでいた。

 

「お、お疲れ様・・・・・」

 

シャルルが同情の篭った声で俺を労わる。

 

「全くだ。間違いなくこの学園に来て以来一番走ったぞ」

 

今なら『逃○中』に出ても確実に逃げ切って賞金を獲得する自信がある。既に知っていたことだが女子の執念は恐ろしいのだと再認識した。

 

「千冬さんがいなかったら・・・・確実に捕まっていたな」

 

そう、この鬼ごっこを終わらせてくれたのは千冬さんなのだ。騒ぎを聞きつけた千冬さんは俺を追い回す生徒全員を怒鳴りつけて止めてくれたのだ。本当に今回の件は千冬さんには感謝してもしきれない。明日の弁当は千冬さんの好物で固めよう。

 

「あはは・・・・ありがとうルミナ」

 

シャルルは突然お礼を言ってきた。

 

「何がだ?」

 

「今日・・・危ないところを助けてもらったから」

 

「・・・・ああ、そのことか」

 

シャルルが言ってるのはボーデヴィッヒの件についてだろう。

 

「気にするな。たまたま間に合っただけだから」

 

「・・・・前から思ってたんだけど、ルミナってあんまりお礼受け取らないよね」

 

「そうか?」

 

「うん。いつも気にするなって言ってる」

 

言われてみれば・・・・そういや鈴も同じようなこと言ってたな。癖になってるのかな?

 

「私はね、ルミナに助けてもらってすごく嬉しかったんだ。だからお礼は受け取って欲しい」

 

「シャルル・・・・わかった。受け取っておくよ。どういたしまして」

 

「フフッ・・・・」

 

シャルルは嬉しそうに笑を浮かべた。

 

礼を受け取るっていうのは礼を言った人の為でもあるのかもしれない・・・・肝に銘じておこう。

 

「ところでルミナ・・・・結局ルミナはトーナメント誰と組むの?」

 

シャルルは明らかに気になりますといった表情で聞いてきた。

 

「決めるつもりはないな。当日に抽選で選ばれた人と組む」

 

「どうして?」

 

「・・・・・また暴動が起きそうだから」

 

「あ~・・・・なるほど」

 

さっきみたいな目はもう懲り懲りだからな。

 

「そういうシャルルは大丈夫なのか?一夏と組むことになったが・・・・正体バレないように気をつけろよ?」

 

「だから大丈夫だってば。ルミナは心配しすぎだよ」

 

「・・・・説得力がないんだよ」

 

「うっ・・・・・」

 

シャルルは声を詰まらせる。正直これまで女だってバレなかったのは奇跡だと思うし。まあ俺がバレないように色々とフォローはしてきたけど。

 

「まあ今更心配しても仕方がない。後一週間ほどなんとか誤魔化そう」

 

「・・・・そうだね。それじゃあ私夕食作るね」

 

シャルルは夕食を作ろうと立ち上がった。ちなみに今日がシャルルに夕食を作ってもらう最終日だ。

 

「俺は少し疲れたから夕食出来るまでの間寝る。できたら起こしてくれ」

 

「うん、わかった」

 

俺はシャルルの了承を得て目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side シャルル

 

「よし、あとは煮込むだけ」

 

私は鍋に蓋をしてコンロの火を調節した。

 

「今日でルミナに料理を作るのは最後か・・・・・なんか残念だな」

 

ルミナの為なら毎日料理を作ってあげてもいい。そう思えるほどに私はルミナのことを・・・・

 

「ルミナ・・・・」

 

私はベッドで安らかに眠るルミナを見つめた。規則正しい寝息とともに胸が上下している。私は眠っているルミナに近づいた。

 

「こうして見ると・・・・やっぱりちょっと可愛いな」

 

年齢に対して少し幼く感じさせる顔立ち・・・・背丈は同じぐらいだけど一夏と並んでいるところを見ると見た目はルミナの方が年下に感じる。

 

でも実際はいつも冷静で年不相応な雰囲気を身に纏う・・・・一緒にいると年上なんじゃないかって錯覚することが多い。私と同い年なのに・・・・

 

何よりも彼の優しさ・・・・当然のように振り撒かれるそれはまるで包み込むかのように暖かく心地のいいものだ。それこそつい甘えてしまいそうになる程に。

 

そして・・・・・今日ボーデヴィッヒさんと対峙したときのルミナ。圧倒的にして荒々しく、それでいて隙を見せない慎重な戦い方で蹂躙し、まるで別人なのではないかと思わせるほどの冷酷で恐ろしい眼をしたルミナ。それさえも彼の魅力の一つで・・・・・

 

私はどんどんルミナに惹かれていく・・・・溺れていく。

 

私の心の中心が・・・・・ルミナで埋め尽くされていく。

 

「ルミナ・・・・・愛してる」

 

私はルミナの額に口付けをした。唇にしなかったのはまだ少し恥ずかしくて・・・・・怖いから。

 

私は料理を再開するために台所に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

side ルミナ

 

(愛してる・・・・か)

 

俺は額に残った感触に罪悪感を感じていた。

 

(実は起きていたと知ったら・・・・シャルルはどんな顔をするかな?)

 

俺はそんな不謹慎なことを考えて罪悪感から逃れようとした。

 

だが・・・・心には相も変わらず罪悪感が残る。

 

自分が恨めしかった。シャルルに愛されてしまった自分が。

 

シャルルだけではない。千冬さんものほほんさんも・・・・・そして楯無先輩も俺を愛してしまっている。そのことに俺は・・・・・気がついている。

 

もっと突き放すべきだった。俺を愛さないように・・・・・・俺を蔑んでしまうように突き放して傷つけるべきだった。俺は・・・・・『存在しない者』である俺は彼女たちの想いを受け止めることなど・・・できはしないから。

 

だができなかった。心が・・・・それを拒絶するから。彼女たちを傷つけることを・・・・拒絶してしまったから。

 

想いを受け取らないにも関わらず手を差し伸べる・・・・本当に俺は・・・・

 

(最低・・・・・だな)

 

俺は罪悪感を抱きながら再び落ない眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、学年別トーナメント当日

 

「すごい人の数だな・・・クラス対抗戦の時も多かったけどそれ以上だ」

 

一夏はモニターに映った観客席を見て言った。

 

「そりゃあ企業にとっても一大イベントだからね~」

 

「黛先輩」

 

「有能な3年を見極めてスカウトしたり援助している生徒の成長を確認する為に色んな国、企業の人間が集まってるんだよ」

 

なんの脈絡もなく現れた黛先輩が説明した。

 

「・・・・なんか緊張してきた」

 

一夏は顔色を悪くする・・・・本番には強いけどプレッシャーには弱いんだよな一夏は。

 

「まあ頑張れ、あんまりシャルルに迷惑かけんなよ?」

 

「わかってるよ」

 

「ところで黛先輩はどうしてここに?」

 

シャルルは先輩に尋ねた。ちなみにこの二人は数日前にインタビューをしたときに知り合っている。

 

「もちろん!今話題のドイツの候補生の試合前インタビューをする為よ!」

 

黛先輩は力強く言う。

 

「でもここに居るっていうことは手酷く一蹴されたんですね?」

 

「・・・・正解」

 

やっぱりか・・・・ボーデヴィッヒのことだから一言『失せろ』って言ったんだろうな。

 

「こうなったら君たち男子3人にインタビューを・・・・」

 

「二人きりでなら・・・・いいですよ」

 

俺はあの時と同じように耳元で囁いた。

 

「ひゃう!?や、やっぱり止めておきます!それじゃあ失礼します!」

 

黛先輩は顔を真っ赤にさせて脱兎のごとくその場から去った・・・・・こういうことするから惚れられるのだろうな・・・・・すげえ自己嫌悪。

 

「なあルミナ・・・・・お前は本当に何を言ったんだ?」

 

「お前が気にする必用はない。それよりも目の前の試合に集中しろ」

 

「あ、ああ。わかった・・・・」

 

「・・・・・ねえ一夏、ボーデヴィッヒさんとのことで気負い過ぎてない?」

 

シャルルは心配そうに一夏に聞いた。

 

「いや、別にそんなことは・・・・」

 

「ならいいけど・・・・・感情的にはならないでね?ルミナを除けばボーデヴィッヒさんは恐らく一年の中じゃあ最強だから」

 

その言い方だと俺がボーデヴィッヒよりも強いように聞こえるな・・・・・正直俺がボーデヴィッヒを追い詰められたのは相性がいいからで実力はあまり関係なかったりするし。

 

「ああ・・・・わかってる」

 

「ならいいけど・・・・」

 

「っと、二人共、トーナメント表が出たぞ」

 

俺が言うと二人は一回戦の相手を知るためにモニターに目を向ける。

 

「え?」

 

「こ、これって・・・・」

 

「・・・・はあ、面倒なことになったな」

 

 

 

  織斑一夏

シャルル・デュノア

   VS

ラウラ・ボーデヴィッヒ

ルミナ・オーティアス

 

 

この勝負・・・・・どうなることやら。

 

 

 




あとがき座談会のコーナー!INIS!!

今回のゲストは新聞部副部長!黛薫子さんです!

「よろしく~!」

はいよろしくお願いします!それでは進めていきましょう!

「・・・・というかなんで私がゲスト?私別に主要キャラじゃないよね?」

まあ確かにそうですが・・・・・それでも出番は結構あるでしょう?

「まあ確かにそうだな」

「それにルミナに篭絡されたっていうので結構インパクト強いし」

「それは言わないで!!」

あはは!顔を真っ赤にさせて可愛いですね~。

「うぅぅ・・・・・恥ずかしくて顔から火が出そうだよ」

「そんなに恥ずかしいですか?」

「恥ずかしいよ!あんなふうに耳元で囁かれて恥ずかしくならないわけないよ!オーティアス君ってどんなプレイボーイ!?」

「いや俺は別にプレイボーイじゃ・・・・」

前世での経験。

「・・・・・否定できない」

「「本当にどんな前世だったんだ(だったの)!?」」

「まあ・・・・・只者じゃない咎人だよ。それ以上は今は言えないかな」

「・・・・まあルミナがそう言うなら詮索はしないけど。ところで一つ主に聞きたいことがあるんだが」

なんですか?

「黛先輩って・・・・ルミナのヒロイン候補か?」

「ちょっと織斑くん!?なに聞いちゃってくれてるの!?」

アハハ!まあ気になるところですよね!黛さんは・・・・

「黛先輩は?」

・・・・・ルミナさんのヒロイン候補になるかは未定です。

「み、未定!?どうして?」

おや?その反応は・・・・・ヒロイン候補になりたいので?

「え!?あ、あの・・・・それは・・・・///」

「満更でもないって感じだな」

「俺としては複雑な気分だな・・・・」

「・・・・で?どうして未定なの?」

う~ん・・・・どうにもしっくりとこないというか・・・・黛先輩の立ち位置はルミナさんに振り回される役割って感じなので。

「不本意すぎる!」

まあそんな立ち位置だからヒロイン候補では全くないとも言い切れず・・・・未定という形で落ち着いています。

「なるほどそういうことか」

そういうことです。さて、そろそろ締めますか。

「また本編の話してないし・・・・」

「・・・・私に至っては叫んでばかりだったよ?」

それがこの座談会のうりです!さて、それでは・・・・・

「「「「次回もまたきてくれ(きてね)(きてください)!!」」」」

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