今回は束さんとの邂逅です!
「ここであの人が登場か・・・・」
「これからどうなることだか・・・・」
それでは本編どうぞ!
noside
臨海学校二日目。
「箒、おはよう」
部屋から出て顔を洗いに向かっていたルミナは箒に遭遇した。
「・・・・ルミナ、おはよう」
「・・・・どうした?」
「何がだ?」
「なんか複雑な顔してるぞ?」
ルミナの言うとおり箒の表情は少し硬く、塞ぎ込んでいるようにも見える。
「・・・・・別になんでもない」
箒はルミナに目を合わせずに言った。
「・・・・なんでもないだなんてことはないと思うが?」
ルミナは最近の箒はどこか様子がおかしいことに気がついていた。元気がなく、思いつめたような表情をすることが多い。
ルミナはそんな箒の状態はあまりよろしくないと思っていた。今の状態が続けば・・・・・何かよからぬことが起きてしまいそうだから。
「・・・・・本当になんでもない。なんでも・・・・」
「・・・・・わかった。変なこと聞いて悪かったな」
ルミナはそれ以上の詮索はしなかった。
確かに気にはなっている。だが・・・・・・あそこまで頑なになんでもないと言われてしまえば自分ではもうどうしようもないと理解しているからだ。
(悪い予感が当たらなければいいんだけどな)
「よし、全員集まったな」
今日は実装訓練を行うことになっている。ただ専用機持ちは各国から送られてきた装備の確認をするために他の生徒たちとは違う場所で訓練に集合していた。
「ちょっと待ってください。箒は専用機を持ってないでしょう」
鈴が千冬に尋ねた。今この場にいるのはルミナ、一夏、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、教師の千冬・・・・・・そして箒だ。教師である千冬を除いて箒だけが専用機を持っていない。故に鈴は尋ねたのであった。
「私から説明しよう。実はだな・・・・」
千冬がそのことを説明しようとしたその時。
「ち~ちゃ~ん!」
ドドドドド!
地響きとともに千冬の名を呼ぶ声が聞こえてきた。それを聞いて千冬と箒は複雑そうな・・・・・というより嫌そうな表情をする。
ルミナ達が声のする方向を見ると一人の女性が砂煙を巻き起こるほどの勢いで崖を降りてきているのが見えた。そして・・・・
バッ!
その女性はそのままの勢いを保ったまま跳躍し、千冬に向かってフライングボディアタックを仕掛けた。そして千冬は・・・・・
ガシッ!
流れるような無駄のない動きで女性にアイアンクローを仕掛けながら受け流した・・・・・もはや人間業ではない。
「やあやあちーちゃん久しぶり!さあハグしよう!二人で愛を確かめ合おう!そして結婚しよう!」
しかしアイアンクローを受けていることなど一切気にも止めずに女性は千冬に百合ん百合んした空気をまとって迫ろうとする。
「うるさいぞ束」
「いや~相変わらず容赦のないアイアンクローだね!でもそこにちーちゃんの愛を感じるよ!」
「愛などない。あるのは純粋な嫌悪だ」
女性はしつこく言い寄る、そして千冬は慣れた様子でそれをあしらう。
((((な、なにこれ?))))
そんな様子を見ていたセシリア、鈴、シャルロット、ラウラは唖然とし、
(ははは・・・・本当に相変わらずだな)
一夏はそれを呆れたように苦笑いを浮かべていた。
「っと!そうだった!」
束は急に思いたったように千冬のアイアンクローを抜け出し、岩陰に隠れていた箒の下に高速で近づいていき・・・・
「箒ちゃ~ん!やあ!元気だった?」
満面の笑顔で挨拶をした。
「・・・・どうも」
そんな束に対して箒は若干おどおどしたような様子で返す。
「久しぶりだね~!こうして会うのは何年ぶりだっけ?さあ!私の箒ちゃんの成長を確かめさせておくれ!特にそのたわわに実ったおっぱいを・・・・」
ドガン!
我慢の限界だったのだろう。箒はどこに持っていたのかしれない木刀で殴った。普通に考えれば危ないことだが・・・・・
「殴りますよ!」
「殴ってから言った~!箒ちゃん酷い~!」
・・・・・束は無傷であった。どうやら彼女の身体は常人のそれとは一線を画しているらしい。
「はあ・・・・束。いい加減自己紹介くらいしろ」
「え~・・・面倒くさいな~」
千冬が呆れたように自己紹介するように促すと束は口を尖らせて本当に面倒くさそうにした。
「はろ~♪私が皆のアイドルにして天才の篠ノ之束さんだよ~!はい終わり!」
(((それだけ!?)))
物凄く簡潔に終えられた自己紹介に対してセシリア、鈴、シャルロットは思わず心の中で突っ込んでしまった。
ちなみにラウラは自身の自己紹介はさらに短かったためか突っ込んでいない。
(篠ノ之束・・・・・この人がISを創った稀代の『天災』・・・・か)
ルミナは真剣な表情で束を見つめる。
機械仕掛けの兎耳カチューシャ、まるで物語の女の子が着るかのような服装・・・・・とてもではないがISの開発者だと言われても信用できない姿をしている篠ノ之束。だがルミナは・・・・・
(・・・・・初めてだな。この手のタイプの人間は)
束に対して今まで会ってきたどの人間とも違うなにかを感じていた
前世を含めてルミナは様々な人間と出会ってきた。だが束はそのどれとも違う。ルミナにとって全く新しい人種である束・・・・・ルミナはIS開発者であることなど一切関係なしに彼女に深い興味を持った。
「ところで姉さん・・・・例の物は?」
「うん!もちろん用意してあるよ!さあ大空をご覧あれ!」
束が天を指すと空から菱形の何かが降ってきた。
ドン!
それは地面に落ちると同時に形を変え・・・・・
「これが束さんの最新作!全スペックが現行ISを上回る
紅いISを形どった。
「紅椿・・・・・これが私の・・・・」
箒は紅椿を・・・・自分だけの力を目にして目を輝かせた。
「さあ箒ちゃん、フィッティングを始めようか」
「はい!」
束に言われて箒は紅椿を身に纏った。そして束はいくつもの立体ディスプレイを展開して信じられないような速さでタイピングをはじめる。
「す、すごく早い・・・・」
「こんなスピードのタイプ初めて見た」
「しかもこの数を同時に・・・・」
「これが篠ノ之博士・・・」
異常なまでのスピードを見ていた一同は呆気にとられる。今何を操作しているのかも分かっていないようだ。
(流石に早いな・・・・・しかも正確だし)
ただ一人、ルミナを除いて。彼だけがこの場で束の処理の速度についていくことができた。
「はい終わり!後は紅椿が自動でやってくれるよ!流石束さん!仕事が早い!」
束はえっへんと大きく胸を張った。やっている事は規格外だがその仕草だけなら小さな子供のそれと同じに見える。
「さて、それじゃあ・・・・」
束はルミナの方に近づいて行った。
「やあ!君がルー君だよね?」
「・・・・ええ、そうですよ(ニコッ)」
ルミナに対して満面の笑みを浮かべながら声をかける束。ルミナはいきなりあだ名で呼ばれたにも関わらず、笑顔で返事をした。
「うんうん!間近で見ると中々可愛い顔してるね!結構束さんの好みかも!」
「ありがとうございます。ただ俺も男ですからあまり可愛いとは言われたくないですね」
「そうなの?それはごめんね~!」
「アハハッ!あなた悪いとか思ってないでしょう?」
「あはは~!バレちゃったよ~!」
まるで昔から付き合いのある友人のように笑顔で会話を弾ませるルミナと束。その光景を一夏、箒、千冬は信じられないものを見るかのような目で見ていた。
束は身内の人間に対してはまるで子供のように無邪気な態度で接するのだが自分の興味のない人間に対しては同一人物なのかと疑うほどに冷淡な態度をとり、拒絶する。さらに束は滅多なことでは他人に興味を示さないのだ。
しかしルミナは束に拒絶されてはいない・・・・・つまりルミナは束に興味を持たれているということだ。
「ところでさ~ルー君!束さんはルー君にお願いしたいことがあるのだ~!」
「なんですか?」
「束さんはね?ルー君に興味があるんだよ!ルー君がどうしてISを動かせるのかすっごくすっごくね。だから・・・・・ルー君をナノ単位まで分解してもいい?」
束はなんでもないように笑顔で言い放った。
「なっ!?」
周りのほとんどが冗談だと思って聞き逃していたが・・・・・千冬だけは違っていた。付き合いの長い彼女だからこそわかるのだ。
束は・・・・・冗談でもなんでもなく本気で言っているということを。
千冬が知る篠ノ之束は一度知りたいと思ったことに関してはとことんまで調べて知ろうする人物だ。
そしてそのためには妥協しようとはしない。できうることはなんでもする。
それが・・・・時にどんなに残酷であろうとも。
「束!貴様・・・・」
ふざけたことを言うな。千冬が今まさに束にそう言おうとしたとき・・・・・
「いいですよ」
ルミナは一切笑みを崩さずに了承した。
「・・・・え?」
そしてその返答に対して一番困惑したのは千冬・・・・・ではなかった。
「えっと・・・・ルー君?」
束は笑顔をヒクつかせている。ルミナの返答に一番困惑したのは・・・・・お願いした束自身であった。
「どうしたんです束さん?了承したんですからもっと喜んでくださいよ」
「えっ!?あ、うん・・・そうだね~」
アハハと笑う束。だがその心中は決して穏やかなものではなかった。
確かに束がルミナにお願いしたことは本気であり冗談では決してなかった。だが束は・・・・どうせ断られると思っていた。
当然だ。『分解していい?』だなんて聞かれて了承する人間などいるはずもない。束自身だって嫌なのだから。
それなのにルミナは・・・・・
「あ、でも一つだけいいですか?」
「な、何?」
「あんまり期待しないでくださいね?どうせわからないでしょうから」
ルミナは皆に聞こえないように束に耳打ちして言った。
「ッ!!」
このとき束は確信した。やっぱりそうなんだと。自分と同じように本気なのだと。冗談でもなんでもなく・・・・・本気で了承しているのだた。
(な・・・・に?なんなのこいつ?)
束は恐怖した。ルミナという一人の人間に。
ルミナの意図することが理解できない
ルミナの考えてることが理解できない
ルミナがなぜ笑っていられるのか理解できない
目の前のたったひとりの少年は・・・・・ただただ理解できない
それがなにより恐ろしい。
そして同時に何よりも・・・・・・
「・・・・ふふ、ふふふふ・・・・アハハハハハ!ルー君って面白いね~!」
何よりも・・・・・・・面白く興味深い。束の心はルミナに対する好奇心で満たされた。
「褒め言葉として受け取っておきますよ」
変わらず笑顔で応対するルミナ。
双方ともに笑い合う。それ故に千冬を除く全員がこれまでのやりとりは全て冗談なのだと思い込んでいた。
(・・・・・ルミナ。お前は本当になんなのだ?)
千冬は思う。ルミナは本当に一体何者なのだと。
年不相応に大人びていることは知っていた。だが・・・・今の束とのやりとりは明らかに異常だ。まるで自分の存在などなんとも思っていないかのように簡単に自らの身をを差し出す・・・・・
そんなルミナのことが・・・・・千冬は少しわからなくなってしまった。
(本当に面白いねルー君・・・・・思わず欲しくなっちゃったよ)
束は思う。ルミナが欲しいと。
自分が今まであった誰とも違うルミナ。その全てが知りたい。その全てを解き明かしたい。
そして・・・・・ルミナを自分だけのものにしてみたい。
束の心には・・・・・ルミナに対する独占欲が渦巻いていた。
「姉さん、フィッティング終わりました」
紅椿のフィッテングが終わったため、箒は束に声をかけた。
「はいは~い!それじゃあ性能確認してみよ~!」
束はルミナとの事は一旦置いておいて、箒に紅椿の性能の確認させた。
(・・・・あれが紅椿か)
ルミナは上空に佇んでいる紅椿を見上げる。
『圧巻』それが先ほどまで行われた紅椿の性能テストを見てルミナが抱いた感想だった。
パワーもスピードも間違いなく自身のイクリプスよりも上。流石は束が最高性能だと太鼓判を押すのもうなずけると素直に思った。
だが・・・・それ故にルミナは大きな不安を抱いた。
紅椿の力に対して明らかに箒は未熟過ぎる。あれでは紅椿を使いこなせずに逆に呑まれて振り回されてしまう可能性がある。
そうなってしまえば・・・・・・今までの篠ノ之箒という人格さえも歪んでしまう恐れがある。
(・・・・そのあたりをちゃんと理解させなければな)
ルミナは可能な限り箒のフォローをしようと決めた。
だが・・・・・
その決意は脆く崩れ去ることになる。
あとがき座談会のコーナー!INIS!!
今回のゲストは篠ノ之束さんです!
「ハロ~!よろしくね~!」
はいよろしくお願いします!それでは進めていきましょう!
「今回俺は初めて束さんに会ったわけだが・・・・」
「ねえねえ!どんな印象だった?」
「そうだな・・・・・今まで会った誰とも違うから曖昧にしか言えないけど・・・・・強いて言うなら頭の良すぎる哀れな子供だな」
「えっ?私が・・・・哀れ?」
「・・・・まああくまでも俺の主観です。今は気にしないでください。現段階で確信持ってるわけでもないですし」
「・・・・うん。わかったよ」
「それじゃあ別の話だな。なんか見た限りだとルミナと束さんフラグが建ってるように見えるんだが・・・・・どうなんですか束さん?」
「う~ん・・・・・わからないかな?」
「わからない?」
「ルー君が欲しいって思ったのは確かだけど・・・・・それが恋なのかは束さんはわからないんだよね~。確かにいっくんやちーちゃん、箒ちゃんとは違う感じなんだけど・・・・それがなんなのかははっきりと理解できないんだよ」
この辺りが束さんの欠点ですね。圧倒的にコミュニケーションが不足しているがゆえに感情に対してうまく理解できていないんですよ。そう言った点ではルミナさんとは逆ですね。
「ルミナと逆?どういうことだ?」
「俺は・・・・・前世で様々な種類の人間と接していたからな。色々な感情を知り、理解する機会が多かったんだよ」
「だからルミナは鋭いのか」
「・・・・・それだけですめばまだ可愛げがある」
「え?」
「どういうことルー君?」
「俺は・・・・・その感情を利用してきたんだよ」
「感情を・・・・利用?」
「感情は時に・・・・ナイフや銃よりも強力な道具になる。そういうことさ」
「それって・・・・何のための道具だ?」
「・・・・・ナイフと銃を並べたんだ。わかるだろ?」
「・・・・・」
「ルー君・・・・・」
・・・・暗くなてしまいましたね。今回はここまでにしましょう。
それでは・・・・
「「「「次回もまたきてくれ(きてね~)(きてください)!!」」」」