今回ついにルミナさんが目を覚まします!
「今まで心配かけて悪かったな」
「全くだ。本当に心配したんだぜ」
「本当・・・・すまない」
はいはい!謝るのはそこまでにして本編にいきますよ!
「わかった。それでは本編どうぞ」
side 楯無
「・・・・どうみても普通・・・・よね」
秋菜さんからイクリプスについての話を聞いた二日後。私はある資料の束に目を通していた。資料は何度も何度も読み返しているせいか少々紙が傷んでいる。
その資料は・・・・・・ルミナに関するもの。戸籍情報、交友関係、経歴・・・・とにかく調べられる限り可能なもの全てだ。
「・・・・『存在しない者』か。あなたは一体何者なの?」
私は目の前で静かに眠るルミナを見つめながら呟いた。
~2日前~
「・・・・秋菜さん。少し聞いてもいいですか?」
イクリプスの説明を終えた秋菜さんに、私は尋ねる。
「イクリプスについてですか?」
「いえ・・・・ルミナのことについてです。何かルミナに関して知っていることはありませんか?」
秋菜さんならばもしかしたらルミナについて私たちが知らない情報を持っているのではないかと私は思った。他の者も気になっているようで秋菜さんを見つめている。
狂おしいまでにルミナを求めるフェニスとは一体何者なのか?どうしてルミナのことをナルミと呼ぶのか?そしてフェニスが言っていたルミナの闇とはなんなのか?
私たちには一切なにもかも理解できなかった。
故にすがる思いで秋菜さんに尋ねた。
でも・・・・
「・・・・すみません。あなた達が知る以上のことはおそらく何も知らないと思います」
秋菜さんは申し訳なさそうに頭を下げながら言った。
秋菜さんもルミナに関して知っていることはそこまで多くはないみたいだ。
きっと・・・・ルミナ自身が話していないからでしょうね。
「・・・・そうですか」
ルミナの事がなにもわからなかったため、私は落胆して、顔を伏せた。
「・・・・ただ」
「?」
「一度だけ・・・・ルミナさんが自身のことを『存在しない者』と称していたのを聞いたことがあります」
「・・・・え?」
一瞬、秋菜さんが何を言っているのかわからなかった。
「あ、そういえば・・・・」
シャルロットちゃんが思い出したようにハッとした。
「どうしたのシャルロットちゃん?」
「えっと・・・・あの時フェニスっていう人がルミナに言っていたんです。『この世界で確かに生きているはずの自分を『存在しない者』として扱う』って」
「・・・・・『存在しない者』?」
私はその言葉が妙に引っ掛かった。その言葉が何を意味するのかはわからないが・・・・・その言葉がルミナを知る上で重要なものであると何故か直感した。
「ルミナ・・・・・『存在しない者』ってどういう意味なの?」
私はルミナの頬に手を当て語りかける。だがルミナからはその答えがかえってくることはない。
おそらく『存在しない者』というこの言葉がルミナの闇に大きく関わっているだと思う。だから私はその意味を知るためにルミナの事を徹底的に調べ上げた。
でも・・・・その結果わかったことはルミナがごく普通の一般人であるということだ。
カナダ人でありながら日本で生まれ日本で育ったという点と幼くして両親を亡くしたことを除けばルミナの経歴におかしなところは全くない。私のような裏に関わりがあるわけでもなければ特別な教育を受けたわけでもない普通の少年だった。
それ故に・・・・・腑に落ちない。
年不相応だと思わせる雰囲気や冷静さ、物事の捉え方
3年の精鋭でさえ及ばないほどの高度なハッキングの能力
ISを独自開発してしまうほどの頭脳
明らかに慣れていると思わせるほどに洗練された戦闘時の動き
そして・・・・・自身の身を一切顧みずに他者を守ろうとする自己犠牲の精神
どれも普通に生活していく上で決して身につくはずのない・・・・否、身につけてはならないもの。
それなのにルミナは・・・・当たり前のようにそれを手にしている。
当たり前のように・・・・それを享受している。
これは・・・・明らかに異常なこと。
「起きて・・・・お願いだから目を覚ましてルミナ」
私はルミナの手を強く握った。
「私・・・私にはわからない。あなたのことを知りたいのに・・・・・それなのに何もわからない」
ポツリポツリと・・・・私は言葉を紡ぐ。
「あなたが闇を抱えていることを理解できたのにその闇がなんなのかわからない。あなたが苦しんでいることを理解できたのにその苦しみの根源がなんなのかわからない。あなたが悲しんでいることを理解できたのに・・・・・その悲しみから救う方法がわからない」
私の頬に一筋の涙が伝う。
「私には・・・・・何もわからないの。あなたのこと・・・・何も・・・・」
ポロポロポロポロと・・・・私の頬には次々と大粒の涙を流れる。
「好きなのに。あなたのことを・・・・ルミナのことを愛しているのに。私はあなたのことを何も知らない」
こんなにも愛しているのに力になれない。
こんなにも愛しているのに何も知ることができない。
こんなにも愛しているのに理解者になってあげることができない。
こんなにも愛しているのに・・・・支えになってあげることができない。
それが・・・・・どうしようもなく辛くて、どうしようもなく悲しい。
「だからお願いルミナ・・・・目を覚まして。私に・・・・あなたのことを教えて」
あなたはまた拒絶するかもしれない。また自分を苦しみながら私を突き放すかもしれない。
でも・・・・それでも私は知りたい。知ってあなたを救いたい。
あなたのことを愛しているから。
あなたのことが何よりも大切だから。
だから私は・・・・・私は・・・・
「ルミ・・・ナァ・・・・」
私はルミナの体をそっと抱きしめた。ルミナの体に障らないようにとできる限り優しく・・・包み込むように。
ルミナが早く目を覚ますようにと願いを込めて。
その願いが届いたからだろうか?ルミナは・・・
「う・・・ん・・・・」
ルミナは・・・・目を覚ました。
side ルミナ
『苦しかったでしょう?辛かったでしょう?自分の心を押し殺し、それでも仮初の友人を・・・仲間を守っていたのですから』
目の前にはあの人が・・・・・フェニスさんが居る。フェニスさんが・・・・優しくて暖かい声で俺に語りかけてくる。
『でももう大丈夫です。私があなたの・・・・あなたの為の世界を作ってあげますから』
俺の為の世界・・・・フェニスさんが俺の為に作ってくれる俺の為の世界。
『誰もあなたを拒絶しない、皆があなたの過去を・・・・・闇を全てを受け入れてくれる。あなたの為の優しい世界』
俺を拒絶しない世界。俺を受け入れてくれる世界。俺の為の・・・・優しい世界。
『足りないというのならいくらでも創りましょう。欲しいと思うものはなんでも用意しましょう。そして・・・・あなたを不幸にするものを、妨げるものを、苦しめるものを、縛るものを・・・・全て壊してあげましょう。だから・・・・・救いを求めてください。助けを求めてください・・・・・私を求めてください。私はその全てに答えます。私は・・・・あなたを愛しているから』
俺の欲するものをなんでも創ってくれて・・・・俺に仇なす者は全て壊してくれる。
フェニスさんは・・・・・俺の求めに全て答えてくれる
フェニスさんは・・・・・俺を愛してくれる
血と罪に塗れた俺を
許されざる俺を
『存在しない者』である俺を
(フェニスさんのものになれば・・・・俺は・・・・苦しみと悲しみと・・・・・罪から解放される)
それは俺が・・・・心の底から願っていたもの。
口では否定していたが・・・・俺は『解放』されることを何よりも欲している。
フェニスさんは俺の・・・・・俺だけの救いの女神。
彼女を受け入れれば・・・・俺は願いを叶えることができる。
彼女と居れば・・・・俺は解放されるんだ。
それなのに・・・・
どうしてだろう?
どうして・・・・フェニスさんを受け入れようと心の底から思えない?
どうして・・・・
何よりも煩わしいと思った彼女の顔を・・・・・
散々否定してきた彼女のことを思い浮かべてしまうのだろう?
「う・・・ん」
頭が・・・・ぼんやりする。ここは・・・・どこなんだ?確か俺はあの5人と戦って・・・その時に現れたフェニスさんと話をして・・・・その後俺は・・・・俺は一体どうなった?
「・・・・ルミナ?」
誰かが俺の名を呼んだ。
その声は・・・・俺がこの世界で最も煩わしいと・・・・・最も愛らしいと感じる者の声であった。
「楯無・・・・先輩?」
俺の名を呼んだのが楯無先輩だとわかったその瞬間に、俺の意識は覚醒する。そして今・・・・楯無先輩に抱きしめられていることに気がついた。
「よかった・・・・ようやく・・・・目を覚ました」
楯無先輩は抱きしめる腕の力を強くしてきた。それと同時に俺の体に鈍い痛みが走るのを感じる。
「痛・・・」
「あ・・・・ごめんなさい」
痛みで声を上げると楯無先輩は体を離した。
「!?」
そして楯無先輩の顔を見て俺は思わずギョッとしてしまった。
楯無先輩が・・・・大粒の涙を流しているからだ。
なぜだかわからないけれど、その涙を見ていると・・・・・なぜか胸がチクリと痛んだ。
「楯無・・・先輩?どうして・・・・泣いているんですか?」
俺は思わずそう尋ねてしまった。
「・・・・あなたの・・・せいでしょ」
「え?」
「あなたのせいでしょ!」
楯無先輩は涙を流しながら俺を怒鳴りつけてきた。
「あなたが・・・・あなたの事を・・・何も知らないから・・・・だから泣いてるのよ!」
「え?あ・・・・え?」
起きて間もないせいで頭がイマイチうまく働いていない俺には、楯無先輩が何を言っているのか理解できなかった。
「あなたを・・・救いたいのに・・・・あなたの支えになってあげたいのに!それなのに・・・・それなのに私は・・・・あなたのことを何も知らない」
「楯無・・・先輩」
「それがすごく苦しくて・・・・辛くて・・・・悲しくて・・・・だから私・・・私は・・・」
「・・・・・」
「あなたは何なの?ルミナって一体なんなの?お願いだから・・・・教えて。あなたを知らないと・・・・あなたの支えになれない!あなたの理解者になれない!あなたを・・・・救うことができない!」
「・・・・・」
「お願いだから・・・・私にあなたを救わせてよ・・・・ルミナ」
「・・・・楯無先輩」
楯無先輩は涙を流しながら・・・・苦しそうに・・・辛そうに・・・・悲しそうに俺に訴えかけてきた。
(楯無先輩は・・・・・俺のせいで泣いている?俺のせいで・・・・・悲しんでいる?)
俺は・・・・胸がさらに痛むのを感じた。
「・・・・どうして?どうしてあなたは・・・・そこまで俺を?」
わからなかった。
どうして俺のことをそこまで気にかけてくれるのか。
どうして俺のことをそこまで知ろうとしてくれるのか。
どうして俺のことをそこまで支えようとしてくれるのか。
どうして俺のことをそこまで救おうとしてくれるのか。
俺には・・・・全然わからない。
「そんなの・・・・決まってるでしょ?あなたのことを・・・・・
愛しているからよ」
楯無先輩は俺の目を正面から見据えて言った。
・・・・なんでだろう?
フェニスさんも・・・・俺のことを愛していると言ってくれたのに・・・
フェニスさんの愛は・・・・何にも増して優しくて、暖かいのに・・・・
どうして楯無先輩の愛の方が・・・・心地良いと感じるんだろう?
・・・・愛おしいと思うんだろう?
「・・・・楯無先輩」
ギュッ
俺は楯無先輩の体を抱きしめた。
「・・・・ごめんなさい」
そして俺は・・・楯無先輩に謝罪した。
「今まで・・・・苦しい思いをさせてしまってごめんなさい。辛い思いをさせてしまってごめんなさい・・・・・悲しい思いをさせてしまってごめんなさい」
今まで・・・・気づかなかった。
隠すことが・・・・楯無先輩の為になると思っていた。
俺のこと・・・・知らない方がいいんだと思っていた。
それが・・・・最善なんだと思ってた。
でも・・・・そのせいで楯無先輩は苦しんで・・・・・悲しんだ。
そのせいで楯無先輩は・・・・涙を流した。
楯無先輩の涙を見て・・・・ようやく気がつくことができた。
愛する人が苦しんでいるのを見るのは・・・・悲しんでいるの見るのは・・・・すごく痛い。
すごく痛くて・・・・すごく辛い。
俺がそんな思いを楯無先輩にさせていると思うと・・・・・申し訳ない気持ちで一杯になる。
「本当に・・・・本当にごめんなさい」
楯無先輩を抱きしめる力を強くする。体に痛みが走るがそんなの今はどうだっていい。今は・・・・楯無先輩を抱きしめることしか考えられない。
「ルミ・・・ナ・・・・」
楯無先輩は俺の背に手を回し、俺の胸に顔を埋めた。
「う・・・うぅ・・・うわぁぁぁぁぁぁ!!」
そして楯無先輩は泣き喚いた。小さな子供のように・・・・わんわんと。
俺はさらに抱きしめる力を強くした。
もしかしたら・・・・楯無先輩だけじゃなくて皆にも・・・・同じ思いをさせているかもしれない
もうこれ以上・・・・・楯無先輩に・・・そして皆に辛い思いをさせたくない
・・・・泣いて欲しくない
だから・・・・・話そう
俺の全てを
そして・・・・
俺の前世・・・・俺が『ナルミ』であった時のことを
もう・・・・・隠すのは終わりにしよう
あとがき座談会のコーナー!INIS!!
今回のゲストは楯無さんです!
「よろしくね♪」
はいよろしくお願いします!そして今回はとうとうこの場で楯無さんとルミナさんが顔を合わせます!
「今まで楯無先輩がいるときは座談会バックれてたからな俺(汗)」
「ようやくね。この時を待ち焦がれたわ」
「本当にすみません」
「いいわよ。気にしないで」
「ならいいですが・・・・」
「ほら、もっと明るい顔しなさい。美人顔が台無しよ?」
「・・・それ本来は男の俺が言うべきセリフじゃあないですか?」
「まあいいじゃない♪」
「・・・・そうですね」
「「♪~」」
「・・・・な、なあ主。なんか俺若干居心地が悪いんだが・・・・・」
まあ・・・気持ちはわかりますよ一夏さん。本編でルミナさんは完璧に楯無さんを受け入れるようになりましたからね・・・・
「これはその反動っていうことか・・・・」
まあそうですね。
「ん?どうした二人共?」
「な、なんでもねえよ。それより座談会進めようぜ」
ですね。今回はルミナさんが目を覚ましたんですが・・・・ここで一つ言っておきましょう。もしも目が覚めた時に楯無さんがいなかったらルミナさんは確実にフェニスさんのところに行っていたでしょう。
「それは・・・・まあ否定できないな。気持ちがかなりぐらついていたし・・・・フェニスさんは俺に与えてくれるものは俺にとってすごく魅力的だったからな」
「ルミナ・・・・」
「でも・・・・なんか楯無先輩の泣いている顔を見たら・・・楯無先輩に泣きながら愛しているって言われたら・・・・・うまく言葉に言えないけど・・・・楯無先輩の傍にいなきゃって思ったんだよな」
「そ、そうなの///」
おやおや、楯無さん照れてますね~(ニヤニヤ)
「なっ!?うるさいわよ主!」
「照れてる楯無先輩は可愛いですね」
「ちょっ!?ルミナ!!」
「アハハッ♪」
「・・・なあ主。まさかこの先この二人って・・・・」
ええ・・・・これが平常運転になりますよ。
「・・・・なんかスゲエ砂糖吐きそう」
同感です・・・・とりあえず今回はここで締めにしましょう。これ以上は体中の糖分を全て吐き尽くしてしましそうですし・・・・
それでは・・・・
「「「「次回もまたきてくれ(きなさい)(きてください)!!」」」」