今回はルミナさんが自身のことを告げます。ただ・・・・まだ前世のことについては話しません。
「楽しみにしていた読者の皆。本当にすまないな」
「俺としても気になるが・・・・まあ次回まで待つとしよう」
では本編にいきましょう。
「それでは本編どうぞ」
side ルミナ
「ルミナ、その・・・・えっと・・・・」
しばらくして泣き止んで俺から離れた楯無先輩は頬を赤く染めながら小さく呟いた。
「どうしました楯無先輩?」
「あの・・・・・みっともないところを見せてしまってごめんなさい」
楯無先輩は恥ずかしそうに頬を更に赤くして顔を伏せた。よほど恥ずかしかったのだろう。頭から蒸気が出ている。
「みっともないところ?ああ、俺の胸の中で大声で泣き喚いたことですか?」
「ちょっ!?言わないで!!」
俺が悪戯っぽい笑みを浮かべながら言うと楯無先輩はポカポカと叩いてきた。ただ俺の体に障らないようにと加減してくれているのだろう。全然痛くない。
「もう・・・・私は更識家の当主なのにあんな醜態を見せてしまうなんて不覚だわ。しかも年下のルミナに・・・・」
楯無先輩はがっくしと肩を落として落胆した様子を見せた。
(・・・・年下か)
「・・・・違いますよ楯無先輩」
「え?」
「俺は・・・・・あなたよりも年上です」
俺は苦笑いを浮かべながら言った。
「ルミナ?何を言ってるの?だってあたなは・・・・・」
「・・・・確かに『ルミナ』は15歳ですよ。この資料に書いてある通り」
俺は近くに置いてあった自分の情報の載った資料を手にしてそう告げる。
「よくもまあここまで調べたものですね。流石は更識家といったところでしょうか」
俺はパラパラと資料をめくりながら内容を確認する。
資料に書かれていたるのは俺のプロフィールや経歴。それもかなり細かく調べ上げられている。ここまで調べあげるのは容易ではなかっただろう。
ただ・・・・・俺のことを知ろうというならこれじゃあ不十分すぎるがな。
「でもまあ・・・・・これはあくまでも『ルミナ』の情報・・・・・俺という存在の全てが記されているわけではない」
「・・・・・それはどういうことかしら?」
「言葉通りですよ。・・・・・楯無先輩、あなたは俺のことを知りたいと言っていましたよね?だったら・・・・・教えてあげますよ。俺が今まで隠していたことを・・・・俺が一体何者なのかを」
俺は楯無先輩を正面から見据えて言った。
もう逃げない・・・・逃げるわけにはいかない。
これ以上心配をかけさせるわけにはいかないから・・・・これ以上傷つけるわけには・・・悲しませるわけにはいかないから。
特に楯無先輩には・・・・・
だから・・・・・話そう。
俺がどういう存在なのかを
俺が犯してきた罪を
包み隠さずに
誰よりも先に・・・・楯無先輩に
「まず初めに言っておきます。これから俺が言うことは現実的に考えれば到底ありえない・・・ありえるはずのない支離滅裂な話ですが・・・・まごうことなき事実です。どうか・・・・・信じてください」
「・・・・・・わかったわ」
俺が念を押すと楯無先輩は真剣な表情でこくりと頷きながら返事をする。
「では話します。俺は・・・・・」
俺は一度言葉を区切り、大きく深呼吸をする。
そして・・・・
「俺は・・・・・転生者です」
俺は楯無先輩に・・・・・今まで隠していた秘密を告げた。
「転生者?」
「はい。俺は・・・・・・元居た世界で一度死に、神の手でこの世界に転生したんです」
「・・・・・・」
楯無先輩は顔を伏せて黙り込んだ。
(やっぱり・・・・・信じてくれないかな?)
まあ・・・・当然といえば当然だよな。信じてくれとは言ったが転生者だなんて・・・・非現実的にも程がある。
いきなり告げられて信じる方がどうかしている。
「・・・・そう」
「え?」
「ただものではないとは思っていたけれど・・・・まさか転生者だとは思わなかったわ」
楯無先輩は顔を上げた。表情は真剣そのもので・・・・俺に対する疑いを一切感じられない。
「俺の言っていることを信じるんですか?自分で言うのもなんですがこんなブッ飛んだこといきなり言われて信じるとかありえませんよ?」
「まあそうね。神とか転生とか・・・・まるでファンタジーのようですもの」
「だったらどうして?」
「・・・・あなたが言ったからよ」
「え?」
「あなたが・・・・ルミナが信じてと言った。だから私は信じるのよ」
楯無先輩は頬笑みを浮かべながら言った。
(ああ・・・・この人は俺のことを・・・・本気で信じてくれているんだな)
「楯無先輩・・・・ありがとうございます」
「・・・・気にしなくてもいいわ。でも・・・転生者ね。納得いったわ。だから自分のことを・・・・・『存在しない者』って称していたのね」
「!?どうしてそれを・・・・」
「秋菜さんが言っていたわ。以前一度だけだけれど・・・・・自分のことをそう称していたって」
・・・・そっか秋菜さんが。記憶にはないからきっと・・・・無意識のうちに声を出してしまっていたんだろうな。
「自分はこの世界に居るはずのない・・・・居てはならない人間。故に自分は『存在しない者』・・・・・あなたはそう思っているんでしょう?」
「・・・・・」
楯無先輩の言うとおりだった。
本来俺はこの世界とはなんの関わりのない存在。
フェニスさんの計らいでこの世界に生きる事になったが・・・・それは俺の本意ではなかった。
転生してまでこの世界で・・・・生きていたいとは思わなかった。
だってこの世界には・・・・・俺の居場所など最初からないのだから。
「・・・・・沈黙は肯定と取るわよ。全くあなたは・・・・・歯を食いしばりなさい」
「え?」
パアンッ!
「ッ!!」
突然俺は楯無先輩から平手打ちを受けた。
非常に強く、叩かれた頬がジンジンと痛みと熱を帯びているのがはっきりとわかる。
「あなたね・・・・・何ふざけたこと考えてるのよ!」
「楯無・・・・先輩?」
「自分は元々この世界にいるはずのない人間だから・・・だから『存在しない者』ですって?冗談じゃないわ!あなたはどうしようもない馬鹿よ!」
楯無先輩は俺を怒鳴りつける。その表情からは強い怒りを感じられる。
「いい?よく聞きなさい!あなたは・・・・『ルミナ・オーティアス』は確かにここに居るのよ!たとえルミナがどう思っていようとも・・・・あなたは生きてこの世界に居るのよ!」
楯無先輩は俺の手を両手でぎゅっと握ってきた。
「少なくとも私は・・・・あなたのいない世界なんて知らない!私にとってはあなたの存在を含めて世界なのよ!」
「楯無・・・・先輩」
「だから!お願いだから・・・・自分のことを『存在しない者』だなんて思わないで!」
「・・・・・・」
楯無先輩の肩は震えており、目は少し潤んでいる。泣き出しそうになっているのを堪えているのだとすぐにわかった。
俺はまた・・・・彼女を悲しませてしまっていた。
「もう一度言うわ。あなたは・・・・・この世界に居るの。この世界に居ていいの」
「!?」
ツー・・・・
『この世界にいていい』。その言葉を聞いた瞬間、俺の頬に・・・・・涙が伝った。
「・・・居ても・・・いい?この世界に・・・・居てもいい?」
「そうよ。あなたの・・・・『ルミナ・オーティアス』の居場所はここにある。あなたはこの世界の一員。だから・・・・・自分の存在を否定しないで。自分を・・・・認めてあげて。あなたは・・・・この世界に居てもいいんだから」
楯無先輩が俺を抱きしめながら言ってきた。
楯無先輩の暖かさを・・・・身近で感じた。
『この世界に居てもいい』
『居場所はここにある』
それは・・・・・俺が心の底で最も欲していた言葉であった。
「う・・・ああ・・・・あああ・・・」
俺の目からはとめどなく涙が溢れてきた。今まで自分の中に押し込めていた物が・・・・・俺の心を塞いでいたものが崩れていくのがわかる。
「俺・・・怖かったんです。この世界には・・・俺の居場所がないんじゃないと思ってたから。この世界にいることが・・・・許されないと思っていたから」
俺は心の内に秘めていたことを楯無先輩に吐露した。
「ルミナ・・・・そう。辛かったのね。でも大丈夫よ。もうそんな心配する必要はないわ」
楯無先輩は優しく俺の頭を撫でてきた。
「俺・・・・この世界にいてもいい?」
「・・・・ええ。居てもいいのよ。あなたがたとえ何者であろうと・・・・あなたはこの世界にいてもいい。少なくとも私は・・・・あなたの存在を受け入れるから。だからもう自分のことを『存在しない者』だなんて・・・そんな残酷なこと思わないで。自分のことを・・・・ちゃんと認めてあげて」
「楯無・・・先輩・・・・・はい。ありがとう・・・・ございます」
俺は楯無先輩の胸の中で泣き続けた。
俺の心は・・・・この世界にいてもいいという喜びに打ち震えている。
俺は・・・・・・
『存在しない者』ではなくなった。
あとがき座談会のコーナー!INIS!!
今回のゲストももちろん楯無さんです!
「よろしく♪」
よろしくお願いします!それでは進めていきましょう!
「今回はなんというか・・・・前回とは逆でルミナが泣いて楯無先輩がそれを受け止めていたな」
「・・・・なあ主、立場が逆なだけで同じような展開になっているっていうのはどういう事なんだ?」
・・・・私が文才無いせいですね。本当に反省しています。
「・・・・お前という奴は」
「まあいいじゃない。私としては結構満足よ?なにせルミナが泣くところなんて物凄くレアですもの」
「確かにな」
「・・・・できれば忘れてくれ」
「「それは無理」」
「・・・・だよなぁ」
まあいいじゃないですか。ルミナさんは今まで自分ひとりで抱え込みすぎていたんですから。ようやく涙を見せられるようになったというのはいいことだと思いますよ?
「・・・まあそうかもしれないが」
「ならもう気にしなくてもいいじゃない。ね?」
「・・・・わかりました」
(なんかルミナが言いくるめられてるのを見るのは新鮮だな)
(ですね~)
「お前達・・・・何をヒソヒソと話してるんだ?」
い、いえ何も!お気になさらずに!
「そうか・・・・」
「それはそうと、結局今回はまだルミナの前世については触れなかったわね」
・・・・はい。なんか引っ張っちゃってすまないと思います。次回こそはその話をしようと思っています。
「とうとう次回でわかるのか・・・・」
「・・・・・」
「ルミナ・・・・大丈夫?」
「・・・・ええ。もう覚悟は出来ていますから」
「そう・・・・ならいいけれど。いい?私はあなたが前世で何者であったとしても・・・・あなたを嫌いになったりはしない。だから・・・・心配しないで」
「楯無先輩・・・・・ありがとうございます」
「お礼なんていらないわ。当然のことですもの」
「・・・・そうですか」
・・・・グハッ!!(砂糖を大量に吐いて倒れる)
「っと・・・どうしたんだ主?なぜ砂糖なんて吐いている?」
「あのな・・・・あんなもん見たらうちの主が砂糖を吐くのは当然だろ?俺も少し吐きそうになったし。つうかお前実はわかっているんじゃないか?」
「なんのことかな?」
「(あ、なんか悪い笑顔してるわね・・・)それじゃあ主も倒れてしまったし、ここで締めましょう」
「そうですね。それじゃあ・・・・」
「「「次回もまたきてくれ(きなさい)!!」」」
・・・・これからこれが・・・続くとか・・・・持たないかも(汗)