はっきり言います・・・・・・隆厳さんとの戦いは速攻で終わります。
「本当にすぐだよな・・・・」
「まあ・・・・あまり話すことなかったし」
ですがまあ・・・・・それでも隆厳さんは見所満載ですが。
それでは本編にいきましょう。
「本編どうぞ」
side 楯無
「嘘・・・・・こんなのって・・・・」
私は今自分の目の前で繰り広げられる光景が信じられず、呆然してしまっていた。
父様がルミナの力量を知るために始まった戦い。はっきり言って父様は強い。それこそ肉弾戦に限れば更識家の現当主である私でも全く歯が立たないほどにだ。
でも前世での経験があるからルミナならあるいはいい勝負が出来ると思っていた。
だけど・・・・・私のその予想は裏切られた。
私の目の前に映るのは・・・・
「はあはあ・・・・」
「・・・・・もう終わりですか隆厳さん?」
父様にに手も足も出させずに完全に圧倒しているルミナの姿だった。
side ルミナ
流石は更識家の前当主。肉弾戦の実力は相当のものだ。今までやりあった中で確実に5本指に入る強さだろう。おそらく千冬さんに次ぐと思う。
・・・・今更だけど千冬さんの強さが凄すぎる気がする。
まあそれはともかくとして。隆厳さんの一挙一動には全くと言っていいほどに無駄がない。これはこれまでの対人戦闘で身につけた経験や修練の賜物なんだろうな。その動きはまさに達人のそれだ。
でも・・・・・それこそが付け入る隙だ。
「ハッ!」
隆厳さんが胸部に掌底を放ってくる。俺はそれをギリギリまで引きつけて・・・・
トン
「!?」
回避しながら隆厳さんの側頭部に回し蹴りを当てた。まあ当てたといってもほんの少し触れる程度なのでダメージは入っていないだろうが。
「これで8発目・・・・ですね」
これまでに俺が隆厳さんに当てた攻撃は8発。その全てを急所を狙って打った。もしもこれが殺し合いの場であったのなら・・・・・確実にもう終わっているだろう。
「・・・・まさかここまでとは」
隆厳さんは信じられないようなものを見るような目を俺に向けきた。
確かに隆厳さんの一挙一動には無駄がない。だが無駄がないということはそれだけ読みやすいということ。正直言って龍言さんの動きを読むことは俺にとっては造作ない。
それだけでなく俺には前世での経験もある。たったの一撃でも受けてしまえば確実に死んでしまうという状況を俺は何度もくぐり抜けて来た。故に相手の攻撃に対する反応は尋常ではないと自負している。
こちらの世界に来てからは訛っていたが臨海学校の時のあの5人を相手にした時に勘を完全に取り戻しているからこれぐらいは苦もなくできる。
「寸止めとはいえ全て急所・・・・・・・実戦ならば確実に意識を刈り取られていただろう」
「・・・・・どうしますか?まだやりますか?」
「・・・・いや、もう十分だ。君の力は・・・・・認めざるを得ないようだな」
隆厳さんは構えを解いた。それと同時に張り詰めていた雰囲気も消えていく。どうやらこれで腕試しは終わりのようだ。認めてくれたようで良かった。
「お疲れ様ルミナ」
「ああ。ありがとう」
俺は楯無に差し出されたタオル(どこから出した?)を受け取って汗を拭き取った。
「それにしても・・・・ルミナが強いのはわかっていたけどまさかお父様を手玉に取るほどだなんて思わなかったわ」
楯無と隆厳さんは感心したように俺に視線を向けて言う。
「まあ身体能力は隆厳さんの方が圧倒的に上ですけどね。俺の身体能力は精々同年代の平均よりもやや上といったところですし」
実際筋力とか体力は一夏の方が高いし。どうも体質的なものでそういったものはトレーニングしてもあまり高くならないんだよな。
「だとしたらなおさら凄いわよ。身体能力を身のこなしでカバーしてるっていうことなんだから」
「楯無の言うとおりだ。あれほどの動きは簡単に習得できるものではない。一体君は何者なんだね?」
「・・・・・只者じゃない一般人・・・といったところですよ」
隆厳さんの問いに俺は笑みを浮かべて答えた。流石に転生者であることは簡単に明かしていいとは思えないからこう答えたが・・・・・なんかこれもお約束になってきたな。
ちなみに俺が転生者であることを知っている楯無は苦笑いを浮かべている。
「ククッ・・・・・ハハハハハッ!そうか!只者じゃない一般人か!」
俺の答えに対して隆厳さんは大きな笑い声をあげる。その表情からは会った当初の厳つい印象は微塵も見受けられなかった。
「君は中々に面白いな・・・・・楯無、少し席を外しなさい」
「え?」
「ルミナくんと二人で話がしたくてね」
俺と二人で話?なんだろ?
「わ、わかりました。それじゃあまた後でねルミナ」
楯無は俺に一声掛けた後に修練場から出て行った。
「さて・・・・ルミナくん。君に聞きたいことがある」
「なんですか?」
「君は・・・・・刀奈の事をどう思っている?」
隆厳さんがいやに神妙な面持ちで声をかけてきた。
『刀奈』をどう思うか・・・・・どうやらこの質問は更識家の者としてではなく、刀奈の父親として聞いてきているようだ。
ならば・・・・・俺の思っていることをそのまま正直に答えなければな。
「鬱陶しくて目障りで気に入らない人・・・・・・出会った当初はそう思って・・・・・いえ、そう思い込もうとしていました」
「思い込もうと?」
「はい。俺は刀奈と出会った当初・・・・・刀奈の事を受け入れることができませんでした。彼女の優しさに触れるのがたまらなく恐かったから・・・・彼女が俺の特別になることが恐かったからです」
初めて会った時から刀奈のことを意識していた。だがそれ故に俺は・・・・人を愛する資格なんてないと思っていたあの時の俺は刀奈のことが恐くもあったんだ。刀奈が俺が自身に定めた掟を壊してしまうんじゃないかと思ったから。
「でも刀奈は俺にどんなに拒絶されても俺の事を想ってくれて・・・・救おうとしてくれました。そうして彼女からの思いを受け続けていくうちに俺は・・・・刀奈に溺れていきました」
そして刀奈は・・・・俺の中にあった掟を打ち崩した。
「刀奈の優しさと愛のおかげで俺は・・・・・自分の気持ちに正直になれました。自分自身に掛けていた呪縛から解き放たれ、刀奈を・・・・・正面から愛することができるようになりました」
俺の心は刀奈への感謝の気持ちで一杯になった。これで何度目になるかな?
「俺にとって刀奈は何よりも愛おしい人であり、恩人でもあります。だから俺は・・・・これから先何があっても刀奈の事を守り抜き、愛し続けます。それが俺の・・・・・決意であり、覚悟であり、誓いです」
例えこの先の未来にどんな障害があったとしても俺はその誓いを違えることはない。
俺は刀奈を・・・・・この命が尽き果てるその時まで想い続ける。
絶対に・・・・・
「・・・・・そうか。どうやら君の覚悟は本物のようだね」
隆厳さんはフッと優しい微笑みを浮かべながら言った。
そして・・・・・
「ルミナくん・・・・・刀奈の事をよろしく頼む」
俺に深々と頭を下げて頼み込んできた。その姿勢からは隆厳さんの刀奈への思いがひしひしと伝わってくる。
「・・・・はい。もちろんです」
俺はそんな隆厳さんの思いに応える為、覚悟を持って返事を返した。
「・・・・刀奈は本当にいいパートナーに出会えたようだな」
「そんな・・・・俺なんてまだまだ若輩者ですよ。刀奈にふさわしくあれるようにもっと精進しないと・・・・」
「いや、そう思える心根は十分すぎるほどに立派なものだよ。君になら・・・・・これを託せるよ」
そう言いながら隆厳さんは懐から何かの紙を取り出し、俺に差し出してきた。
「あの・・・・これは?」
「受け取り給え。君に必要な物だ」
「は、はい・・・・」
俺は差し出された紙を受け取る。
その紙の正体は写真だった。
そして写真に写るのは・・・・・・・・
肩から幼稚園カバンを下げ、笑顔を受かべる刀奈の姿であった。
「・・・・What?」
俺は思わず英語で言葉を発してしまった。
「可愛いだろう。それは刀奈が5歳の時の写真だ。その時はよく『私大きくなったらパパと結婚する!』と言ってくれてね・・・・・堪らなく可愛かったよ。君もそう思うだろう?」
「は、はあ・・・・」
テンションを異常なまでに上げて嬉々として語る隆厳さんの勢いに押されてつい俺は返事を返してしまった。
「そうだろうそうだろう。他にもあるぞ」
隆厳さんは新たな写真を取り出した。
写っているのはランドセルを背負った小学生時代の刀奈だ。
「この時の刀奈はやんちゃ盛りでな。よく男の子に混ざって遊んでいたものだ。ただ刀奈はこの頃から修練を受けていて元々の運動神経の良さも相まってあらゆる遊びで男の子のプライドをへし折っていたよ!」
それは果たして笑い話になるのだろうか?まあ流石は刀奈といったところだが・・・・その時の男の子達には深く同情する。
「次はこれだ!」
差し出された写真は中学生時代の刀奈であった・・・・どうでもいいけどこの時まで刀奈ってあんまり胸大きくなかったんだな。
「この時は何かにつけて『お父さんの馬鹿!もう知らない!』と言われていたよ。一体何がいけなかったのだろうか?それとも反抗期というやつだったのかな?」
いえ、おそらく9割がたあなたに原因があると思います。
刀奈・・・・・きっと我慢していたんだろうな。
「まだまだあるぞ!次はこの写真だが・・・・・」
こうして俺は隆厳さんが次々と出してくる刀奈の写真を受け取りながら隆厳さんによる在りし日の刀奈のエピソードを聞くことになった。
いつの間にか妹の簪さんの話も始まったし・・・・・
とりあえずわかったことは隆厳さんはどうしようもないレベルの親バカだったということだ。
会った時に刺すような威厳を放っていた人と本当に同一人物なのか疑ってしまう。
その後、刀奈が戻ってくる1時間もの間、隆厳さんの話は途切れることはなかった。
戻って来た刀奈は顔から火が出るような勢いで隆厳さんを正座させながら責め立て、俺には聞いたことは忘れろと有無を言わせぬ勢いで言ってきた。
この時ほど刀奈を敵に回してはならないと思ったことはない。
ちなみに隆厳さんからもらった写真だが・・・・・大切に保管することにしようと思う。
隆厳さん本当にありがとうございました。
あとがき座談会のコーナー!INIS!!
今回のゲストも楯無さんです!というかしばらくは楯無さんはずっと座談会に呼びます!
「まあ今は楯無との話がメインだからな。当然といえば当然か」
「私としては出番が多くて嬉しいわね♪」
「・・・・・逆に俺は出番が全くと言っていいほどないのに何で座談会の場にいるのか凄い疑問なんだが?」
それは・・・・・まあ深くお気になさらずに。それよりも座談会を進めましょう!
「とりあえず言うことといえば・・・・・・厳格そうだったと思ったら凄いはっちゃけたキャラだった隆厳さんについてかな?」
「本当にお父さんは・・・・・・娘として恥ずかしくなるわ」
「その・・・・ドンマイです楯無先輩」
「というか楯無、隆厳さんの事お父様って呼んでたのに今はお父さんなんだな」
「『楯無』として接するときは時はお父様って呼ぶことにしてるの。親子として接するときはお父さんだけど」
公私のけじめをつけているということですね。まあ大事なことだと思いますよ。
「なるほどな。それにしても・・・・・色々とすごいと虚先輩から聞いていたがその意味がよくわかったよ。確かにあれは凄い。一夏のシスコン並だ」
「俺あんなに酷かったのか!?」
それはまあ人によって感じ方は様々でしょうが・・・・まあ隆厳さんのあれはちょっと行き過ぎな親バカですね。
「おかげで私と簪ちゃんがが昔からどれだけ恥ずかしい目にあってきたか・・・・」
「・・・・・本当にドンマイだな」
でも言い換えればその親バカに認められたルミナさんは本当に凄いということですね。
「確かにそうね・・・・お父さんがあそこまで気に入るなんて滅多にないことだし凄いことよ。私に恋人ができたらその相手を八つ裂きにしてやるって言ってたこともあったし」
「・・・・おい。あの戦いってもしかしてそれが主な目的だったんじゃないか?」
まあ・・・・・否定はできませんね。ルミナさんじゃなかったらきっとフルボッコでしょうし。隆厳さんは作中で今のところ5番目に肉弾戦強いですから・・・・
「5番目って・・・・・なんか中途半端じゃないか?」
ああ、それはこれを見れば納得していただけると思いますよ?
肉弾戦が強いランキング(暫定)
1位 フェニス
2位 束
3位 ルミナ
4位 千冬
5位 隆厳
「・・・・・なるほど。納得ね」
「確かに。でもそれにしてもルミナ・・・・千冬姉より強いのかよ」
まあ身体能力で劣っていてもルミナさんには前世での経験がありますからね・・・・・その経験から単純な肉弾戦はルミナさんの方が千冬さんよりも上です。
「束さんについては?」
あの人チートですから。原作でもありえないほど強かったですし。
「それは確かに・・・・・束さんもう人間じゃないだろ」
まあ流石に元・女神のフェニスさんには劣りますがね。
さて、今回はここで締めにしましょう。
それでは・・・・・
「「「「次回もまたきてくれ(きなさい)(きてください)!!」」」」