今回はルミナさんと束さんのお話です。
「ルミナがどうするか・・・・・気になるな」
「まあ俺は俺の思ったことをするだけさ」
それでは本編にいきましょう。
「本編どうぞ」
「束さん・・・・・すみません」
ルミナは束を抱きしめていた腕を解き、束を正面から見据えた。
「ルー・・・・くん?」
「俺は・・・・・あなたと共に歩むことはできません」
ルミナは優しい声色で・・・・・しかしはっきりとした口調で束を突き放した。
「なんで?どうして?どうしてなのルーくん!私にはもうルーくんしか「それは違います」・・・・・え?」
涙を流しそうなほど打ちひしがれた表情で訴え掛ける束の言葉をルミナは遮る。
「俺だけしか束さんを理解できないなんてことはありません。束さんの事を理解できる人は・・・・・ちゃんといますよ」
「・・・・・嘘だ!嘘だ嘘だ嘘だ!そんな人いるわけない!そんな人ルーくん以外存在しない!だって・・・・だって私は・・・・・」
「天才だから・・・・ですか?確かに束さんは天才ですよ。それも誰も肩を並べることができないほどのね。でも・・・・・あなたは肝心な事を忘れている」
「肝心な・・・・・事?」
「ええ。あなたは・・・・・・束さんは『人間』だっていうことです」
「私が・・・・・人間?」
束はわけがわからないといった様子で聞き返す。
「そうです。どんなに頭が良くても、どんなに強くても、どんなに才能に溢れていても・・・・・・束さんが血のかよった『人間』であることは変わりはありません。俺や一夏や箒や千冬さん・・・・・そしてどこにでもいるありふれた人達と同じね」
「・・・・・だからなんだって言うの?」
「なんということもありませんよ。同じ『人間』同士なんだから互いを理解出来ないなんていうことはありませんよ。『人間』同士であるなら・・・・・理解することはそんなに難しいことじゃないと俺は思います」
「・・・・・・そんなの詭弁だよ。だって現に私を理解してくれた人は今までに・・・・・」
「確かに居なかったのかもしれません。でもそれは・・・・・束さんが理解させようとしなかったからじゃないですか?」
「え?」
「どうせ自分のことなんて誰も理解できないんじゃないんだって勝手に決め付けて・・・・誰にも理解させようとはせずに自分から人に歩み寄ろうとしなかったんじゃないですか?」
「それは・・・・・」
束は口ごもった。ルミナの言っている事は・・・・・まさにその通りであったからだ。
幼い頃から自分が天才であることを自覚していた束ねは他人を見下し、拒絶し、心を閉ざしていた。それ故に束は・・・・・・知らず知らずのうちに自分で自分を孤独に追いやり、理解者を作ろうとはしなかったのだ。
ただ、それでも束が人々に歩み寄ったことが・・・・・歩み寄ろうとしたことが一度だけあった。
「・・・・・確かにルーくんの言うとおりかもしれないよ。でも・・・・・私だって皆に理解されようとしたことはあるよ。その為に私は・・・・ISを開発したんだから」
IS・・・・・それが束が初めて人々に歩み寄ろうと開発したものであった。
まだ見ぬ宇宙を開拓するために束が心血を注いで制作したパワースーツ。ISがあれば皆が自分を理解してくれると・・・・・・自分が孤独から解放されると束は信じていた。
だが・・・・・
「それでも・・・・・それでも誰も見向きもしなかった。誰もISに見向きもせずに、ISを認めようとせずに・・・・・誰も私を理解しようとしなかった」
ISが発表された当初は、誰もISに目を向けようとはしなかった。おそらくその理由は開発した者・・・・当時の束があまりに若すぎたからであろう。
「だからISの力を皆に見せてあげた。ISがどれだけ凄いのかを・・・・」
「それが・・・・・白騎士事件ですか?」
「うん、でも・・・・・・あんな事件起こさなければよかった。あの事件のせいで皆・・・・・ISを兵器として見るようになってしまった」
白騎士事件によって発覚したISに秘められた絶大なる力知った人々は直ぐにISに価値を見出し始めた。
本来の用途とはかけ離れた・・・・・兵器としての価値を。
「あのときわかっちゃったんだ・・・・・やっぱり私を理解してくれる人なんて居ないって。私のしたことは無意味なんだって。だから私・・・・・もういいやって思ったんだ」
「もういいや?」
「うん。もう・・・・・どうでもいいって。どうせ何をしたって理解されないって。いっそ理解されないまま・・・・・皆の望み通りの形でISを広めてISを歪めて・・・・・ISで世界を飲み込んでやろうってさ」
「束さん・・・・・」
手段は間違っていたのかもしれない。だが確かに束は歩み寄ろうとしたのだ。
人々に・・・・・そして世界に。
だが・・・・・彼女の願いは叶わなかった。
結局束は誰にも理解されなかったどころか・・・・・・自ら生み出したISさえも歪められてしまったのだ。
狂ってしまったのは・・・・・・ある意味では仕方がないことなのかもしれない。
「・・・・・ちょっと話が逸れちゃったね。でもどうかなルーくん?私はちゃんと歩み寄ろうとしたんだよ。それでも理解者は現れなかった。私を理解できる人なんて・・・・ルーくんしか居ないんだよ」
束は儚い笑顔を浮かべながら言う。
「・・・・・束さん。これを」
ルミナはポケットからUSBを取り出して束に渡した。
「なにこれ?」
「見てみてください。そこのパソコンを使っていいですから」
「・・・・・わかった」
ルミナに言われて束はパソコンを起動し、USBの中のデータを開いた。
「!?これって・・・・・・」
データを見た束の表情は驚愕に染まる。
データの中身は・・・・・・
「兵器ではない宇宙開発用のパワースーツ・・・・・本当のインフィニット・ストラトスの設計図です」
「・・・・ルーくんが作ったの?」
「ええ。といってもデータに起こしただけですけどね」
「・・・・・え?」
「これは・・・・・俺の仲間と一緒に作ったものです」
「ルーくんの・・・・・仲間?」
「楯無、のほほんさん、虚先輩、鈴、セシリア、シャルロット、ラウラ・・・・・そして一夏と箒。皆と一緒にアイデアを出し合ってああでもないこうでもないって・・・・・・そして束さんならどうするだろうって考えながら作ったんですよ?いつか束さんに見てもらおうって」
ルミナはその時のことを思い返して微笑みを浮かべながら語る。
「少なくとも・・・・・皆はこれがISの真の姿だって思ってくれていますよ。今のISを否定することはできないけれど・・・・・・これが束さんが望んだISだって理解しています。それは・・・・・紛れもない真実です」
「・・・・・・」
「皆が束さんの真意を、気持ちを理解しているわけではありません。それでも皆は束さんのことを理解できると俺は思っています。そのデータは・・・・・その証明になりませんか?」
「・・・・・・」
ルミナに問われ、束は俯いた。
そしてしばらくして再びデータに目を通す。
「・・・・・・お粗末な機体だね。どうにか纏まってはいるけど詰め込みすぎのハチャメチャだよ」
「俺もそれはわかってはいたんですが・・・・・何分皆自分のアイデアを取り入れろとうるさかったものでして」
「初心者にありがちなことだね。でも・・・・・中々面白いよこれ。皆の真剣さが伝わってくる」
「・・・・・そうですか」
「ルーくん・・・・・これは本当に皆で考えたものなんだよね?」
「ええ。こう言ってはなんですが・・・・・俺一人で作ったものだったらもっとスマートに纏めていましたよ」
「だよね・・・・・・そっか」
束は静かに目を閉じる。
「ルーくん、私はまだルーくんの言うその子達が私の理解者になれるとは・・・・・信じきることはできない」
「そうですか・・・・」
「でも・・・・・・信じてみたいとは思ってる。その子達が私の理解者になれるかもしれないって・・・・・他にも理解してくれる人が見つかるって」
束は目を開き、笑顔を浮かべる。
先程のように狂ったものではなく・・・・・純粋な笑顔を。
「ルーくん・・・・・これ預かってもいいかな?添削して・・・・その子達に色々と指摘したいから」
「ええ、どうぞ」
「ありがとう・・・・・それじゃあ私は行くね。色々と迷惑かけちゃってごめん」
「いえ、迷惑だなんて思ってませんよ」
「ふふっ。君は優しいんだねルーくん。あ、それと最後に一つ言っておくけど・・・・・・私諦めないからね」
「え?」
「ルーくんの言ってる事はちゃんと理解したけど・・・・・それでもルーくんを私のものにしたいって気持ちは変わらない。私は・・・・・諦めないから。楯無って奴から・・・・・君を掠め取ってやるから♪」
束は悪戯っぽく笑う。
「いや、そんなこと言われても俺は・・・・・」
「それじゃあおやすみルーくん!また明日!」
束はルミナの話を最後まで聞かずに、部屋から出ていってしまった。
「・・・・やれやれ。本当に破天荒な人だ」
ルミナは束の出て行った扉を見つめながら苦笑いを浮かべた。
天才故に孤独に苛まれていた束
そんな束にもたらされた小さな光明
彼女が孤独から解放され、理解者を得られる日はあるいは・・・・・そう遠くないのかもしれない
あとがき座談会のコーナー!INIS!!
今回もゲストは束さんです!
「よろしくね~」
はいよろしくお願いします!
それでは進めていきましょう!
「まず一言・・・・・無理矢理すぎ」
「それは・・・・確かにな」
「私もそう思う」
・・・・・言わんといてくださいよ。これでも必死なんですから。
「必死なのはわかるが・・・・・」
「でもまああまり言っても仕方がないしな」
「そうだね。これ以上は突っ込まないでおくよ」
ありがとうございます。それでは座談会を進めましょう。
まずこの世界の束さんについてですが束さんがああなってしまった理由は天才故の孤独とISが間違った形で認知されてしまったことが原因です。
「束さんは世界に歩み寄ろうとしてISを作ったのに・・・・・そのISを世界は歪めちまったんだな」
「でも・・・・・今思えばそれは仕方がないことだったんだよね。あんな方法でISを認めさせようとしちゃったんだから・・・・」
「束さん・・・・・」
まあそれだけ当時の束さんが必死だったということでもあるんですよね。
ですが今回ルミナさんのおかげで少し光明が見えましたね。
「そうだな・・・・・というかルミナあれ計算してやったのか?」
「まあああいう流れになればいいとは思っていたな」
ルミナさんの巧みな話術による誘導ですね。
「ルーくん・・・・・すごく器用だね」
まあルミナさんですからね。
「・・・・・その一言で解決できるのがすげえ」
「その一言で解決される俺って一体・・・・・」
「ルーくんは私とは違った方向性の天才だって改めて自覚したよ」
何はともあれこれで束さんはうちでは悪堕ちしたりしないですみましたね。
その上まだルミナさんを諦めていませんし。
「本気なんですか束さん」
「当然!ルーくんを私のものにしてみせるよ!」
「楯無先輩と戦争になりそうだ・・・・・」
楽しみですね(不安ですね)
「本音と建前が逆になってるぞおい」
あら、これは失態。
さて、今回はここで締めにしましょう。
それでは・・・・・
「「「「次回もまたきてくれ(きてね)(きてください)!!」」」」