今回で簪さんのISが完成します!
「とうとうだな」
「一体どんなふうに仕上がるんだろ?」
それは見てのお楽しみです。
それでは本編に参りましょう。
「本編どうぞ」
新月研究所の試験場にて、簪のIS、打鉄弐式・改の試運転が行われていた。
「準備はいいか簪?」
「うん」
イクリプスを身に纏ったルミナが尋ねると、簪は近接武器である薙刀を展開しながら返事を返した。
今回の試運転はルミナの提案により実戦形式で行われる。ルミナ曰く実戦を通すことでよりISに対する理解が深まるからだそうだ。
「いくよお義兄ちゃん」
「こい!」
簪は夢現で斬りかかり、ルミナは月架を双剣に切り離して簪の斬撃を受け止めた。
「お、始まったね」
「そうですね」
秋菜と束はラボのモニターで試運転の様子を見守っていた。
「それにしてもまさかルー君がわざわざ試運転の相手を買って出るなんて・・・・・・ルーくんのISにはまだ『ナーヴリンク』はついたままなんだよね?」
「・・・・・はい」
束が神妙な面持ちで尋ねると秋菜は表情を暗くさせながら頷いた。
束の言うとおり、ルミナはまだイクリプスに『ナーヴリンク』を搭載させたままであった。
「そんなものをつけたままISを使うなんて・・・・・はっきり言って私でも正気の沙汰とは思えないよ。ISを使えば使うほど自分を苦しめることになるんだから」
『ナーヴリンク』は操縦者に対する負荷が強すぎる。それをつけたままのISを操作するとは並の神経では考えられないことである。
「・・・・・私も同感です。ですが・・・・・あの機能はルミナさんにとって必要なものなんです。IS適正の低いルミナさんにとって『ナーヴリンク』こそが強さの源になっているのですから」
「・・・・・自分を犠牲にしてまでルー君は強さを求めるの?」
「それがルミナさんなんです。あの一件があってルミナさんは自分が傷つき、苦しめば悲しむ人がいると知りましたが・・・・・それでも根底のところは変わっていません。たとえ自分を犠牲にしてでも・・・・・彼は守るために力を求め続けます。それはおそらく・・・・・・『ナルミ』であった時のトラウマに起因してるのでしょう」
ルミナは前世で家族を失う絶望を知った。その絶望がトラウマとなり、自分を犠牲にしてでも守ることに固執しているのだ。
「ですが・・・・・それでも今は幾分マシにはなりました。かなり渋りましたが『ナーヴリンク』の神経リンクを6割程度に抑え、『エネルギーコンバータ』の生命エネルギーを変換する機能を取り外すのを了承してくれましたので」
「それでも負担が大きいことには変わりないけど・・・・ね」
(他人のためにそこまで・・・・・・それが自分のことばかり考えていた私との差なのかな?)
束はモンターに映るルミナの姿をじっと見つめる。
「・・・・・まあその件についてはここで話をしていても仕方がないことです。今は試験を見守りましょう」
「そうだね。そろそろ
二人は一旦話を切り上げ、モニターに視線を向けた。
(そろそろ・・・・かな?)
簪の斬撃を防ぐルミナは、打鉄弐式・改の
間もなくして打鉄弐式・改の形態が簪に適した形へと変化していく。
「ようやく終わった。これで打鉄弐式は私の専用機になったんだね」
「そうだな。それじゃあ・・・・・ここからが本番だ。かかってこい」
「・・・・うん」
簪は
ルミナはその斬撃を月架で防ごうとするが・・・・・・
ガキンッ!
「おっと」
夢現の振動によって刃が大きく弾かれ、ガードを崩されてしまったてしまった。それでもすんでのところで回避して簪から距離を開ける。
(刃が振動するから正面から受けようとすると弾かれるな。それに|さっきよりも太刀筋がいい・・・・・簪の基礎がしっかりしている証拠だな)
「次行くよお義兄ちゃん」
簪は背部に装備された2門の連射型荷電粒子砲、『春雷』でルミナを狙撃する。
(連射型でこの威力は中々だな。それに全部を当てようとせずに牽制も織り交ぜている・・・・・いいセンスだ)
ルミナは襲いかかる砲撃を全て回避しながら心の中で簪に賞賛を送った。
「む・・・・今のを全部躱すなんて流石だね」
「その辺は経験の差だな。でもまあ自信を落とすことはないさ。多分俺以外なら当たっていた」
「・・・・お義兄ちゃんって以外と自信家?」
「経験に基づく事実を述べたまでだ」
「そう・・・・・ならこれは避けられる?」
簪は打鉄弐式に搭載された最大武装、『山嵐』を起動した。
8門のミサイルポッドからそれぞれ6機ずつ・・・・・計48ものミサイルがルミナに向かって発射される。
「回避・・・・・は無理そうだなこれは」
ルミナは迫り来るミサイルを見ながら苦笑いを浮かべる。
このミサイルは全てマルチロックオンシステムによって誘導されている。その為ルミナでもその全てを回避することは不可能であった。
ちなみに山嵐のマルチロックオンシステムはルミナの手によって完成されたものである。
「まあ回避が無理なら・・・・・・打ち落とすだけだ」
ルミナは武器を月架から陽乱へと変更してミサイルを撃ち落とす。さらに同時にセンチネルも起動させることによってミサイルの全てを防ぐことに成功した。
「・・・・・今のを初見で防ぎきるってありえないんだけど?」
まさかすべてのミサイルを無力化されるなど夢にも思わなかった簪は驚きを通り越して呆れていた。
「褒め言葉として受け取っておこう。それよりも・・・・・そろそろこっちからも仕掛けさせてもらう!」
ルミナは4基のビットにブレードを展開させ簪に向かって飛ばさせた。
「・・・・試すなら今だね。グラビティ・コア!」
それに対して簪はグラビティ・コアを起動。ルミナの放ったビットに自身のビットを近づけさせ、その動きを封じようと重力場を生成した。
しかし・・・・
ザンッ!
「ッ!!」
4基の内2基のビットの動きを封じることには成功したものの残り2基は捉えることができず、ブレードが簪を斬り裂いた。
さらに・・・・・それだけではなかった。
「隙だらけだぞ簪」
「!?しまっ・・・・」
「もう遅い」
バババババ!!
急いで防御を取ろうとする簪であったが時すでに遅し。ルミナの持つ陽乱の連射を全て受けてしまう。
そして・・・・
「私の・・・・・負けか」
打鉄弐式のシールドエネルギーは尽きてしまった。
「お疲れ~」
「二人共お疲れ様です」
秋菜と束はラボに戻ってきたルミナと簪の二人に労いの言葉を掛けた。
「それでどうでしたか簪さん?何か問題はありましたか?」
「問題はありませんでした。打鉄弐式は・・・・・きちんと私の専用機になりました」
「そうですか。それならば良かったです」
「それじゃあさっきの反省会をしよ~!」
束の一言で、先ほどの戦闘の反省会が始まった。
「ルミナさん、実際に簪さんと戦ってみてどうでしたか?」
「そうですね・・・・・全体を通して簪の動きは良かったと思いますよ。基礎がしっかりとしている証拠ですね」
「・・・・・それでもお義兄ちゃんには全然かなわなかった」
簪は落ち込んだ様子を見せる。
「それはしょうがないんじゃないかな?ルーくんと簪ちゃんとじゃ経験に差がありすぎるから。私の目から見ても簪ちゃんは才能があるからもっと自信を持っても大丈夫だよ~」
「あ、ありがとうございます(あの束さんに励まされた・・・・!)」
簪はまさか束に励まされるとは思っていなかったようで感激していた。
「今の戦闘からわかった簪の今後の課題は2つだ」
「2つ・・・・・・経験を積むこととグラビティ・コアを使いこなすことだね」
「そうだ。経験については俺や楯無達と模擬戦を重ねれば自然と得られるだろうからまあ問題は無い。問題はグラビティ・コアの方だ」
「簪ちゃんのBT適正はB。低いわけじゃないけどグラビティ・コアは通常のビット兵器とは勝手が違うから扱いが難しいんだよね~」
「正直思うように動かせなかった。それにビットを動かしている間は私自身が無防備になるし・・・・・」
簪は先ほどルミナに接近を許してしまった時のことを思い返した。
「対処としては並列思考を鍛えるってところだな。これについてはある程度は俺が教えよう。あビット兵器を使うセシリアから話を聞くのもいいと思うぞ」
「セシリアってお義兄ちゃんのクラスメイトでイギリスの代表候補生の?」
「ああ。参考にはなると思うぞ」
「うん・・・・・今度色々と聞いてみる」
「あとは・・・・・補助AIを搭載するというのはどうでしょう?」
秋菜は少し考える素振りを見せてから提案した。
「補助AI?」
「はい。ちょうどイクリプスに搭載する予定だったセンチネル・スパーダ用の補助AIがありますのですぐにでも搭載することはできますよ」
「イクリプスに搭載する予定だった・・・・・お義兄ちゃんは補助AIを使わないの?」
「ああ。俺の場合はBT適性がSだったからあっても邪魔になる可能性があったからな」
補助AIはビットの動きの正確性を上げるには適しているがその分応用性が低くなる恐れがある。ルミナはビットを操る能力が元々高いので応用性を優先するために補助AIを搭載しなかったのだ。
「でもビット操作の正確性は上がるんだよね・・・・・なら私は補助AIを付けたい」
「ならすぐに作業に入ろっか!」
一同は打鉄弐式に補助AIを付けるための作業を開始した。
「秋菜さん、束さん。おかげで私のISが完成しました。本当にありがとうございます」
補助AIを取り付け終え、帰宅する前に簪は秋菜と束に礼儀正しくお辞儀をして感謝の言葉を述べた。
「どういたしまして」
「私は自分が楽しむためにやったことだしね~・・・・・でも私に感謝してるって言うなら一つお願いしたいことがあるんだけどいいかな?」
「束さんが・・・・私にお願い?」
「うん。帰ったらこれを君のお姉さんに渡してくれないかな?」
束は手紙を取り出して簪に渡した。
「これを・・・・お姉ちゃんに?」
「・・・・・束さん。それなんですか?」
「ふふふっ・・・・・知りたい?」
「いや、いいです」
ルミナは気になって訪ねてみるが、満面な笑みを浮かべる束を見てすぐに引き下がった。
「とにかくそれを渡してね。頼んだよ」
「わかりました」
「それじゃあ俺と簪はこれで」
「はい。またいつでもいらしてくださいね」
「時間ができたら会いにいくからねルーくん!」
二人に見送られ、ルミナと簪は更識の屋敷へと帰って行った。
「ただいまお姉ちゃん」
「お帰り簪ちゃん。それにルミナも」
刀奈は帰ってきたルミナと簪を出迎えた。
「それで?簪ちゃんのISは完成した?」
「うん。今度訓練に付き合ってくれる?」
「もちろん!」
簪のお願いを刀奈は快く引き受けた。
「あ、そうだお姉ちゃん。これ」
簪は束から預かった手紙を刀奈に手渡した。
「なにこれ?」
「束さんから預かった」
「へえ・・・・」
刀奈は手紙を開いて目を通す。
「・・・・・・」
「・・・・どうした刀奈?」
「・・・・・ふふふふっ。いい度胸してるじゃない篠ノ之束」
ルミナが尋ねると、刀奈は清々しく思える程の不気味な笑みを浮かべ始めた。
ルミナと簪が一体手紙に何が書かれているのだろうと気になり覗き込んでみるとそこには・・・・・
『いつかルーくんを奪ってやるから楽しみにしててね小娘♪』
と、書かれていた。
「上等じゃない・・・・・・やれるものならやってみなさい天災兎♪」
「・・・・・・これは荒れそうだな」
「あ、あはは・・・・・・」
二人はいつか起こるであろう刀奈と束による壮絶な争いのことを思い冷や汗を流した。
あとがき座談会のコーナー!INIS!!
今回は簪さんをゲストに招いて進めて行きます!
「よろしくね」
それでは早速ですがISが完成したわけですが感想はどうですか?
「うん・・・・凄く嬉しい」
それは良かったです。
「しかも原作とは違ってルミナのおかげでマルチロックオンシステムは完成してるしグラビティ・コアもあるからな・・・・かなり強化されてるんじゃないか?」
「うん・・・・・でもグラビティ・コアの方はまだ全然使いこなせてないけどね」
「それはまあ訓練するしかないだろうな。でも簪なら大丈夫だと思うぞ。補助AIもつけたことだしな」
今後の成長に期待といったところですね。
そして・・・・・ラストの方で手紙でとはいえ束さんが楯無さんに宣戦布告しましたね。
「・・・・・マジで嫌な予感がするんだが」
「楯無と束さん争いとか・・・・・・悍ましすぎる」
「・・・・・これ止められる人居るの?」
千冬さんならあるいは・・・・・いや、もしかしたら千冬さんでも止められないかもです。
「・・・・・ルミナは止められるか?」
「無理に決まってるだろ・・・・・そもそも原因になってるのは俺だし」
ルミナさんは楯無さん以外方の恋人になるつもりはないでしょうしね。
・・・・・いつになるかわかりませんがこの二人が会う時のことを思うと背筋が凍りますね。
「「「激しく同意」」」
・・・・・さて、今回はここで締めにしましょう。
それでは・・・・・
「「「「次回もまたきてくれ(きてね)(きてください)!!」」」」