昼下がり、翼が部屋でテレビを見ていたところマリアがやって来て話しかけた。
「翼」
「どうしたマリア?」
「ポッキーゲームしない?」
「ポッキーゲーム?」
少し挑戦的に笑いながらポッキーの箱をちらつかせる翼は聞き慣れぬ単語にキョトンとしてマリアに説明を求めた。
「なんだそれは?ポッキーで遊ぶのか?」
「認識がそのまんまね…まあ間違ってはないけど。アレよ、最近流行ってる二人がポッキーの両端を加えてそのまま食べて行って食べ切ったら成功よなんならほら、今日ポッキーの日よ」
「ふむ…ん?」
翼は疑問の顔をするとマリアに再び質問をした。
「それではアレか?成功イコールキスと言うことか?」
「まあそうなるわね」
「ふむ…」
「何?恥ずかしいの?」
「いや…」
翼は困った顔で少し考えると少したどたどしく話し始めた。
「こう…なんだ、別にするのは構わんが節度というものがな…と言うかマリアはそう言うのは大丈夫なのか」
「別に翼となら一瞬触れるくらい気にしないけど?」
「そうか…ならやってみるか、たまには流行りに乗るのも悪くはないだろう」
「決まりね」
マリアはポッキーを一本出すと端を咥えて翼に差し出した。
「ん」
「ああ、では行くぞ」
翼ももう片端を咥えサクサクと食べ進めて行く。
(ポッキーをこのように半分づつに分けるとは、何か変な感じだな。それと思ったより…)
(どーせチョコの方だしなんなら少し多く頂いちゃおうかしら。それにアレね…思ったより…)
そんな事を考えていると不意に唇が付く、二人は一瞬ピクッとするがすぐに離し二人とも何か言いたげに話し始めた。
「成功は成功だけど何か…こう…」
「多分私も同じ気分だ、せーので言ってみるか」
「良いわよ、せーの」
二人は一拍おいて思った事を口にした。
「思ったより面白くなかった」
それは二人とも一言一句同じ言葉、それを聞いたマリアが呆れたように少し笑い話し始めた。
「そうよね、そうじゃないかと思って居たわ。顔が近いと分かることもあるものね」
「間違いないな、マリアもどこか面白くなさそうだったからな」
「まあ一応貴重な体験だったと思いましょうか」
マリアが笑って言うと翼も同調するが少し眉をひそめてマリアに問いただした。
「マリア、さっきのポッキー少し多く食べなかったか?」
「あら、何のことかしら」
「シラを切るのはオススメしないぞ」
「分かったわよ、ポッキー1本多くあげるからそれで手打ちにしてちょうだい」
「良いだろう、むしろその言葉を待っていた」
「現金ね」
「それもそうだな」
そこまで話すとどちらが始めたでもなく笑い始めひとしきり笑った後翼が言った。
「やはりこう言うのは普通に食べるべきだな」
「そうね、私もそう思うわ」
そうして二人の平和な昼下がりは過ぎていった。