寝オチしたらギレンになっていたが 何か?   作:コトナガレ ガク
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第13話 禁忌

「良く来てくれた諸君」

 ここは前線基地ソロモンの忘れられた会議室。ここの区画は先の戦いでの爆撃が酷く記録上は消失したことになっている。その忘れられた会議室の俺の前にノーマルスーツを着用したシュタイナー大尉、シーマ大尉の両名が表れたのだ。

 今この隔離された空間には俺、セシリア、シュタイナー、シーマの四人のみ。ギレンの首を狙うものにとっては、絶好の機会とも言える。かなり危ない橋を渡っている自覚はあるが、それでもこの橋は勝つため渡る必要があったのだ。

 会議室の記録の抹消、気密を施しエアーボンベの設置などはセシリアさんがやってくれました。

「総帥直々のお出迎えとは、嫌な予感しかしませんな」

 エアーがあることを確認しヘルメットを取ったシュタイナーが苦み走った渋い声で言う。総帥を前にして毒を吐ける胆力は流石、こうでなくてはこの作戦は任せられない。

「まあ、座りたまえ」

「はっ」

 シュタイナー、シーマ共に敬礼をすると申し訳程度に設置してあった椅子に着席した。シュタイナーと違ってシーマはなんか毒女の片鱗は無く、まじめな女性士官といった感じだな。何か黒髪ロングストレートからお嬢様にすら見える。

「まずは嫌な予感に関して答えよう。

 今から話す作戦は特秘事項Sだ。つまり知った以上断ることは出来ない。今なら引き返すことが出来るぞ」

「そして最前線送りですか」

「口が過ぎるぞっ」

セシリアがシュタイナーを咎める。

「良い。それぐらいでないとこの作戦は任せられない」

 やんわりとセシリアを窘める。憎まれ役を買ってくれるセシリアさんありがとう、おかげで俺が憎まれること無く場が締まる。

「出過ぎました」

「っでどうする?」

「受けましょう。これからも連邦との戦争は激化するでしょう。どこにいても最前線、なら大きな仕事を果たしたいですな。

それに我々で無ければ出来ない仕事なのでしょう」

ここでニヤリと笑ってみせるシュタイナーは、俳優でも出来そうなほどに格好いい。

「うむ。それでシーマ大尉はどうする?

 受けないのなら、それでもいい。特にペナルティーを科すつもりは無い」

「受けます。元よりこの命公国のために捧げる所存です」

 う~ん、これ本当にシーマ様? 全然毒が無い。可愛いとすら思ってしまう。

「うむ。危険な任務だが、成功の暁には全員の2階級特進を約束する」

「ほう、殉死でもしてしまいそうですな」

「何を犠牲にしても作戦を果たせと言うことだ」

「部下を捨て石にしろと」

 シーマがここで憤慨して食ってかかってきた。本当にこの頃は真っ直ぐなんだな。

「しろとは言わない。だが心に刻んでおけ。これで雌雄が決するとは言わないが、公国に大きく戦況が傾くのは確実だ。それにより戦死者の数は万は変わる」

「腕が鳴りますな。ようはそんな窮地に追い込まれなければ良いと言うことですな」

「そうだ」

「ではそろそろ焦らすのは辞めにして、本題に入りましょうや」

「うむ。詳細は後で紙で渡すが、君達にはあるコロニーに行き、秘密裏にあるものを奪取して貰いたい。当然連邦に動きを察知されれば、死にものぐるいで阻止しようとするだろう。最悪コロニーごと消滅しようとするかもしれない」

「それは怖いですな」

「この作戦は極秘を持って為すのが最上。人知れずコロニーに侵入し、人知れず奪取して離脱する。だが、万が一のこともある。これを君達に渡しておこう」

 パチンと指を鳴らせば、セシリアさんがモニターを付ける。

「こっこれは」

「スコーピオンだ」

 モニターには真紅に塗装されたモビルスーツが映った。その外観はザクとは違い、より鋭く中世の騎士風の外観と背中にはザクなどとは比較にならない推力を持った土星エンジンを搭載されていた。

「最新鋭機! いやこれはどこかで」

 シーマがモニターに映ったモビルスーツを見て頭を捻る。

「これってザクとのコンペで負けた、欠陥機ツダじゃ無いか」

 ちっばれたか。そうこれはコンペで負けたツダを真っ赤に塗装してリミッターを付けただけの機体。

「シーマ大尉はよく知っている」

「重大な作戦と言っておいてこんなのを回すのかい」

 あっシーマ様が切れた。今の口調姉御の片鱗が覗える。

「嫌なら持っていかなくていい。だが、総帥である私が直々に君達に指示している意味を汲んで欲しい」

「連邦と繫がっている者がいると」

「ふっ。

軍に正式採用されたザクでは足が着く。だが欠陥機として廃棄されたことになっているこの機体なら、何とか私の一存で回すことが出来る」

「総帥の深い考えを読み取れず申し訳ありませんでした」

 シーマが頭を下げて謝る。

「よい。

リミッターさえ解除しなければ、そうそう爆発することは無い。そもそもこの作戦モビルスーツは必要ないはずだ。

 これはあくまでも保険なのだよ」

「それでこのお嬢さんと私は同じ階級ですが、どちら指揮を執るのですか?」

 当初この組み合わせに付いては悩んだが杞憂だったようだ。綺麗なシーマなら大丈夫だろ。

「ここは経験を買ってシュタイナー大尉が指揮を執ってくれ。シーマ大尉は副官としてサポートをしろ」

「はっ」

「現時点をもって君達は軍から除籍され、何があっても軍は関与しない。

 今このときよりラプラス奪取作戦を開始する」

 くっくっく、究極の後付け設定。本来のギレンなら知ることのない情報だが、ガノタの俺なら知っている、ある意味コロニー落としより連邦にとって驚異の存在。ガノタの間ではUCでは意味ないじゃんとネタにされるが、この時期なら意味は大きく違う。

 使いようによっては人類の半分、スペースノイド全てがジオン側になる。これで工業力は兎も角人口なら互角に持って行ける。嫌上手くいけば連邦内部の良識派すら此方に付く。

 そう上手くいかないとしても、最低地球圏は混乱する。

 いやはや、情報こそ最高の禁忌だな。

 








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