寝オチしたらギレンになっていたが 何か?   作:コトナガレ ガク
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第20話 盾であり剣

「なっ」

 真っ白に染まる閃光。

 核、核だと!?

 連邦はそうまでしてギレンを抹殺したいのか。

「私の横に立つというのならしっかりなさい」

 セイラさんの小声の叱咤で気付いた。

 俺は知らず椅子からズリ落ちそうになっていた。

 そして俺を叱咤するセイラさんの足は小さく震えていた。

 そうだよな。くっころ姫なので忘れがちだけどセイラさん、まだ女子高校生なんだよな。そんな少女を時間の問題だったとはいえ俺は巻き込んでしまったのか。

 ・

 ・

 ・

 いいさ、そこまでして俺を殺したいのなら俺もとことん悪逆になってやる。

 俺は椅子に座り直すどころか、立ち上がった。

「全艦隊、全サイド、全地球へのレーザー通信による放送の用意」

「はい」

 まだ動揺が残る艦橋の中セイラさんが俺の命令にいち早く反応する。

 

「見よっ勇敢にして正義のジオンの兵士達よ。

 あの光こそ連邦が放った悪魔の光だっ」

 画面には先程の核の光が映し出される。

 これはヤマトのレーザー通信能力を使い各サイドに送信されている。後はサイドに潜伏しているジオンの諜報員が各コロニーにいる一般人に流してくれるだろう。

「卑怯にも連邦は卑劣なる悪魔の兵器『核』を使い、ザーンごと我々を葬り去ろうとした」

 別に南極条約を結んでいないので連邦が核を使っても条約破りの卑怯なことはない。だが開戦から徹底して核を使わない戦闘を繰り返すことで、何となく両軍で核を使わないのが暗黙の了解になっていた。そこを突く。

 そして連邦は俺ことギレンだけを狙ったのであり、ジオン軍ましてやザーンを狙ったわけじゃ無い。そんなことは分かっているが連邦は迂闊にもザーンの方向に向けて核を撃ってしまった。これを利用しないようでは、ギレンではない。

「このことにより地球連邦がスペースノイドを人として見なしていないことは明かである。

 これからも連邦は非人道的な手を使いスペースノイドに暴虐を振るおうとするだろう」

 これはあながち暴論でもない。

 参政権を認めない時点で市民と認めていないことは明確だし。この後のZでは毒ガスやコロニー落としを連邦自ら行っているのが証拠であり、結局それが根本にある所為で戦乱がこの後も延々と続いていく。

 故にこの言葉は聞いたスペースノイドに刺さる。

「だが恐れるな、ジオンの兵士達よ。

 我等は盾。スペースノイドの盾となり連邦の悪烈から守らねばならぬ。

 我等は剣。スペースノイドの剣となり連邦に正義の鉄槌を下さねばならぬ」

 ここは少し迷ったが勢いで言った。

 これによりジオンはジオン国民だけでなくスペースノイドに責任を負うことになる。だが遅かれ早かれそうするつもりだった。少々早いだけだ。

「我等に負けは許されない。

 我等に許されるのは勝利のみ。

 ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

 ジオン艦隊にいる全ての兵士が復唱する。

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

 放送を聞いたジオン国国民が復唱する。

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

「ジーク・ジオン」

 放送を聞いて感化されたスペースノイドが復唱する。

 凄い。流石生粋の天才アジテーター。

 戦略や戦術、政治手腕じゃない。

 このアジテーターの能力こそギレン最大の武器。

 ドズルやキシリア、ましてガルマでは到底出来ない芸当。

 俺は演説の手応えに満足すると椅子に座る。

「諸君、さあ正義を執行しよう」








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