寝オチしたらギレンになっていたが 何か? 作:コトナガレ ガク
「これが強行偵察型ザクⅡ改が持ち帰った映像です」
執務室のモニターに映像が映し出される。
5隻編成のパトロール艦隊とは独立して強行偵察型ザクⅡ改による監視網も構築されている。今回は近くにいた強行偵察型ザクⅡ改が記録をしていたらしい。
衛星軌道上を周回しつつ地上の監視を行っているパトロール艦隊が地上で打ち上げが行われる兆候をキャッチしたと監視衛星から連絡を受け現場に急行する。
水際での阻止の為打ち上げられてくるHLVを艦砲射撃を行うパトロール艦隊。
だがレーダー照準が使えない目視による艦砲射撃では高速で打ち上がってくるHLVを全て迎撃することは出来ない。艦砲射撃を逃れて大気圏を突破して来たHLV、ここからが本番である。
先行したHLV部隊から直ぐさま迎撃用にセイバーフィッシュが射出され、中にはザムすらいる。
パトロール艦隊も慌てること無く重力に捕まらないギリギリの高度を見切ってザク12機を突撃させていく。
ザクは艦砲射撃で援護されつつ連邦部隊と交戦に入る。
ここまでは見事だ。
教科書通りの連携で落ち度が見つからない。数の上では此方が劣勢だが、ほどなく他のパトロール部隊も駆けつけてくる。それまで連邦艦隊を釘付けにしていればいい。
だがこれは囮だった。交戦するパトロール艦隊の後方より、一隻の船が大気圏を突破してきた。
段々と見えてくるスフィンクスのようなシルエット。
大気との摩擦が薄れていき赫く染まっていた機体が段々と本来の色である白を取り戻していく。
ゴクン、生唾を呑み込んでしまい拳を握り締めてしまう。
あれはまさかホワイトベースだというのか?
連邦にとっての反抗の希望の星、ジオンにとっては悪夢を告げる吉凶の星。
強行偵察型ザクⅡ改のカメラがハッキリと船体を映し出しそれが紛うことなきホワイトベースであることを見せ付けてくる。
まだだ、ガンダムもアムロ君も此方の手にある。船だけなら慌てるようなことは無い。
そのホワイトベースより発艦してくる三機のMS。
ザムなんてなんちゃってMSじゃない。
二機は、見慣れた赤いシルエット、ガンキャノンだ。
そしてその二機を率いるように先行するのは白いMS、白いガンキャノン!?
色だけで無く改良されていて高機動型ザクⅡRのように足にスラスターを増設して機動力を上げているようだ。
まだだ、まだだ。ガンキャノンは確かに高性能だがガンダムほどじゃない。反抗の象徴に成れるほどじゃない。
予備として残しておいたザク三機が直ぐさま迎撃に向かう。
そのザクの交戦距離に入る前に宇宙に閃光が瞬き、一撃でザクが爆破された。
戦艦並みの威力!!!!!!
連邦はもうビームライフルの開発に成功したというのか? ジオンでも開発をさせているのに未だ実用化出来ないというのに。
正史より大分早い。これが地上に損害が無いときの開発力なのか。
これまで戦闘の経験から大分練度が上がっているだけあってザク側も直ぐさま対応。散開後ランダム軌道を描いてガンキャノンに迫っていく。
見事な連携で挟撃し白いガンキャノンにザクマシンガンの弾を雨霰の如く撃つ。その攻撃を当たってもどうせ弾き返すんだろうが白いガンキャノンは擦らせもしない。
そして一説にはガンダムより優れている射撃システムを使いザクを撃破していく。
勝負に成らなかった。
白いガンキャノンに率いられた部隊により5隻のムサイは為す術無く撃沈されていく。
ほどなく戦闘が終わり、他のパトロール艦隊が来る前にとHLV部隊はサイド2の方に向かって消えていくのであった。
5隻編成の部隊が援軍が来る前に全滅だと!?
そして悪寒に震える。
白いカラー。
厚い装甲。
増加したスラスターによる高機動。
この三つから嫌な男が連想される。
映像が終わりセシリアさんが手元の資料を見ながら報告してくる。
「連邦に潜り込ませているスパイからの情報では、赤いMSはガンキャノン。白いMSはその改良型でガンキャノン・オーバーという名前だそうです。
パイロットはパプテマス・シロッコ」
これが歴史の修正力か。
俺がガンダムとアムロを連邦から奪い去ったから、その穴を埋めるべく宛がわれたというのか?
ガンダムの代わりに原案での主人公機であったガンキャノンが繰り上がり。
シロッコは木星に行くまでも無くここでニュータイプに覚醒するというのか?
そしてガンキャノンを元にしてガンキャノンプロダクトモデルでジムが作られていくのだろう。まあ元々ジムなんてガンダムの量産型と言いつつ顔はガンキャノンだし違和感は全くない。
このまま放置すれば歴史は本来の流れに修正されていってしまう。
何とかせねば。