寝オチしたらギレンになっていたが 何か?   作:コトナガレ ガク

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第42話 てんどん

 情けない。俺は戦略ゲームのAI並みかよ。

 兎に角兵力があるAI側には囮を使って部隊を本陣から引き離し、手薄になったところを強襲して勝つ。こんな馬鹿なコンピューター相手にしか通用しないような戦法を俺自身が喰らってしまうとは。

「今動かせる兵力は全て動員する。

 試作機旧型は問わない、何がある」

 ソロモンに急遽援軍を向かわせ無くては成らないが、如何せん今ジオン宇宙軍には兵も居ないが主力のザクⅡはそのほとんどが地上に降下してしまったままでMSもない。

 こんな時のジオンガールズはシャアを護衛にして地方巡業(各サイド周り)に行っている為間に合うか微妙なところ。ララァやニュータイプの少女に囲まれてシャアも丸くなると思って出したのが裏目に出ている。

 丁度会議で技術部の連中が居たのは幸いだった。こいつらが独自に保有しているテストパイロットや部隊は侮れないものがある。

 特機の一騎当千に期待してはいけないのは分かっているが藁をも掴む状況だしょうがないじゃないか。

「格闘専用MSギャンを提供できます」

 ツィマッドが提案してくるが、ギャンではな~。

「後は試作リックドムが三機ほど」

 渋い顔をする俺にツィマッドが追加で提言するのはいいが、俺はそんな開発命じていない。

 また独断専行か。技術者のやる気を削がないためにあまり口出ししてなかったが、そろそろ締めないと駄目かな。

「ん?」

「いえ万が一ゲルググが間に合わなかった事態に備えて開発だけはしてました」

 睨む俺にツィマッドはしどろもどろに言い訳する。

「分かった」

 今は深く追求すまい。

「ザクレロが完成しています」

 今度はMIP。

「ザクレロ!?」

「MAを模索する為に開発しました。性能は要求値に及びませんでしたが可能性は見せてくれました。ザクよりは使えます」

「ザクよりね~」

 誇らしいのはいいが、MAでザクより強い程度では誇れるものじゃ無いぞ。

「その成果を持って試作ビグロも一応完成してます」

「ビグロ」

 ビグロ、ビグロはいい。あのアムロでさえ苦戦したMA、上手く使えば敵将への突撃に使える。

「はい、ビグロの加速性は素晴らしいです。その突撃力とクローで連邦のMSなど引き裂いてくれるでしょう」

 俺の食いつきにMIPはここぞとばかりにアピールしてくる。

「クロー? メガ粒子砲が内蔵されてないのか?」

「機動性実証の為の試作機ですので、飛び道具として90mmバルカンを内蔵していますが、なぜ閣下がビグロの完成形態のことを知っているのですか?」

「うむ。私を甘く見るな」

「はっは」

 密告員でもいると思ったのかMIPは青い顔になるが、何か覚悟を決めて口を開く。

「なら閣下に隠しごとは出来ませんな。

 決戦用兵器ビグザム、50%完成しています」

 ビグザムと喜びそうになったが50%?

「それはどのくらいの機能なのだ?」

「足がありません」

 もう俺が知っている前提で話してくる。

「そうか」

「メガ粒子砲は撃てますが、Iフィールド装置は間に合っていません」

 それはもう単なる動く砲台なんじゃ無いか? それでもあの火力使い用はあるか。

 後はガンダムか。アムロを手元に残しておいて良かった。それだけが救いだ。

 これ以上はぐだぐだ時間を掛けられないソロモンが持ちこたえている間に出撃せねば。

「閣下」

 情報収集をして貰っているセシリアさんがノックもせずに会議室に飛び込んできた。

 このパターン、凄く凄く嫌な予感がする。

「どうした?」

 俺は落ち着いてセシリアさんに尋ねる。

「ソロモンが陥落しました」

「馬鹿な。ソロモンには防御戦が出来るくらいの兵力はあったはずだ。

 早い早すぎる」

 ティターンズにそこまでは圧倒的兵力は無かったはずだ。

「未確認情報ですが、ティターンズは新兵器コロニーレーザーを使用したようです」

「コロニーレーザーだと。そんなもの誰が?」

「あるルートから来た情報ですが、ティターンズが強引にコロニー一機を徴収しシロッコが作ったとのことです」

 ガンッ思わず机を叩いてしまっていた。

 やってくれたなシロッコ。確かにあの天才なら宇宙に幾らでも転がっているコロニーを利用してそのくらい簡単に作ってくるだろう。

 まずい、これで俺は原作ギレン最後の舞台アバオアクーでの最終決戦をする嵌めになった。


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