寝オチしたらギレンになっていたが 何か?   作:コトナガレ ガク

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第44話 脱出

「第23防衛隊突破されました」

「36砲台沈黙」

「第12MS大隊全滅」

「敵陸戦隊艇に取り付かれました」

 俺を取り囲むモニターからは悲痛な報告がひっきりなしに来る。

 限界点を超えたか。

 アムロもシロッコを良く抑えてくれている。だが所詮は一角だけのこと、後の防衛線は崩れ雪崩の如くティターンズが押し寄せてくる。

 ギレンの頭脳をフル活用して奇策を用いて延命を図ってきたが、ここまでか。

 戦争は数。勝負は如何に多くの数を揃えられるかに決まり、多少の戦術を駆使しようが覆すのは容易では無いということ。

「全軍これより撤退戦に移行する。

 要塞内にいる兵士諸君はWフィールド側から退避を始めろ」

 ここで俺は通信を別に繋ぎ、モニターにデラーズが映し出される。

「撤退戦を始める。撤退する兵士のためにWフィールドを死守せよ」

『了解です。

 しかし閣下・・・』

 禿げたオッサンが滝のように涙を流している、まさに号泣。

 本当にギレンに心酔しているんだな、中身俺でご免。

「それ以上は言うな。大義のためである」

『分かりました』

 大義のためと言えば納得してくれる、優秀だけど扱いやすい人だ。

「キマイラ隊に通達。徐々に戦線を下げていき味方の撤退を援護させよ」

 

 ギレンに転生し俺は良くやったと思う。

 正義の味方ジオンで非道なことは一切しないでここまで来た。

 もうゴールしてもいいよね。

 うん。

 

 数分後。

 ギレンによる鮮やかな撤退指示によりアバオアクー内には、無数のモニターに囲まれたギレン以外にはいなくなっていた、はず。多少逃げ遅れがいるかも知れないが時間切れだ自己責任で逃げて貰うしか無い。ほとんどはWフィールドに集結している。

 よしやるか、頭パーンよりはずっとマシのはずと思った俺の頭に暖かく柔らかいものが押しつけられる。

「えっ」

 まさか思って振り返れば、セシリアさんとセイラさんがいた。

「冗談は止せ。君達は本国にいるはずだ」

「閣下という後ろ盾無しではもう私は生きていけないほどに私は閣下に関わりすぎました。最後までお供します」

 確かにジオン敗戦後連邦に連行されて、その後は・・・。

「私の正体はあなたによって暴露されてしまったのですよ。今更平穏な生活に戻れと言われても」

 いやいやあんたしれっと投資家に成って優雅に暮らしていたじゃん。

 何より俺が二人のことを放り出すわけがない、ちゃんと責任は取っている。

「いやいや、セイラさんにはお兄さんがいるし、セシリアにしても父に頼んであるから・・・」

 むにゅっと言いかける俺の口が二人のおっぱいで塞がれる。

「女の覚悟を無駄にしないで下さい」

「どっちみち、もう脱出には遅いわよ」

 ・

 ・

 ・

「分かった。男ギレンの名に賭けて君達二人は絶対に幸せにしよう。

 協力してくれ」

「「はい」」

 笑顔で返事をすると二人はモニターをどかして席に座る。

「要塞内に敵部隊深く侵入しています」

「ティターンズ艦隊SおよびNフィールドに再集結中」

 追撃戦の準備か、最高のタイミングだな。

 シロッコめそのニュータイプ能力が仇になったな。要塞内にギレンがいることは感じているはず。ならばこんなことをするとは想像も出来まい。

「セイフティーロック解除、オーバードライブ。

 ジークジオン」

 俺は拳を振り上げ薄いガラスを叩き割り赤いボタンを押すのであった。

 瞬間、アバオアクーはティターンズを巻き込む大閃光を発するのであった。


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