寝オチしたらギレンになっていたが 何か?   作:コトナガレ ガク
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第46話 優しい世界

 ギレンがスペースノイドに道を示し散った後も地球においてはティターンズやエゥーゴなどによる覇権争いが続いていた。結果街は破壊され経済は混乱し難民に溢れた。

 だが一方宇宙においては、ティターンズ艦隊が事実上消滅した事によって宇宙に掛けられていた重しは取り除かれスペースノイドは解き放たれていた。

 そして彼等はラプラス連邦を結成した。

 ギレンが公開した宇宙世紀憲章だが、ネオビグザムと共に砕けてしまったのか真偽を確かめるべく必死の捜索を行ったがついに彼等は見付けることが出来なかった。だがギレンに感銘を受けたスペースノイド達にとってはギレンが示した宇宙世紀憲章こそ本物であり、それ以外の本物などあり得なかった。そして宇宙世紀憲章がかつてラプラスの箱と呼ばれ封印されていたことを知ると、彼等はそのことを忘れないためラプラス連邦と名付けたのだった。

 そのラプラス連邦、記念すべき最初の事業はサイド7の建設再開であった。これは地球の戦乱によって土地を追われたアースノイドの受け入れ先、要は難民対策ではあったが宇宙世紀のリブートは始まったのであった。

 これからも問題は出るだろうが彼等は前に進んで行くであろう。

 

「アムロ君、今日は何処に行こうか?」

「遊びに行くんじゃ無い。パトロールなんだぞシロッコ」

「アムロ君と一緒なら何処でもいいさ」

 シロッコはアムロの肩に親しげに手を掛ける。ラプラス軍ユニコーン部隊の駐留基地での光景。

 アバオアクーでの戦闘でシロッコは初めて自分を凌駕するニュータイプを知った。そのことは衝撃であり同時に天才過ぎて孤独だったシロッコの心を満たすものであった。もう少し大人になっていたらどうしようも無かったが、幸い十代の柔軟性溢れる世代。心根が砕かれたシロッコはアムロに友情以上の感情を抱くようになった。

 以来いつの間にかラプラス軍の軍人に成りどういう手段を使ったのかアムロ直属の部下になっているのであった。

 おかげで原作よりもさばけて幸せそうなシロッコというSSRな姿がこの時空では見られる。アムロの方はちょっと迷惑そうだが、それはそれ、シロッコの目を盗んでは原作さながらのプレイボーイとして人生をエンジョイしていた。

 

 ドズルは戦死をしなかったことにより、本来彼が持つ資質のままにいい夫いいパパとして、単身赴任のジャブローで休暇を指折り数える日々を送っている。

 

 ガルマはラプラス連邦ジオン公国の次期公王のプリンスとして国民のアイドルに成り、そんな甘い彼をキシリアが眉間に皺を寄せながら支えていた。彼女もガルマにだけは甘いので裏切ること無く支え続けるだろう。

 

 かつて無い経済活況に湧く宇宙。そんな中話題のスペースコロニーがあった。そのコロニーは初期型で廃棄寸前だったのをとある資産家が手に入れた後徹底的に改修を行い、話題のリゾートコロニーとなっていた。

 そのコロニー内部の奥深い山々、昔の地球さながらの険しい山道を歩いて山を抜けた先には古びた旅館があった。その旅館は昔地球の日本で流行った千と千の神隠しに出てくる温泉旅館さながらであった。

 その旅館に少女達を引き連れた一人の男が玄関を潜った。

「いらっしゃいませ。

 とう旅館の女将セシリアと言います。遠いところからようこそお越し下さいました」

 まずはこの旅館の和装の美人女将が三つ折り付いて出迎えてくれる。彼女の顔を見れば山道を歩いてきた疲れなど吹き飛ぶという。

「予約したクワトロと他三名だ」

 黒いグラサンをした男は三名の美少女、今宇宙で大人気のアイドルユニットジオンガールズを引き連れている。

 本来なら宇宙世紀にもいるパパラッチ達の魔の手が忍び寄るが、そこはこのコロニーが誇るガード部隊、蠍座の女と荒くれ者達が徹底的に排除するので安心して素顔を晒すことが出来る。

「お部屋に案内致します」

「それと」

「分かっています。まずは温泉にでも入って疲れを癒やして下さい。逃げはしませんよ」

「そうか」

 クワトロと少女達はそれぞれ部屋に案内されると、それぞれに寛ぐことになった。この旅館内部を探索するだけでも結構冒険気分に成れる。年若い少女達は早速冒険に出掛けてしまい、クワトロは女将の言う通りお勧めの露天温泉に向かった。

 クワトロが脱衣所で服を脱ぎタオル一丁で露天温泉に入る為に戸を開け外に出ると、一人の男がいた。

「あれお客さん、今ちょっと準備中なんだけど。札出てなかった・・・」

「久しぶりですね」

「えっえ~と」

「私に政治の世界を勧めておいて自分はさっさととんずらですか」

 恨みがましい目で此方を見てくる。

「えっえ~と取り敢えずお風呂入る? 背中流すよ」

 三助姿が板に付いてきた俺はシャアに提案するのであった。

 

 ロベスピエール、織田信長、リンカーン。時代の改革者達はその辣腕で行き詰まった旧社会を破壊して喝采を浴びるが、同時に多くの恨みを買うということ。その恨みは恐ろしく彼等はいずれも非業の死を遂げている。

 あのままならギレンも宇宙世紀の改革者と喝采を浴び歴史に名を刻んだであろうが、いずれキシリアがしなくても誰かの手で頭パーンされていただろう。

「だからね。ここらが潮時だと思っていたんだよ」

 俺はシャアの背中を流しながらいう。

 だからあの試作ビグザムのIフィールド搭載予定で現状ぽっかり空いたスペースに目を付けた。Iフィールド発生装置はデンドロを見れば分かる通り巨大で体育座りしたMSくらいはある。だからそこにガンダムⅠ号機をこっそり入れておいた。ガンダムⅠ号機はビーム兵器は無くともルナチタニウム合金は堅く見事ネオビグザムの爆散から守ってくれた。

 後は任務に失敗しおめおめ帰れないと途方に暮れていたシーマ達に話を付けておいて、脱出後に拾って貰い。溜め込んでいた金を使ってコロニーを買って今に到る。

 シーマ達も当然俺の演説を聴いていて真の宇宙世紀憲章のことを知っている自分達は帰ることが益々出来なくなったと恨み節、まあ仕方ないというか罪滅ぼしで俺の部下として共に頑張ってきた。これでもシーマはたまに女中として接客もこなしている。

 事業は軌道に乗りうはうは、このまま事業を拡大していきゆくゆくは宇宙の娯楽王として元のサラリーマンでは出来なかった酒池肉林の爛れた余生を面白可笑しく過ごす予定だったのにな~。

「あなたっいつまで掃除しているの今日は大事なお客様が来ると・・・。

 兄さん」

「アルテイシア。貫禄付いたな」

 シャアが怒鳴り込んできたセイラを見てしみじみと言う。

 誤算だったのはセイラとセシリアが思った以上に情が深い女だったこと。権力を失ったギレンなど速攻で見限ると思っていたのに、セイラに到っては手すら出していなかったのにどうして。おかげで酒池肉林はパー。日々嫁さんに尻を叩かれてきびきび働いてます。

 まあ、そんな彼女達だがセシリアは気が利く女将で宿を盛り立て、セイラは経理面で俺を支えてくれているので文句は言えないし、家に帰れば優しいところもあるしね。

「幸せそうで良かった」

「ええ、だから兄さん私達のことは放っておいて」

 帰ればセイラはダイクン家の姫君として生きられるというのに未練無くきっぱりとお願いする。

「ああ、ギレンとセイラとセシリアはスペースノイドに希望の光を見せて戦死。それでいいと今納得したよ。

 だけど兄として訪ねてくるのも駄目かい?」

 優しい目をしたシャアがセイラに問い掛ける。

「勿論大歓迎よ」

「そうですよ兄さん。いつでも来て下さいね」

「但し義理弟、お前は駄目だ。お前には色々責任を取って貰う」

「そうね。主人でしたらどうぞ扱き使ってやって下さい。

 その人暇があると碌な事企みませんから」

 以前勝手に事業を拡大しようとしたことをまだ言うか。いいじゃん海側に高級ホテルを建てて若い娘を呼び込もうとするくらい。

「そんな~」

 これから何か問題がある度に影でシャアに扱き使われるかも知れない。

 まあシーマ達も腕が鳴るだろうし、俺もたまにはきな臭い政治の臭いも懐かしくなる。たまにならいいか。

 こうして、おおむね俺はこの転生した世界で楽しく過ごしていくのであった。

 

 これはギレンにもう少し良心があったらあり得たかも知れない別時空の宇宙世紀の物語。

 本編とは裏腹にこれにて幸せのカーテンコールで幕を下ろします。

 

                                      Fin


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