Afterglow 〜夕日に焦がれし恋心〜   作:山本イツキ

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どうもっ! 山本イツキです!

まずはじめに、総UA数10000回突破しました!
ご愛読の皆様、本当にありがとうございます!
そしてこれからもよろしくお願いします!

本編としては、かなりシリアスな内容となってます。
今はこの話だけなので、残酷な描写のタグはつけません!

それでは、本編スタートです。


第10曲 刻み込まれた負の記憶 強くなるための意思

 学校は怖いところだ。あの日からあたしはずっと学校という施設に怯えている。

 あたしがそんな風に見えない?…バカにしないでよ。幽霊だってこわ…それはほっといて……。

 

 あたしは、学校ではほとんど喋らないけど学校が嫌いなわけじゃない。

 今思えば、あたしは昔から物静かな方だけどAfterglow以外の人の前でも普通に笑えてた。しかし、それが1日で豹変した……。

 

 ーーあれは中学2年の時。

 葵を含むAfterglowのメンバー全員が同じクラスであたしだけクラスが離れたことがあった。

 話す相手もおらず、クラスで一人青い空を眺めることが多かった。

 そんな時、クラスで唯一仲良くしてた女の子が一人いた。その子は大人しくて、笑顔が素敵で…ちょっとおどおどしてるけど、そんな彼女がカッコよく見えた。

 こんなあたしに、話しかけてくれたんだから……。

 

 ある日、教室に宿題を忘れて取りに帰っていると、女子のリーダー格の人とその取り巻き5人、その真ん中に横たわる彼女。

 ーーその子たちは彼女を虐めていたのだ。

 

 蹴って殴って、酷い暴言を吐かれて…見ているだけで辛い気持ちになった。そして、それを見ていることしかできない自分を非常に憎んだ。虐めていた子達よりずっと…。

 

 虐め疲れたのか、その子達が立ち去ったと同時にあたしは一目散に彼女に駆け寄る。

 

 「ちょっと!? 大丈夫なの!?」

 

 その子はフラフラしながらも笑みを浮かべてあたしを気遣ってくれた。

 

 「大丈夫…だよ……。私が…おどおどして…あの人たちを…怒らせたんだもんね……」

 

 「そんなことない!あたしはそんなあなたに憧れて…」

 

 次の日から彼女は学校に来なくなった。

 ゴールデンウィークが開けてすぐのことだった。

 リーダーたちは密かに嬉しがっていたが、あたしはどうすることもできなかった。『あたしにも同じことをされるんじゃないか…?』という恐怖に負けて……。

 

 しかし、夏休みが明けてすぐに彼女は戻ってきた。以前よりも堂々とした姿で。あたしは本当に嬉しかった。

 リーダー格たちは、違った意味で嬉しそうだった。…また虐めの標的が登校してきたのだから。

 

 その日の放課後、あたしは教室に筆箱を忘れて取りに帰っていた。

 …あの日と同じパターン。

 彼女がまた虐められていたらどうする…?

 

 「次は絶対あたしが守ってみせる」

 

そう勇気を振り絞り、廊下を駆け出す。

 

 ーー教室の扉が開いている。

 

 「まさかまた……!?」

 

 思わずあたしは教室に入ってしまう。

 しかし、待っていたのは驚愕の光景だった。

 

 ーー以前とは真逆。

 取り巻きの5人がうつ伏せや仰向けで倒れていて、リーダー格の女の子が胸ぐらを掴まれていた。

 

 「…私があの時、どんな目にあったか覚えてる?こんなものじゃないよね……」

 

 そう呟き、無抵抗のその子に何度も何度も拳を振るう。取り巻きの5人にも同様に…不敵な笑みを浮かべながら。

 

 白くて綺麗だった小さい手は、もうそこにはない。透き通った美しい眼もそこにはない。

 

 あまりの光景に息を荒げてしまい、彼女に自分の存在を知らせてしまう。

 

 「そこにいるのは…蘭ちゃん?ごめんね…私はこの為だけに学校に来たの。この子たちに復讐する為に…」

 

 「そんな…アナタはそんな人じゃ……!?」

 

 「ごめんね…ごめんね…。もう私はいなくなるから、だからごめんね…」

 

 「ちょっと!? 何言って……」

 

 

 ーー気がつくと、あたしは自分のベッドの上で横になっていた。

 側には、制服姿の葵。あたしが眼を覚ますと同時に、葵は眼を大きく開きあたしに詰め寄る。

 

 「蘭! 大丈夫!? 怪我は!?!?」

 

 「あたしは大丈夫…。他の子たちは…?」

 

 「うん、大丈夫だよ。全員病院に搬送されてしまったけどね…」

 

 「…ねぇ、あの子はどうなったの……。あたしはなんでここで寝ていたの!?」

 

 「お、落ち着いて! 今説明するから!」

 

 内容を要約するとこうだ。

 あたしの帰りが遅く、心配になった葵が学校に戻りあたしの教室に入る。

 そこには倒れている女子生徒の姿、勿論あたしもいた。すぐに先生に連絡して、病院に搬送。あたしは見たところ、外傷が無かった為ここまで葵が運んでくれたという事だったらしい。

 あたしがなぜ意識を失ってしまったかは分からない。全く記憶にない。

 

 「…大体はわかった。それで…あの子はどうなったの!?」

 

 「詳しいことは分かってないよ…。明日、担任の先生から報告があると思う」

 

 「そんな……!?」

 

 次の日、彼女は本当の意味で学校に来なくなった…いや、来れなくなった。

 何故転校したかは知らされなかったが、リーダー格の女子を含む6人が出席してない時点でクラスのみんな理解した。

 

 『あの子がやったんだ……』

 

 あたし自身、Afterglowのみんなと話すことさえ怖くなった。彼女みたいになるのではないか…と。

 

 しかし、その心配は必要なかった。普段通り、何気ない毎日をあたしと過ごしてくれた。今となっては最高の親友たち。それだけであたしは救われたような気がする。

 

 

 ーーそして現在。

 クラスの子と話そうとすると、あの日の事をふと思い出す。どうしても、慣れるものではない。

 親友たちと "Afterglow" としてバンド活動するんだから、あたしも強く変わらないといけない。

 自分が変われているという『()()』を表現する事ができればきっと……。

 

 「…蘭? どうしたの、そんなにボーッとして……」

 

 「あ、ごめん。どうしたの葵?」

 

 「今日の夜、父さんが帰ってくるからバンドのこと伝えたいと思ってるけどいいかな?」

 

 「うん、大丈夫だよ。あたしも覚悟は決めてる」

 

 「…そっか!それじゃあ…久々の5時限目だけど、寝たらダメだよ?」

 

 「うっさい…バーカ」

 

 …中学の時のことを思い出して全然授業に集中できない。

 そんな時、授業をしていた国語科の男の先生がある事をあたしたちに伝えてくれた。

 

 「この学校は、高校からなら髪を染めてもいいらしいぞ?ただ、金髪はNGだからな」

 

 何気なく放ったその一言。

 ……そうだ、あたしの意思を "体" で表現したらいいんだ。

 

 学校が終わり、みんなとは別に一人で帰る。もちろん、あたしの意思を父さんに。Afterglowのみんな、クラスのみんな、そして自分自身に示すために……。

 

 数時間もすれば全てが完了した。

 父さんに伝える言葉、あたしの気持ち、全てを父さんにぶつける。

 

家に帰宅すると、家族全員分の靴がある。まちろん、父さんのも…。

 

 「……ただいま」

 

 「あ! 蘭おかえ……!?」

 

 「蘭帰ってきたの…えっ!? 蘭…まさか……」

 

 「…そのまさかだよ、母さん。ほら、葵も驚いてないで父さんにあの事伝えるよ」

 

 「あ…うん。父さんもついさっき帰ったところだよ」

 

 「そっか…。父さんには申し訳ないけどすぐに話がしたいから居間に呼んでくれない?」

 

 「うん、わかった! 少し待ってて!」

 

 数分もすると、葵と父さんが居間に着いた。母さんもあたしの前で座っている。

 

 「蘭、話とはなん……その髪はどういう意味だ?」

 

 父さんも、葵も、母さんも、驚くのは無理ではない。あたしは、自分の意思を "髪" で表現することにした。

 それは、右側に赤色の髪に…つまり赤色のメッシュを入れたのだ。

 なぜ髪を選んだかというと、あたしの真っ赤に燃える意思を一目でわかるということ。そして、葵が『最近はメッシュを入れるのが流行ってる!』と言っていたからである。

 ……要は、半分葵の責任だということ。

 

 「……これはあたしの意思の象徴。燃え続ける炎のように、あたしも何かをやり続けたい。そこで考えたのが、バンドなの。ひまりたちと音を奏でたい、想いを届けたい。あたしがここまで来て、やっとやりたい事を見つけたの。だから…あたしがバンドするのを許してください。お願いします」

 

 父さんに頭を下げるのは、これが初めてだろう。どうしても、父さんにあたしの気持ちを伝えたいから…なんとしてでも。

 

 「ボクからもお願いします。ボクも蘭と一緒にバンドをするつもりです。蘭と一緒に何か大きな事をやるなんて初めてだから…許してください、お父さん」

 

 葵も一緒に頭を下げてくれた、こんなに必死に。葵は、美竹家の後継者として父さんから日々稽古を叩き込まれている。

 中学でサッカーを始めるときも、1日たりとも稽古をサボったことがない。…父さんに恥をかかせないように。

 

 「……赤蘭には "縁起がいい" という願いが込められている。その願いに背かないことだな……」

 

 「父さん…ありがとう…」

 

 あたしは思わず涙を流した。あの堅物の父が。あたしのことを理解してくれた。初めて気持ちを伝えられた。そのことでもう、胸がいっぱいだった。

 

 「その代わり条件を出そう」

 

 「条件?」

 

 思わず葵が父さんに尋ねる。すると、父さんはとんでもない事を言い出した。

 

 「もし、そのバンドを投げ出しでもしたら

私は絶対に許さない。お前たちには今後、一切の自由も有さないことにする。それでも構わないのか?」

 

 「……うん、あたしは大丈夫」

 

 「ボクも、同じ気持ちだよ」

 

 「…ならば、私から言う事は何もないな。これでこの話はおしまいだ。早く晩御飯を頂くとしよう」

 

 こうして、あたしたちは普段と何も変わらず晩御飯を食べた。

 母さんの顔がいつもより嬉しそうだったのは、言わずとも知れた事。

 

 あたしは自分の意思を絶対に曲げたりはしない。弱い自分とはこれでおさらば。

 

 ーー彼女のためにも、あたしは強くなる。

 




いかがだったでしょうか?

シリアスと感動がごちゃ混ぜで、読みづらかったと思います…。

それでも書きたかった!!笑

次回からはまた、明るくてドキッとするような内容にしていきます!
感想等頂けると幸いです!
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