高校野球はやっぱり面白いですね笑 この小説でも野球回みたいなのを作ってみたいですね笑笑
本編としては、林間学校の最終話です!
それではどうぞ!
蘭を森の奥にあった湖のそばの大樹で発見した。今もなお、ボクの腕の中で泣き続けている。
「蘭? そろそろ行かないとみんな心配するよ?」
「……しばらくこのままがいい……」
目を顔も真っ赤でそう答えるが、携帯を見やると時刻は21時を過ぎたところ。本来ならクラスの企画は終了している時間帯だ。
蘭もそのことを察知したのか、ボクにある提案を持ちかける。
「葵が……おんぶしてくれたら……行く///」
目も顔も真っ赤にして絞り出したその一言。肝試しが相当怖かったのか、普段から見せない表情、声を発していた。
「……分かった。早く行こ、みんなが待ってる」
ボクはそう言い、蘭をおんぶするために片膝を地面につけ、腰を下ろす。
蘭もゆっくりボクの背中に乗り、両腕をボクの胸ぐらあたりまで伸ばし固定する。ボクも、蘭の太ももを支え前へと歩き出す。
「……蘭をおんぶするのって小学校以来だね」
「……うん、あたしが公園でこけて怪我した時だよね」
「顔色一つ変えず、ただ『おんぶして』って言ってきてビックリしたよ」
ボクが笑いながら話していると、森の方から懐中電灯の明かりがいくつも見えた。きっと、クラスのみんなもこの辺りにいるのだろう。
「蘭、みんなが探しに………」
後ろを振り返り、蘭の様子を伺ってみると「すぅ…すぅ…」と寝息を立てていた。
その寝顔は、まるで安心で満ちているように思えたーー。
明かりが照らされてる道を進むと、すぐにクラスの人たちと合流することができた。
その中には、Afterglowの面々も。
「葵!? 蘭は無事なのか!?」
「大丈夫だよ、巴ちゃん。今はぐっすりだよ。先生はどこにいるの?」
「すぐそこにいるよ! ほら、早く蘭ちゃんを連れて行こう!」
つぐみちゃんの誘導により、先生とも合流することができた。
蘭は女子たちの宿泊するテントに運ばれ、とりあえずは一安心。
ボクもすぐに男子のテントに戻り、男子たちとの会話に混ざる。
「おぉ〜、美竹お帰り。大変だったらしいな」
「うん、やっぱり怖いのが苦手な人を肝試しに連れて行くのはやめといた方が良かったかもね」
しばらくすると、ボクたちのテントに誰かが入ってきた。
「あの……美竹くんって……ここにいらっしゃいますか……?」
その正体はレクリエーションのグループと、肝試しのペアが同じだった大人しい女の子のクラスメイト。
「あ、さっきはごめんね…置いていってしまって……」
「そ…その事は気にしてません……仕方のない事でしたし……もしよかったら……外でお話ししませんか……?」
「うん、ボクは大丈夫だよ。それじゃあ行こうか」
男子たちからはかなり冷やかしを受けたが、気にせずその子について行く。
その子が向かった先は……ボクが蘭を見つけた湖のそばにある大樹だった。
「ここ……すごい綺麗ですよね」
「うん……さっき蘭をここで見つけたんだ」
「美竹さんを……? ここで……?」
「うん、そうだよ……っ? どうしたの?」
その子を見ると、どこか儚い顔をしていた。
「この大樹は……縁結びで有名なんです……」
すると彼女は、胸に手を当て一呼吸置きボクにこう告げる。
「私は……羽丘中学にいた時から……ずっとーーー」
蘭side
「……ん………蘭………! ……蘭!!」
どこかで聞いたことある声。
眩しい光を浴びながらも、少しだけ目を開けるとAfterglowのみんながあたしの側にいた。
「蘭! 体は大丈夫なの!?」
「……ひまり………なんであたしはここに?」
「葵くんがここまで運んでくれたんだよ? 覚えてる?」
ーーかすかにだけど覚えている。
クラスメイトの女子と肝試しをしてて……後ろから、頭に包丁が刺さったお化けがあたしの肩を叩いて……もう思い出したくもない。
「大丈夫、ちゃんと覚えてるよ」
「良かったぁ〜……もう、みんな心配したんだよ!」
「モカちゃんも心配したんだぞ〜」
「うん、心配かけてごめん……葵はどこにいるの?」
「葵くんは男子のテントに戻っていったよ!とりあえず、大丈夫そうで良かったよ。先生には私たちで報告しとくね!」
「それじゃあ、蘭。お大事にな」
「うん、ありがと。あたしは葵にお礼言ってくるって先生に伝えといて
つぐみたちにそう告げ、あたしは葵のもとにあるものを持って行く。
携帯でお礼のメールを送るのも良かったけど、直接お礼を言いたくなった。
なんだか無性に、葵の顔が見たくなったのだ。
幸い、距離はそこまでなく女子から男子のテントに行くのは自由だったので気軽に入ることができた。
「あの……葵はどこにいるの?」
「美竹か? なんか、A組みの女子に話したいって言われて5分前とかに外に出たぜ?」
「そう……わかった、もし帰ってきたらあたしが探してたって伝えといて」
「了解だ、ちゃんと伝えておくよ」
男子たちにお礼を言った後、テントを出る。うちのクラスの女子……多分だけど、あの大人しい子と話しているんだろう。
……葵からの連絡を気長に待つとしよう。
数十分後、葵から連絡が来た。
『ボクの事探してるみたいだったけど…どうしたの?』
『うん、出来れば何も言わないであたしを見つけてくれた場所に来て欲しい』
『わかった、1人で来れる?』
『大丈夫、もう落ち着いたから』
葵とのメールのやり取りを終え、あたしはすぐにあの湖へ向かうーー。
テントから歩いて5分もかからずに湖に到着した。そこには、大樹にもたれかかっている葵の姿もあった。
どこか悲しげな顔で……あたしを待っていてくれた。
「ごめん、待った?」
「待ったというか…さっきまでここにいたんだよ」
「それって、あの子と何か話してたの?」
「え!? なんでそのこと知ってるの!?」
「葵に会いに男子のテント行ったら、そこにいた男子たちから聞いた」
葵はどうやら観念したかのようにあることを教えてくれた。
「そうだよ、ボクはその事ここでちょっとだけ話してたよ」
「何を話してたの?」
「単刀直入に言うと……その子に告白された」
「………えぇ!?」
その言葉に思わず普段上げないような、驚きの声を上げる。
葵は、「やっぱりか」と少し呆れたような声を漏らしていた。
けど、あの子にそんなこと出来る勇気があるなんて……今はただ、その子の勇気にただただ驚いていた。
「中学の頃からボクの事を想ってくれていたらしくて……」
「それでなんて返したの?」
葵はほんの少しだけ笑みを浮かべて、綺麗に光る星空を見上げてこう言った。
「断ったよ。今は "Afterglow" として、みんなとバンドしていたいから」
「……葵らしい返答だね。ちょっとだけ安心した」
「うん、その子も分かってくれたみたい。こんな時期に告白してしまってごめんなさいって……」
「その子はよっぽど真剣だったんだね。中学の頃から想ってたって……」
「でも、ボクは後悔してないよ。ボクは今しかできないことを全力で楽しみたい。みんなと最高の音を奏でたい」
「あたしも同じ気持ちだよ。Afterglowのみんなのためにも、応援してくれてる父さんと母さんのためにもね」
「うん! それでだけど…なんでギター抱えて来たの?」
「え? あぁ、葵の話ですっかり忘れてた」
「……それはごめん」
「葵にどうしてもこの曲を葵だけに届けたい。みんなとバンド組む前からあたしが作詞をして、最近作曲をしたの。みんなと作ったのと別曲だけど」
「蘭が一人で!? ぜひ聴かせて!」
「うん、それじゃあ…いくよ」
あたしが普段言えないようなこと、思ってることを全てこの歌詞に込めた。
……葵、いつもありがとう。これからもよろしくね。
「……凄い、一人で作ったとは思えない完成度だよ!」
「そうかな? 聴いてくれてありがと」
「ちなみにだけど、この曲の名前って何?」
「 "True color " 葵に捧げる歌」
「なんか照れるな/// 蘭の気持ち、ちゃんと伝わったよ。ありがと!」
夕暮れとはまた違う景色。
葵のその満面の笑顔は、空の星々より輝いて見えた。
ーー次の日の朝、突如降り出したゲリラ豪雨により2日目の予定が全て中止になった。
何もすることができず、テントでみんなとただ話すだけの時間が過ぎた。
当初よりも早く、林間学校を出ることになり羽丘学園に着いたのがおよそ16時。
17時には家に帰宅することができ、あたしと葵はすぐに自室に戻りベッドに飛び込む。
「あぁ……この感じ、久しぶり……」
2日ぶりのベッドの感触は、あたしに心地よさをもたらしてくれる。
「……葵、なんか最近男らしくなったよね……」
自然と溢れたその言葉。
以前なら、全く気にしなかったのに高校に入ってから自分自身の心境に変化が出てきた。
告白されたと聞いて感じた、胸のざわめき。キュッと締め付けられるような苦しみ。
まさかあたしが……?いや、そんなことはない、あってはならない。
あたしは自分のその言葉に蓋をして、深い眠りについた。
いかがだったでしょうか?
しばらくは2日に1投稿でいきたいと思います!
次回もお楽しみに〜