Afterglow 〜夕日に焦がれし恋心〜   作:山本イツキ

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どうもっ! 山本イツキです!

総UA数30000回&第25曲突破しました! ご愛読いただき本当にありがとうございます!

感想、評価等つけていただいた方も感謝の気持ちでいっぱいです!これからもよろしかお願いします!

長くなりましたが、本編スタートです!


第25曲 羽丘学園の恋伝説 借り物は美竹 葵!?

 みんなに走るコツを教えることを約束した日の放課後。広大なグラウンドの隅で、ボクたちは体育祭の練習をすることになった。

 

 羽丘学園はハッキリと言って部活動があまり盛んではない。

 中学は義務教育という概念があったためなのか絶対に部活に入らないといけなかったが高校はその限りではない。週に部活が4回あったらいい方だ。

 

 まずはみんなの走り方を見るために、50メートルを走ってもらうことにした。

 結果でいうと、蘭は8.8秒。巴ちゃんは8.2秒。モカちゃんは8.5秒。ひまりちゃんは8.3秒。つぐみちゃんは9.2秒。

 みんな、運動神経はいい方だった。

 

 「まずは走り方からだね。かかとをつけて走らずに、つま先をあげて走ってみて」

 

 「つま先を……あげる?」

 

 ひまりちゃんが首を傾げて質問してきた。

 

 「うん! つま先をあげて走ると足が前に出るようになるんだよ。あとはつま先を地面で蹴るのも早くなるコツの1つだね」

 

 「なるほど……他にコツはないのか?」

 

 「スタートダッシュの話になるけど、最初は小刻みに走って加速をつけて走るといいんだよ!」

 

 「あーくん〜、モカちゃんから質問がありま〜す」

 

 「どうしたの、モカちゃん?」

 

 「借り物競争で1番になれるコツを教えてくださ〜い」

 

 「それはブッツケ本番だよ!!」

 

 モカちゃんとの、ほのぼのとしたやり取りの後更なる練習を積み重ねた。1ヶ月の練習の成果もあり全員が0.2秒から0.4秒ほど早く走れるようになった。あとは本番で出し切るだけだーーー。

 

 

 

 

 

 そして迎えた体育祭本番。

 晴天にも恵まれ、絶好の体育祭日和。

 

 「みんな聞いてよ〜! うちのお母さん、ビデオ撮るって言って聞かないんだよ〜!!」

 

 「あっはは、うちもだよ……」

 

 Afterglowの保護者の面々も今日の体育祭を観戦するらしい。ちなみに、父さんは仕事で来れないが母さんが来ると昨日の夕食中に言っていた。

 

 「まぁいつも通りにしていたら大丈夫だよ!きっと!」

 

 「つぐみちゃんの言う通りだね! 練習の成果を存分に出そう!」

 

 「よ〜っし! 今日も頑張るぞ〜! えい、えい、お〜!!……ちょっと!? みんな〜、待って〜!!」

 

 ひまりちゃん いつも不発の 大号令。

 

 

 

 

 

 開会式の挨拶も終わり、最初の競技となる100メートル走が始まる。

 出場するのはボク、ひまりちゃん、巴ちゃん。そして2年生からは、Roseliaのリサ先輩が出場する。

 

 「あっ、Afterglowじゃん!お互い頑張ろうね〜♪」

 

 「リサ先輩こそ、頑張ってください!」

 

 「先輩には負けません!」

 

 「ひまりちゃん、学年別でやるからリサ先輩と一緒に走ることはないからね」

 

 レースは第5レーンまであってそれぞれ、A組からE組の代表者1人が走る。学年も1年生同士、2年生同士になるように調整が入っている。

 

 ボクとひまりちゃんは1年生の最後のランナーとして走る。事前の抽選でA組がグラウンドの中央から第3レーン、B組が第4レーンと走りやすい位置にいる。

 

 前のランナーが走り終わり、ボクとひまりちゃんの番がきた。

 

 「美竹く〜ん! 頑張って〜!」

 

 クラスの女子たちの声援が聞こえて来る。

 そんな中、ボクの隣のレーンにいるひまりちゃんは顔を強張らせ、どこか緊張してるようだった。

 そこでボクはあることを思いつく。

 

 「ひまりちゃん、いつも通りの顔になりなよ!ほら、スマイルスマイル!」

 

 ボクはそう言い、ひまりちゃんの頬を軽くつまんでみた。

 

 「ひょっひょふぁおひふぅん! ぬぅあにふぅるほぉ!(ちょっと葵くん! 何するの!///)」

 

 つまんだ頬だけじゃなく、顔一面赤く染まりボクに問いかけてきた。

 

 「……よしっ、さっきよりマシになったね!そんな怖い顔をしてちゃ、練習の成果出せないよ!」

 

 「むぅ〜……でもありがと!負けないよ、葵くん!!」

 

 ひまりちゃんにいつもの明るい顔が戻った。それでこそひまりちゃんだ。

 そして、審判がスタート合図を出すピストルを真上に構える。

 

 「位置について、よーい……」

 

 パンっ!!

 

 ピストルの発射音と共に、ひまりちゃんとボクは完璧なスタートを切る。

 練習通り、最初は小刻みに走り加速していっている……が、元のタイムが違いすぎる。ここは遠慮なしに抜かしてもらおうーーー。

 

 結果、2位のひまりちゃんと大差をつけて1位。少々大人気ない気もしたが……クラスの優勝のためとなったら仕方ない。2位のひまりちゃんも、3位の女の子とかなりの差をつけてのゴールとなった。

 

 「お疲れ、ひまりちゃん。練習の成果出てたじゃん!」

 

 「ハァ……ハァ……葵くん、早すぎだよ〜!しかも息切らしてないし〜!!」

 

 「普段から父さんと鍛えてるからね〜。まぁしばらく出番はないし、みんなの応援に回るよ。とりあえず、ひまりちゃんと走れてよかった!」

 

 「わたしもだよ! ありがと、葵くん!」

 

 お互い満面の笑みで握手を交わし、1年生の100メートル走は幕を閉じたーーー。

 

 

 

 

 

 羽丘学園の体育祭はさらに熱気が高まっていく。

 蘭と巴ちゃんのリレーは両組接戦でアンカーである2人にバトンが渡り、僅差で巴ちゃんの勝利で終わった。

 モカちゃんの200メートル走、巴ちゃん・ひまりちゃんの二人三脚も練習の成果がしっかり出て1位を獲得。

 ボクの200メートルリレーも、ボクの前の子が転ぶアクシデントがあったが追い上げを見せて1位になることができた。

 

 騎馬戦に出場したのは巴ちゃんと蘭。騎馬戦は学年関係なしで一騎打ちの対決となる。

 その中でも存在感を見せていたのは巴ちゃん。1人、また1人と着々とハチマキを奪っていく。

 対する蘭との一戦。6連勝と波にのる巴ちゃんは果敢に攻めていくが、蘭がうまくかいくぐり巴ちゃんからハチマキを奪った。次戦で蘭は敗北したが、リレーの借りが返せて嬉しそうだった。

 

 午前中の競技がすべて終わり、昼食に入る。

 

 「クッソ〜!! 蘭に勝ってたら7連勝だったのにな〜!!」

 

 「リレーで負けたからね。絶対負けたくなかった」

 

 「あははっ、蘭って本当に負けず嫌いだよね」

 

 「あーくんもだよ〜、あの200メートルリレーは凄かったなぁ〜!」

 

 「確かに! わたしと走った100メートル走より早く感じた!」

 

 「ボクも走ることで必死だったからね。それでも、みんなの期待に応えられてよかったよ!」

 

 「葵くん、カッコいい……」

 

 「あぁ……あの葵がな」

 

 「巴ちゃん! あのって何!?」

 

 午前中の思い出を語っていたらすぐに昼休みの放送がかかった。ひまりちゃんとつぐみちゃんは部活対抗リレーの準備をしに、みんなと別れる。結果は、ひまりちゃんのテニス部が3位。生徒会が5位となった。

 

 

 

 

 

 午後の競技もいよいよ最後を迎えた。

 最終競技は『借り物競走』。元女子校ということもあって、激しい競技は騎馬戦以外ない。借り物競争と言えど、この学園では一番盛り上がる。その理由はーーー。

 

 「これで最後の競技となります! 羽丘学園名物、借り物競走〜〜!!」

 

 生徒たちから歓声がワッと上がる。

 この借り物競走のみ、アナウンスがつく。借り物競走に参加する人の借りたい物をアナウンスし、観客全員と一体となり行うのだ。

 

 この借り物競走に出てくるお題は多種多様。簡単なものから難しいものまで、物・動物・人などジャンルは全く問わない。

 共学になったばかりの時『自分の好きな人』というお題を引いた男子が、その人を連れてきてカップルになったという恋伝説がある。

 

 そんな競技に出るのは、蘭とひまりちゃん、モカちゃんだ。3人はバラバラの組み合わせになったようだ。

 

 蘭side

 今更だけど、借り物競走に出たことを後悔してる。楽そうだったから立候補したけど、お題が特殊なものが多いなんて聞いてないし……ホント、勘弁してよ……。

 

 あたしは第1組目、モカが2組目、ひまりが3組目に走る。頼ろうにも頼れる人が少ないのは辛い。

 審判がスタート合図を鳴らし、お題の紙が置いてあるところに全力で駆け抜ける。

 

 お題の紙を取った後、すぐにアナウンスしてる人に見せなければならない。お題は、アナウンスされるまで見てはいけないルールとなっている。

 1番にお題の紙を取り、すぐにアナウンスしてる人に見せる。

 

 「1番手、美竹 蘭さんのお題は『異性に間違われたことのある人』!!じゃあ、早速探してきてくださ〜い!」

 

 よかった……これなら難なくクリアできそうだ。あたしは颯爽とある人のところに向かう。

 

 「……来て、葵」

 

 このお題、(あおい)しかあるまい。葵はポカンと口を開けあたしの言葉を理解してないように見える。

 

 「葵……? あたしの言った意味理解してる……?」

 

 「ちょっ……!? なんでボクなの!? 巴ちゃんでもいいじゃん!/////」

 

 葵は顔を真っ赤に染め、全力で否定してくる。そんな葵の手を引っ張りアナウンスしてる人のところへ連れて行く。

 

 「巴は他クラスだから協力してくれる可能性が薄い。だから葵、お願いね」

 

 仕方ない……と言った顔であたしについて来てくれた。1着で放送している人の元に着くと、そのエピソードを細かく語らされ全校生徒に知れ渡ることとなった。

 

 「全く……飛んだ災難だよ……」

 

 「ごめんね、葵。まさかあそこまでするなんてね……今度お礼はするよ」

 

 「じゃあ、帰りにジュースおごって!それでも……蘭の力になれて嬉しかったよ///」

 

 「……/// 変なこと言ってないで早く戻りなよ。付き合わせてごめんね。助かった、ありがとっ」

 

 葵はさっと右手を挙げクラスのテントへと戻っていく。優勝したらあげるご褒美、まだ考えてなかったや。今のうちに決めておかないとなーーー。

 

 モカside

 蘭が簡単そうなお題引いたなぁ〜。モカちゃんも難しそうなのが来なければいいなぁ……。

 スタートの合図が鳴り響き、紙の置いてるところに向かう。

 駆け足でアナウンスしてる人に紙を持って行くと、お題がビックリだった。

 

 「4番手、青葉 モカさんのお題は『ペットにしてみたい人』!! それでは探して来てくださ〜い!!」

 

 「ペット……ペットねぇ〜……」

 

 なーんにも思いつか無かったけど、とりあえずある人のところに向かってみた。

 

 「あーくん〜、モカちゃんのペットに……あ〜、逃げた〜」

 

 あたしが話し終わる前に、あーくんは席を立ち逃げていった。まるで子犬のように……。

 

 「モカちゃん、本気でやっちゃうよ〜」

 

 2種目を全力で走ったからか、あーくんがすごく遅く見える。いや、あたしが今まで本気を出してなかっただけか〜。

 すぐに捕まえて、逃げられないように手首ガッチリと掴む。ペット……と言うより、泥棒さんを捕まえてるみたいだったなぁ。

 そして、なんと1着でゴールしちゃいました〜。

 

 「青葉さん、美竹くんを何故ペットにしたいんですか?」

 

 「え〜っと……飼ったらすごい懐いて来そうだからですかね〜」

 

 「なるほど……美竹くんはどうですか?」

 

 「誰にもペットとして飼われる気はありません!!」

 

 あーくんのその言葉に学校中が笑いに包まれる。さっきの蘭とのやりとりといい、今日一日大変ですな〜、あーくん。

 

 「付き合ってくれてありがと〜!帰りにパン奢ってあげる〜」

 

 「て言うか、モカちゃんの足速すぎ……ボクよりも速かったような気がするんだけど?」

 

 「あーくんが疲れてるからだと思うよ〜。モカちゃんもやるときはやるんだよ〜」

 

 あたしはニッと笑いながら答えた。あーくんも観念したかのような顔をしている。

 あーくんペットかぁ……首輪とかつけて飼ってみるのも面白そうだなぁ。ちょっと興味が出て来たかもーーー。

 

 ひまりside

 モカと蘭、両方とも葵くん絡みのお題引いたんだなぁ。あたしもそう言うの引けたら……なんて欲張りは言わないよ!クラスの優勝のために頑張らなくっちゃ!

 

 スタートの合図が鳴ると同時に全力で紙が置いてるところまで走り、1番でアナウンスしてる人に紙を見せる。

 

 「1番手は、上原 ひまりさんのお題は……おぉっと! 『自分の好きな人』がとうとう来た〜!! それでは連れて来てくださ〜い!!」

 

 ーーー本当に引いちゃった。

 ちょっと……これはシャレにならないよ!これで葵くんのところに行ったら……確実に好きだってことがみんなにバレる!!告白してるようなもんじゃん!!

 かと言って何もしなかったら、クラスは負けちゃうし……本当に困ったものだ。

 

 今、わたしの中では心中の天使と悪魔が言い争いをしている。

 

 「ひまり、これがチャンスだよ!この機会を逃しちゃダメ!クラスの子の為にも葵くんを連れて行くのよ!」

 

 「やめとけやめとけ!何もしないのが1番!自分が1番大事なんだ!」

 

 あたしが出した決断はーーー

 

 「葵くん……ちょっとだけでいいから来てくれないかな……?」

 

 わたしは葵くんに、右手を差し出し下を向いたまま顔を上げることができない。A組の子たちがヒソヒソと話している。そして、わたしは葵くんの顔を見ることができない。あぁ……恥ずかしすぎる……。

 すると、わたしの方に向かって歩いてくる足音が聞こえた。

 

 「ひまりちゃん、顔を上げて」

 

 「………えっ?」

 

 わたしはゆっくりと顔を上げると、わたしが大好きな、満面の笑みを浮かべた葵くんの姿があった。

 

 「すごく辛かったよね。ボクでよかったら付き合うよ?」

 

 そう葵くんは告げ、頭をポンポンと撫でてくれた。……自然と涙が溢れてくる。

 わたしは差し出していた右手を引っ込め涙を拭うと葵くんを連れてアナウンサーのところへ向かった。

 

 「ごめん……ごめんね、葵くん……」

 

 「気にしないで! すごい勇気のいることだと思うよ!ひまりちゃんはやっぱり凄いや」

 

 「凄い……わたしが……?」

 

 「うん!いつもみんなを笑顔にしてくれるし、みんなのために行動することができる。ボクはそんなひまりちゃんが、好きだよ」

 

 「葵くん、あたしも……葵くんのそういう優しいところ、大好きだよ」

 

 「あっ! また涙流して〜! 泣いてるひまりちゃんなんて、らしくないよ?」

 

 「だって〜! 葵くんがそんな優しいこと言うから!」

 

 葵くんとそうやり取りしていると、アナウンスしてる人も待ちかねたかのような顔で迎えてくれた。

 

 「5着で今、上原さんがゴールしました!お題は『自分の好きな人』という事でしたが……もしかして美竹くんのことが?」

 

 わたしは一呼吸置いて、この体育祭にいる人全員に聞こえるように話した。

 

 「……はいっ、でも今はお互いバンドや部活動、美竹くんはお父さんとのお稽古で忙しいので今はまだ何とも言えません。それでもわたしは、この気持ちが変わることはありません!それまで待っててね、葵くん!」

 

 わたしは葵くんが大好きな、満面の笑みでそう伝える。わたしの言葉に、羽丘学園が拍手の音で包まれる。葵くんも、顔を真っ赤にして凄い照れてる様子だった。

 

 わたし、やっと言えたんだ。自分の本当の気持ちをーーー。




いかがだったでしょうか?

ひまりちゃんがとうとうやりました!

書いてる本人が言うのもあれですが、これからが凄い楽しみです笑

次回もお楽しみに〜
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