Afterglow 〜夕日に焦がれし恋心〜   作:山本イツキ

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どうもっ! 山本イツキです!

お気に入り数300を突破しました! ご愛読の皆様、本当にありがとうございます!

本編としては、コミックアンソロジーのオリジナル展開です!

それでは、スタートです!


第27曲 世界が獣耳(けもみみ)に包まれたなら 〜犬耳 前編〜

 あれからおよそ1週間が過ぎたーーー。

 蘭はあの日以降、なんの音沙汰もなくいつも通りの日々を送っていた。ボクはというと、正直蘭と顔を合わせて話しづらくなった。

 

 裸の付き合い……姉弟としてこう言うのは些かおかしいと思うが、以前よりも自分たちの本心を隠すようなことは全く無くなった。

 それでも、同じ時間に同じ湯船に背中合わせというシチュエーションは年頃の男子高校生には酷というものだ。ましてやその相手が姉となると……余計に。

 

 学校内では、ボクもなるべく平静を保ちつつ過ごしていた。

 平日最後の授業も終わり明日からの休みのことを考えるとついニヤッとなり、表情筋を緩ませてしまう。

 

 今日もAfterglowのメンバーと帰るためB組に立ち寄ってみると自称 "銀髪の美少女" モカちゃんは、机にうつ伏せになりため息をついている。

 モカちゃんの向かいに座っている "大いなる普通" つぐみちゃんは、右手で頭を抱えて同じようにため息をついていた。

 

 「……モカちゃん、つぐみちゃん?どうしたの、ため息なんかついて」

 

 「あ、葵くん。ちょっと困ったことがあってね」

 

 すると、モカちゃんはむくりと起き上がったと思いきや、その顔は生ける屍のようだった。

 

 「あーく〜ん、モカちゃんはね、生きる希望を失ってしまったんだよ〜、ヨヨヨ……」

 

 「ど、どういうことなの!? つぐみちゃん!!」

 

 「えっと……これを見てくれたらわかると思うよ」

 

 つぐみちゃんがそう言い、ボクに見せてくれたのは毎週モカちゃんが買ってる一冊のマンガ雑誌。

 今朝も「今週もこの時が来ましたか〜!」って言っていたことを思い出す。

 モカちゃんの好きな漫画のページをパラパラと読み進め最終ページを見てみるとーーー。

 

 「えっと……『ご愛読ありがとうございました。先生の次回作にご期待ください』……これってまさか?」

 

 「そう。まさかまさかの連載終了だよ〜……。毎週、ドキドキワクワクしながら読んでたのに、このままじゃドキワク不足で干からびちゃうよ〜」

 

 モカちゃんはまたしても机にうつ伏せになりつつ、ヨヨヨ〜と嘆いている。

 

 「たしかに、好きだった何かが無くなるのはすごい悲しいことだよね……」

 

 「それでね、モカちゃんにオススメのマンガ紹介してたけどジャンルが違うくて……」

 

 「つぐは少女マンガが好きだけど、モカちゃんはバトルシーンがある少年マンガとか青年マンガが好きなんだよね〜」

 

 「そうなんだ……ボクも人に借りたものを読むぐらいだからなぁ……ん?」

 

 開いていたマンガの最終ページを凝視してみると、ある広告が載っていた。

 

 「モカちゃん、つぐみちゃん!ほら、この部分見て!」

 

 ボクに続き、モカちゃんとつぐみちゃんもある部分を凝視し始める。

 

 「これは〜……『新人漫画賞 応募作品募集中!』……?」

 

 「なるほど! 見たいマンガがないなら作ればいいんだね!私たちで、面白いマンガを!」

 

 「面白い展開になって来ましたな〜。さてさて〜? モカちゃんたちの運命やいかに〜」

 

 

 

 

 

 蘭side

 

 「はぁ……なんだろ、この気持ち」

 

 あの日からずっとモヤモヤした気持ちが抜けない。絶対に葵の……….を見たからじゃなくて!!その、なんとも言えない。

 

 クラス内でも、みんなの前でも、葵の前でもいつも通りに振舞ってはいたけど……

ここ最近は葵のことで頭がいっぱいだ。

 

 あの日から葵とは前よりも本心で話し合えるようになったし、お互い隠し事なんて全くなくなった。

 それでも、このモヤモヤした気持ちを本人に打ち明けることなんてできない。その原因は誰であろう、葵だからだ。

 

 教室の掃除をしている今もどうするか考えていると、ひまりと巴が教室に入って来た。

 

 「蘭〜? 掃除終わったか〜?」

 

 「うん、もうちょっとで終わる」

 

 巴とやりとりしていると、ひまりが割って入ってあたしの腹部に抱きついて来た。

 

 「蘭、聞いてよ〜! 巴ったら先生に頼まれたこと全部引き受けて、一緒にいたわたしも手伝いに行ったんだよ〜!」

 

 「そうだったんだ。ひまり、お疲れ」

 

 そう言いひまりの頭を撫でると、頬を緩めてニコッと笑っていた。

 

 「悪かったって! 今度、コンビニスイーツひとつだけ奢ってやるからさ!」

 

 「ホントッ!? 巴、ありがと〜!!」

 

 ひまりは、次に巴の腹部に抱きつく。

 いつもは散々みんなに弄られてるけど、この裏表のない笑顔にはホント頭が下がる。

 

 「そうだっ! B組の教室でモカたちが何か話してるみたいだったよ! 面白そうだから早く行こ〜っ!」

 

 ひまりちゃんは巴ちゃんからすぐに離れ、足早に教室を出た。

 

 「おい、ひまり! 全く……世話が焼けるな〜。蘭も早く行こうぜ?」

 

 「あたしは掃除道具しまったらすぐ向かうね」

 

 「わかった!じゃあ、B組で待ってるな!」

 

 巴もひまりに続き、教室を出る。

 B組の教室に行くってことは葵もそこにーーー。

 

 「……ダメだ、考えてもきりがない」

 

 あたしはモヤモヤとした煩わしいこの気持ちを、教室で集めたゴミと共にゴミ袋に放り投げた。もう考えなくてもいいように。

 

 今の葵はAfterglowとして、美竹家の跡取りとして、ひまりの想い人として高校生活を謳歌してる。

 姉として、あたしがそれを邪魔するわけにはいかない。

 

 「……この1週間考えてたことは全て忘れよう。今度からは抱え込むだけじゃなくて誰かに相談できるようになれたらいいな……」

 

 少しだけ軽くなった心の中と、常に軽い学生鞄を持ちB組に向かうーーー。

 

 

 

 

 

 葵side

 『漫画を描く』と威勢良く言ったはいいものの、物語の内容が上手くまとまらない。

 

 「う〜ん……マンガを描く前にそのマンガの内容が思いつかないね」

 

 「改めて思ったけど、マンガを描く人ってすごいんだね……」

 

 「モカちゃんギブア〜ップ……」

 

 3人とも頭を抱えて悩んでいると、B組の扉が勢いよく開らく。

 

 「ひまりちゃん、参上〜☆」

 

 その元気はつらつとした声の主、ひまりちゃんは満面の笑みを浮かべ教室に現れた。

 

 「みんな〜! どうしたの、そんな暗い顔して〜? そんなんじゃ、幸せは巡ってこないよ〜!」

 

 「こら、ひまり! 3人に迷惑だろ。静かにしないと……」

 

 「『コンビニスイーツ買ってあげない』って巴の目が言ってるよ、ひまり」

 

 「ちょっ!? それだけはやめて〜! 静かにするからぁ〜」

 

 ひまりちゃんに続き、巴ちゃんと蘭もそれぞれの用事を終えて教室に入る。

 コンビニスイーツ……ということは、ひまりちゃんはまた、もので吊られて何かしたということかな?

 

 「ちなみにだけど、3人とも何してるの?ずっと頭を抱えてるみたいだったけど?」

 

 「じ、実はね、私たちでマンガを描こうって話になって……」

 

 「「「マンガを描く!?」」」

 

 「モカちゃんの好きなマンガが今週で連載終了になっちゃって……」

 

 「モカちゃんが好きそうなマンガが無さそうだったから、いっそのことモカちゃんたちでマンガをつくっちゃお〜ってこと〜」

 

 「あっはは、また突発的なアイデアだな」

 

 「原因はモカじゃん」

 

 各々が思い思いに話していると、ひまりちゃんから純粋な疑問をぶつけてきた。

 

 「具体的にはどんなストーリーなの?」

 

 「ええっと、とりあえず私たちが好きなジャンルを固めてみようってことになって……」

 

 「バトルシーンがある少女マンガみたいな感じ〜?」

 

 「なるほど……わたしは断然恋愛ものが好きだなぁ!」

 

 「アタシもモカと同じ系統だな」

 

 「あたしもモカとひまりから借りて見るぐらい」

 

 「実はというと、蘭の部屋には君に◯けが全巻そろ……」

 

 ボクの言葉を遮るように、蘭の鉄拳がボクの頭に炸裂する。

 

 「それ以上言ったら怒るよ」

 

 「もう怒ってんじゃん……」

 

 「そういえば、動物に生まれ変わった主人公が悪い動物たちを倒してどんどん仲間にしていくってマンガが流行ってるらしいよ!」

 

 「じゃあ、『獣人の主人公が仲間たちと共に悪い敵を倒していき、最初の仲間になる幼馴染と恋に落ちていくバトル&恋愛マンガ』っていうのでどぉ〜?」

 

 「うん! すごくいいと思うよ!」

 

 「ちょっと分かりにくいけど、モカにしてはちゃんとまとめられたんじゃない?」

 

 「じゃあ、ネタは決まったところで明日はボクの家でマンガの詳しい内容を考えよう!」

 

 「「おぉ〜!」」

 

 「アタシも面白そうだから行こうかな!」

 

 「わたしも部活ないから行く〜!」

 

 「あたしの家だし、もちろん参加で」

 

 17時半を回ったところで、僕たちは帰路に立つ。

 明日から起こる不可思議な出来事をボクたちは知る由もなかったーーー。

 

 

 

 

 

 ???side

 とんでもない裕福な家庭に生まれた、髪も瞳も金色に輝く少女は言った。

 

 「私もミッシェルみたいな、もふもふした可愛い動物の耳が欲しいわ!」

 

 その少女はさらに続ける。

 

 「みんなも動物の耳をつけてたら心配性で寂しがり屋のミッシェルもきっと、みんなとお友達になれてウルトラハッピーになるわよね!」

 

 なるほど……かしこまりました、お嬢様。

 

 まるで絵本や漫画にも出てきそうな出来事。実現して差し上げましょう。

 

 

 

 

 

 全ては、こころ様の為にーーー。




いかがだったでしょうか?

しばらくは読む専だったので、またこれから投稿していきます!

それでは次回もお楽しみに〜
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