Afterglow 〜夕日に焦がれし恋心〜   作:山本イツキ

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どうもっ! 山本イツキです!

2日前の続編となります!

今回は、ひまり視点のお話となっています!

それでは、本編スタートです!


第32曲 心からずっと 一途に思ってるこの気持ちを 〜後編〜

 (なんて幸せなんだろ〜♡)

 

 水槽一面、真っ青な水の中を優雅に泳ぐ魚たち。そして、それをわたしの好きな人と観れるというのは、どれほど幸せなことなのだろうか。さっきからにんまりとした顔が戻らない。

 心の中では、わたしに送る、わたしのための、わたしによる盛大なパレードが行われている。

 

 (こんな時間が永遠に続けばいいなぁ……なんてね!)

 

 「それで蘭がさ〜 ……ひまりちゃん、聞いてる?」

 

 「えっ!? う、うん、ちゃんと聞いてるよ!蘭も意外と、おっちょこちょいなところあるんだね!」

 

 ……いかんいかん。葵君の側にいるだけで満足してしまっている自分がいる。

 それでも、蘭が話しに出てくるあたり、すごく仲が良いってことだよね。羨ましい、すごくすごく。

 

 「そうなんだよ! 砂糖と塩をナチュラルに間違えるし、フライパンは月に2、3回はダメにするし……蘭は将来お嫁さんに出て、苦労するタイプだろうなぁ」

 

 「それ、蘭が聞いたら顔を真っ赤にして怒りそうだよね!そういえば、ボーカルをしてる人って、なんか変わってる人が多いよね? ハロハピのこころとか、ポピパの香澄とか」

 

 「ロゼリアの雄樹夜さんは、『友希那は歌は完璧だけど、それ以外はポンコツ』って言ってたな」

 

 「ひなさんも『あやちゃんってすぐ泣くから、るん♪ってくる!』って言ってたよ!」

 

 「CIRCLEで練習してるボーカリストは、やっぱり面白い人が多いね!」

 

 「みんなでライブとかやったら楽しそうだなぁ〜!」

 

 時間はあっという間に過ぎていき、イルカショーの開演が近づいてきた。

 休日ということもあってか、観客席は全て家族連れ、友達同士、そして……恋人同士で来ている人で埋め尽くされていた。

 幸運なことに、一番前の席を取ることができ、わたしたちの期待も更に高まる。

 

 「大変お待たせしました! まもなく、イルカショーの開演です!」

 

 観客たちの歓声とともに、5匹のイルカたちが水中からジャンプして登場した。そこから水槽の側面を泳ぎ、調教師さんの人に餌をもらいに行った。

 

 「こんな近くまで来てくれるなんてすごいね!」

 

 「5匹の息ぴったり! まるで、わたしたちの演奏みたいだね!」

 

 すると、水面からおよそ6メートルの高さのところに赤色のボールが降りてきた。

 

 「今からこのイルカがジャンプであのボールにタッチしてみせます! それではいきます、どうぞ!」

 

 調教師さんの合図とともに、1匹のイルカが水底へ泳ぎだし助走をつけ垂直に見事なジャンプを決めた。その見事な演技に、観客たちの拍手が喝采した。

 

 「すっごい綺麗に飛んだね!」

 

 「うん! すっごいかっこいい!!」

 

 そこからは、調教師さんと一緒に泳いだり、フライボードを口でキャッチしたり、フープを回したりと更に会場が熱狂に包まれる。

 イルカを更に増員し、10匹による高速の泳ぎと小ジャンプには驚かされた。

 職員がイルカの上に乗っている姿を見て、同時に『ポ◯モンのな◯のりだ!』と口を揃えて言い、2人で笑いあった。

 

 演技は順調に進んでいき、とうとう最終演目を迎えた。そして、調教師さんからあるとんでもないことを告げられた。

 

 「最後はイルカたち全員による大ジャンプです! かなりの水しぶきが上がりますので、必ずレインコートを着用するか、水をしのげる物をご用意下さい! 傘は禁止です!みなさん、準備はよろしいですか? 」

 

 「ね、ねぇ、葵くん……。わたし、演技が開始する時からなんとなく気がついてたんだけど……」

 

 葵くんの方に顔を向けると、わたしと同じように少し困った顔をしていた。

 

 「ボ、ボクはイルカの演技に夢中になって気がつかなかったけど……」

 

 「「そんなの持ってないよ!?!?」」

 

 そんなわたしたちに御構い無しでイルカたちは水底で助走をとり、一斉に大ジャンプした!……と同時に大量の水しぶきが飛んできて、わたしたちは全身ずぶ濡れになった。

 

 「あっはは……すっごい飛んできたね」

 

 「うぅ……寒い……でも、楽しかった!」

 

 こうして、手に汗握る約30分間のイルカたちによる演技が終了したーーー。

 

 

 

 

 

 イルカショーで冷えきった体を温めるべく、先にお土産コーナーでフードタオルを買うことにした。

 

 「きゃ〜〜っ♡ 葵くん、そのラッコのフードタオル似合いすぎ!!」

 

 「そ、そんなに……かな? ちょっと照れるな///」

 

 「うんっ! 写真撮ってもいい!? いいよね!?」

 

 苦笑いを浮かべる葵くんに構わず、わたしは持てる技術を尽くし、最高の角度で写真を撮る。

 

 「ひまりちゃんも、ペンギンのフードタオルすごく似合ってるよ! 我ながらナイスセンス!」

 

 「ありがとっ♪ ねぇ、一緒に写真撮ろ! 記念にさ!」

 

 「自撮りはひまりちゃんにお任せするよ、それじゃあ……お願い!」

 

 「いくよ〜! はいっ、チーズ!」

 

 わたしの合図とともに、2人揃って最高の笑顔で決めポーズをした。よし、これを携帯の待ち受けにしよう。

 それからわたしたちは再び、館内を回り始めた。入り口の看板にあったサンゴ大展示やアザラシ、巨大なサメやイワシの群れなど、どれも優雅で迫力があった。

 

 「あ、ほらっ、葵くん見て! あれがこころたちが保護してたペンギンだよ!」

 

 「ホントだっ! 名前は……ぺんちゃんって言うんだね、可愛い!」

 

 葵くんはそのぺんちゃんという名前に、ほんのりと笑みを浮かべていた。ダメだ、写真の時といい、その笑顔が眩しすぎて直視できない。

 君は生ける天使か、はたまた神様か? そんな自問自答をしてると、葵くんはいつも通りの和かな表情に戻り、わたしに聞いてきた。

 

 「そういえば、小腹空かない? 近くにフードコートがあるからそこ行こうよ。ボク甘いもの食べたい!」

 

 「いいね! わたしは甘いもの食べたい!」

 

 上野ヶ原水族館名物の "海の動物たちの形をした和菓子" 。きっとこれが目当てなんだろうな……と、わたしは内心、確信しながら葵くんについていく。結果は案の定、それである。

 

 「小学校以来だなぁ……それじゃあ、いただきます!」

 

 「わたしもいただきます!」

 

 わたしは、イルカやアザラシの顔がプリントされたマカロンを注文した。色とりどりで、見た目も味も素晴らしい。これぞまさにインスタ映え。

 

 「2人で過ごすことってあんまりなかったから、すごく楽しいね!」

 

 「う、うん!/// わたしも今、すごく幸せだよ」

 

 思わず赤くなった顔を隠す。すると、葵くんはポケットから携帯を取り出し、わたしの写真を撮った。

 

 「ちょっ!? なんで今撮ったの!?」

 

 葵くんは右手の親指で人差し指をそっとして顎に添えて、数秒考えた後、ケラケラと笑うように答えた。

 

 「ひまりちゃんのそういうとこ、普段じゃ見れないから写真に収めておきたいって思ったからだよ」

 

 「ならせめて、食べてるところ写真に撮ってよ〜!!」

 

 「わかったから、そんなに怒らないで」

 

 ぷりぷりするわたしに返事をして、それからまた葵くんは写真を撮ってくれた。もちろん、わたしも葵くんの食べてる瞬間を見逃さない。

 こうして時間はあっという間に過ぎていき、17時半……夕方を迎えた。

 

 「そろそろ帰ろっか。あんまり遅くなると、ひまりちゃんのご両親も心配するだろうし」

 

 「そうだね……あ、1つ寄りたいところがあるんだけど、いいかな?」

 

 わたしのその言葉に、葵くんは首を傾げ、頭の上にはクエスチョンマークが浮かんでいた。

 

 「行きたいとこって?」

 

 「行ってみたらわかるよ! ほら、しゅっぱ〜つ!」

 

 葵くんの手を引っ張り、来た道を戻り電車に乗り込むーーー。

 

 

 モカちゃんside

 

 「いや〜、2人ともラブラブですなぁ♪」

 

 「いいことなんじゃない? 体育祭の後からあんまり関わりなかったらしいし」

 

 ほのぼのと言うモカちゃんに対し、蘭は相変わらず素っ気ない返事をする。

 

 「蘭〜、2人のこういう姿見て、なんとも思わない〜?」

 

 「別に……なんともない」

 

 そういう蘭だけど、さっきから目線が斜め左下に向いている。こういう時って、そう言ってるのと()()()()()()()()()()()()()()なんだよねぇ……。わかるよ〜、モカちゃんには。

 

 「モカちゃんは、いつでも相談乗るからねぇ、蘭〜」

 

 「わかったから抱きつかないで! はぁ……ついてくるんじゃなかったかな……」

 

 「ごめんって〜、今のモカちゃんたちは、2人を見守ることが仕事だからねぇ。この後どうする〜? 2人でまたどっか行くみたいだけど〜?」

 

 「あたし、帰る。葵より帰りが遅かったら怪しまれるから」

 

 わたしは蘭にゆるい感じで敬礼して、りょーかーいと返事をした直後、メールの着信音が鳴った。Afterglowのグループにつぐがメッセージを送っていた。

 

 「なになに〜……? な、なんだって〜」

 

 わたしはわざとらしく驚くと、蘭も携帯を開き、その内容を確認する。

 

 「明日って……まさか……!?」

 

 思わず、2人揃って息を飲んだ。その内容とはーーー。

 

 

 

 

 ひまりside

 わたしたちは再び、20分間電車に揺られて羽丘に帰ってきた。電車内では、「どこに行くの?」 「ひ・み・つ!」といった問答が断続的に続いた。

 駅からさらに歩いて、わたしたちは互いが知るある場所に到着した。

 

 「ここって……羽丘神社!?」

 

 「そう! あの時のわたしとは違うってとこ、葵くんに見せるよ!」

 

 「もう暗くなってるから、足元に注意してね!」

 

 わたしは、はーい、と少し適当に返事をし、階段の2段目を登ると同時にーーー

 

 「危ない!!」

 

 突如バランスを崩したわたしを、葵くんは肩を掴み支えてくれた。突然の出来事で、わたしは半ば放心し、無になってしまった。

 

 「だ、大丈夫!? 怪我はない!? 」

 

 葵くんのその一言により、わたしは閉ざされていた思考を呼び覚ました。

 

 「……あ、ごめんなさい!! わたしは大丈夫だよ! 葵くんの方こそ、手首とか痛めてない!?」

 

 「ひまりちゃんは軽いから平気だよ。どうする? 今日はもうやめとく?」

 

 葵くんは、心配そうにわたしの顔を見つめている。思わず、ドキッとしてしまうその顔をマジマジと見ることができなかったけど、いつもより強気で、一言伝えた。

 

 「わたしは大丈夫! 葵くんとどうしてもみたいものがあるから!///」

 

 葵くんは少し困った顔をして今けど、わたしの考えを理解してくれたのか、いつもの表情に戻り返事をしてくれた。

 

 「……わかった! でも、これ以上危ないと思ったらまた今度にしようね」

 

 「うんっ! 約束する!」

 

 こうしてわたしたちは、長い長い階段を一歩ずつ、慎重に進んでいった。

 

 「ひまりちゃん、ホントに体力ついたよね!もう直ぐでてっぺんだけど、全然息切らしてない」

 

 「えっへへ〜♪ 部活とバンドで鍛えたおかげだよ! 葵くんは相変わらずすごいね……」

 

 「それでも、中学の時よりだいぶ体力落ちたかな……また、父さんに稽古つけてもらわないと!」

 

 「頑張ってる葵くん、カッコいいよ!」

 

 そう言うと、葵くんは目線をずらし顔を少し赤くした。姉と同じ、照れてるとこういう反応をする。ツンデレの蘭と違い、ピュアで純粋な葵くんがやると、蘭とはまた違った可愛さが出る。うん、これも写メに収めたい。

 

 以前よりも早く、てっぺんに登ることができ以前のわたしとは違うところを葵くんに見せることができた。

 

 「どう、葵くん? わたしってやればできるでしょ??」

 

 胸を張り、どや〜っと威張るわたしに、葵くんは拍手と労いの言葉をかけてくれた。そしてわたしの頭を2回、ポンポンと叩いて撫でてくれた。

 あまりの気恥ずかしさに、距離を取ってしまう。お互いの顔は、今まで以上に真っ赤で、手を触れると沸騰してるように熱く火照っている。

 

 「今日は……普段できないこと、いっぱいしてるよね/// クリスマスイブだからかな?」

 

 「わ、わたしは嫌じゃないよ! むしろもっとしてほしいぐらいで……ボソッ」

 

 「またの機会にね……おぉ、ひまりちゃん、あそこ見てみてよ!」

 

 葵くんの手招きにつられて近づいてみると、そこにはイルミネーションなどで彩られた街一帯がキラキラと輝いていた。

 

 「すごい……綺麗……!!」

 

 「ひまりちゃんが見せたかったのって、この夜景のことだったの?」

 

 にこやかに聞いてくる葵くんに対し、わたしも同じように答えた。

 

 「うんっ! どうしても葵くんと2人で見てみたかったの! いつもは朝日が昇ったり、夕日が照り輝いて綺麗だから、夜景も絶対綺麗だって思って……それに、葵くんとなら尚更……ね///」

 

 この言葉を振り絞って伝えると、葵くんは両腕を広げ、わたしを優しく包み込んだ。

 

 「ごめんね……ひまりちゃんの思いに答えられなくて……。ボクも、ひまりちゃんが好きだよ。でも、今はどうしても、その気持ちに応えることができない。

高校を卒業して、立派な美竹家の後継になった時、まだその気持ちが続いているなら、ボクからも再度告白させてほしい」

 

 その言葉は時に甘く囁くように、時には激しく情熱的に、その声はこの夜空に映える。

 わたしはその言葉を聞き、眦から嬉し涙を流し続けた。わたしからも、言わなくちゃ……自分の気持ちを伝えなくちゃ……!!

 

 「……うん、待ってる!! わたしはずっとこの気持ちは変わらないよ!」

 

 葵くんの顔は見えなかったけど、小さく頷いてくれたのはわかった。

 後に気づいたことだけど、わたしの肩も少し湿り気を帯びていた。きっとわたしと同じように泣いていたんだろう。

 

 家に着いた今でもそのことが頭から離れられず、さっきから嬉し涙が止まらない。

 

 「わたし……葵くんに相応しい女になってみせる……!!」

 

 そう心に誓い、長い長いクリスマスイブの夜を一睡もすることなく過ごしたーーー。




いかがだったでしょうか?

2人がこれから先、どうなるかわかりませんが良い関係を築いていけるでしょう!!笑笑

皆様の感想、評価をお待ちしています!

次回はつぐみの家で……!? お楽しみに〜!
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