ごちうさコラボが始まり、最高にテンションが上がってます笑笑
大抵の人間には"趣味"がある。体を動かすこと、歌うこと、部屋で読書をする人……数えたらきりがないが、その共通の趣味を通じて、学校やネットの中で友達になるのが殆どだろう。
例えば、"女子高生の趣味といえば?" と聞いたのなら、大抵の人間はこう思っているだろう。オシャレ、プリクラ、カフェでお茶したり、美味しいスイーツを口にすること───。
そう考えるのは決して間違いではない。むしろそう考えるのが妥当だろう。ただ、例外は必ずしも存在する。
その典型的なのがこの私、市ヶ谷 有咲だ。
「ふふ〜ん♪ 今日もいい枝っぷりだなぁ、トネガワ〜♪」
何を隠そう、私は大の
整った樹形、つやつやと輝く幹の肌。その可愛さはまるで、部屋に置いているぬいぐるみ、ペットのようだと断言できる。
変わった趣味に加えて、人見知りな性格だったから、私は学校ではなかなか友達ができなかった。
だけど、半年前に
この前なんか、私と同じ趣味を持った他バンドの子と友達になることができてしまった。
ネット越しじゃなく、
そして今日が待ちに待った約束の日。その子が私の家に遊びに来るのだ。
プルルルル、プルルルル。
突如なり出した携帯を手に取る。
「はい、市ヶ谷です。……あ、着いた?……わかった、すぐ玄関行くね!」
私は足早に玄関の扉を開けに向かって歩き出した。
葵side
これは、昨日の夜に起きた出来事───
「ねぇ葵。市ヶ谷 有咲って子、知ってる?」
蘭から突然告げられた女の子の名前。
他学校の人のことを話す蘭に内心、ボクは驚きを隠せなかった。
「市ヶ谷さんって言ったら確か、ポッピンパーティのキーボードの人だよね?」
「うん、この前遊んだ経緯もあって、家に来ないかって誘われるんだ。もちろん葵も」
「いつの間に……でも、ボクでよければそのお誘い、受けさせてもらうよ」
「わかった、有咲にも伝えとくね。それじゃあ、また明日。おやすみ」
「うん。おやすみ」
───そして現在。
ボクと蘭は今、市ヶ谷さんの家の前に立っている。"和"の印象が強い立派なお屋敷はどこか、うちと似たようなものを感じる。
「うん。今、有咲の家の前。……わかった、待ってる」
蘭は片耳に当てていた携帯を下ろし、上着のポケットにしまった。
ここでボクはある疑問を蘭にぶつけた。
「そういえば、市ヶ谷さんとはいつ知り合いになったの? 学校も違うし、あまり接点がないと思うんだけど」
「ひまりとショッピングモールに行った時にたまたま会ったんだ。リサさんと、りみもね」
「リサさんと牛込さんか……実際に、ポッピンパーティの二人と話してみてどうだった?」
「りみはおっとりしてて可愛い感じだった。チョコレートが大好きで、ひまりとすごく話してた」
「なるほど……市ヶ谷さんは?」
「有咲はなんだか、あたしと同じような人だった。性格というかなんというか……。そういえば、盆栽育てるの趣味らしい。それでさ───」
薄っすらと笑みを浮かべながら、蘭は話をする。自分と同じ趣味を持った人と友達になれて相当嬉しかったのか、終始笑顔で話し続けた。
数分もすると、お屋敷の大きい木製の扉が独自の音を立てながら開いた。
「二人ともいらっしゃい! 今日は来てくれてありがとう」
扉の陰からひょっこりと市ヶ谷さんが顔を出した。
透き通るような金色の髪をツインテールで束ね、はにかんだ笑顔で出迎えてくれた。
「誘ってくれてありがと、有咲。紹介が遅れたけど、隣にいるのが双子の弟の葵」
「美竹 葵です。今日は、誘ってくれてありがと!」
笑顔で深々と頭を下げると、市ヶ谷さんは首と手をブンブンと振り、照れながら答えた。
「い、いえ、こちらこそ!蘭ちゃんから美竹君の事を聞いてて、私も話してみたいなぁって思ってたし……ホント、来てくれて嬉しいです」
「あはは、気軽に葵って呼んでよ。ボクも市ヶ谷さんのことは、蘭から色々聞いてから話してみたいと思ってたんだ」
「ホントにっ!? 嬉しいな//// あ、私のことも有咲って呼んで欲しいな」
市ヶ谷さん改め、有咲さんとほのぼのと会話していると、蘭がやれやれという感じで口を挟んだ。
「あのさ……私が言うのもなんだけど、中でゆっくり話そうよ」
「ご、ごめんね! それじゃあ、家の中案内するね」
そう言って背を向けた有咲さんの後ろをついていく。
そして、家の敷地内に入って思ったことが一つ……この家広すぎじゃないですか!?
有咲さんのおばあちゃんが経営している質屋さんに加え、音楽設備が整った完全防音の蔵と盆栽が飾られている広い庭。先程から驚かされてばかりだ。
蘭の表情を見ても、ボクと全く同じ反応をしているように見える。
「蘭ちゃんたちの家も華道のお家元だからかなり広いでしょ?」
「広いって言っても、さすがにあれほどの音楽設備は整ってないかな。正直羨ましい」
さらに家の奥に進んでいくと、二つの小部屋が見えてきた。
「ここが私も部屋でもう一つは私のお兄ちゃ……兄さんの部屋だよ」
「そういえば、有咲さんってお兄さんがいたんだったね。みんなでファミレスに行った以来かな?」
「うん。実は兄貴、昔から体がすごく弱くて、病気にかかったりして入退院をずっと繰り返してたんだ……。昔よりは回復してきているけど、まだ学校も休む時が多いんだ」
有咲さんはうつむきながら語った。
確かに、初めて会った時の第一印象は『華奢な人』だった。ボクよりも体つきは細く、顔も小さい。一般の高校男子と比べてもその差は歴然だろう。
「でも、今日のことは兄貴にも話してるから大丈夫だよ。葵くんとも話してみたいって言ってたから、よかったら話してあげてほしいかな」
「それじゃあ、あたしは有咲の部屋にいるから、葵はお兄さんの部屋に行ったら?」
「そうだね、そうさせてもらおうかな。有咲さんには申し訳ないけど……」
「い、いや、私は大丈夫! ちょっと声かけてくるから待っててね」
そう言って、有咲さんはお兄さんの部屋の扉をノックして入っていった。
会話は聞こえなかったが数秒もすると有咲さんは部屋から出てきて、親指と人差し指でオーケーのサインを出した。二人に別れを告げ、ボクはドアをノックする。
「はい。どうぞ」
お兄さんの返事を聞き、部屋に入る。
中は10畳程の広さがあり、奥にはベッド、その付近に車椅子と松葉杖が置いてある。
そして、白を基調とした家具の数々は、その人の性格が純真そうだと伺える。
「ようこそ!お待ちしてました、美竹 葵くん」
「い、いえ、こちらこそ。お招きいただきありがとうございます」
ベッドに腰掛けている有咲さんのお兄さん──
少し長めの、透き通るような白い髪と肌。そして、日本人には滅多にいない赤と青のオッドアイの持ち主で、誰とでも敬語で話すのがこの人の特徴だ。
初対面の時には、ロシアかヨーロッパ人のハーフのかと疑ったが、笑いながらそれを否定された。
「そんなところで立ってないで、好きなところに座ってください。すぐにお茶をお出ししますね」
「ありがとうございます! あ、家から抹茶わらび餅持ってきてるんで、良かったら有咲さんと食べてください」
「本当ですか!? すごく嬉しいです!ありがたく受け取りますね」
手土産を渡し、部屋の中心にあるミニテーブル付近にある座布団に腰を下ろした。
そして、瑠偉さんはベッドからゆっくりと立ち上がり部屋に備え付きの冷蔵庫から紅茶を取り出し、ティーカップに注いだ。
そこでボクは、ある疑問を投げかけた。
「有咲さんからも聞いたんですけど、体があまり良くないんですか?」
背を向けたままで表情は分からなかったが、先ほどと同じような口調で返答した。
「そうですね……正直、良い状態とは言えないです。でも、最近は週に4回は学校に通えるようになりましたよ!」
瑠偉さんから紅茶の入ったティーカップを受け取り、一口飲む。
瑠偉さんは自分のティーカップを持って、ボクの向かい側に腰を下ろした。
「葵くんは何か運動とかしているんですか?」
「中学はサッカーをやってて、今は父から武術を学んでいます」
「ホントですか!? 生まれた時から運動することを規制された人からしたらすごく羨ましいです! ……あ、度が過ぎましたね」
ははは、と笑いながら、自虐とも言える瑠偉さんの返答に、ボクは信じられないといった心情が湧き出してきた。
「
「……………」
瑠偉さんから先程までの笑顔が消え、涙ぐむような、過去を悲しむようにポツリポツリと語りはじめた。
「……僕は生まれつき体が弱くて、ありとあらゆる病院で入退院を繰り返してきました。おばあちゃんも、まだ幼かった有咲も付き添ってくれて、僕自身はとても嬉しかったですね」
そこで一区切りつけるように、瑠偉さんは紅茶を一口飲み、ふぅっと一息ついた後、話を続けた。
「それでも……体調が良くなることはありませんでした。小学校にも、中学校にもロクに通えず、有咲も僕のことを気にしてか、あまり学校に行きたがりませんでしたね」
「それだけ、瑠偉さんのことが心配だったんですよ、きっと」
「でも……そのせいで有咲は、なかなか友達ができず、クラスでも孤立していたそうです。当時は申し訳ない気持ちでいっぱいでしたね……」
有咲さんの印象が、ガラリと変わった。
蘭から聞いた彼女の印象と、実際話してみたものとまるで違う。
少し臆病で人見知り。こうしてみると、蘭の性格と酷似しているものがいくつもあった。だからこそ、仲良くなれたのだと実感した瞬間だった。
「そ、それでも! 高校に入学してからは、香澄ちゃんたちと出会って、バンドをやりはじめて……毎日を本当に、楽しそうに過ごしてますよ!」
瑠偉さんは、急激に明るい表情になり、そのことを強調するように話した。
そこから先も、ボクの過去の話や蘭の話、これからのことなどを語り合った。
しばらくしたら、隣の部屋から蘭と有咲さんが、ノックも無しに急いだような感じで部屋に入ってきた。
「お兄ちゃ……兄さん! 」
「ねぇ、葵!」
「どうしたの? 有咲??」
「何があったの? 蘭??」
二人は間髪入れず、息を合わせて予想外のことを口にした。
「「今から和菓子作って!!」」
「「………えっ??」」
───頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになった。唐突の発言で、瑠偉さんも戸惑っている様子だった。
要約すると、こうだ。
ボク達が部屋で話している時、隣の部屋にいた二人も同じように話していて、2週間ほど前に駅の近くにできた和菓子屋さんの話題が出たらしい。
そして、ボクと瑠偉さんが "和菓子を作れる上に、絶品だ" という話まで発展し『それじゃあ、お互いの作った和菓子を食べてみよう!』という感じになったという事だ。
ボクは全然構わないが、瑠偉さんの体が心配だ。もしものことがあったら───
「和菓子作りですか……面白そうですね! 久しぶりに作るのでワクワクします♪」
…………どうやら、ボクの心配は無用だったらしい。
「材料とかどうするの?」
「下のキッチンに、ばあちゃんが用意してるから大丈夫だよ」
「どっちが美味しくできるか、有咲とあたしで審査するから」
───そして、和菓子作り対決を強いられた。
「は、ははは……美味しい……このねりきり……。生地の柔らかさはさることながら、餡の種類も豊富だし……凄すぎる」
「こっちの上用饅頭も……。餡の甘さも絶妙で、雪兎の形ですごく可愛いし……正直、食べるのも惜しいね……」
「「お粗末様です!」」
あまりの美味しさから、某人気料理漫画のように服が若干はだけ、床にへたり込んでいた。オーバーリアクションのように感じたが、瑠偉さんの上用饅頭は絶品と言わざるを得ないものだったのは確かだ。
ボクは、母さんに基礎から応用まで習いはしたか、瑠偉さんはどうなのだろうか?
何度聞いても、『祖母の作っているのを見て覚えましたよ?』という返答しかない。
その言葉から察すると『作り方は見たが、教わってはいない』ということだ。
見るだけで物事を覚えるという才能に羨ましさを感じた。
「せっかくなので、4人で話しませんか?丁度15時も回ってますし、茶菓子もここにありますし」
「ちょっ……兄さん……。それは私達にとって凶器だ……」
「葵も……もっと手を抜いてよ……」
「そうは言われても、勝負って言われたら全力を出さないと相手にも失礼でしょ?」
「そんなこともういいから……うちから持ってきたお菓子開けようよ……」
───瑠偉さんとの勝負がそんなこと扱いになった。2人のワガママっぷりに、瑠偉さんと顔を合わせて笑いあった。
いかがだったでしょうか?
今回はポピパストーリーの主人公(予定)のオリジナルキャラ、瑠偉さんが登場です!
各バンドの小説を書き切りたいですね笑笑
次回は、羽沢珈琲店でのストーリーとなる予定です!
この小説の評価・感想お待ちしてます!