今回から、6番目のアフターグロウのオリジナルストーリーとなります!
「ふぅ〜、明日からゴールデンウィークかぁ。疲れたぁ〜……」
「確かに、ようやく迎えた!って感じだね」
「モカちゃん、心待ちにしてましたぁ♪」
「私は、生徒会の仕事があるからあんまり実感ないかな」
「あ、はは………アタシは、殆どがバイトだな………」
「わたしは部活だ〜………」
「でもあたしは、ゴールデンウィーク中に宿題があんなに出たことに驚いたかな。去年は全然なかったはずなのに…………」
「「「「「「はぁ〜〜………」」」」」」
ボクたちは、深く長いため息をつく。
まぁ無理はないだろう。
高校生にとって休みとは、遊びやバイトなど、自分の為に費やすものなのだ。
1ヶ月半の休みがある夏休みとは違い、ゴールデンウィークは、たった10日間しか休みがない。
えっ? 10日間もあるじゃないかだって?
そう感じる人もいるだろうが、今年の
何故なら、実技教科を除く全ての授業で、尋常ではないほどの量の宿題が出されたからだ。
例えるなら、ゲームバランスの調整をミスしたラスボスが、主人公たちを簡単に薙ぎ払う…………そういった感じだろうか。
それを聞かされた時、クラスを超え、学年で大ブーイングが巻き起こり、ちょっとした騒ぎになった。
しかし、すぐに諦めがつき皆が渋々それを受け入れた。
「しっかし、先生も酷いよなあ。夏休みならともかく、ゴールデンウィークにあんなに宿題を出すなんて」
「ほんとほんと! わたし、全く終わる気がしないよぉ………」
「なんとなんと、天才モカちゃんはですね〜」
「えっ、宿題終わってるの?」
「全く手をつけてませーん」
「だと思った………」
「えへへ〜、ほんのモカちゃんジョークだよ〜」
モカちゃんの軽いジョークに、蘭が半ば呆れながら答える。
正直、ボクも今回の休みは宿題に追われそうで少し身震いする。
量もそうなのだが、二年生になり勉強の内容が急に難しくなったような気がしてならない。
成績もなるべく上位をキープしないと、父さんにバンド活動を止められかねない。
なんとかしなくちゃ─────。
「これからの休みの為にも、今からみんなで羽沢珈琲店「うち」に来て勉強しない? 正直、わからないところが多くて困ってるんだ………」
突如、つぐ神様から有難いお告げが舞い降りた。思わずそれに便乗する。
「ボクもお願いしたい! 数学に詰まっちゃって大変なんだ………」
「あたしも………」
「アタシは物理だなぁ………」
「それじゃあ、みんなで苦手な教科を教えあお〜♪ モカちゃんはオールラウンダーだから、なんでも教えれるよ〜」
「うん、賛成! お父さんに、甘いものを用意してもらうね!」
「わーい! つぐパパのお菓子〜♪」
「ひーちゃん、甘いものはダイエットが成功するまでメッだからね〜?」
「ちょっ!? そこは宿題が終わるまでじゃないの!?」
笑顔で逃げるモカちゃんを、プンプンと怒りながら追いかけるひまりちゃんを見て、全員が笑いあう。
2人を見ていたら、宿題の恐怖が少し薄れたような気がした。
***
羽沢珈琲店についてからすぐ、ボクたちは卓を囲み宿題を始めた。
6人の頭の良さを順で並べると、モカちゃんが一番上で、ひまりちゃんが一番下となっている。
とは言っても、モカちゃんは学年でトップの成績という訳ではなく、ひまりちゃんも学年で最底辺という訳でもない。
要するに、6人の頭の良さに圧倒的な差がないということだ。
「モカー、数学の問題が全然分かんないよ〜………」
「やれやれ〜、ひーちゃんは仕方ないな〜。えーっと、これはこの公式を応用したらいいんだよ」
ひまりちゃんは、泣きべそをかけながらモカちゃんに数学を教えてもらってる。
「なぁ、蘭〜。"儚い"ってどういう意味なんだ?」
「なんでそんなこと聞くの?」
「だってほら、漢字のドリルに書いてあるだろ?」
「ホントだっ。瀬田先輩が見たら喜びそうだね」
蘭と巴ちゃんは、瀬田先輩の姿を想像してか、クスクスと笑っている。
「葵くんは、わからないところとかないの?」
「今のところは大丈夫かな。つぐみちゃんは?」
「私も平気だよっ! やっぱり、葵くんって頭いいよね。普段、勉強とかしてるの?」
「授業以外ではあまりしないかな。テスト前とかなら多少はするけど………。つぐみちゃんは、毎日コツコツ勉強してるよね?」
「うん! 授業だけじゃわからないところがあるからちゃんとやらないと、置いていかれちゃうんだ………」
なるほど、つぐみちゃんらしい勉強法だ。
成績も急激に下がることは決してなく、着々と順位を上げている。
コツコツと積み重ねていくことが、性に合っているんだろう。
2年生になって更に頼もしくなったし、これも、羽丘学園副会長としての努力の賜物なのだろう。
「あ〜、あーくんがつぐとイチャイチャしてる〜」
「…………えっ!?!?」
ケラケラと、からかうように笑うモカちゃんに対しひまりちゃんは、驚きと、ほんの少しの怒りを含んだ顔をこちらに向けている。
「ご、誤解だよ2人とも!?」
「そうだよ、ひまりちゃん! ただ、葵くんは頭が良くて羨ましいなぁって話してただけだよ!」
「ていうか、葵がつぐに浮気する訳ないじゃん」
「つぐも、ひまりから葵を奪うなんてことをする訳ないだろ?」
「ちぇ〜、バレたか〜」
「もぉ〜っ! モカはわたしをからかいすぎだよ!!」
「いやいや、ひーちゃんが騙されやすいんだよ〜」
「たしかに、ひまりって「みんなからいじられるセンスは」この中で一番だからね」
「そ、そんなことないよ!?!?」
蘭のツッコミにドッと笑いが起きる。
それと同時に、つぐみちゃんのお父さんからケーキとコーヒーの差し入れが入る。
結局この日はいつも通り、みんなでお茶するだけにとどまり宿題はあまり進まなかった。
日が完全に落ちたところで、今日は解散。
店を出た時に、忘れ物をしていないか鞄の中を少し漁る。
「………あれ? おかしいな…………」
あるはずのものがなく、もう一度鞄の中を確認してみる。
しかし、いくら探しても見当たらない。
「どうしたの、葵くん?」
ボクのおかしな様子に気づいたひまりちゃんが、声をかけてきた。
「それが、携帯がどこにも見当たらないんだ…………」
「携帯?」
「昼休みまで持っていたのは覚えているんだけど………」
「試しに私が鳴らしてみるから、ちょっと待ってて!」
つぐみちゃんがそういうと、ポケットから携帯を取り出し、ボクの携帯に着信を入れる。
…………しかし、着信音は全く聞こえない。
羽沢珈琲店に不穏な空気が流れる。
「ちょっと葵………まさか…………」
青ざめてこちらを見つめる蘭。
他のみんなも同様に、まさかまさかと思っている顔つきだった。
「学校に………置き忘れた………」
ボクたちは、去年起きた出来事を思い出す。
ひまりちゃんの参考書を取りに行った直後、ボクたちは不可思議な出来事と遭遇した。
13個に増える階段の段数、音楽室のピアノ、生徒の幽霊………今、思い出しただけでも身震いが止まらないほどの恐怖を味わった。
「も、もしかしたら道に落としたかもしれないぞ!?」
「6人もいたら流石に気づくでしょ?」
「一応交番には確かめてみようかな。今回はボクの失態だから、みんなはここに─────」
「わ、わたしは行くよ!!」
「ひまりちゃん?」
ボクの言葉を遮るように、ひまりちゃんが割り込んで話を続ける。
高々と上げた左手だけでなく、体全体が震え、学校に行く恐怖を物語っている。
「去年もわたしが参考書忘れた時に、みんなについてきてもらったから、そのお礼!」
「なんだかおもしろそうだから、あたしも行く〜♪」
「アタシも行くぞ!」
「わ、私も!!」
「はぁ………仕方ないから、あたしもついて行く」
「みんな………ありがとう!!」
心優しいみんなに感謝感激する。
去年と二の前にならないように、懐中電灯を人数分用意し、モカちゃんはお守りとお札を手に持ち、ノリノリな様子だ。
同じ出来事が起きないことを心から願い、羽沢珈琲店を出る。
***
雄樹夜side
「なに、弁当箱を忘れた?」
「は、はい………ごめんなさい………」
オレと友希那の家でバンド練をしていた最中、あこの言い放った一言に、Roseliaの面々が苦笑の表情を浮かべる。
「明日取りに行けばいいでしょう?」
紗夜は少し呆れたように話す。
まぁ、キッチリとした性格の人間なら間違いなくこんなことは起きないだろう。
これは、完全にあこの注意不足だ。
「それがね紗夜、明日からゴールデンウィークだから、先生たちはほとんど学校に来ないんだよね………。ダンス部の部活もしばらくないし………」
リサは紗夜を宥めるように、わかりやすく説明する。
あこも反省の顔色を残しつつも、リサに感謝の笑みを浮かべる。
とりあえず、オレも便乗しておくか………。
「お前なら、『無許可で教室の鍵を借りるのは非常識です』と言うところだろう?」
「確かに、雄希夜さんの言う通りですね」
「今は…………18時なので…………多分、間に合うと…………思います」
「それなら仕方ないわね、あこ。急いで取りに行ってきなさい」
「それでですね…………頼みたいことがあるんですけど………」
あこはオレたちに、少し言いづらそうな様子を見せる。
あこが言いたいことは、察しがつく。だから、彼女が言う前にオレが話す。
「オレたちについてきてほしい、ということか?」
「は、はいっ! 夜の学校ってなんだか怖くて………。だから一緒についてきてください!!」
「私は行きませんよ。他校の生徒がアポもなしに勝手に出入りするのは非常識です」
「ごめんね…………あこちゃん…………」
確かに、外は陽が落ちて完全に夜を迎えていた。
辺りは暗く、女子高生を一人でノコノコ歩かせるわけにも行かない。
万が一、あこに何かあったらオレたちは責任を取れないからな。
花咲川組が行かないとしたら、残っているのはオレと友希那、そしてリサだが………。
リサは怖がりだし、友希那は性格上ついてくるとは考えにくい。
あこにとって、今頼りになるのはオレだけということだ。
(はぁ、仕方ないな…………)
心の中で深いため息をつき、行く決心を固める。
「あこ、しょうがないからオレがついて行ってやる。他の4人はここで─────」
「あ、アタシも行くよ!?」
「リサ?」
オレの言葉を遮り、リサが割り込んで話してきた。
高々と上げた右手だけじゃなく、体全体が恐怖で震え、学校に行く恐怖を物語っている。
「2人で行かせるのもアレだからさ! ほらっ、友希那も行こうよ!」
「なんで私まで………」
「いいだろ、友希那。あこのためだ」
「みんな………本当にありがとう!!」
あこは満面の笑みで、感謝の気持ちを伝える。
「それなら、早く済ませましょう。2人には申し訳ないのだけれど、ここで待っててもらえるかしら?」
「私は構いません」
「私も…………大丈夫………です」
「すまないな、2人とも。あこ、帰りに何か奢ってもらうからな」
「うっ………はぁーい」
羽丘組一行は足早に家を出る。
そして、オレたちは後に知ることとなる。
学校に伝わる、真の七不思議を─────。
いかがだったでしょうか?
少しホラー展開も混ぜていきます!