半年以上ぶりの投稿となります!
執筆者本人すら前の話を忘れてたり………
なんとか今年中には完結したいと思います!
「ふい〜〜。脱出成功〜」
「ホントッ、何もなくてよかったー…………」
女子トイレから出たあと、ボクたちは無限廊下と思わしき場所に迷い込んでしまった。
けど、何事もなく無事に脱出。
後ろを振り返りさえしなければ大丈夫だと知っていたし、なんもなかった。
モカちゃんが興味本位で振り向こうと何度も催促してきたけど、落ち着きを取り戻したひまりちゃんがそれを阻止。
ボクはモカちゃんに強く言えないだけに、彼女の存在は本当に心強い。
モカちゃんも言動が突拍子もないことだらけだけど、いつも通りのマイペースさで場を和ませてくれる。
それに対してボクは─────。
「葵くんはわたしたちをまとめてくれてるから大丈夫っ!」
「あーくん、そう悲観することないよー?」
「2人とも…………」
ボクの心を察したかのように、2人は励ましてくれた。
本当に嬉しい限りだ。
「二人ともありがとう!さあ、体育館までもう少しだ!」
「「おお〜!」」
階段に差し掛かり、曲がり角を曲がろうとすると、下階から上がってくる何かが目に入った。
その何かにすぐさま懐中電灯を当てると、見覚えのある3人の姿が映し出された。
「おお、何だか久しぶりだな」
「雄樹夜さん!」
数十分前まで一緒だった先輩たちが懐かしく感じ声を上げる。
「わーーん、ひまり〜!モカ〜!」
「リサさ〜〜ん!」
「りささーん。おひさー」
3人は嬉しそうに抱き合う。
雄樹夜さんの背後から出てきた友希那さんは、いつも通りクールなままだ。流石っ。
「皆さんも、七不思議の解明は終わったんですか?」
「ああ。理科室と放送室は確認済みだ。葵たちは?」
「無限廊下と花子さんを確認しました。となると、蘭達は音楽室と校長室になりますね」
「そうだな。早く合流できるといいんだが」
「はい………とにかく心配です」
蘭と巴ちゃんは一年前の時も人一倍怖がっていたから本当に心配だ。
つぐみちゃんがついているとはいえ、彼女もそこまで怪談に強いわけじゃない。
あこちゃんがこのメンバーをまとめきれる訳もないし、早いとこ合流しないと、取り返しのつかないことになる。
雄樹夜さん達には申し訳ないけれど、できれば蘭達と会いたかった。
「そこまで悲観することはないわ。美竹さん達はともかく、あこは強いわよ。こういう場面では」
「普段の印象からだと、想像できないですよね」
「全くだ。燐子や巴には散々迷惑をかけっぱなしだからな」
「でも、今はすごく頼りにしてますよ。ところで、雄樹夜さんたちはどこに行こうとしていたんですか?」
「屋上だ。とりあえず電波の通じそうなところに向かいたいんだが…………」
「ボク達は誰か戻ってるかもしれないと思って図書室に向かっていたんですけど、その必要は無くなりましたね」
「いや、あこ達が戻ってるかもしれない。一度図書室を除いてから屋上に向かう形でいいか?」
「はい、もちろんです」
「友希那もリサもそれでいいな?」
「ええ。構わないわ」
「私は一刻も早く楽になりたいよぉ………」
「不吉なこと言ってないで、早く行くぞ」
ボクたちは6人という大所帯になった。
不安がってたひまりちゃんには心強い味方ができて一安心している様子だ。
リサさんはビクビクと震えひまりちゃんとモカちゃんの手をずっと握って離そうとしない。
モカちゃんはというと…………この状況をずっと楽しんでいる。
友希那さんは表情を表には出さないけど、どこか疲弊しているように見える。雄樹夜さんも同様で呼吸が少し荒い。
一刻も早くここから脱出しないと────。
「なあ葵。一つ聞きたいことがあるんだが…………少しいいか?」
雄樹夜さんが小声で話しかけてきた。
あまり聞かれたくないと言ったような話し方だったから、ボクは無言で頷く。
「"
図書室にあった六つの本の中で唯一描かれてなかった七つ目の物語。
内容やタイトルも全くわからないだけに、雄樹夜さんは不安に思ったのだろう。
「この中で一番冷静なのはお前だ。考えてないならそれでいい。もし何か思い当たることがあるなら、教えて欲しい」
雄樹夜さんの表情はいつもに増して真剣だ。
他の四人が少し離れたのを見計らって同じく小声で返す。
「そうですね…………残り六つが学校の怪談に関係するものだっただけに、七つ目もそれに該当する可能性が極めて高いと思います」
「だろうな。そこまではオレも同じ考えだ」
「わからないことと言えば、
「ああ。オレたちが見てきたものは全て、ゲームの世界だと思いたくなるようなものばかりだったな……………」
「雄樹夜さんたちは、何を見たんですか?」
「………………」
ボクがそう問いただすと、口を閉ざした。
思い出すのも嫌だと言わんばかりに、表情が段々と険しくなる。
数秒の沈黙の後、ポツリポツリと話し始める。
「─────理科室で人体模型に襲われた」
「じ、人体模型にですか!?」
信じられない一言に驚きの声をあげる。
あまりの大声に全員が立ち止まり、視線がボクに向く。
「あ、葵くん………?どうしたの…………?」
ひまりちゃんがビクビクと震えながら問いかける。
「い、いや。なんでもないよ。急に大きな声を出してごめんね。皆さんも、ごめんなさい」
全員に頭を下げると、再び歩み始める。
「雄樹夜さん、すみません…………」
「気にすることはない。誰だって驚く」
「理科室の人体模型と言ったら、結構な大きさじゃなかったですか?」
「ああ。オレと同じぐらいだから180はゆうにあるな」
155センチのボクからすると、そんな巨大なものが襲ってきたら太刀打ちなんてできないだろう。
理科室に行くのがボクじゃなくて本当によかったと心底安心する。
「それで、その人体模型はその後どうなったんですか…………?」
「倒すことに成功はしたが、リサが転んで足を少し痛めている。本人は大したことないというが、リサが運動部に所属している以上見過ごすわけにはいかない。早いとこ医者に見せてやりたい」
「確かに、ここに長時間いるのはまずいですね」
「放送室では─────いや、これはやめておく。正直アレをオレの言葉で表現することは不可能だ」
雄樹夜さんはそう告げると、少し耳鳴りがするのか顔を顰め片手で頭を抱える。
理科室の人体模型の時と明らかに違う。
そこで見たものを無かったことにしたい、そう強く思っているようにも感じた。
「…………わかりました。これ以上は何も聞きません」
「ああ。そうしてくれると助かる。お前たちのことも追々聞かせてもらうからな」
「はい、必ず」
ここで一度話を切り替える。
「少し逸れたが本題に戻ろう。確か、どのような悲劇が待っているのか、というところで止まっていたな?」
「はい。ボクたちが図書室で読んだ物語は全て、
「それらをまとめると、七つ目はよくて不幸な出来事を。最悪、誰かの死で終わりを迎えるというんだな?」
「考えたくはないですがその通りだと思います。まさか七つ目の物語は、今実際にボクたちが目の当たりにしているこの状況が舞台で、ここに集った10人の中から被害者、最悪の場合、死人が出る。なんてことはあり得ないとは思いますが…………そう考えざるを得ないですよね……………」
「すでに現実ではあり得ない怪奇現象を何度も目撃しているんだ。もう何が起きても不思議じゃないだろう」
雄樹夜さんのいう通りだ。
さっきボクが立てた仮説が本当に起きるとしたら、うかうかなんてしていられない。
「最終的なボクの意見としては、ボクたちの身に何かよからぬことが起こるかもしれない。ということです」
「そうだな。悪い、助かった。少しスッキリしたような気がする」
「お役に立てて光栄です」
「注意して進むとしよう」
ボクたちは気持ち新たに、図書室へと向かう。
***
図書室に着くと、消えていたはずの明かりが灯り閉ざされた扉から人影が動いているのが目に入る。
蘭だ。
きっと蘭たちだ。
ボクたちは一目散に走りその扉を開ける。
「蘭っ!!」
「……………っ!?あ、葵…………?」
唐突な出来事に驚いた様子を見せるも、すぐに安心し切ったような顔を見せる。
蘭と同行していた3人も同様に。
「リサ姉!友希那さん!雄樹夜さん!」
「あこ〜!!」
「元気そうね、あこ」
「よかった。無事で何よりだ」
久々の対面にリサさんは泣き崩れる。
雄樹夜さんと友希那さんもほんの少し笑みを浮かべている。
「ひまり〜〜!会いたかったぞ〜!」
「巴〜〜!怖かったよ〜!」
ひまりちゃんと巴ちゃんは抱き合いながら喜び、蘭はそのそばで小さく笑う。
「葵くん、怪我はない?大丈夫??」
つぐみちゃんは真っ先にボクの元に駆け寄り心配そうに声をかける。
「うん!つぐみちゃんは…………疲れてるよね」
「えっ?私は全然だよ!」
「つぐー、いい加減気張るのよしたら〜?全然元気そうに見えないぞー?」
(…………………気張る?)
「本当に大丈夫だよ?本当……………本当に…………」
語尾がだんだんと弱くなり俯くつぐみちゃん。
するとそこに蘭が寄り添い、つぐみちゃんの背中をそっと撫でる。
「あたしたちが見た二つの七不思議は全部つぐが解決してくれたの。そのうちの一つはつぐみが死んでしまってもおかしくないものだった。今は、そっとしてあげて欲しい」
「蘭ちゃん…………ごめんね、ありがとう…………」
二人が何を見たか────。
つぐみちゃんの様子で察することができた。
人前ではつぐってばかりのつぐみちゃんが、何も言わずただ下を向いている。
ボクからは何も言えない。
言えるはずがない。
「わかった。ボクたちが見たものも含めて後で話そう。蘭、つぐみちゃんのことよろしくね」
ボクの言葉に無言で頷く蘭。
そしてさっき蘭の言った『つぐみちゃんが死んでしまってもおかしくなかった』ということがどのような形であれ真実なら、ボクの仮説が現実味になってきた。
四人が見たのはピアノと鏡。
本の内容だとピアノは下手な演奏者を食べ、鏡は見た者と入れ替わるはずだ。
つぐみちゃんの演奏が下手なわけがないし、考えられるのは後者。鏡の方だろう。
そんなもの、怖いに決まっている。
もし鏡の中の自分と入れ替わってしまったら偽物の自分が何をしでかすか想像もつかない。
単独行動はより危険だと思い知らされる。
「とりあえず、ボクたちも休もうか。残り一つとは言え、どこでその現象が起こるかわからないからね」
「うん、わかった〜」
モカちゃんはゆっくりと答えると、椅子に腰掛け机に顔を埋めて微動だにしなくなる。
彼女も相当疲労していたのだろう。
他のみんなも再開を喜びあった後から、どこか表情が暗くなる。
ため息をつきたり、目を閉じずっと何かを考えていたり、机に突っ伏しているのが大多数だ。
そのどんよりとした空気の中、ボクは明るい声で話す。
「みんな!少し休憩したら、体育館から脱出してみようと思うんだけど、いいかな?」
ボクの提案に各々が顔を上げ、視線をボクに集める。
「賛成だ。もう6つの本の謎は解けたから、別に構わないだろう」
雄樹夜さんが真っ先に賛同する。
他の人たちも賛成してくれ、反対の意見はないようだ。
「なら決まりっ!一刻も早くここを出よう!」
各々が返事を返してくれるがやはり元気がない。
これは当分動けそうにないかな。
かくいうボクも少し疲労が溜まっているみたいだ…………なんだか目眩がする………………。
受付口のカウンターに背を預けゆっくりと崩れ落ちる。
少しだけ、ほんの少しだけ、眠ってしまっても大丈夫だよね。きっと。
ボクはそっと目を閉じ、夢の世界に潜り込んだ。
………………………….
……………
「…………………い君?」
「………………葵!!」
「っ!?」
目を開けるとそこにはひまりちゃんと蘭がいた。
肩を掴み体を揺すって起こしてくれたようだ。
「あっ…………ご、ごめん。寝てたみたいだね………」
ボクは眠い目を擦る。
「夜も遅いし仕方ないよ」
「もうみんな待ってるよ。早く来ないと置いていくからね」
「うん。すぐ行く」
二人に連れられ、扉付近に集まるみんなと合流する。
「遅くなりましたが、これがいよいよ最後です。早くここから抜け出しましょう」
ボクたちは体育館へと歩み始めた。
***
この学校に閉じ込められてからおよそ3時間。
やっとの思いで体育館にたどり着く。
エアコンのない体育館の扉から隙間風が通り、その風の冷たさは背筋が凍るような感覚を覚える。
間違いなく、ただで帰れるわけはない。
ボクはそのことを肝に銘じて、固く閉ざされた扉を開く。
─────暗くしんと静まり返った体育館。
扉付近にある電気のスイッチは案の定つかない。
手持ちの懐中電灯も光が弱まり始め電池切れ寸前のようだ。
「……………っ!」
突如、つぐみちゃんが声にならない声をあげる。
「つぐみ?」
蘭が声をかけると、つぐみちゃんは懐中電灯で見たものを照らし自身も指を刺す。
照らされた先は体育館の中央にある壇上。
普段は校長先生が全校集会で話すときに立つポジションであるそこには、大きな鏡が置かれていた。
明らかに不自然。
その鏡を見た瞬間、つぐみちゃんは震え出し床に倒れ込む。
「つぐみ!?」
「あ、あれって……………」
「おいあこ、あの鏡ってまさか………?」
「はいっ!あこたちが見た七不思議の一つです!お姉ちゃんが壊したはずなのに…………なんで!?」
どうやらこれは七不思議の一つ、校長室の鏡らしい。
物語上では確か、処分しようとした人の姿を移したその鏡は、鏡の自分と入れ替えて現実にいる人を永遠に閉じ込める………と言った内容だったはず。
恐らくつぐみちゃんもその被害に遭ったんだろう。
その壊された鏡がこの場にあるのもおかしいけど、壊された跡がひとつもない。
まるで新品そのものだ。
何が起こるかわからないけど、これが7つ目の七不思議と考えていいだろう。
ボクたちはその鏡にゆっくりと近づく。
一歩。
また一歩。
徐々にその距離を詰めていく。
その時だった。
「うわあっ!?」
突如として鏡の周りに蒼い火がいくつも灯り、僕たちの周りを囲い始めた。
蒼い火たちは全て繋がり一つの蒼い炎に成った。
暑い…………なんて暑さなんだ…………。
この空間に熱気がこもる。
鏡の方に目を向けると、まるで昔のテレビのようなノイズが入る。
ジジジ、ジジジッ、と音が鳴り終えたと同時に一人の少女の姿が映り込む。
下を向き、顔が全くわからないけど髪で誰かはすぐにでもわかった。
つぐみちゃんだ。
「な………なんで、私が……………!?」
あまりの出来事につぐみちゃんは再度腰を抜かす。
すると鏡の中のつぐみちゃんふっと顔を上げ、不敵な笑みを浮かべ大声で笑い出した。
普段のつぐみちゃんからはありえない行動。
その異常な笑い方にボクを含め全員が恐怖する。
「クスクスクス、マタ会ッタナ。羽沢ツグミ。鏡ヲ割ッタグライデ私ガ死ヌトデモ思ッタカ?」
その声はあまりに不快で、男か女かもわからない人の域を離れた音域。
つぐみちゃんの姿でそれをやられるから余計に不気味さを感じる。
「あっ……………ああ……………」
つぐみちゃんは驚きのあまり声が出ない。
鏡の中の狂人はその姿を見て楽しんでいるようだ。
「お、おいっ!偽つぐ!!アタシたちになんのようだ!?」
巴ちゃんが強気に問いかけても、鏡の中の狂人、通称偽つぐはその不敵な笑みをたやさない。
「何ノ用?決マッテイル。生前ノ復讐ダ」
「復讐?オレたちはお前のことなど知らない。まして、恨まれるほど何かした記憶はないんだが?」
「復讐、ソウ、復讐ダ」
「だから、その復讐される筋合いが────」
「今カラ
雄樹夜さんの言葉を遮り、偽つぐは一人語りを始めた。
「女子校ノイメージガアッタセイデ、男子生徒ハ片手デ数エル程度シカ入学シテコナカッタガ、一人トテツモナク人気ヲ誇ル男子ガヤッテキタ。誰カラモ慕ワレ、人当タリモ良カッタソノ男子ニ惚レ、私ハ告白シタ。
地味ダッタ私ダッタガ告白ハ成功シ、付キ合ウコトニナッタ。嬉シカッタ。私ハ彼ニ全テヲ捧ゲタ。金モ、時間モ、初体験モ。ダガ─────」
偽つぐが一呼吸置いた瞬間、蒼い炎は弱まり小さくなった。
「アノ男ハ…………
偽つぐの大声に対し、青い炎も同調し勢いを増して燃え上がる。
あまりの声量にボクたちは身動きひとつ取れなくなるほどの圧力を受けた。
「アノ男ハ、裏デ何十人モノ女ト関係ヲ持ッテイタ。私ハ所詮ソノ中ノ一人ニ過ギナカッタワケダ。ソノコトが分カッタト同時ニ私の体ニアル変化ガオキテイタ。─────
数々の事実に全員が言葉を失う。
「当時工事中ダッタ場所ノ高所カラ、鉄骨ガ落チテキタ。私ハ走馬灯ヲ見ル余裕モナク即死シタ」
「結局のところ、お前はオレたちに何がしたいんだ?」
雄樹夜さんがそう問いかけると、偽つぐは落ち着きを取り戻すかのように数秒置き、ニタっと笑いながら答える。
「オ前タチニモ同ジ不幸ヲ味ワッテモラウ。特ニ、美竹 葵。上原 ヒマリ。二人ハ、絶対ニ許サナイ…………!」
「ゆ、許すも何も、わたしたち何もしてないじゃん!!」
「私ガ不幸ナ目ニ合イ、オ前タチダケ幸セニナルナンテ、ソンナ不条理ガ許サレテイイノカ?」
「そんなこと、キミに決められる権利はないはずだ!」
「黙レッ!!誰ガナント言オウト、私ハ絶対二────」
偽つぐが言い終わる前に、鏡がパリンッと割れる音が体育館に響き渡る。
それと同時にボクたちを囲んでいた蒼い炎も消え、鏡に映っていた
全員、何が起こったか分からない中、ある一人が口を開く。
「全くバカバカしい。こんな逆恨みの為にオレたちは付き合わせれていたのか?」
一連の行動。
そして、その声の主は紛れもない雄樹夜さんだった。
「…………雄樹夜さん?」
「なあ怨霊。お前は三つ間違っている。一つ、恨みを持つ相手を完全に間違えていること。二つ、鏡の中でしか生きられない欠点があること。三つ、オレたちの前に現れたことだ」
壊れた鏡から声が発せられることはない。
「雄樹夜さんカッコいい!」
「葵、アンタも見習いなよ」
「うっ、蘭…………手厳しい…………」
「雄樹夜、アナタもよ」
「ん?どうした友希那」
「アナタ、よくあんな臭いセリフが言えるわね。聞いてて恥ずかしかったわ」
「あはは、友希那も厳しい…………」
「リサ、気にするな。友希那はいつもこんな感じだろ?それに、オレは狙って臭いセリフを言ったわけじゃない」
「雄樹夜も真面目に答えないの〜!」
先程の重苦しい空気が一転、和やかなものに一変した。
これでもう偽つぐに襲われることはない。
そう油断した時だった。
「クスクスクス、全クオメデタイ連中ダ」
全員がビクッと肩を振るわせる。
さっきまで聞いていた声。
その根源はスピーカーから発せられたものだった。
「何度ヤッテモ無駄ダ。私ハ簡単ニ消エヤシナイ。私ハ何度デモ蘇ル」
そう言い終えると、体育館を覆うガラス一枚一枚が全て偽つぐの顔へと移り変わり不敵に笑い声をあげ始める。
「ゲラゲラゲラゲラゲラ」
その声量に耐えきれず耳を塞ぐ。
塞いでなお響くその笑い声に、脳が震え頭痛を引き起こす。
バタリッ、と一人倒れる。
そして、また一人倒れていく。
「マダ、オ前タチハ七不思議ヲ解明出来テイナイ。ダカラ、コノ恐怖カラ逃レラレナイ。サァ、解明シテミロ。出来ルモノナラナ!!」
再び偽つぐは笑い始める。
バタリバタリと倒れる連鎖は続き、ボクと雄樹夜さんだけが残った。
彼もまた顔を顰め苦しんでいる。
「葵…………どうにか……………ならない、のか…………?
大音量で笑う偽つぐの声の中に書くかに聞こえる弱々しい雄樹夜さんの声。
考える余裕もない。
助けも呼べない絶望的な状況。
ボクたちは、ここで死ぬのか───────?
「────皆さん!無事ですか!?」
閉ざされていた扉が勢いよく開く。
ボクは霞む視界でその姿を捉えた。
Roseliaの氷川紗夜さん、白金燐子さんだ。
「な、なんですか……………!?アレ……………!?」
「こ、この世のものとは思えません…………!」
この状況に驚く二人に気づいた偽つぐは笑うのをやめ、二人を凝視する。
「チッ、邪魔ガ入ッタカ二人マトメテ…………イヤ、関係ナイ。私ノ目的ハ既ニ達シテイル」
ぶつぶつと独り言を呟く偽つぐ。
「よかった…………二人が来てくれて……………。さあ、雄樹夜さん……………今すぐ、ここから………………?」
雄樹夜さんの方を向くと、耳を抑えていた手が力なく下がり、俯いたままピクリとも動かなくなる。
彼は、立ったまま気絶したのだ。
「オ前タチニ助ケガ来タヨウダナ。命拾イシタナ。近イウチニマタ現レルトシヨウ。ソレマデ、平穏ナ日々ヲ過ゴスコトダ」
偽つぐは一斉に姿を消し、雄樹夜さんが壊した大きな鏡だけが残った。
周りを見渡すと、皆倒れ込みピクリとも動かない。
もう、大丈夫かな────。
ボクも限界に達し、意識を手放した。
いかがだったでしょうか?
カタカナ表記読みづらい………笑
演出上仕方ないとは思いますが、本当に読みづらかったですよね…………
物語は着実に終盤へと差し掛かっております。
最後になりますが、感想、評価お待ちしています