おかげさまでやる気に満ち溢れ、早めに仕上がりました!
今後もこれぐらいのスパンで投稿していきたい………
今回は、蘭にスポットを当てた話になります
真っ白に包まれた清らかな空間。
風で靡いた同色のカーテンからは、わずかな陽の光が差し込み、部屋を温める。
体育館の後に目に入ったのがこの景色だ。
「………あっ、先生!美竹くん、意識が戻りました!」
知らない女の人の声が部屋中に響く。
駆け足でやってきた先生がボクの隣に座り軽い問診を始める。
気がつくとボクはベットに横たわっていたらしい。
「美竹 葵くん、だね。意識ははっきりしているかい?」
「は、はい………ところで、ここは………?」
「病院だよ。他校の生徒さんがキミたちが倒れているのを見つけて救急車を呼んでくれたんだ。先程ご両親もいらっしゃって事情は説明させてもらったよ」
「そう、ですか」
「受け答えもしっかりできているようだし、問題ないだろう。午後には退院できるよ」
「わかりました。それまで少し休ませていただきます」
「そうか、分かった。そうするといい。私は他の子の様子を見に行ってくるから、何かあったらナースコールを鳴らしてくれ」
「わかりました」
先生は足早に部屋を後にし、ボクは再びベッドに横たわる。
先生と入れ替わりでRoseliaの氷川紗代さん、白金燐子さんが入室する。
「美竹くん、目覚めたのね」
「よかった…………ホッと、しました…………」
「ご心配おかけしました。すみません、このような格好で…………」
「構いません。無理はいけませんよ」
きっと2人はRoseliaの四人のお見舞いに来たついでに立ち寄ってくれたんだろう。
心優しい人たちだ。
「お二人がボクたちを助けてくれたんですよね。本当に、ありがとうございました」
「い、いえ………!そんな…………」
「当然のことをしたまで、ですよ」
2人の和やかな笑顔を見るとこっちも安心する。
「ところで、Roseliaの皆さんは大丈夫だったんですか?」
ボクがそう問いかけると、2人はさっきまでと違い少し暗い表情を見せた。
「大丈夫………とは、いえませんね……………」
「何があったんですか!?」
「宇田川さんと湊さんは軽い頭痛を起こしただけで、今は目を覚まし意識もハッキリしています」
「リサさんと雄樹夜さんは………?」
「今井さんは…………捻挫を、雄樹夜さんは………目覚めてはいるものの……………意識が、ハッキリしていません…………」
「先程もお見舞いに行きましたが、当分入院する必要がありそうな状態でしたね」
「そう、ですか…………」
雄樹夜さんはあの状況で最後まで立っていた人だ。
受けて苦痛も相当なものだろう。
今は少しでも長く休んでもらいたい。
「とにかく今はゆっくり横になっていてください。私たちはこれで失礼します」
「はい、どうかお二人をお気をつけて。お見舞い、ありがとうございました」
二人は軽く会釈した後部屋を出る。
それと同時にボクはナースコールを鳴らす。
あの場にいたのは
看護師さんから全員の病室を聞くとすぐさま部屋を出た。
どうかみんな、無事でいてくれ──────!
痛む頭を抑えつつ、ボクはみんなの病室へと向かう。
……………………
…………
ボクの部屋から一番近かったひまりちゃんの部屋を覗いてみる。
─────だけどその姿は見えない。
次に巴ちゃん、モカちゃんの順に見ていっても誰もその部屋にいることはなかった。
誰もいない恐怖に心臓がバクバクいっている。
まさか、みんな既に────?
そんなバカな考えに行き着く。
次に蘭の部屋に行くと、ベッドを起き上がらせ背もたれにして一人座る姉の姿が目に入る。
蘭もすぐに気がつく。
「あっ、葵」
「蘭っ!!」
誰も会えなかった不安からか、気分が高まる。
「みんなはどこに行ったの?病室を見ても誰もいなかったんだけど」
「自動販売機に水を買ってくるって言って部屋を出たよ。もうすぐ帰ってくるんじゃない?」
「そっかぁ…………とりあえず安心したよ」
「なに?まさか、あたしたちが死んだとでも思ったの?」
「うっ……………はい…………」
「ふふ。ホントッ、心配性なんだから」
蘭はそう言い微笑む。
なんだかこうやって蘭と二人きりで話すのは随分久しぶりな気がする。
家でもあまり言葉を交わさなかったし、ボクにはひまりちゃんという彼女がいる。
蘭もどこか遠慮していたのかもしれない。
「葵、なんか逞しくなった?」
「えっ?そ、そうかな」
「うん。一年の時はもう少し細かったような気がする」
「体重はあまり変わってないんだけどなぁ」
「やっぱり、父さんとの稽古大変なんじゃない?」
「キツくない、といったら嘘になるかな。それも父さんの後継者として鍛える為だろうし、ボクは頑張るしかないよ」
ボクは笑いながら答えると、蘭が神妙な面持ちで問いかける。
「あのさ…………ずっと聞きたかったことがあるんだけど、いい?」
「ん?なに?」
蘭は一度呼吸を整えてから、重そうに口を開く。
「葵ってさ─────将来の夢とかあるの?」
唐突に聞かされた蘭の質問。
ゆめ…………夢か。
正直深く考えたことはなかったな。
「昔からさ、葵って自分から"何かやりたい" って言い出したことってなかったなと思って。あたしの場合、『バンドをやりたい』って言ったようにさ、何かないの?」
確かにその通りだ。
幼稚園とか小学校の時は大体、『プロスポーツ選手になる!』だとか、『看護師になる!』だとか、壮大な夢を抱くけどボクにはそれがなかった。
授業参観での発表だって、あの蘭ですら『お花屋さんになりたい』と言ってたぐらいだ。
もちろんこのことは口が裂けても言わないけど。
それに対してボクは『特にないけど、人の役に立ちたい』と子供ながら答えたはずだ。
"人の役に立つ"。とても抽象的でどの職業にも当てはまる答えだけど、どれか一つに当てはまることもない。
ボクは一体、何がしたいのか。
当事者であるボク自身全くわからない。
「うーーん、そうだなぁ……………」
考えるふりをするけれど、一向に答えは出てこない。
ずっと父さんの元で華道や茶道、剣道を学んできだけどそれはただ父さんの言葉に乗せられただけ。
中学まで続けてたサッカーだって、本気でプロ選手になるつもりはなかったし、キャプテンも務めたけど結局高校で辞めた。
やはりボクは中途半端なのかな?
将来の夢。
蘭にそう言われ改めて気付かされる。
ボクの中身は空っぽなんだと。
「考えてみたけど、やっぱりないかな」
「えっ?何もないの?」
「うん。自分から特別何かをやりたい、っていうのがないんだよ。もちろんみんなとバンドをするのは楽しいし、大切だよ?でも、それは蘭が始めたことだ。ボクじゃない。一人で何かを始めようと考えても、何も思いつかないんだ…………」
「そっか…………」
ボクの本心をそのまま伝えると、蘭は微妙な反応を見せた。
「逆に蘭にはないの?夢」
「あたしの…………夢…………」
ランは少し考える間もなく、すぐに答えを出す。
「
照れ臭そうに答える蘭。
蘭はそのまま話を続ける。
「今はまだ、遥か遠くの未来かもしれない。それでもあたしはできると信じてる。だって、
全くその通りだ。
蘭の言葉に無言で頷く。
「夢はさ、なんでもいいんだよ。大きくても小さくても、それはその人にとって成就したい大切な目標なんだと思う。だからあたしは、武道館で演奏したい。いつも通り、六人全員で」
真剣に語る蘭に凄みを感じる。
中学の時はただ "いつも通り" でいなくなるのが嫌だから始めたバンド活動。
だけど今はもう別の意味へと成り代わった。
思い出だけじゃ終わらせない。
Afterglowというバンドを、六人の結束を、その力強い演奏を、蘭は武道館という大舞台で世に知らしめようとしているのだ。
「………本当に、変わったよね、蘭って」
「うっさい…………は、恥ずかしいから見ないで」
蘭は顔を赤くし布団でそれを隠す。
「あたしは話し切ったんだから、今度は葵が話してよ」
「ええっ!?急に言われてもなぁ」
唐突に話を振られて戸惑う。
少し考え、ボクの中の疑問を投げかける。
「それじゃあ、ひとつだけ聞かせて」
「うん」
「蘭はさ、ボクにどうなって欲しいの?」
「……………えっ?」
突拍子もない質問に少し抜けた返事をする。
まるで理解できないと言わんばかりの様子だけど、ボクは続けて話す。
「ボク自身、将来何になりたいだとかが…………思い浮かばないんだ。父さんの後継者になることへの抵抗は決して無い。むしろ誇らしいとも思う。だけど、それが本当にボクがやりたいことなのかすらわからない。だから第三者として、一番近くでボクを見てきた
こんなこと自分で決めればいい─────大半の人はそう返すだろう。
だけど、ボクには絶対に正解に辿り着くことはできない難題。
第三者の意見が欲しい。
この十七年間、誰よりも近くで見てきた実の姉ならきっとこの疑問に答えてくれるだろう。
そう期待する。
流石の蘭も長い時間考える。
顎に指を置きダンマリになると思いきや、腕を組み天を仰ぐ。
「む、無理に考えなくてもいいからね?これは、ボク一人の問題であって─────」
「少し黙って」
「は、はい………!」
蘭は真剣に考える。
それでもなかなか答えを見出せず沈黙の時が、ボクらの曲が一曲演奏し終わる時間までかかる。
うん、と小さく頷き納得したのか、蘭はその考えを話す。
「葵ってさ、"欲" がないよね」
「…………んっ?欲!?」
先ほどとは打って変わり、今度はボクが抜けた返事をする。
「そう。大物になりたいとか、大金持ちになりたいとか色々あるじゃん。葵に限って言えることだけど、良く言えば謙虚。悪く言えば無私。葵ってホント昔から変わらないよね」
「ぐ、具体的には………?」
「その考え方。遠慮深いのか何なのか知らないけど、葵はもっと "我" を持った方がいいと思う」
「我を持つ、か。考えたこともなかったな」
「Afterglowだと、あたしと巴が良く揉めたりするけど、あたしにはあたしの考えがあって巴には巴の考えがある。お互いに譲れないものがあって衝突するわけだけど、それはお互い "我"を持っているからだと思う。まあ、揉めることがいいこととは言わないけど」
「確かに………」
「葵は、自分の意見が言えないんじゃなくて、
蘭に何も言い返せない。
全て紛れもない事実だからだ。
「"我" を持てば少なくとも自分の意見、やりたいことが見えてくる。そこからどうなりたいかという "欲" が出てくる。葵は今、夢とか願望だとかは考えなくていい。まずは "意思" を持つことから始めたらどう?」
「意思?」
「ぼんやりでも何かをしたいって感じていること。葵は頭の中は綺麗すぎるぐらい真っ白だから」
「酷い言われようだけど、否定はできないね」
「別に難しく考える必要はないんだよ?ずっと六人仲良くいることだって願望だし…………あっ、葵ならひまりとはどう?」
「えっ?ひまりちゃん?」
「二人は付き合ってるんだし、ずっとこの関係でいたいとかないの?それも "夢" であり "欲" だと思うんだけど」
「そっか、深く考えたことはなかったな」
「なんで?」
「ひまりちゃんのことはもちろん好きだよ。だけど、ひまりちゃんがずっとボクのことを好きでいてくれるとは限らない」
「そんなことないと思うけど…………」
「ううん。時々思うんだ。ボクは本当にひまりちゃんに相応しい彼氏なのかって」
「どういうこと?詳しく聞かせて」
「それは─────」
「蘭〜、おまたせ〜!」
ボクが口を開いたと同時に、ひまりちゃんが入室する。
その後に続き、巴ちゃんとモカちゃんも入ってきた。
「…………あっ!!葵く〜〜ん!!」
「ぐふっ…………。ひ、ひまりちゃん、苦しい…………」
開口一番ボクの懐に抱きつくひまりちゃん。
蘭や他のみんなも少し呆れ顔でボクたちを見る。
「蘭、頼まれてた水だ」
「ありがと」
「あーくんも起きてるの知ってたら、買ってたのにな〜」
「ボクもさっき目覚めたばかりだよ。ほらっ、ひまりちゃんも、他の人の目もあるんだから」
「うぅ〜、もう少しだけ〜〜!」
「じゃあ二人のラブラブっぷりを全世界にそうし〜ん」
モカちゃんがスマホを向けた瞬間、ひまりちゃんは何事もなかったかのように離れた。
付き合ってから随分経つけど、やはりまだ公衆の面前だと恥ずかしいらしい。
「そんなことよりつぐみちゃんは?ここにはいないみたいだけど…………?」
ボクがその名前を出した途端、みんなの表情が暗くなる。
どうやら、何も知らないのはボクだけのようだ。
「あーくん、何も言わずについてきたまえ…………」
険しい目つきになるモカちゃん。
どうやら彼女に何かあったのは間違いないようだ。
ボクたちはつぐみちゃんの病室へ向かい歩み出す。
***
つぐみちゃんの病室は蘭の隣にあり、すぐに着く。
「葵くん!それにみんなも!」
部屋に入るや否や、つぐみちゃんが明るい表情で迎えてくれた。
「モカちゃん……………」
「ん〜?どしたー?」
「さっきの真剣な目つきは何だったの!?つぐみちゃんすごく元気そうだけど!?」
「いやー、ほんのモカちゃんジョークだよ〜」
ケラケラと笑うモカちゃん。
本当に心臓に悪いから、こういった冗談はやめて欲しい。
蘭も同情したのか、無言でモカちゃんの頭をポカッと叩いた。
「心配かけちゃったよね…………でも、もう大丈夫!」
つぐみちゃんは笑ってそう返す。
「だけどな、葵。モカのジョークはあながち間違いじゃないんだぞ」
「えっ?」
巴ちゃんは一呼吸おき、事実を伝える。
「─────つぐは検査入院が必要だそうだ」
「えっ!?ぜ、全然大丈夫じゃないよね!?」
「ううん、本当に大丈夫だよ!」
「お医者さんが言うには、わたしたちには異常がみられなくてすぐ退院できるって言われたけど、つぐだけ何かの値?が悪かったみたい」
「そっか…………」
「そんな大袈裟なものじゃないから、心配しなくても大丈夫だよ!葵くん」
元気そうに振る舞うつぐみちゃんだけど、過去にも過労で倒れて入院することがあった。
羽丘学園副会長であり、羽沢珈琲店の手伝いもして、さらにはバンド活動。
そして極め付けは今回の件。
つぐみちゃんの蓄積した疲労は計り知れないものになっているだろう。
「つぐみちゃん、もう無茶はいけないよ」
「うんっ!ゴールデンウィーク中には退院する予定だよ!」
「焦ることはないからね。ゆっくり休んで、またみんなでCiRCLEに集まろう」
「だなっ!」
ボクたちは新たに誓い合う。
それと同時に部屋に先生と看護師さんが訪れ、問診を行うと言われたから、ボクたちはそそくさと部屋を出る。
「つぐ〜、お達者で〜」
「お見舞い、必ず行くからね!」
「つぐみ、お大事に」
ボクたちはそう言い残し各々の病室へ戻る。
そう言えば蘭とは話の途中だったような…………いや、また家に帰ってからにしよう。
ボクは再び病室へと戻ると、ベッドのそばにあったパイプ椅子に腰掛け一人考える。
それは体育館で出会った偽つぐのことだ。
『
偽つぐの確信とも取れる言葉が脳裏に引っかかる。
まさかとは思うが、本当にボクたちのことを殺すつもりなのではないか?
その憶測がずっと頭の中に残って離れようとしない。
正直あんな化け物にどう対処すればいいのか謎である。
とあるゲームで例えるなら、いくら攻撃しても効果のない霊獣を相手にしているようなものだ。
お料理炎使いの上に蘇生持ちなんて、いきなり出会したらその時点でゲームオーバー。
人間に勝ち目など決してない。
常にお祓いができる人なんて側に置けないし…………ボクはどうしたらいいか本気で悩んでいる。
そんな時だった─────
「葵くん、ちょっといいかな?」
部屋の外からひょっこりとひまりちゃんが顔を出す。
「ひまりちゃん、どうしたの?」
「突然ごめんね。少し二人で話したいなーと思って…………入っていいかな?」
「もちろん!」
「やった♪お邪魔しまーす」
元気な返事と共に、同じ病室の患者さんに頭を軽く下げながらとてとてと近づくひまりちゃん。
ボクの前に立ち、ニヤッと笑ったと思いきやベットの周りのカーテンを手早く閉めた。
「えーっと、ひまりちゃん?」
ここはあくまで一般病棟。
ボク以外にも何人もの患者さんがこの部屋で入院生活をしている。
ひまりちゃんがここにくるまでに同じ部屋の患者さんにも見られてしまったし、こんなあからさまにしたら何かよからぬことをしてると思われてしまう。
もちろん決してそんなことをするつもりはないけど!
僅かながらも、このカーテン越しに人が集まってるようにも感じるし、
「葵くんも目が覚めたばかりなんだし、ベットで横になったら?」
「う、うん。そうしようかな」
ひまりちゃんの勧めでベットに仰向けになる。
「…………えいっ!」
「うっ………!?」
突如彼女はボクの腹の上に乗っかり、背中ギュッと掴む。
「えへへ〜♪葵く〜ん」
「ちょっ、こんな公共の場でこんなこと…………!」
「だってだって!二人きりの時間ってなかなかなかったんだもん!!」
「もう少し声のトーン落として!他の患者さんに聞こえちゃう!」
「ううっ、それは確かに迷惑だよね…………気をつけます」
「あと、この状態も─────」
「それは嫌っ!!」
頑なにひまりちゃんは離れようとしない。
むしろ締め付ける腕の力が強くなっている気がする。
仕方ないなぁ、とボクは彼女の頭を撫でると、ひまりちゃんはボクの胸に顔を埋めた。
「どうしたの?怖い夢でも見たの?」
優しく問いかけると、ひまりちゃんは弱々しく答える。
「あの時…………怖かった……………」
「あの時─────体育館のことだよね」
「うん…………っ」
「そうだね。アレはボクから見てもとても恐ろしいものに見えたよ」
「気を失った後も夢に出てきてさ…………わたしのことを追いかけ回してくるの…………」
弱々しかった声が段々と涙を含んだものに変わった。
「追いかけ回す?」
「つぐなのにつぐじゃない人たちが大勢いてさ…………まるでわたしに暴行しようと言わんばかりに…………どこまでも、どこまでも…………」
「怖かったよね。よしよし」
「ねぇ、葵くん…………」
「なに?」
「こんな状況で言うのも変だけど────明日二人きりでデートしたい」
「えっ?デート?」
「うん…………っ。昨日のことを忘れさせてくれるような、そんな日にしたいの」
ひまりちゃんは埋めた顔を少し上げ自分の気持ちを伝える。
「もちろん、葵くんがしんどいって言うなら無理は言わないよ。でもね、なんだか二人きりでいたいの。他の誰でもない、葵くんと」
彼女のお願いだ。無碍にするなんてボクにできるわけがない。
「わかった。なら明日、二人きりでね」
「ほんとっ!?」
「もちろんだよ。ただし、遠出はしないからね?ひまりちゃんもまだ疲れが溜まってるだろうし、学校ももうすぐだからね?」
「うんっ!はあぁぁ、一気に楽しみになってきた!!」
ひまりちゃんは勢いよく立ち上がると、忘れていたと言わんばかりに急接近し──────
「……………チュッ」
ボクの頬にキスをした。
「……………!?!?」
驚き飛び起きるボクを差し置いて、ひまりちゃんは満面の笑みで手を振りカーテンを飛び出す。
口付けされた頬に手を添え三度ベットの横になる。
「………………/////」
退院するまで数時間。
先ほどの出来事が忘れられず、ベットにうずくまっていたのは誰も知らない。
いかがだったでしょうか?
蘭がいつになく真剣でした!
ひまり………あざとい(笑)
タイトルの意味的には
Question=疑問
Anxiety=不安
という意味で使わせていただきました。
今後もこの二人が幸せにいてくれたらいいのですが…………果たしてどうなることか。作者も分かりません
次回もお楽しみに