Afterglow 〜夕日に焦がれし恋心〜   作:山本イツキ

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多くは語りません。


どうぞ、本編をお楽しみください


第48曲 独善的復讐

 退院した次の日。

 ひまりちゃんと二人きりのデートの約束をしたけれど、その日はあいにくの雨。

 デートは中止となり、ボク達の予定が空いていたゴールデンウィーク最終日へと持ち越しとなった。

 

 そして日時は過ぎ、その日を迎える。

 快晴に見舞われたが、時間帯は夜。

 19時を超えたこの時間帯は、夜といえど少しばかりの蒸し暑さを感じさせる。

 夜に会おうとしたのはちゃんとした理由がある。

 

 それは──────おっと、ひまりちゃんの姿が見えてきた。

 小走りでやってきた彼女は、息を切らしつつも大きく手を振ってこちらに向かう。

 

 

 「葵くーん!お待たせっ!」

 

 「ううん、全然待ってないよ」

 

 

 夜にあった理由。

 それは、この近所で花火大会が開催されるからだ。

 

 …………えっ?花火って普通夏にやるものだって?

 

 その考えは確かに正しい。

 けれど、やるところはやっているんだ。

 行くしかないだろう?

 

 実はと言うと、ボクも開催されること自体知らなかったけどひまりちゃんが教えてくれた。

 彼女も、去年は部活で忙しかったから花火大会に行けなかったとをずっと後悔していたらしい。

 『だからこそ、今年は絶対に行くんだー!』と、モカちゃん風に言うと彼女は "ひまっていた" から行くことになった。

 

 夏以外で花火を見る機会なんてこれまでなかったから、ボク自身かなり楽しみでもある。

 実際、家から黒色の浴衣を出してボクも着ているのだから。

 

 

 「ひまりちゃんのその浴衣、よく似合ってるよ」

 

 「ホントッ!?えへへ〜、どう?可愛い?」

 

 

 胸を張りアピールするひまりちゃん。

 桃色の柄をベースに黄色の朝顔、そしてオレンジの帯をしたその姿はいつも以上に可愛らしく見えた。

 細部にも相当拘っているようで、三つ編みした桃色の髪にはピンクのリボンの髪飾りをつけ、女の子らしさを全面的に押し出していた。

 

 

 「うんっ、可愛いよ。誰よりも、ね?」

 

 「ひゃああああああ!」

 

 

 さっきまでの態度と一変し、一気に赤面する。

 ひまりちゃんはその場にしゃがみ、小さくなった。

 ブツブツと何か言っているようだったけど、ボクにはよく聞き取れない。

 

 

 「ひまりちゃん?」

 

 「葵くんがわたしを可愛いって…………葵くんがわたしを可愛いって…………葵くんがわたしを────」

 

 「ほらっ、座ってないで早く行くよ!こんなところでジッとしてたら花火が終わっちゃう」

 

 「えっ!?ちょっ、まだ心の準備が………」

 

 

 ひまりちゃんの手を引いて歩き出す。

 この前会った時はとても辛そうだったけど、今はとても元気そうでしばらく歩いたら鼻歌を歌い上機嫌な様子をみせる。

 

 よほど今日のデートを心待ちにしていたんだろう。

 

 

 「ふ〜ん、ふふ〜ん♪」

 

 「なんだか嬉しそうだね」

 

 「もちろんだよ〜!だって、久々のデートだよ?こんなに楽しみなことなんて他にないよ〜!」

 

 「そう思ってくれてボクも嬉しいよ。ありがとう、ひまりちゃん」

 

 「こちらこそ!!大好きだよ!葵くん!」

 

 

 ひまりちゃんは満面の笑みを浮かべボクの腕に抱きつく。

 みんなの前ではまだ恥ずかしいらしいけど、誰もいないところではこうやってすごく甘えてくる。

 そういったところも可愛いんだけど、こっちとしてはなんだか照れてしまう。

 

 やはり、まだまだ慣れないものだ。

 

 

 「そういえば、屋台とかも出てるんだよね?」

 

 「うん!焼きそばとか〜、りんご飴とか〜………色々いるみたいだよ!」

 

 「へぇ、結構大きいお祭りなんだね」

 

 「テレビとかも来るらしいよ?もしかしたら、映っちゃうかも!?」

 

 「あはは、そうなったらボクたちが付き合っていることは確実にクラスのみんなに知れ渡ることになるだろうね」

 

 「そ、そうなったらわたし、クラスで生きていけるかな…………」

 

 「心配ないよ。ボクたちの関係はある意味知れ渡っているだろうし、公表してもいいんじゃないかな?」

 

 「……………いや、まだ言わなくていい!わたしの口から、ちゃんと説明したいから」

 

 

 僕の手を握るひまりちゃんの手に力が入る。

 以前、ホワイトデーの時に行った遊園地でトレンドにも上がるほど有名になったボクたちだ。

 クラスメイトの一人や二人は知っていてもおかしくないだろうけど、彼女はそれを拒む。

 

 その決意を無碍にすることはできないな。

 

 

 「わかったよ。ボクからは何も言わないでおくよ」

 

 「ありがとう、葵くん!……………あっ、お祭りの会場が見えてきた!」

 

 

 夜道とは比べ物にならない明るさを放つその場所に、ボクたちは足早に向かう。

 

 

 

……………………

 

 

 

…………

 

 

 

 夜遅くなのに賑わうこの会場には、大人から子供まで大勢の人が訪れていた。

 目玉は花火だろうけど、立ち並ぶ売店にも行列ができている。

 映る光景についつい目移りしてしまう

 

 

 「わあ〜!賑わってるね〜!」

 

 「やっぱりすごい人…………。逸れたら元も子もないよね」

 

 

 繋ぐ手に、更に力が入る。

 

 

 「ひまりちゃん。ないとは思うけど、もし逸れちゃったらちゃんと迷子センターに行くんだよ?」

 

 「もう!わたしを何歳だと思ってるの!?」

 

 

 頬を風船のように膨らませるひまりちゃん。

 その様子につい笑い声を上げる。

 

 

 「葵くんのいじわる〜!」

 

 「あはは。ついっ、ね?」

 

 「ついっ、じゃない!よしっ、こうなったらやけ食いだー!!」

 

 「えーっと、モカちゃんの言葉を借りると『あんまり食べると太──────』」

 

 「言わないで!」

 

 

 ひまりちゃんはそういうとボクの口を塞ぐように手を被せる。

 どうやら本人も自覚してるらしい。

 

 

 「からかいすぎたから、罪滅ぼしに何か奢らせてよ。好きなものなんでも言って?」

 

 「ホントっ!?なら、フランクフルトと、焼きそばと、リンゴ飴と、ラムネと…………」

 

 「ほ、ほどほどにね?」

 

 

 テニスを辞めたらひまりちゃんは、本当の意味でふかふかボディになってしまう。

 そう痛感させられた瞬間だった。

 結局ボクはリンゴ飴とラムネをご馳走し、ボクもラムネを片手に屋台を彷徨く。

 

 

 「葵くんは何も食べなくていいの?」

 

 「んー、実はというと最近食欲がなくて………」

 

 「ええっ!?ちょっと、大丈夫!?」

 

 「胃が小さくなったのかな?」

 

 「うっ、羨ましい……………!」

 

 「でも、家でもお菓子は普通に食べるし、羽沢珈琲店でも焼き菓子が止まらなくなるしな〜」

 

 「そんな甘いものばかり食べてたら太っちゃうよ?葵くんも、そろそろ運動しないとまずいんじゃな〜い?」

 

 

 ひまりちゃんは悪戯に笑う。

 

 

 「心配しなくても父さんとの稽古があるからね。この間、体重を量ったら44キロだったっかな?」

 

 「よ、44!?」

 

 「痩せすぎかな?」

 

 (言えない…………葵くんよりも遥かに重いなんて…………言えない…………)

 

 「…………ひまりちゃん?」

 

 「えっ!?あ、あぁ………もっと食べないとダメだよ!うんっ!今度デートするときは私が奢るから、しっかり食べてね?」

 

 「ごめんね、心配ばかりかけて」

 

 「気にしないで!」

 

 

 二人で話したあと、ボクたちはお祭りを楽しんだ。

 射的に的当てに金魚掬い。

 色々ひまりちゃんと勝負したものの事前に『手加減なし!』という縛りがあったから本気で挑み全てに勝った。

 少し大人気ないとは思ったけど、これでもし手を抜いたりなんてしたらひまりちゃんにも失礼だ。

 そう考えての結果だった。

 勝負に負けて心底悔しそうにするひまりちゃんだったけど、楽しんでいるようで安心した。

 

 その後に浜辺で見た花火も圧巻の一言だった。

 煌めく火花。咲き誇る花火。

 一つ一つ弾けると共に歓声が湧き上がり、それに助長されるかのように打ち上がる音が大きくなる。

 過去に打ち上げ花火を題材にしたアニメーション映画が公開されたけどボクからすれば、一人なんかより誰かと、それも大切な人と見る方が断然いい。

 

 

 「綺麗……………」

 

 

 うっとりとした表情を浮かべ頬を赤く染めるひまりちゃん。

 「キミの方が綺麗だよ」なんて臭いセリフは言わないけれど、今がとても幸せだ。

 

 この時を進めたくない。

 

 ずっとこのままでいたい。

 

 

 そんなわがままな考えが頭をよぎる。

 

 

 「ひまりちゃん」

 

 「なに?」

 

 「今日は本当に誘ってくれてありがとう!」

 

 「うんっ!また来ようね!」

 

 

 

***

 

 

 

 時間というものはあっという間に過ぎるもので、気がつけば時計は21時を過ぎていた。

 明日から学校だという事実が、今になって押し寄せてきている。

 現実とはなんで残酷なんだろうか。

 幸せな時間はそう長くは感じさせてはくれない。

 

 だが、その短い時間だから"思い" と言うものはより大きく感じられるとボクは思う。

 

 

 暗がりの通学路。

 街灯の光だけが差し込むこの道を二人、手を繋ぎ歩く。

 

 

 「今日は楽しかったね〜♪」

 

 

 上機嫌な様子のひまりちゃん。

 美味しいものを食べ、屋台を遊び尽くし、最後には綺麗な花火を満喫。

 ゴールデンウィーク最終日に、本当にいい思い出ができた。

 

 

 「これも全部、ひまりちゃんのおかげだよ」

 

 「えっへへ〜♪でも、明日からまた学校なんだよなあ…………」

 

 「みんなとまた会えるって考えたら楽しくならないかな?ほらっ、最近はバンドの練習とかできてないでしょ?」

 

 「た、たしかに…………」

 

 「────あっ、そういえば蘭とはまだあの話を終えてないんだっけ」

 

 「蘭と?なんの話をしていたの?」

 

 「それは─────」

 

 

 ボクがそう答えようとしたその時、夜道から見覚えのある制服を着た自称美少女の姿が目に映る。

 

 

 「やっほー」

 

 「モカッ!?」

 

 

 ひまりちゃんが驚愕するように発したその名前。

 モカちゃんがニヤニヤと笑いながら近づいてきた。

 

 

 「お二人とも、ラブラブですなー」

 

 

 相変わらずゆったりとした口調で話すモカちゃんだけど、どこか違和感を覚える。

 

 

 「もぉ〜!からかわないでよ〜!」

 

 「えへへ〜。………あれ?あーくん、どうかしたの〜?」

 

 

 モカちゃんは笑いながらボクに顔を向ける。

 

 

 「いや、なんでモカちゃんは()()()()()()って」

 

 「た、たしかに……………なんで?」

 

 

 ボクの疑問にひまりちゃんも乗っかる。

 モカちゃんは考えた素振りを見せると笑みをたやさずこう答える。

 

 

 「いやぁ〜、実はこれには海より深い事情があってね〜」

 

 「事情?」

 

 「夕方にせんせーに呼び出されて大変だったんだよぉ?ヨヨヨ〜」

 

 「へぇー、そうだったんだー!」

 

 「…………ひまりちゃん。下がって」

 

 「えっ?」

 

 「──────()()()

 

 

 唐突に出たその言葉。

 ひまりちゃんは訳もわからずボクの背中に身を隠す。

 

 

 「あーくん?ひーちゃん?」

 

 「()()()()()()()()()

 

 「あ、葵くん!?何を言って!?」

 

 「あーくん…………そんな酷いこと言うなんて、モカちゃんかなしいよぉ」

 

 「冗談はよしなよ。モカちゃんなら知ってるはずだ。ゴールデンウィーク中は学校が「完全に閉鎖されていることを」」

 

 「……………!!」

 

 

 モカちゃんの表情がガラリと変わる。

 ひまりちゃんも何かを思い出したかのように話す。

 

 

 「確かにおかしいよね?」

 

 「いやいや〜、昨日であらかた終わってせんせーたちは今日から仕事だったんだよー。いくらモカちゃんが優しいからって、そんなに疑われると悲しいなぁ〜」

 

 

 しらを切るモカちゃん。

 そんなモカちゃんに向けて携帯のカメラを向ける。

 ひまりちゃんも背中越しにそれを覗く。

 

 そこには──────

 

 

 「……………モカが、映ってない…………?」

 

 

 そう、ボクの携帯の画面には映るはずのモカちゃんの姿がなかったのだ。

 携帯に映っているのはただの夜道。

 もちろん、ボクの携帯が壊れているからじゃない。

 ひまりちゃんも自分の携帯を取り出しモカちゃんにカメラを向ける。

 

 そこにもやはり、モカちゃんの姿は全く映らなかった。

 

 

 「………………モカ?冗談、だよね…………?」

 

 

 怯えるひまりちゃん。

 そこにボクは目の前のナニカ、偽モカに畳み掛ける。

 

 

 「キミの言動もおかしいんだ。図書室でしんどそうにしていたつぐみちゃんにキミは『いい加減気張るのはよしたら?』と言った。モカちゃんはつぐみちゃんに対して『気張る』なんて言葉は絶対使わない。"頑張りすぎている" と言う意味のある『つぐる』という言葉を生み出した彼女がこの場面で使わないわけがないんだ。さあ、いい加減仮面を被るのはよしなよ。もうキミがモカちゃんじゃないってこっちはわかっているんだから!」

 

 

 ボクは偽モカに指を刺す。

 彼女は観念したかのように俯き、そして、不敵な笑い声をあげ始めた。

 

 それは、数日前に散々聞いたあの声。

 

 パッと顔を上げると、そこにはモカちゃんではありえない、悍ましい笑い顔をした偽モカがこちらを覗く。

 

 

 「クスクスクス、ヨク見破ッタナ」

 

 「見破るも何も、長年幼馴染の言動を見てるとわかることもあるんだよ。キミにはそれを再現することなんて不可能だよ」

 

 「2回もわたしたちの親友に変装するなんて………許さないんだから!!」

 

 「上部ダケデハダメ、トイウコトカ?呆レルホドノ仲ダ」

 

 「お褒めに預かり光栄だよ」

 

 

 挑発まじりに話しても、偽モカは表情を変えない。

 

 

 「ドウヤラ私ノ姿ニモ慣レタラシイ。以前ノヨウナ恐怖面ハ、モウ見ル事ハデキナイノカ?」

 

 「そんなことはどうだっていいさ。夜も遅いし、手っ取り早く済ませよう。キミの目的は一体なに?この前言ってた "復讐" というやつかな?」

 

 「私ノ目的。ソウ、復讐ダ。生前ノ私ノ記憶………辛イ、苦シイ、痛イ、怖イ。ソンナ負ノ感情ニ推シツブサレル中、オ前タチハ幸セニ過ゴシテイタダト?フザケルナ。私以外ノ幸セナンテ許シテナルモノカ」

 

 「だから、雄樹夜さんも言ってたけど、復讐する相手を─────」

 

 「私ヲ妊娠サセタ男ナラ、モウコノ世ニハイナイ」

 

 「えっ…………!?」

 

 「この世にいないって…………まさか、亡くなったの?」

 

 

 ボクの問いかけに偽モカはニヤリと返すだけで言葉では言い表さなかった。

 どうやら、肯定したと考えていいだろう。

 

 

 「キミが、()ったのか?」

 

 「フン、私ガ直接手ヲ下ス必要モナイ。アンナ男ニハ、必ズ天罰ガ下ルト分カッテイタ。今ハ地獄ニ落チ、一生人ニ生マレ変ワルコトモデキナイヨウニナッテイルンダロウ。クスクス」   

 

 「キミも随分と酷いね。人の不幸を喜ぶなんて…………哀れみすら感じるよ」

 

 「……………………」

 

 「キミが復讐したいって気持ちは本当なんだろうけど、もう今後一才ボク達に関わるのはやめて欲しいな」

 

 「そ、そうだよ!もうわたしたちに近づかないで!」

 

 

 ボクの言葉に便乗するひまりちゃん。

 必死に訴えかける彼女をよそに、偽モカは歯軋りを立て、両の拳を強く握る。

 

 

 「黙レエエエエエエ!!!」

 

 

 不意に放たれた大きな声に思わず怯む。

 

 

 「人ヲ妬ンデ何ガ悪イ……………不幸ヲ願ッテ何ガ悪イ…………コノ世ハ "平等" 二溢レテイルノニ…………私ダケ──────私ダケ!!!」

 

 

 独りよがりに怒る偽モカは握り拳から黒い煙を放出する。

 数秒もたたずにその黒煙は、偽モカの身長と同等ほどの巨大な鎌へと形付けられた。

 未だどす黒いオーラを放つその鎌は、宛ら "死神の鎌" そのものだ。

 

 

 「……………逃げて、ひまりちゃん」

 

 

 身の危険を察したボクは、すぐさまひまりちゃんに退却命令をする。

 

 

 「やだ………………やだよ………………」

 

 「ダメだ!!早く逃げて!!」

 

 「いやだ!!」

 

 

 ボク達が言い争っている間にも偽モカはジリジリと距離を縮める。

 

 

 「お願いだ……………ひまりちゃんを巻き込みたくないんだ。だから、早く……………!」

 

 「葵くん……………っ!!」

 

 

 ひまりちゃんは勢いよく走り出し、その最中こう伝えた。

 

 

 「必ず、戻ってくるから!!」

 

 

 迫り来る偽モカから視線を外さず、桃色の髪を揺らし後方に走るひまりちゃんにグッドサインを送る。

 そうだ、これでいい。

 ボクの判断は間違っていないんだ。

 

 

 強く言い過ぎたことは後で必ず謝ろう。

 

 

 遠ざかる足音を確認し、一安心すると偽モカは目と鼻の先まで近づいていた。

 もう、ボクが逃げ切れることは不可能だろう。

 いくら攻撃を交わしたところでスタミナの限界はそう遠くないうちに来る。

 逃げも隠れも、抵抗すらしない。

 

 ただ仁王立ちで直立し、偽モカがひまりちゃんの方へ向かわないようにと行手を阻んだ。

 

 そして、黒鎌をボクの首に当て血眼になった目をギロリと向け告げる。

 

 

 「……………言イ残ス言葉ハ、アルカ?」

 

 

 死亡フラグ、とも取れる言葉を投げかける偽モカにボクは動ずることなく、口を開く。

 

 

 「…………ボクが死ぬことでキミが成仏されるならそれでいい。他のみんなが金輪際巻き込まないなら本望だ。だが、一つだけ心残りがあるとすれば────────」

 

 黒鎌が少しばかり動き、その矛先がボクの首に触れ少しばかりの痛みを感じた。

 首から流れる血と共に、相手を見つめるまっすぐな瞳からも涙が零れ落ちる

 

 

 そして────────

 

 

 「もっとみんなと……………一緒にいたかったな……………」

 

 

 

 ザシュッ!!!

 

 




いかがだったでしょうか?

物語通りです。はい、本当に何もいうことはありません。
決して『この回で終わる』なんてことはありません。続きもあります。
次回もどうぞご期待ください。


余談ではありますが、この度評価をしていただく際、文字制限を設けさせていただきました。
理由としては、別作品でも言った通りちゃんと言葉にして評価して欲しかったからです。
何も言わずただ高評価、低評価をされても何が良くて何がダメなのか分からないので、何卒よろしくお願いします
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