要望にもあったIFストーリー第一弾となります。
今回はエロ要素を後半に盛り込んでるので苦手な方はごめんなさい。
大学生にもなればそんなことだってするさ!
彼らはもう子供じゃないんだ!
第61曲 同棲生活のすゝめ
桜の花びらが舞い落ちる春の日に、僕は新しい門出を迎えた。
「それじゃあ、父さん、母さん、蘭。今までお世話になりました」
玄関で僕を見送る3人に深々と頭を下げる。
「いつでも帰ってきなさい」
「美味しいご飯作って待ってるわね」
小さく笑みを浮かべる両親。
それに対し、双子の姉は腕を組み無言でボクをみていた。
「………………………」
「蘭?」
「まあ気をつけて。ひまりにもよろしく言っといて」
「う、うん。わかった」
どこか冷たくも感じるその言葉。
しかし、ボクはちゃんと理解している。
少し腫れ真っ赤になった蘭の目を見て小さく笑う。
「ふふっ」
「なに?」
「別に何もないよ。あんまり言うと、蘭が怒りかねないからね」
「はあ?何言ってんの」
これは昨晩のことだ。
蘭から借りていた、とあるロックバンドのCDを返そうと部屋の扉を開けようとしたその時、グスッ、グスッと涙声を発しながら小さく座る蘭の姿が目に入った。
目が赤いのも、その涙が原因だろう。
誤魔化しているようだけど、いつもと様子が違うのは日を見るより明らか。
ボクと離れるのがそんなに寂しいことなのかと未だ疑問である。
「蘭、遠慮する必要はないから遊びに来てよ。ボクたちはいつでも歓迎するよ」
優しくそう話し、蘭の頭を撫でる。
「ちょっと!揶揄わないでよ!」
「あっはは。それじゃあまたね!」
笑顔で手を振り、別れを告げ玄関の扉を開ける。
ボクが家を出たと同時に、蘭が大きな声でこう告げる。
「言われなくても遊びに行くから!!」
ボクは背中を向けたまま、片手を上げて返事を返す。
別に構わないさ。
モカちゃんも、巴ちゃんも、つぐみちゃんも、みんな呼んでパーティーをするのもいい。
賑やかな方が良いに決まっている。
成人となった今、お酒も飲めるし高校の時には話せなかった胸の内を明かすのも良いかもしれない。
まあ、蘭はすぐに酔うからすぐに潰れると思うけどそれもまた面白い。
楽しみなことが目白押しだ。
「その前にまず、ひまりちゃんとの共同生活に慣れないとだね」
一抹の不安も抱えて新居へと歩み出す。
………………………
…………
実家から徒歩10分ほどの距離にある築10年も満たない綺麗なマンション。
ここが、これからボクとひまりちゃんが暮らす場所だ。
父さんのツテで借りることのできたこの家の家賃は、本来大学生が借りるには複数のバイトを掛け持ちでもしない限り住むのは困難だ。
『二人の将来のために』という理由だけで父さんが全額負担してくれ、二人の同棲が決まった。
こんな良いところに住まわせてくれるなんて本当に頭が下がる。
「あおいくーーーん!」
ボクを見つけるや否やひまりちゃんは駆け寄り、ボクの胸元に飛びつく。
「おはよう、ひまりちゃん」
「うん!おはよう!」
幸せそうに満面の笑みを浮かべるひまりちゃん。
今日この日を待ち望んでいたのだろう。
「えっへへ〜♪」
ぎゅーっと力強く抱きつく彼女の頭を優しく撫でる。
「ようやくだね」
「うん!二人だけの生活!」
「まずは管理人さんに挨拶をしないとね。ほらっ、行くよ?」
「はーい!」
元気な返事とは裏腹にひまりちゃんはその場から動かず抱きつく力も弱まることもない。
「……………あんまりくっついてると歩けないよ?」
「だって離れたくないんだもーん」
頬をすりすりと擦るひまりちゃん。
「じゃあこのまま管理人さんと挨拶しないとだね。この状態だと話せないだろうから、ひまりちゃんの紹介も代わりにボクがやるよ。えーっと、確かあそこに…………」
「ごめんなさい。調子に乗りました」
すぐさま離れるひまりちゃん。
「はははっ。別に嫌じゃないんだけどね」
「流石に人に見られるのは恥ずかしいよ…………」
「家に着いたらいくらでもできるから。ほらっ、いくよ」
「はーい!」
手を繋ぎ、二人並んでマンションへと入る。
***
管理人さんから鍵を受け取り、部屋に入るとボク達が事前に郵送していた段ボールに詰めた荷物が届いていた。
その段ボールたちを掻い潜り、足をすすめると広々としたリビングへと着く。
「綺麗〜〜!!」
「ほんとだね!」
太陽の光が差し込むフローリングの床や真っ白な壁紙は傷ひとつなく、六畳ほどある和室もどこか実家を思わせる作りとなっていた。
ベランダからは街の景色が一望する事もでき、大学からも近い。
地上10階建ての10階にある4LDKのこの部屋に文句の一つも出てこない。
「実際借りようと思ったらいくらするんだろうね…………」
「葵くんと蘭のお父さんに感謝しないとだね…………」
気持ちは素直にありがたいが申し訳なさが勝つ。
「とりあえず、荷物を整理しようか」
「うんっ!」
ボクたちは段ボールを次々と開封し、服や小物などを各々の部屋へ置く。
郵送した段ボールの比率は8対2。
もちろんひまりちゃんの方が多い。
僕の部屋にはあまり物はなかったし、持ってきた荷物のほとんどは洋服だ。
それらの服をしまう、実家で重宝していた鏡付きの大きいクローゼットももちろん持ってきた。
あっという間に片付けが終わり、ひまりちゃんの方を手伝おうと部屋へと向かうがその姿はない。
リビングへ行くと、椅子に腰掛け頬杖をつきながら何かを見てる彼女の姿が目に映った。
「何をみてるの?」
ひょこってひまりちゃんの肩から顔を出す。
「あっ!べ、別にサボってたわけじゃないよ!?」
驚いた表情を浮かべブンブンと手を振り否定する。
もちろん僕はそんなことを疑っちゃいない。
「それって……………高校の卒業アルバム?」
「うん。家から待ってきたの」
夏空の下、その暑さにも負けない笑顔を見せる6人組。
Afterglowの面々がその写真に写されていた。
「懐かしいね」
「もう何年も前の話なんだねぇ…………」
二人で感慨深い思いに浸る。
体育祭に文化祭、林間学校────ううん、それだけじゃない。
何気ない日だってボクたちは同じ時間を共有した。
アルバムに綴じられた写真だけじゃない。
数々の思い出はボクの脳にしっかりと刻み込まれているんだ。
「大学はどう?楽しめてる?」
「うん!もちろん!葵くんは?」
「ボクも同じだよ。高校の時とは違って男友達もたくさんできたしね」
「よかったね!」
「うん♪」
ひまりちゃんはアルバムを閉じ、立ち上がるとぐっと伸びをする。
「ねぇ、葵くん」
「なに?」
「大学に入学してから─────何人の女の子に告白されたの?」
ひまりちゃんからの唐突な質問。
特に隠す理由もないので正直に答える。
「えっと、20人ぐらい…………かな?入学したての時は多かったけどそれからはめっきり減ったけど……………」
「知ってる?葵くんを狙ってる女の子って大勢いるんだよ」
「へ、へぇ」
「知ってる?わたしたちが別れるのを心待ちにしてる女子がいることを……………ふふふふ」
「あの、ひまりちゃん?」
「………………もう!!」
ひまりちゃんは突如ボクの懐に飛び込む。
「葵くんは、わたしだけの葵くんなんだからね!!」
ボクの体に顔を埋めてぎゅっと抱きしめる。
朝会った時の続き、といったところかな。
そんな彼女の頭をよしよしと撫でる。
「ひまりちゃんも、ボクだけのひまりちゃんだからね。他の男の人に目移りしたらダメだよ?」
「うん!!!」
顔をあげ、白い歯を見せ満面の笑みで答えるひまりちゃん。
「休憩したし、そろそろ片付けを再開しよっか」
「わたし、まだ全然終わってない…………」
「ボクはもう終わったから手伝うよ。何からすればいい?」
「大好きっ♡!」
それからしばらくひまりちゃんがボクから離れることもなく、片付けは予想以上に長引いた。
***
同棲して始めての夜。
引っ越しの片付けも、夜ご飯も、お風呂も済ませて今、わたし、上原 ひまりはダブルベットの上に正座していた。
「…………………………」
この姿勢を続けて10分。
足が少し痺れてきたけれど、今のわたしの心理状況はそれを認識できるほど冷静ではなかった。
(これって…………"結婚初夜" ならぬ、"同棲初夜" っていうやつでは……………?)
緊張で太ももに置く両手に力が入る。
わたしがこれほど落ち着きがない理由。
それは、これから葵くんとするであろう
わたしたちは成人になり体つきも大人になった。
みんなにいじられてばかりのわたしだけど、人並みに知識はあるし、興味だってある。
男の子の葵くんはわたし以上の欲望を抱えているだろう。
言っておくが、わたしは処女だ。
どんなことをすればいいかとか、どうすれば喜んでもらえるか、全く分からない。
エッチな動画だとなんの参考にもならないってネットに書かれていたし、わたしにはどうすることもできない。
練習相手を探すなんてできるわけないから話だけは聞いて、頭でっかちのまま今日を迎えた。
ドキドキしすぎて体中が熱い。
「一体どうすればいいの〜〜!!」
思わず頭を抱える。
Afterglowのメンバーに相談しようとも考えたが、何せデリケートな問題だ。
実の姉である蘭は絶対無理だし、モカは間違いなく揶揄ってくるし、つぐはそもそもその知識があるのか疑問だ。
消去法にはなるけど、こんなこと話せるのは一人しかいない。
姿勢を維持しながやその人物に電話をかける。
『もしもーし』
「あっ、もしもし?巴?」
『久しぶりだなー。元気してたか?』
相変わらずの元気ボイスで巴は電話に出てくれた。
「うん。あのね、ちょっと相談があって…………」
『なんだなんだ。急に改まって』
「実は──────」
わたしは幼馴染に全てを話した。
これからしようとしてること、考え、気持ち。
消去法なんていったけど真剣に悩んでいる時はいつだって巴に話していた。
こうなるのも必然だったのかな。
「──────ということなんだけど」
『んー、こればっかりはアタシにはどうすることもできないからなぁ』
「そうだよねぇ…………」
『………………ハハハッ』
「急に笑い出して、なに!?」
『いやぁ、ひまりも大人になったなぁと思ってさ!』
「当たり前でしょ!」
『ちっちゃい時から一緒にいた幼馴染たちがそんなことするなんて夢にも思わなかったからなぁ。なんだか新鮮な感覚だよ』
「巴だって恋人ができたらそうなるんだよ?」
『アタシはいいよ。二人を見てるだけで十分満足だしな!』
「そんなこと言ってると、あっという間におばさんになっちゃうよ〜?もしかしたら、あこちゃんが先に結婚しちゃうかも?」
悪戯にそういうも、巴は全く動じない。
『アッハハ!ないない!あこに限ってそんなことあるわけないだろ?』
「実はもう既に…………」
『ハハハッ…………………いやぁ、ないない。絶対ないな』
「巴?」
『……………なんか、ビール飲みたくなってきた』
「なんで!?」
『なんとなくだよ!』
わたし自身、お酒はかなり弱い。
20歳になって少し飲んだことはあるけど、3%の酎ハイでも酔ってしまう。
巴はAfterglowの中では1番の酒豪で、毎日のようにお酒を飲んでいるから将来が非常に心配だ。
ちなみに葵くんはわたし以上に弱く、外でも基本はソフトドリンクしか飲まない。
「お酒はほどほどにね〜?」
『おー。まあ、よかったらまた話聞かせてくれよ。じゃあなっ!』
電話を切り、わたしは携帯の電源をオフにする。
微かに聞こえていたシャワーの音は消え、お風呂の扉が開く音が聞こえた。
葵くんが寝室「ここ」へ来るまであと少し。
落ち着かせるようにふぅーっと息を吐き、胸に手を当てる。
ドクンッ、ドクンッと継続的に鳴り、未だ緊張したままだ。
しばらくすると、葵くんはバスタオルを首にかけ寝室へと入ってきた。
「……………あれ?なんで正座してるの?」
わたしの姿を見て首を傾げる。
「い、いや!なんでもない!!」
「ふーーん」
適当に誤魔化してみせるけど、葵くんはそれを見逃さない。
「……………えいっ!」
葵くんはゆっくりとわたしに近づき、数十分同じ姿勢でいたせいで痺れていた足をツンと突き、その感覚が全身へと駆け巡る。
「ひゃああああっ!!」
完全に力が抜け、ダブルベットへと仰向けで倒れ込む。
その様子を見て葵くんはケラケラと笑って見せた。
「あははっ!も〜、何やってるの?」
葵くんは首にかけていたバスタオルをベッドの近くにあるミニテーブルに置き、ベッドの上に腰を下ろし足を伸ばす。
「もしかして、ずっと正座して待ってたの?」
「う、うん」
「なんで?」
「あのぉ、そのぉ………………」
言葉に詰まるわたしの顔を上から葵くんはまじまじと見る。
恥ずかしさのあまり、思わず顔を枕で隠す。
「なになに?分かんないよ」
「…………わたしたちって付き合い始めてから随分経ったよね?」
「うん」
「わたしたちってもう大人だよね?」
「うん」
「ねぇ、葵くん─────」
わたしは腕を大きく広げる。
考えを察してくれた葵くんは、わたしの頬に手をそっと添え唇を重ねる。
広げた腕を葵くんの背中へと回し、ガッチリと掴む。
もう、しばらくは離さない。
長い口づけの後、二人して顔を見合いクスッと笑う。
「本当に、ひまりちゃんも慣れたよね」
「数えきれないくらいしてきたからね〜」
そう、これはもう幾度となく経験してきた行為。
彼はわたしの横に寝転がった。
「葵くんは、わたしと付き合えて幸せ?」
彼の手を恋人繋ぎで握りそう問う。
「もちろんだよ。これ以上にないほど、ボクはひまりちゃんと一緒にいれて幸せだよ」
葵くんらしい、優しい言い方だ。
嘘偽りないことをわたしは知っている。
「うふふっ、嬉しい」
そういい、わたしは笑ってみせる。
その様子を見るや、葵くんは握っていた手に力がこもる。
「ひまりちゃんは…………どうかな?」
「もちろん、幸せに決まってる!」
「そっか、よかった」
自然と、葵くんにも笑みが溢れる。
そんな彼にここぞとばかりにあることを問う。
「葵くんはさ、わたしと……………
「えっ?」
「だーかーらーっ!したくないの!?」
「一体何を!?」
本気でわからなそうにする葵くん。
彼は純粋だからつぐみ同様そういった話題にも疎い。
仕方ないな、と濁してきた言葉をありのまま伝える。
「エッチだよ!エッチ!!」
「エッ!?!?」
「もう、女の子にこんなこと言わせないでよね〜」
「ご、ごめん…………」
「葵くんはわたしとエッチしたいなーって思ったことないの?」
「それは、そのぉ………………」
葵くんは視線を逸らし、言葉を詰まらす。
そんな彼への質問にわたし自身答えてみせた。
「わたしはあるけどなあ」
「あるの!?」
「そりゃあもちろん。葵くんは?」
「そ、それはボクだって!」
「あるんだ」
「う、うん」
「どんなことしたの?」
「言わせる気なの…………?」
「わたしも話すからさ♪」
「えぇ〜…………」
恥ずかしそうに顔を真っ赤にする彼。
一体彼の頭の中でわたしはどんな辱めを受けたのか、とても気になる。
「まあ、ごく一般的なことをだよ」
「そんなこと言って、エッチなビデオみたいに乱暴したりしてたんじゃないの?」
「そそ、そんなことするわけない!」
「ふふっ♪でも、葵くんがそういうことも考えてくれてて嬉しい」
「……………こんなこと言ったら怒るかもだけど、ひまりちゃんはスタイルいいからそういう目で見てしまうのも無理ない、と思う」
「へぇ〜?例えば、
揶揄うように笑みを浮かべながら指差す。
「……………………ああもう!!」
突如葵くんは手を解き、わたしに四つん這いになって覆いかぶさった。
「ひまりちゃん、ボクだって男なんだよ?」
顔を真っ赤にしながらわたしの顔をじっと見る。
「知ってるよ」
「今にだって、もう爆発しそうなんだよ」
「─────我慢しないで」
そんな彼の頬をそっと撫でてこう伝えた。
「ねぇ─────葵くんの好きにして」
わたしは葵くんに身を委ね、身体を重ねた。
………………………
…………
目覚めると既に外は朝を迎えていた。
カーテンから僅かに差し込んだ光がわたしの顔を照らす。
目を擦りながら体を起こすと、服や下着は全く身につけておらず完全な裸のまま。
眠気はあるが、昨日したことの記憶ははっきりと残っている。
「本当に、したんだよねぇ」
お腹をさすり実感する。
パッと横を見ると、最愛の彼は可愛い寝顔を浮かべながらぐっすりと夢を見ていた。
昨晩とは違い、今度はわたしが上になって身体を合わせる。
心臓に耳を当てると鼓動がドクンッ、ドクンと鳴り血が全身を駆け巡る。
彼の顔を見ると目をほんの少し開き、こちらを見ていた。
「あっ、起こしちゃった?」
「ううん。今起きたとこだよ」
おはようの代わりに彼はわたしの頭を撫でる。
「何してたの?」
「葵くんの体を触ってた」
「ははっ、昨日散々見て触ったでしょ?」
「付き合い始めて今まで我慢してきた分、まだまだ足りないんです〜」
「その気持ちは嬉しいんだけど、あんまり触られると…………」
彼は頬を掻き、視線を逸らす。
体を少しずらすとその言葉の表れとも取れる現象が起き、今にもわたしを襲ってきそうな勢いだった。
「もう、エッチ」
「ごめんね」
「いいよ。わたしはいつでもウェルカムだから!」
嬉しそうにそう言い、葵くんに抱きついた。
同棲を始めて2日目。
まだ2日目ではあるが、以前よりはるかに二人の関係は良くなったと感じる。
互いに初めての相手。
これからも彼のそばに寄り添っていきたいと、強く願う。
葵の意気地なし!!
ひまりを困らせてんじゃねぇ!!(マジ怒り)
我ながらこんな純粋無垢な男児はこの世にいないと信じてる。
末長く幸せになってもらいたいものですね…………。
次回は葵と蘭のIFストーリーとなります。
ご期待ください。