友達が少ない俺、TSツインテールでこの素晴らしい男女逆転異世界の魔法少女戦隊になるそうですがこの中に一人、男の娘がいる!のと敵の女幹部が弟だけど中二病でも愛さえあれば青春ラブコメには関係ないのは   作:サッドライプ

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 フレアカノン(沖田シン)…主役系魔法少女。貧乳ロリ。男の姿でも当然貧乳。

 湊悠花…どことなく貧乏くさいオーラを放つおまわりさん。合法ロリ巨乳。調書どころか連絡先も取れずに被害者を帰してしまったので始末書不可避。

 性犯罪者のおねえさん…再登場はしない。が、同類は腐るほど登場する。



その名はフレアカノン②

 

 晴天の下、公園に植えられた緑の深い広葉樹をずぶ濡れにする雨が一瞬だけ降り注ぐ。

 

 噴水よりも高く噴き上がった大量の水は、水飛沫なんて言葉では表現として似つかわしくないほどの勢いで乱舞した。

 その下を潜るように、蒼の少女が疾走する。

 

「ワカツナミ―――“斬”ッ!!」

 

 水色の長髪が清涼な風の中で躍り、金属光沢を持つコバルトブルーの生地を彩るように波打つフリルの白が翻る。

 過多気味の白い布飾りですら誤魔化せない起伏に富んだ肢体を誇る長身の美少女は、たおやかな美貌を険しく張りつめさせながら、凛とした声と共に腕を振り切る。

 

 そのほっそりとした手の軌跡をなぞるようにたなびく、淡く煌く薄い羽衣から水流が集まり虚空に生まれるのは、少女の背丈よりもなお巨大な三日月型のギロチン刃。

 水の刃といえば音速の水流で物を切断するウォーターカッターという代物があるが、これは分子結合を“浸蝕”し裂断するというベクトルを異にする原理。

 距離を取れば空気抵抗で霧散し水鉄砲未満にしかならないウォーターカッターと異なり、威力を保持したままの透明な刃を少女は弧を描かせて飛ばす。

 

 CGでも再現困難な、水を自在に操る幻想的な光景を生み出しているのは、元々この世界で活躍していた魔法少女、逆装転女【トランスエクシアル】アクアクロスだ。

 およそ二か月前、悪の侵略に苦しむ人々を救うべく颯爽と現れた彼女は、活躍と呼ぶには十分な戦果をこれまで稼いできていた。

 

 

 だが、それだけに敵の憎しみと対応手段を分析される時をも稼いでしまったのも事実。

 

 

「ゲロゲロゲロゲロッ、効かないゲロッ!!」

 

 嘲笑なのか得意げなのか、それともただの癖なのか分からないステレオタイプな蛙の鳴き真似をしながら、いやらしい声がアクアクロスに放たれる。

 その声の主は、ずんぐりした胴体と短い手足のシルエット、毒々しい緑のぬめる体表と飛び出した眼球のようなセンサーアイ、蛙を模した奇形の人型だった。

 あらゆる物質を切り裂く筈の刃は、ガニ股で直立するその怪人にぶつかり、ばしゃりとただの水塊となって崩れる音を立てるのみとなる。

 

「く……!」

 

「何度やっても同じゲロッ!オマエの技はこのバイオノイド=ゲロッグの脂スキンの前に全て弾かれるのだゲロッ!!」

 

 もはや公園の土全てを泥だまりに変えるほどに荒れ狂った水の跡は、それだけアクアクロスが技を放ちそしてそれが無意味に終わったことを示す光景で。

 彼女が操るのはただの水ではなく、水の形質を持った魔法であればこそ、変幻自在の多彩な攻撃が繰り出せるのが彼女の強みだった。

 だが空気中の水分が飽和して霧がかり始めた一帯を背景に佇む敵の怪人は、その水魔法を無効化することに特化した防護膜で体表を覆っているため、一切の攻撃が通じない。

 

 そして、片手の指では足らない数、それも先のような斬断魔法を始めとする消費の大きな様々の魔法を放った代償は、確実にアクアクロスに襲い掛かってきていた。

 

「はぁっ、はぁっ………!」

 

「息が上がってるゲロ?」

 

「っ、うるさい……っ」

 

 息が上がっている、なんてものではない。

 倦怠感や疲労はもちろんのことだが、まるで“世界から自分の存在がズレている”かのような喪失感と違和感が全身の感覚を包んでいる。

 もともと彼女が行っているのは字義通りの“変身”であり、現在アクアクロスとして姿を保っているのも魔法を操るのも同質のチカラを消耗させているのだ。

 故に、確かな限界の存在するそのチカラが少なくなれば当然身体に変調を来すし、使い切れば“彼女”は魔法少女でいられなくなる。

 

 そうなった場合の末路が頭に過り、ふるふると首を震わせた。

 

 怪人の背後、薄緑色に濁った半透明の球体の中に人型のシルエットが浮かんでいる。

 倒れ伏す警官の女性たちを、そして今魔法少女であるアクアクロスを排除しながら、その球体を守っている敵の目的を知っていても、それでも問わずにはいられない。

 

「……その人を、どうするつもりだっ!」

 

 あの球体の中には、異世界の蛙怪人ゲロッグが拉致した一般市民がいる。

 粘液らしき白く濁った液体でどろどろになった、半ば破けたパンツしか身にまとうことを許されていない―――――、

 

 

 

「ゲーロゲロゲロゲロ、知れたことゲロ。

 オスブタ調教して孕ませ肉蛇口にするゲロ!!」

 

「なんてことを…!」

 

「そんな、いやあああああっっ!!?助けてえっ!!」

 

――――角刈り日焼けマッチョな二十歳くらいのか弱い男性が、太い眉をハの字にして腕で自分の胸と股間を隠しながら、怪人の衝撃的な宣言にあられもない悲鳴を上げる。

 

 

 

 白濁粘液でてろてろとその肌をてからせながら球体の中でもがく男性。

 アクアクロスの強化された視力は膜越しでも男の瞳に涙が溜まっているのが見えてしまった。

 

「くっ!―――あぁっ!!?」

 

「おっと。そろそろ遊びは終わりにするゲロ?」

 

 助けなければ、と思うのに。

 許せない、と思うのに。

 

 ゲロッグは舌に当たる部分から赤い鞭を取り出し、へばるアクアクロスを打ち据える。

 熱さとも取れる強烈な痛みが襲い、たまらず苦悶の悲鳴を上げた。

 

「きゃあああっ!?」

 

「ッ、うるさいゲロ、男みたいな悲鳴上げてるんじゃない!!このっ、このっ!」

 

 びゅんびゅんと鞭が唸り、空気を裂く不吉な響きに強張った躰を遠慮なくしばかれる。

 

「~~、くぅっ!?」

 

 鞭といっても、怪人のそれは防弾ガラスすらたやすく突破する威力を秘めている凶器だ。

 それを直撃させられて、護りとなっていた雅やかながらも愛らしさのあった青の装束が肩口から破けて、アクアクロスの豊満な乳房が半ば露出する。

 痛みを庇うよりも寧ろ羞恥心から、咄嗟に自分の体を抱き締めるように露出した柔肌を隠した彼女に、怪人はいよいよ苛立った風に喚き、攻めた。

 

「ゲロゲッ、まったく女の胸チラとか誰得ゲロ!鞭で叩かれる女って時点で生理的にアウトだってのに………!?」

 

「ひぁ……っ!」

 

「うわこいつ泣きやがったゲロ!?」

 

 単純に、そして純粋に激痛―――さらには好き勝手な事を好き放題に言われてしまっている羞恥心と屈辱、無力感、そして恐怖。

 果敢ではあっても突き抜けるほどの気丈さを持たないアクアクロスは、その深い蒼色の眼から透明な涙を溢れさせていた。

 

 だが、この世界で男ならいざ知らず、戦場に立つ女が泣いて這いつくばっているなど嘲笑の的以外の何物でもない。

 

「かぁっ、つくづく男みたいで情けない奴ゲロ。こんな奴に今まで我々の活動が邪魔されてきたかと思うとこっちが泣きたいくらいだゲロ。

 ゲロゲロゲロ………女の癖に、ホントみっともないったらねーゲロ」

 

「ぁぅ、あ……っく」

 

 必死で涙を拭って怪人を睨みつけようとするアクアクロスだったが、一度失った覇気はうまく戻ってきてくれなかった。

 体に震えが走って立ち上がることも出来ず、態勢を崩して何度も手をついて敵を見上げ続けることになる。

 

 ゲロゲロゲロゲロ―――。

 

 耳障りな蛙の嘲笑。

 ひとしきり嗤って………そしてすぐに飽きたのか、唐突なその嘲笑の終わりと共に、アクアクロスの顔目掛けて赤い鞭が振るわれた。

 

 

「それじゃあアクアクロス―――死ね」

 

 

 一秒も必要とせずに自分の顔面を潰すであろう音速の凶器がやけにゆっくり見えた。

 スローモーションの感覚が魔法少女として強化された身体能力の賜物ではなく、俗にいう走馬燈と呼ばれるものだと瞬時に理解できてしまった。

 そんな彼女に思考できたのは、たかが三文字で。

 

(いやだ―――)

 

 死ぬのが、敗けるのが、救えないのが、何もできないのが。

 終わるのが、いやだと。

 

 そんな少女は、確かに見ていた。

 己の眼球目掛けて疾走する鞭を掴んで止め、握りつぶした掌の中でそれを焼き払う紅蓮の炎を。

 

 義憤に燃える、烈火のような少女の背中を。

 

 

「人の涙が、そんなに面白いかよ」

 

 

 黒焦げになって崩れた鞭の先端を空にぱらぱらと散らしながら、熱風に髪と服を揺らす少女は可憐ながら怒りに満ちた問いを投げる。

 

「人を泣かせるのが、そんなに愉しいかよ!?」

 

「っ、お前は何者ゲロ!?」

 

 化け物から問いに問いを返された炎の“魔法少女”は、決然と名乗りを上げた。

 何故、と言うなら律儀だからでも美意識だからでもないだろう。

 敢えて言うなら。

 

 

「紅蓮の銃士、フレアカノン!!」

 

 

 彼女がヒーローだから。

 

「この子の仲間だ!」

 

「!ボクの、仲間……?」

 

 知らない誰かを助ける為に現れて。

 

「正直期待とだいぶ違うけど、魔法少女だってヒーローだ。

 だからお前を、ぶちのめす!!」

 

「新たなトランスエクシアルだと!?」

 

 理不尽な悪の前に立ちはだかる。

 

 

「ラビ・シューター!」

 

 

 胸の前で組んだ腕と、右手に握った宝玉【TSEライザー】。

 それが光条となったかと思うと、閉じた傘の骨組みのような形で六本の鋼が覆う台座を編み、宝玉が移動して錫杖となり、腕の動きと共にくるりと一回転する。

 

 それを肩に担いだフレアカノンに、やや斜め後ろに控えた“彼”が指示を出す。

 アクアクロスはそれを見て、ああ、彼女―――否、彼は確かに自分の仲間なのだとまだぼんやりした意識で確信した。

 

『よしフレア、その魔法の杖で―――』

 

「分かってる!………ぶん殴ればいいんだろ?」

 

『そう、ぶん殴る、……え??』

 

「ゲロ!?」

 

 赤い少女が地面を蹴った。

 ぬかるんだ足場とは思えない俊足で間合いを詰める速度のままに、怪人の脳天目掛けて魔導杖を鈍器として振り下ろす。

 

 銃士と名乗っておきながら、シューターと武器の種別を宣言しておきながら、間違いなく駆け引きの意図などない真っ直ぐさで繰り出された一撃がフェイントとして機能したのか無防備にその直撃を受けた蛙怪人が悲鳴を上げた。

 インパクトの瞬間に接触面で宝玉が輝き、おびただしい熱量の爆発が打撃に上乗せされる。

 

「痛っ、熱っ、ちょっ、飛び道具じゃふべっ、騙したゲ、ロっ!?」

 

「は?人聞きの悪いこと言ってんじゃねえ、ヒーローの銃はぶん殴りながらゼロ距離で撃つもんだろうが!!」

 

 何度も宙に弧を描いて爆熱を叩き込まれる度につっかえながらも怪人が発した混乱の叫びに、おかしな理屈ながらその迫真さに謎の説得力が生まれているこだわりで叫び返すフレアカノン。

 

「ゲロぉ……」

 

「せっ、はあッ!!」

 

 脂スキンというだけあって幾十も爆炎のラッシュで打ちのめされた蛙怪人の至る所の表皮が炎上していた。

 そして激しい連撃の前によろめく自分の倍の体積はあるであろう怪人を、腰を落として溜めを作った横のフルスイングと一際派手な爆炎で吹き飛ばす少女は、宝玉をカバーする鋼のパーツにそれぞれ赤熱するほどのチカラを込めながら、不敵に微笑む。

 

「初陣だからな。必殺技で、一気に決めさせてもらうぜ!!」

 

 錫杖の先端に集う、六条の圧縮され滞留した爆炎が周囲を陽炎の空間へと変える。

 己の姿を揺らめかせる蜃気楼の中、その姿を消失させるフレアカノン。

 

「六・連・爆・鎖――――」

 

「ゲロ……ッ!?」

 

 錯覚。

 

 爆発を開放しながら、その反作用で一瞬で相手の懐に潜り込んだ魔法少女は、既にその爆炎杖を振り抜く体勢に入っている。

 

 

「―――ヒート…リヴォルバーッッ!!!」

 

 

 鼓膜を通り抜け、腹と心臓まで震わせるような轟音が都合六発。

 至近距離で連弾となって刹那の内にぶち込まれたエネルギーが、灼熱の球体となって醜悪な蛙怪人を焦がしつくす。

 

 敵を葬る炎熱で白い肌と赤い装束や髪を照らされながら、不敵に可憐に微笑む少女が、くるくると錫杖を回して肩に乗せた。

 未だ活動を停止したのを確認していない敵に背を向けて見栄を決めるのは、己の“必殺”技に確信を持っているから。

 愚かしくも―――少なくともアクアクロスは、そこに美しさを感じ取っていた。

 

「本当に、あの人が……」

 

『期待以上だね、フレアカノン』

 

 

「へへっ、見たか。

 ヒーローは居るんだ、今、ここに!」

 

 

 アクアクロスとクリオネもどきに腕を掲げて戦闘終了の締めの台詞を叫ぶ、そのフレアカノンの背後で火花を散らしながら蛙怪人が崩れ落ちる。

 全身が炭化した無残な姿で、絞り出すように最後の願いを言いながら。

 

 

「ゲロ……せめて………たった一握りでいい……おちん…ち………っ、――――――」

 

「マジで滅びろよ、おい」

 

 

 どこか眩しそうに赤の魔法少女を見上げていた青の魔法少女が、すっと能面のような冷たい表情でその最後の願いに苛立ちを吐いて立ち上がった。

 

「うお、大丈夫かあの人!?」

 

 と同時に怪人の停止と同時に球体の表面が破裂し、白濁した粘液でべとべととその妖艶な全裸を汚されたマッチョの角刈り男が気絶した状態で地面に落ちる。

 慌てて駆け寄ろうとしたフレアカノンの腕を、アクアクロスが掴んで逆方向に引っ張りながら駆け出した。

 

「キミはこっち!あの人は警察とかに任せた方がいい」

 

「え、でも……」

 

「初陣でろくにキャパも分かってないんだろう?

 “キミがボクと同じなら”、万一でも変身解除して正体がばれるなんてあっちゃいけない!」

 

 フレアカノンの戦闘中になんとか回復したのか、容易く住宅街の屋根から屋根を数軒飛ばしで跳躍しながら移動する青の少女に、赤の少女も反射的に追随する。

 ビルの高さほどの上から見下ろすアクアクロスは、家主が不在のままなのか荒れた一軒家の庭先に目標を定めるとそこに降り立った。

 

 遅れて着地したフレアカノンとふわふわと漂ってくる(移動速度を考えればかなりの高速で浮遊していたことになるが)クリオネもどきの気配しかいないのを確認すると、変身を解いた。

 淡いシアンの光に包まれた少女はその装いをラフなパーカーとジーンズに変え、青のセルフレームのメガネを掛けた“少年”の顔が姿を現す。

 

「えっと………つまり、あんたも?」

 

 流石に目の前で他人の姿が性別ごと変貌する光景はまだ新鮮なのか、自身もまた同じ光景を描くフレアカノン―――否、朱の燐光を散らしながら沖田シンに戻って目をぱちくりさせた。

 それをおかしそうに笑って、メガネの少年は口を開いた。

 

「まずは助けてくれてありがとう。

 ボクは岬衣玖鎖(みさき・いくさ)。逆装転女【トランスエクシアル】アクアクロス、キミの先輩ってことになる」

 

 彼は後に振り返る。

 この異世界から来た少年との出会いが、侵略者との本当の闘いの始まりだったと―――。

 

 

 

――――。

 

 暗黒の闇の中、妖しい光が脈動するようにパイプを伝う。

 緑がかった黄色の得もいえぬ不安感を掻き立てるその流れは、一つの窯に繋がっていた。

 骨焼き場のそれを連想させる不吉さはある意味真実であり―――その蓋が開くと共に、一人の女性がそこから転げ落ちた。

 

「――があぁっっ!!?」

 

 ぜえぜえと明らかに異常な呼吸音を立てながら、ぼさぼさの髪を振り乱して苦痛に喘ぐ。

 その様を冷たく見下ろしながら、その近くの地面でハイヒールの靴音を高く鳴らす影が一人。

 

 

「――――失態だな、ゲロッグ」

 

「い゛、委員長閣下……!」

 

 

 その女性は、襟を立てた黒のマントを羽織り、時折ちらちら見え隠れする爆乳を覆い隠すように腕組みをして敗北者の価値を値踏みしている。

 無機質な銀の仮面に隠されていても、その視線の冷たさは雰囲気だけで十分に彼女を震え上がらせた。

 

 ゲロッグ、というコードネームで呼ばれた女性。

 彼女はそう、先だってフレアカノンに撃破されたあの怪人を操っていた“委員会”の尖兵の一人。

 だが使命を果たせぬ役立たずの末路など、取るに足らぬ些事でしかない。

 それを理解しているゲロッグは苦悶を必死に抑えながら地を這いずりつつも必死に懇願する。

 

「もう一度、もう一度チャンスを……っ!あの新顔に邪魔こそされましたが、アクアクロスめを抹殺するところまで行けたのです。今度は、今度は……!!」

 

「―――今度、だと?」

 

「は、……っ!!」

 

 その悪あがきは、しかし迂闊にも絶対の上役の神経を逆なでするのみである。

 

「無能、極まれり。蛙女になって脳細胞が劣化しているのか?

――――まさか私の前でかの忌まわしき避妊器具を連想させる言葉を吐くとはなッッ!!この者を連行せよ、行先は当然、廃棄地区だ!!」

 

「い、いやだ、嫌……っ」

 

 廃棄地区、姥捨て街、呼び名は数あれどそこにある真実は一つしかない。

 全ての希望を無くした女達の掃き溜め、幸福を掴んだ者たちの地キジョ=バンとの対極。

 

「モジョ=バンだけは、行きたくないぃぃーーー!!!」

 

 銀の仮面を付けた女達に引っ立てられて遠ざかる敗北者の聞くに堪えない悲鳴は、しかし委員長と呼ばれた女にはすでに意識の外であった。

 

「聞け、皆の者ッ!!」

 

 暗闇に叫ぶ委員長の鋭い喝破に、しかしそこに潜んでいた者たちは揃えて沸き立つ。

 蠢いているのは女、女、女――――そこに男は一人もいない。

 

 

「―――今宵我らは男に餓えている」

 

 

 この場にいる者達だけではない。

 シンの居た世界でもない、衣玖鎖の居る世界でもない、この暗黒が広がる積層世界には、ごく一部を除いて男を知らずそして男を渇望する女しかいない。

 だからこそ、他世界から奪ってでも幸せを貪りに行く者達なのだ。

 

「この日、新たにフレアカノンなる小娘が我らが障害として名乗りを上げた。

 さて、これは凶事であるか?」

 

 数百の“委員”をして是、と言わせぬ威圧を放つ委員長。

 

「否である。ヴァージンロードとは邪魔者と競争相手の血で深紅に染めた絨毯に他ならない。ならば障害が増えたところで染料の不足を心配せずに済むことを喜ぶだけのこと」

 

 真理である、少なくとも彼女達の世界においては。

 

「失敗の確率が上がった?困難になった?そんな思考は惰弱、負け犬の発想だ。

 敗北の苦渋を舐める者の手に結婚指輪は輝かない!小賢しい算段など捨てよ、獣となれ!!恋愛結婚などという寝言を肯定するあのぬるま湯の世界から、全ての男を奪い尽くしてくれるッ!!」

 

 ざわりと。

 熱を増す演説に観衆は煽られ、体は震え、切望する結婚生活を妄想し、下着は濡れる。

 そしてその火に、何の躊躇いも無く――――委員長は油をぶっかけた。

 

 

「その気概を持つ者に、我ら委員会は必ずやチャンスを与えよう」

 

 

 一瞬の静寂。そして、歓声。

 熱狂は渦巻いてうねり、女達を絶頂に導き、弾ける。

 宗教にも似た信仰、だがあまりに似て非なるどす黒い欲望に裏打ちされた群集心理が、それを弄んで魅せる女傑に集中する。

 

 仮面の下でほくそ笑む委員長に捧げるように、いつしか混沌としていた喝采が波打つように纏まり始めた。

 たった三文字の喝采。

 それはこの委員会という集団を讃える合言葉であると同時に、その活動を言い表す略称でもある。

 

 ユーケーシー。

 ユー、ケー、シー。

 

 U、K、C。

 

 Ultimate KONKATSU Committee.

 

 その名は―――アルティメット婚活委員会。

 

 やがて運命に導かれた逆装転女達と死闘を繰り広げる侵略者(アブダクター)達の、未だ序幕の光景。

 熱気に湧く群集の上方、空間に溶けては現れるようにぼやけた影が一瞬だけ姿を現す。

 

『チチ……さすがはあいつだ。面白いことになってきた…チチチ』

 

 三枚の翼を持つ奇形の鳥のシルエットを、暗闇に重ね合わせて。

 

 

 





 アクエリオンEVOLとSTARDRIVERを男女逆転させてプリキュアっぽくするとこんな感じになるんだっけ(スパロボ知識)

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