友達が少ない俺、TSツインテールでこの素晴らしい男女逆転異世界の魔法少女戦隊になるそうですがこの中に一人、男の娘がいる!のと敵の女幹部が弟だけど中二病でも愛さえあれば青春ラブコメには関係ないのは   作:サッドライプ

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 日曜朝八時半放送!逆装転女トランスエクシアル!

 苦情じゃ済まないよなぁ………。



始動、魔法少女戦隊①

 

 青の魔法少女、アクアクロスこと岬衣玖鎖。

 

 家が喫茶店を営んでいるという彼が、助けてくれた礼にコーヒーでも奢りがてらゆっくり話がしたいと言うので、その案内に従ってシンは異世界の住宅街を駅の方向に進んでいた。

 道中物珍しげ―――というほど感慨深くもなさそうだがきょろきょろと辺りを見回しながら歩いていたが、ふと中空を浮かぶ“彼”にその感想を投げかける。

 

「異世界っていっても、俺の居たところと大して違わないんだな」

 

『キミを連れて来たのはそう座標の離れていない同平面の積層世界だからね。

 違うところなんてせいぜいひとつやふたつ程度じゃないのかな』

 

「ふーん」

 

 そのひとつやふたつとやらが、男女の貞操観念がまるきり逆転した上にさらに極端な踏み外し方をしているという特大級の地雷案件だと気づきもしていないシンは、“彼”の解説に対して気のない返事を挙げるだけだった。

 強いて目に見える違いはと言えば、どの家も女性物の下着をベランダや庭先に無防備に干しているところくらいだろうが、そんな下着泥棒のような着眼点は持ち合わせていなかったようだ。

 

 そんなシンに、先導していた衣玖鎖が軽く振り返って感慨深げに言う。

 

「異世界って言ったら、今まであの変態怪人どもやそこの変態生物の相手ばっかりだったからさ。

 普通の子もいるんだなって思うと、ちょっと安心したよボクは」

 

 メガネ越しでもはっきりわかる遠い目は、何故かクリオネもどきに向けられていた。

 

「このクリオネがどうかしたのか?」

 

「どうかしたっていうか、どうかしてるっていうか……」

 

 

『あれ、シン、僕は君に名乗ったかな?ただちょっと発音がおかしい。

 末尾はネ、じゃなくてナ、だよ。つまりクリオn――――ぁ』

 

「白昼の住宅街で妙な単語を持ち出すな卑猥生物ーーーッッ!!」

 

『またそれか……まったくわけがわからないよ』

 

 

 シンと衣玖鎖にしか姿が見えていないし声も聞こえていない“彼”に対して、傍から見ればかなり不審な騒ぎ方をしていることすら考えが浮かばないほど顔を真っ赤にして取り乱す。

 そんな少年の潔癖さにより、以降“彼”の呼び名はクーとすることに決定した。

 

 

 そんな一幕を挟んで。

 

「着いたよ、ここがボクのウチで喫茶『リーズリット』だ」

 

 駅前の雑居ビル通りが途切れる辺り、路地に入ってすぐのところにその店はあった。

 外観は木製のテーブルと椅子が並べられたテラス席に、面の大きなガラス窓から覗くとカウンター席と数組の対面席が見える特に何の変哲もない喫茶店だった。

 

 憩いの場、ということであれば奇を衒うことでもないだろう。

 今は照明を落としているのか若干店内は暗そうだが、落ち着くには十分な雰囲気を醸し出していた。

 衣玖鎖が『臨時休業中』の札が掛かっている店のドアを勝手知ったる様子で押し開くと、上部に取り付けられたベルが涼やかな音を降らせて出迎えてくれる。

 

 そして、客のいない店内には――――しかし背格好のよく似た二人の女の子がテーブルに掌を叩き付け、勢いよく立ち上がるところだった。

 

 

「分かってない、分かってないよ星良(せら)ちゃん!エルフなんだよ!?一族のために戦うオークの王子様がエルフの魔法で罠にかけられて人質を取られ露出調教、呪いで淫紋を刻まれて最後には屈服のアヘ顔ダブルピースの流れが至高なの!!」

 

「分かっていないのはあなたです星奈(せな)。戦乙女こそが至高。没落した王家を再興する為に剣士となっていたオークが屈強な戦乙女に敗れて凌辱輪姦され、ドマゾの変態性を開花させてミサクラ言語でハメハメおねだりするだけのワンコイン蛇口に堕ちてしまう流れの美しさにはとても敵いません」

 

 

 その場が一気に場末の酒場と化したような―――猥談。

 いや、もうあからさま過ぎて女子大生の深夜の宅呑み部屋でさえこうも品性下劣な会話はあるまい。

 ぱっちりした眼が愛らしい、普通にしていれば天使のような美少女二人が興奮に顔を真っ赤にして空想の性的嗜好を全開にする様は、悲しいくらいにエロオタだった。

 

 片方はショートボブ、もう片方はサイドテールに纏めた髪型の違いがなければ見紛うほどにそっくりで、見るからに双子だと分かる二人の少女は、こめかみにびきびきと血管を浮かせている衣玖鎖に通じる顔立ちでもある。

 

「星奈、星良。なんの話をしているのかな?」

 

「そんなのオークヒロインものの壺役とシチュについて語ってるに決まってるの!―――あっ」

 

「げっ、兄さん……!?」

 

 ごん、ごんと頭蓋骨が二つ鈍い音を鳴らす。

 盛りのついた小娘達は痛がる素振りを見せたが、すぐに元気に兄に不平を言い立てた。

 

「痛いのーーー!!」

 

「暴力ヒロインは人気ないんですよ……!」

 

「やかましいわ。飲食店で何話してるんだお前たちは!?」

 

「えーだってどうせアブダクターのせいで今日は客が入らないし」

 

「面白い妹さんだなー」

 

『いつもどおりエキセントリックだね。分析不可能だ』

 

「「っ!!?」」

 

 そして出オチ極まりない双子姉妹のせいで一気にフェードアウトしそうになっていたシンとクーが発言すると、電流が走ったかのように妹達はびくんと震える。

 そのまま合図もなしに距離を寄せて密談の体勢に入った。

 

(まさかまさかだよ星良ちゃん!?お兄ちゃんが同性の友達を連れてくるなんて……!)

(確かに。同性どころか兄さんの友達自体存在するとは思っていませんでしたが)

(お兄ちゃんの悲しいぼっち事情なんてどうでもいい!問題はこれが私たちの処女卒業チャンスかどうかってことだよ!?)

(確かに……兄が家に招いた友人は年下喰いが大好きなビッチおにいさん、というのは稀によく見かけるエロ漫画シチュ。しかもちょうど現物は色気むんむんの半袖シャツ一枚にハーフパンツ姿)

(着衣で汗ダックスしたくなるの絶対いい感じにぽっちが浮いてくれるから!)

 

「聞こえてるからね、二人とも」

 

「……面白い妹さんだなー。殆ど何言ってるか分かんないけど」

 

「このエロさでまさかの無知シチュ……!?」

 

 ごん。

 しぶといというかしつこい方に二度目の鉄拳を落とした衣玖鎖は、コバエが湧いてしまった排水溝を見るような目で双子を見て言った。

 

「こっち、髪括ってるオープンスケベが岬星奈。あっちの髪の短いむっつりスケベっぽいただのオープンスケベが岬星良。

 覚えなくていいし、よろしくもしなくていいよ」

 

「兄さん、その紹介の仕方はないと思うのですが」

 

 星良がむにゃむにゃと文句を言っているが、シンに人見知りしているのか微妙に声が小さい。

 しかし視線はシンのシャツの襟元から覗く鎖骨や、ズボンの股間部分をガン見しているので、なるほどオープンスケベだった。

 

 そんな風にして衣玖鎖の家族とシンが対面していると、カウンター奥の扉の向こうから足音が聞こえてくる。

 さして時間を待たずに姿を現したのは、店のロゴが入ったエプロン姿の女性だった。

 

「あら衣玖鎖、お友達が来てるの?私はこの店のオーナーでこの子達の母の岬牧江(みさき・まきえ)です。どうぞゆっくりしていらっしゃい」

 

「あっと、ご丁寧にどうも。沖田シンっす」

 

 シンに朗らかに歓迎の笑みを向けてくれる衣玖鎖の母。

 その肌の艶やハリのある体のラインはどう高く見積もっても外見年齢三十歳前後なのだが、思春期を通った三児の母親であることを考えると実に若々しい。

 

 

「ちなみに私は逆に『姫騎士「くっ殺せ」オーク「ぐへへ」』とかいいと思うわよ」

 

「はい?」

 

 

 実に若々しい。すごくどうでもいいことだが二回言った。

 

 その陰で。

 

「もう嫌だこのエロ家族……」

 

 岬家の長男は先ほどの戦いから数えて本日二度目の涙を流しているのであった。

 

 

 

 そんなこんなで、ひと段落して牧江が淹れたコーヒーを並べた頃。

 猫舌なのかシンがふーふー息を吹きかけてカップの熱い液体の温度を下げていて、それを見て星奈と星良が何やら嬉しそうに悶えているがそれはさておき。

 

『では衣玖鎖達の再確認も兼ねて、現状のおさらいをしようか』

 

 テーブルの上方五十センチほどを浮遊するクーが話の口火を切る。

 ちなみに今の彼の姿は岬家の面々にも見えるようにされていた。

 

「クーのこととか、衣玖鎖が逆装転女だってこと、家族も知ってるのか?」

 

「そりゃね。一つ屋根の下で誤魔化しきれる訳もないし、そもそも初めて変身した頃は隠そうとかそんなこと考える余裕もなかったよ」

 

「カミングアウトされた時はみんなでびっくりしてたけどねー。

 女が男にTSして戦うならともかく、その逆とかどんだけニッチなのとか――――あだっ!?」

 

「星奈、殴るよ」

 

「殴ると思ったら既に行動が終わってていいのはギャングの世界だけなの……」

 

『あの時は僕もこの世界について殆ど知識がなく、緊急の事情があったから衣玖鎖と契約しただけだったからね』

 

 続いてクーが語るところによると。

 

 こことは軸線自体が異なる『第七層世界』、つまりシンの出身よりも遥かに遠い異世界に、男女の出生率が何故か種の存続に支障を来すレベルで著しく偏ってしまった世界があるという。

 その世界に、異性がいないなら他所の世界から拉致してしまえばいいじゃない、と唆すクーと同郷の精神生命体がいた。

 

『その名を、チック・バード』

 

「キミに比べて随分まともな名前なんだね」

 

『それでそのチック・Bは―――』

 

「前言撤回。その略称をやめろ卑猥生命体」

 

『僕の呼称は略しているのにかい?まあいいけど。

 チック・バードは尖兵となるバイオノイドをまず拉致要員として送り込み、確保した男性を生身のまま異積層に飛ばす為平面同士を歪曲、一時的に重ね合わせているんだ』

 

「????」

 

 急に耳なじみの無い単語を連発されて首を傾げるシンに、クーは補足説明を足す。

 

『ニュアンスとしては、そうだね。人一人を運ぶ為に地球を粘土みたくぐにゃぐにゃに変形させて、日本とブラジルが接触している状態にするような無茶をやっている』

 

「それは……平気なのか?」

 

『平気なわけがないよ。地球だって地盤がほんの少し掛け違うだけで大地震が起きたりするだろう?それを幾つもの世界を抱える積層平面二つを捻じ曲げてやっているんだ。

 下手すれば時空が千々に破れて、過去も未来も、位置座標すら何の連続性もない暗黒領域が超大規模で発生する。ともすれば僕らの『第一層世界』にすら影響を及ぼしかねない』

 

「………すげえ。レイプ魔が性欲で人を攫っていく話とは思えないほど壮大なことになってる」

 

 話をちゃんと理解しきれているとは言い難いが、漠然とイメージだけ把握したシンが感想を漏らす。

 そこにコーヒーを飲み干した衣玖鎖が皮肉げに嫌味を投げた。

 

「つまりクー、キミ達にとってはその平面の歪曲とやらを防ぐのが第一で、攫われる男の人達のことはどうでもいいんだろう?」

 

「衣玖鎖、そんな言い方は―――」

 

『いや、否定はしないよ。そもそもチック・バードを例外として数多の異世界の問題にいちいち介入するような価値観を僕らは持ち合わせていない。

 けれど利害は一致していないかい?端末であるバイオノイドを潰せば歪曲は起こせなくなるし、そもそも歪みが暴発すればまず間違いなく一方の接点であるこの世界がただでは済まない』

 

「その為ならボクらを魔法少女にして戦わせるのは仕方ない、かい?

 対症療法じゃないか。キミがそのチック・バードとやらを直接叩けば回りくどくなくていいんじゃないか?」

 

『不可能だ。精神生命体同士が争ったところで千日手だし、うまく接触自体を躱されるのがオチだね』

 

「…………」

 

 淡々と、事実を述べているだけなのだろうクー。

 しかし衣玖鎖の眉がどんどん顰められていくように、それが他人の神経を逆撫でする場合があることを異世界の精神生命体は理解していないのだろう。

 

 ましてつい先ほどの戦いで殺される手前まで行き、下手をすれば異世界に誘拐され一生慰み者になっていたかも知れない衣玖鎖は、やはりまだ穏やかな気持ちになれないのだからなおさらだ。

 衣玖鎖の言い分には半ば八つ当たりで言いがかりな側面もあった。

 

 身内しかいない店内に、わずかにちりちりした不穏な空気が混ざる。

 それを祓うように―――シンが柏手を大きく叩いて注目を集めた。

 

 

「まあ、いいんじゃないか?だってヒーローなんだ。

 一人一人を助けるのも大事だけど、どうせなら世界丸ごと救ってやろうぜ」

 

 

 そう言い切るシンの瞳の輝きに、曇りはまったく存在しない。

 

「……やれやれ、とんでもない後輩が出来たみたいだね」

 そんな彼にひとまず毒気を抜かれた衣玖鎖と。

 

「やばい何この女より女らしいお兄ちゃん」

「抱かれたくなってきました……でも抱きたい」

 平常運転の星奈・星良と。

 

「…………」

 シンではなく、衣玖鎖をずっと見つめて表情を憂いに染める牧江の姿があったのだった――――。

 

 





・異世界から喪女達が男をさらいに来るぞ!
・そしてその余波のせいで世界は滅亡する!
・だから僕と契約して魔法少女になったよ!

 三行で片付く説明回。
 尺の殆どが下ネタだった気がしないでもないが。


………そして普段投稿予約とか使ってなかったから一瞬普通に前日の夜即時投稿しちゃってたorz
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