友達が少ない俺、TSツインテールでこの素晴らしい男女逆転異世界の魔法少女戦隊になるそうですがこの中に一人、男の娘がいる!のと敵の女幹部が弟だけど中二病でも愛さえあれば青春ラブコメには関係ないのは   作:サッドライプ

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 活動報告で告知してましたが、ここまでモチベーション戻すのに掛かって遅くなるとは。
 遅れてすみません。



逆転世界の中心で愛を叫ぶとどうなるか②

 

 

「てやああぁっっ!!」

 

 テナントの並ぶ繁華街を駆け抜け、紅のセーラー服を戦闘装束とする少女が裂迫の気合を込めて魔杖を振るう。

 ミドルティーンに達するかどうかと言った容貌と背格好の矮躯が疾走し、その俊足を乗せた一撃は軽やかに―――しかし重機の激突にも匹敵する威力を秘めている。

 ましてや杖の先端、台座に据えられた宝玉が鮮やかに輝き、標的を灼く炎熱を纏って襲い掛かるのだ。

 受けるのは勿論、掠めただけでも鉄が熔解する高熱が魔法の力で瞬時に伝導するようになっている。

 

 さしもの異界の尖兵である機械混じりの怪人も文字通り手を焼く打撃をひたすら繰り出すのがフレアカノンの戦闘スタイルだ。

 愚直故に型に嵌まれば強いが―――。

 

『残念、外れ~』

 

「……くそっ、絶対逃がさねえ!!」

 

 着物の袖のように腕の下から生える濁った金色の翼を羽ばたかせるバイオノイド=カルフォ。

 重い機械の体でありながらそんな様子も見せずに自在に空を舞い、ひらりひらりとフレアカノンの攻撃を避けていた。

 

 翼の先には鋭利な刃となる長い爪が指の代わりに生え、また脚部も少女の胴ほどもある太い腿部の下が獲物に食い込ませながら掴む為の鉤爪となっているいかにも剣呑な出で立ちだが、何故かそれを敵である赤の魔法少女に向ける様子はない。

 全力で振るう得物が空振りに終わっても、その隙に襲い掛かって来ない相手に戸惑いというよりは苛立ちを覚えた様子で彼女が叫んだ。

 

「てめえ、何のつもりだ!?攻撃もしないでひらひらと!」

 

『さて、何だろうね~?』

 

 小馬鹿にした声で嘲る相手の気配からして、ろくでもない理由なのは明白だ。

 そしておそらくは、深く追求したところで労苦には見合わないしその価値もないと直感したフレアカノンは、真横に跳躍してビルの壁面を駆け上がる。

 物理的な制約を魔法少女の一言で切って捨て、地面と平行の体勢で走る芸当をあっさりとやってのけた目的はカルフォの頭上からの攻撃だった。

 

 鳥が羽ばたくのは常に前か上だ。横や下に向かって羽ばたく鳥はいない。

 だから上方から攻めれば相手の回避能力も制限される―――そこまで理論だてていた訳ではないだろうが、ある程度適切な選択肢を迷わず選び取った少女が炎の魔杖を振り下ろす。

 

 だが最善の選択肢――あったかどうかはさておき――というわけではなかったらしい。

 問題は相手も物理的な制約を悪の怪人の一言で切って捨てられる存在だということだ。

 

『はいまたまた残念~』

 

 糸に引っ張られるような唐突さで、空中でバックダッシュする鳥怪人。

 間合いからするりと抜けられ、あえなく空振りするかと思われた紅玉の杖が閃く。

 

「そいつは、どうかなっ!?」

 

『―――、げばッ!?』

 

 振り抜く遥か手前で静止し、相手を真っ直ぐ指し示す形で構えられたラビ・シューターがその名の役割を果たした。

 あまりにも乱暴な扱いをされているが、一応この長柄は銃器なのだ。

 撃ち出された熱球が油断していた怪人に炸裂してその体表を焼き焦がす。

 

 失速した鳥怪人は今度は重力に引かれて墜落し、アスファルトを陥没させながら地面に叩きつけられた。

 

「へっ、ざまあみやがれ」

 

『………、あまり遊んでる訳にもいかない、かな~』

 

 声音をどこか引き締まったものに変えて、怪人が呻く。

 割れたアスファルトを踏み砕きながらゆらりと立ち上がる姿には、表層の軽薄さが剥がれたその奥の粘っこい怨讐のようなものが感じ取れた。

 

『まあいいさ。お前の能力は大体分かった。今日のところはこれでばいばい~』

 

「なに?……っ逃がすか!」

 

 ばさりと翼を翻して飛翔する怪人。

 それに対するフレアカノンの反応はまさに鋭敏の一言だったが、空中を飛行する相手を間合いに捕捉するには至らない。

 

 そして、異世界の尖兵は第一目標を確保することを忘れない。

 

『はあはあ……じゃあおねえさんといいことしようか~』

 

「ひぃっ!?」

 

 街灯に吊るされていた、先刻喫茶店で母親と喧嘩して飛び出した青年がカルフォに胴を両脚で挟まれ悲鳴を上げる。

 おぞましいだいしゅきホールドを浴びせられながら連れ去られかけるところに、待ったを掛けるものがいた。

 

「やめろ……私の息子に手を出すなあっ!!」

 

 その街灯に隣接する建物、そこの最も近い窓から身を乗り出し、窓枠に足を掛けて必死の形相で怪人を睨む女性は、まさしく彼の母親だった。

 全身ががくがくと震えているのは、年齢により衰え始めた身体能力のせいだけではないだろう。

 だが今にも空中の怪人に飛び掛かり息子を助けようとする彼女の本気は伝わってくる。

 

「お母様……!!」

「待っていなさい。絶対に助けます……!」

 

 

『……ふん。しらける真似しないでね~?』

 

 

 親子の情を踏みにじり、怪人が母親を嘲いながら窓の下にはたき落とす。

 そのまま飛び立たれ連れ去られる息子の眼下では、ただ母親が背中から墜落していく光景が遠ざかっていくだけだった。

 

「―――お母様ぁぁ~~~っっ!!!?」

 

 

―――。

 

「―――セーフっ!」

 

 打ちどころが悪ければ怪我では済まなかった高さから落下する女性を、その下に滑り込む紅の少女が受け止める。

 余裕がなかったこととそもそも体格が足りていないため衝撃を受け流しながらキャッチするという芸当はできなかったが、アスファルトに頭から叩きつけられるよりは遥かにましといったところか。

 

「おい、大丈夫かおばさん!」

「………はっ!!?」

 

 衝撃で一瞬意識を失っていたようだが、女性はすぐに跳ね起きると虚空を掴まんとばかりに手を天に伸ばした。

 心配して覗き込むフレアカノンだったが、その視線と相手の眼の焦点が合わさったと思うと、きつく睨まれた。

 

「なぜ、私を助けた……!」

 

「え?」

 

「私なんかどうなっても、死んだっていい!それより息子を、私の息子があんな化け物に……!!」

 

「………!!」

 

 どこまでも息子の身を案じる―――母親。

 それに相対して瞠目した“彼女”は、しばしの沈黙を置いて。

 

 

「―――嘗めんなよ」

 

 

 ぺしりと店に忘れていった女性の財布をその剣呑な表情に貼り付けながら、穏やかに語りかけた。

 

「あんな奴のためにあんたがつまらない怪我する必要なんてない。もちろん達樹さんだって絶対に取り戻す」

 

「…………!?」

 

「見てろ。ヒーローは居るんだ、今、ここに!!」

 

 

―――。

 

 

 シン達が逆装転女に変身し続けるリミットがあるように。

 バイオノイド達が遥か異世界から意識を繋いで活動するにもリミットがあるのだとクーは言う。

 

 現在男性を連れ去った怪人の行方を追跡することは出来ないが、それはつまり怪人が活動を停止しているということらしい。

 積層世界の壁を越えて情報をやり取りするような大掛かりな反応であるから、精神生命体のクーにはそれを追うことで位置座標を大まかに掴むことができる。それができないということは、現在向こうの世界と端末たるバイオノイドの間の接続が切れているということだ。

 

 同じ理由で、現在生身の人間を別の世界に移動させる為に積層平面を歪曲し二つの世界を重ね合わせるなどという無茶をやろうとすれば、明白な予兆をキャッチできるとのことだ。

 それが無い間は、完全に向こうに人間を拉致されてしまうということも無い。

 

「それでクー、シンはどうしたんだ?」

 

 ちょうど授業中、しかも男女の別なく厳しい指導で有名な先生のものだったせいで駆け付けるのに手間取り、放課後クーから今日の戦いの顛末を聞いていた衣玖鎖が質問する。

 クーに説明役を押し付けて牧江にこう言い残して外出したきり戻ってこないのだという。

 

『僕に完全に消耗した状態から戦闘に必要な魔力が回復するのに数時間かかることを確認して、「特訓だ!」って言って西の神社がある山に行って何かやってるみたいだね』

 

「特訓、って……」

 

 魔法少女として戦いに身を投じてはいるものの、衣玖鎖にとって縁遠い単語だった。

 考えたことが無いわけではないが、練習の為にまで自分の肉体の性別を転換するのにどうしても忌避感があったし、それで消耗している時にアブダクターが現れたらと思うと迂闊にチカラの無駄遣いは出来ないからだ。

 

『今日のところは、と怪人は言っていたし、発言の流れからしてブラフでもないただの失言だろう。

 つまり少なくとも今日いっぱいは奴が再び活動を開始することはないはずだ』

 

「そう言われれば、今まで怪人が複数体同時に出て来たことは無いし、余裕があるようにも思えるけど……本当に大丈夫かな?」

 

『もし予想が外れたらキミが頼りだ、“アクアクロス”』

 

「………あてにされてる、ってことにしとくよ」

 

 クーを通じてだがシンにも言外に頼られていること。

 また片方の手が届かないところを預け合うことができること。

 

 一人で戦っていた時には分からなかった仲間がいる感覚に戸惑い混じりのこそばゆさを感じる衣玖鎖だが、気を引き締め直す。

 

―――既に拉致対象の男性は確保されている。

 

 そうであれば次に行うのはその男性を異世界に移動するための“儀式”であり、バイオノイドが注意を払うのは自らを撃破しそれを妨害しようとする逆装転女をいかに撃退するかだ。

 故に、次に怪人が活動を開始する場所や時間は怪人にとってできる限り有利な状況になるように設定して待ち受けていることだろうし、それを承知で自分達は異世界に拉致される男性を救うために向かわなければならない。

 

 あんな変態連中に二度と戻れる保証の無い異世界に連れていかれ、強姦されながら一生を終えるなど同じ男性として見過ごすわけにはいかない。

 絶対に取り戻す………改めて誓約するまでもなく、衣玖鎖の胸の内にもその想いは明々と心に燃えているのだった。

 

 

 

 

 一方その頃。

 

「あっぶねえ……」

 

 我らがフレアカノンは、魔杖の炎を木に引火させ、危うく山火事を起こしかけるところだった。

 

 

 





 なんかこういう常識のイカれた世界や視点でお話書いてると、結構真面目に書いたつもりのところでも読み返すととんでもない表現使ってたりする。

 なんだよおぞましいだいしゅきホールドって。

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