60年83日17時間46分19秒後には   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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第1話

そこは、黒かった。

 

暗かったのではない、

 

黒かったのだ。

 

そんな中、俺は浮いていた。

 

何も考えずに。

 

いや、考えられなかった。

 

この空間が非常識過ぎたから。

 

 

俺は手紙を、見た。

 

 

俺は手紙を、掴み取った。

 

 

俺のカウントダウンは、始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわっ!!」

 

俺は不思議な夢を見て、目を覚ました。

 

「……………………」

 

不思議な夢のせいで、若干不機嫌になる。

それに重ねて俺は朝に弱いから、少し起きるのが鬱になってくる。

 

だけど、学校に行かないと行けないため、気怠い身体を起こす。

 

「?」

 

身体がやけに軽いな?

調子でもいいのかな?

そんな事を考えながら、俺は布団から出る。

 

布団から出ると、中々に肌寒く…………

 

「は?」

 

今って、8月の始めだよな?

 

肌寒い?神経おかしくなった?

 

「てか、部屋が微妙に違うくない?」

 

いや、微妙どころじゃないな、かなりだよ、かなり。

 

俺は立ち上がる。

 

俺の身長からして、いつもの自分の部屋(・・・・・・・・・)だと、ギリギリのところで証明には頭をぶつけないのだが、

 

「いだっ」

 

ガンッ、と言う音と共に後頭部に痛みを感じる。

 

「っぅ〜〜」

 

頭をさすりながら、俺は振り返る。

 

すると、そこには、特筆すべきところがない普通の勉強机。

 

電線に止まっている鳥や、住宅街が見える窓。

 

話すと、こうなるが、そんな説明よりだったら、こう言った方が現代人にとっては分かりやすいだろう。

 

「のび太の部屋じゃん…………」

 

普通なら、ここで自分の家の心配や、自分に何が起こっているのか考えた方がいいと思うのだが、俺はなぜか、胸が高鳴っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その青年は、少し呆然とした後、頭を掻こうとしたが、その手には手紙が握られていた。

 

青年は、今まで手紙を握りしめていたのに気づかなかった事に少し恥ずかしさを覚えつつ、手紙を開く。

 

『おはこんにちばんわ。

 私は神です』

 

青年は目頭を押さえて、上を見上げる。

 

「あれか、あれだな、疲れてるんだよ、きっと」

 

青年は再び手紙に視線を落とす。

 

『私は髪です。

 そこのあなた!!髪の毛ののことでお困りのことはありませんか?

 そんなあな…………』

 

青年はプロ野球選手顔負けのフォームで、手紙をゴミ箱に投げる。

手紙はそのままゴミ箱の中に入る。

 

「やばいな、きっと末期だ。

 病名がわかんないけど」

 

青年は部屋を出ようと、扉に手をかけようとしたが、

 

「え?」

 

その手には手紙があった。

 

青年は、不思議に思いながらも、その手紙を開く。

 

『とりあえずこんにちは。

 こんな手紙をもらって驚いているでしょうが、最後まで読んでください。

 まず、最初にこの手紙の差出人の私についてです。

 私は失礼ながら、神様というものをやらせてもらっているものです。

 ところで、あなたはおそらく、今の自分の状況に戸惑っていることでしょう。

 これからその訳をお話ししましょう』

 

「意味わかんねぇ」

 

青年は一旦手紙から目線を外し、言葉通りの表情を浮かべる。

 

「でも、あれか、神様転生ってやつだろ、これ」

 

青年は独り言を言ったあと、再び手紙を見る。

 

『まず最初に、人の寿命というものを知らないと、話が進みません。

 人の寿命とは、生まれたときから定められていて、この世に生を受けた時から、カウントダウンが始まります。

 まぁ、当然、それは人それぞれであります。

 そして、そのカウントダウンとともに、死因が決まります。

 自殺、他殺、絞殺、刺殺など。

 

それを踏まえて、今の状況をお教えいたしましょう。

 

 

 これは私も初めて見ました。

 

 

 寿命を打ち破る人間なんて』

 

「は?」

 

青年は素っ頓狂な声を出す。

 

「いやいや、寿命を打ち破る人間とか、俺知らないし。

 え、厨二病?」

 

青年は誰もいないことは分かっていたが、誰かに話しかけるように否定する。

 

『そして、あなたは自身の寿命を打ち破り、本来設定されていた死因と死亡時間から大きく外れてしまいました。

 

 寿命が残ったまま死んだ人間がどうなるかなんて私でさえも分からないので、あなたを別の世界へ転生させることにしました。

 

 あなたにやるべきことはありません。

 

 ただ残りの寿命を全うしてください』

 

「なんか、こう、凝った設定だね」

 

青年は手紙にツッコミをしながらも、終盤に差し掛かった手紙を読む。

 

『まぁ、あなたは寿命を打ち破る人間ですし、あなたが本来いない世界に送りました。

 そのため、またそっちの世界で死なれるのも面倒ですので、自衛がてらに、特別な能力……というより、道具を授けました。

 

 確か名前は…………秘密道具、というものです』

 

青年はその文を見た瞬間に硬直してしまう。

 

「ひ、秘密道具?」

 

青年は秘密道具のことを知っていたようで、大きく口を開けたままだ。

 

『ただし、対価として、寿命を削ります。

 秘密道具を使用している間は、常に寿命がガンガン削られて行きます。

 

 まぁ、道具によってまちまちですが。

 

 詳しくは取扱説明書を頭の中に入れておきました。

 頭の中でメニュー、と念じると取扱説明書が出てきます。

 

 じゃあ、最後に私の本音を一つ。

 

  さっさとこっち(・・・)こいや』

 

「かなりぶっちゃけたな、おい!!」

 

青年はいきなりの急展開について行けず、もう一回手紙を読み直す。

 

だが、青年の手には、もう手紙がなかった。

 

「嘘だろ…………」

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