60年83日17時間46分19秒後には 作:ぬー(旧名:菊の花の様に)
メニュー
俺は椅子に座り、そう念じる。
その前にのび太の部屋だぁ!!と、高校生なのにはしゃいでしまったのは、きっと普通なんだ。
俺が念じると、メニューが出てきた。
でも、
「これは、あれか、騙された、ってやつだな」
俺は騙された。
誰に、というわけでもないが。
「いや、メニューだけどさ、メニューだけどぉ」
俺は期待しすぎていたのかもしれない。
少し特殊な事があったから、もしかしてこのメニュー、というものも、所謂ドラクエのあれなのではないのか、と。
でも、現実って、甘くないんだな。
「ファミレスのメニューって…………」
俺の手にあったのは、A4サイズの、よくファミレスにあるあれ。
表紙には『めにゅ〜』と書いてあった。
「まぁ、どうせ使いたくないし、どうでもいいか」
俺は内心残念に思っていたが、自分を励ましながら、めにゅ〜を開く。
1ページ目には使用上の注意が書いているようだった。
『使用上の注意。
これは、秘密道具を使用する上で必ず必要になります。
紛失しないようにしてください。
秘密道具の使用は、程度、過度の使用を避けるようにしてください
なお、秘密道具はあなたの寿命を対価として、この世に現れます。
秘密道具には、それぞれレベルが存在していて、レベルが高ければ高いほど、寿命の減りは早くなります。
寿命が減るのは、その秘密道具が召喚されている間です
レベル表
レベル 召喚の秒数→それにつき支払われる対価の寿命
レベル1 1秒→1分
レベル2 1秒→1時間
レベル3 1秒→1日
レベル4 1秒→1ヶ月
レベル5 1秒→1年』
「いやいや、紛失しないようにって、そこはなんとかしてくれよ」
俺は誰も聞いていないはずなのに、文句をいう。
レベル表については何も言わない。
だって使わないつもりだし。
使用上の注意は、左ページだけだったので、俺は次のページに視線を移す。
2ページ目には、使用方法が書いてあった。
『使用方法
めにゅ〜に記載した(→3pへ)秘密道具の名前をなぞる事で、その秘密道具が召喚されます。
その秘密道具の使い方は、事前にめにゅ〜で確認(→3p)しておいてください。
しまい方は、めにゅ〜を秘密道具に触れさせる事によりしまう事ができます』
文は短かったが、下に絵が書いてあったから、使い方は大体わかった。
「んー、試しに使うっていうのが出来ないからなんともいえないな」
使えば俺は死に近づく。
俺は実際、死にたくない。
断固として、だ。
「とりあえず、使い方が分かっておいて損はない、か」
俺は次のページを見るために、めにゅ〜のページをめくる。
3ページは、使用する前に、だった。
『使用する前に
秘密道具の登録について。
秘密道具は、あなたの記憶にある範囲で使う事ができます。
ただし、一気に莫大な情報がめにゅ〜に流れてしまうと、何らかの不都合が起こってしまう可能性があるので、めにゅ〜への秘密道具の追加は、一日に一つまで、とさせていただきます。
そして、記載するには、ボールペン(シャーペン、サインペンでも可、ただし、鉛筆は使用不可)で、今後使用したい秘密道具の名前をご記入していただければ、めにゅ〜が検索し、確認の欄が現れます。
それに『OK』と回答していただければ、記載は完了です。
ちなみに、書ききれなくなりそうになると、自動的にページが増えるので、ご心配は無用です。
記載された秘密道具は、タップしていただければ、秘密道具についての情報が見ることができます。
※質量は、基本的に1kgで統一します』
俺は、読み終わるとともに、4ページ目を見る。
そこには、ただの白紙の紙があった。
俺は、めにゅ〜にあらかじめ付けられていたボールペンを取り、サラサラと書き込んでいく。
俺が書いたのは、
『透明マント』
別にいやらしい目的があるわけじゃない。
これを選んだのにはしっかりとした理由がある。
まずは、便利性。
これにおいては、他よりも劣っているが、俺の目的はあくまで生き延びる、ということだ。
だから、透明マントを使うことにより、危険を極力避けたいのだ。
そして、これが一番の理由。
レベルの確認。
俺の予想では、これのレベルは3。
被ることにより、透明になれる。
壊される可能性もあるし、匂いが消えるわけでもないし、触れられないわけでもない。
一見強そうに思えて、案外弱点だらけな秘密道具なんだ、透明マントは。
さらに、秘匿性。
これは、どこでもドアを選ばなかった一番の理由だ。
あれは目立つ。
そりゃ、もう一躍人気者になれるくらいに。
『人がいない場所』と言えば問題ないのだろうが、何しろレベルが高そうだし、ピンクというカラーリングが個人的に。
そんな理由たちがあって、俺は透明マントを選んだのだ。
そうこう考えているうちに、めにゅ〜には、『透明マント レベル3 被ることにより、被ったものの姿を見えなくする道具』
『OK?』
俺はOK欄をタップする。
すると、白紙だった4ページ目の一番上の、左側に『透明マント』と記入された。
俺は、一瞬使おうかと思ったが、辞めた。
一円を笑うものは一円に泣く。
みたいな感じで、少し?かもしれないが、遊び半分で使ってしまえば、結局は自分の寿命が縮む。
遊びにすらも命がかかっているのだ。
そう考えた瞬間、めにゅ〜が俺の手を離れ、目の前に浮く。
めにゅ〜は閉じられ、表紙にあっためにゅ〜、という文字の下に、新たに字が刻まれていく。
『あなたの残り寿命
60年83日17時間46分19秒
死因 自殺』
カウントが、始まった。
「うーん、後60年後、か」
死因が自殺って、何があるんだ、60年後の俺。
ま、これが減らないことを祈りたいな。
俺はそんなことを考えながら、部屋を出た。
〜〜次の日〜〜
昨日はただただひたすらに家の探索だった。
ま、でも元がのび太の家だから、楽しかったっちゃ楽しかったけどな。
そして、俺はただいま私立聖祥大附属小学校、という小学校の校門のところに立っている。
前世の一番最後の記憶は、高校生で終了だったけど…………
決して犯罪を犯そうなどと考えてはいない!!
あんな手紙があったからだ!!
〜〜昨夜〜〜
『あなたのこの世界での身分は、一般人です。
肉体年齢は変わりませんが、素姓は変えておきました。
職業は、とある小学校の副担任です。
あなたの学力でもどうにかなりますし、他の先生方も、優しく教えてくれるはずなので、大丈夫です。
戸籍的な年齢は24歳。
両親、親戚ともに少なく、現在は1人もいない。
それ以外は、何も変わっていません。
自炊は1人でどうにかしてください』
家を探索している最中に、これが俺のスボンのポケットに入っていた。
で、それと一緒に入っていたのが、『私立聖祥大附属小学校』と書かれたパンフレットだった。
そして現在。
ただいまの時刻、6時30分。
「早く来すぎてしまった…………」
何気に先生って職業には憧れを抱いていたから、早く起きてしまった。
家で時間を潰そうにも、昨日の時点でかなり調べてるし、料理をしようにも知識も食料もないし。
なので、本来バスで行くような距離なのだが、歩いたらどのくらいかかるんだろう?という思いつきの元、歩いてみた結果、かかった時間は45分。
それでもこの時間だった。
「それにしても、でけーな」
俺は校舎を見上げる。
特に俺は人に伝えるのがうまいというわけでもないが、とりあえず、でかい。
比較対象がすぐに出てこないのは、やっぱり俺が説明が下手だからだろう。
そんなことを思っていると、
「おーーい」
校舎の脇にあった花壇の近くにいた1人の老人が、俺に手を振ってきた。
「……おはようございます!!」
俺は一瞬呆気に取られたが、すぐさま挨拶をした。
老人は手招きをしたので、俺は老人の元へと向かう。
「君は、確か今日からくることになっている藤宮さんかな?」
「あっ、はい。
藤宮 春(ふじみや はる)といいます。
本日付で働かせてもらう事になりました。
まだまだ至らぬところがありますが、よろしくお願いします」
俺が深々と頭を下げると、
「まぁまぁ、そんなにかしこまらなくてもいいよ。
まぁ、自己紹介されたら、返すのが礼儀だと子供達にも教えているから、私も自己紹介といこうかな」
老人は背筋を伸ばし、私に笑顔を向けた後、
「私は、教頭の石澤です。
分からない事などは、私に行ってくださいね」
「は、はぁ」
俺は驚いてしまった。
いや、だって、石澤教頭の服装が、明らかに、学校で花を育てているおじさん、って感じの服装だったから、全然教頭先生だとは思わなかった。
「でもね、子供達からは、花を育てているおじさんって言われるんだ…………
…………ねぇ、率直に答えて欲しいんだけど、私のどこが花を育てているおじさん、って感じなの?」
「………………あの、本当に率直に、でいいんですか?」
なんとなく、答えないといけないと思ったから答えるんだけど、この人教頭だよね?
下手な事言っちゃったらクビになっちゃうのかな?
「えぇ、どうぞ」
「は、はい」
花が風で揺れる音が聞こえた。
「全部です」
「え…………」
教頭先生の顔は、驚愕でつつまれていた。
「いや、でも!!
教頭先生って言われても、ピンとこないものですし、逆に花を育てているおじさん、っていうイメージの方が生徒たちもかなり話しかけてくれるんじゃないですか?
だから、教頭先生はそのままでも十分ですし、そのままのほうが良いですよ!!」
「アハハハハ、藤宮さん、そんなにびっくりしないでくださいよ。
わざとですよ、わ、ざ、と」
「あ、そう、だったん、ですか」
その言葉に俺は安堵する。
危うく先生生活1日目で終了するところだった…………
「まぁ、そんなに気張らずに、頑張ってくださいよ」
ポン、と肩に手を置かれる。
「はい、頑張らせていただきます!!」
教員生活、どんなものになるのかな?
俺は、この時、完全に忘れていた。
昨日の手紙の最後に書いてあった一言。
『この世界は、魔法少女リリカルなのは、という世界です』
この『少女』という単語の意味をもっとよく考えていれば、俺はもう少し学校に遅く来たのかもしれない。
『めにゅ〜』
透明マント
オリジナル教員、生徒募集中。
出して欲しい秘密道具も募集中です。
あなたの感想が、めにゅ〜にのります!!