60年83日17時間46分19秒後には 作:ぬー(旧名:菊の花の様に)
感想の返信で返しても良かったんですが、「これ必要だな」と思ったので、話に混ぜ込む事にしました。
「では、よろしくお願いします」
--よろしくお願いします。
職員室に響く声。
これは教員の集会だ。
毎週決まった曜日の朝に同じ学年の先生が集まり、今後の予定などを確認するのだ。
「じゃあ、今日はこれくらいで」
主任の竹内先生が言うと、全員が立ち上がり、各々の教室へと向かう。
それを俺は見送ると、俺の元へ一人の女性が来た。
「あ、私は
これからどのくらい続くかは分からないですけど、一緒に頑張りましょう」
その女性は一礼した後自己紹介をした。
この女性が言った「どのくらい続くかは分からない」というのは、俺の学校での立ち位置だ。
とりあえず、俺はこの学校の職員になったのだが、その立場は教育実習生以上通常の教員未満といったところだ。
で、そんな俺がなんでここの教員になれたのかというと、それは、この学校が新しく取り行おうと思っている制度のおかげだ。
それを最初集会で聞いた時、正直、意味わかんなかった。
で、説明した後に隣にその女性は座っていたので、こっそりと苦笑いしながら「こんなのじゃわかんないですよね」と言ってくれたので、やっぱり難しかっただけなのだろう。
ということで、期間は不明だが、副担任をすることになった。
一応、期間一人で担任を持てるようになるレベルまで、であるが。
俺はしっかりと挨拶してくれたその女性……佐々木先生に、
「はい、よろしくお願いします。
さっきも言いましたけど、私の名前は藤宮ハル、といいます。
至らぬところがありますが、今後ともお願いします」
俺は深々と礼をする。
それに対して佐々木先生は俺からは見えなかったが、少し微笑んだらしく、
「それじゃ、教室に行きましょうか」
「はい」
〜〜〜〜〜〜
「えー、皆さんに今日は先生が発表があります」
ザワザワザワザワ
佐々木先生の声で教室は一気に騒がしくなる。
早速俺と佐々木先生は教室へと向かう。
俺は教室についた時、そのまま佐々木先生について行こうとしたが、佐々木先生は、
「あ、ちょっと待っててください。
意味の分からない状況でいきなり出ちゃうとみんなが混乱しちゃいますから」
と言って一人で教室に入って行った。
「その発表とは、なんと、みなさんに新し仲間がふえます!!」
エェー!!
ダレかな?!
ダンシ?!ジョシ?!
「はいはい、みんな静かに」
佐々木先生の発表と共にざわつく教室内。
だが、佐々木先生はそのざわつきに一切動じず、手を叩きながら話すことでみんなを静かにさせた。
まぁ、教室の外から聞いている様子からすると、だが。
「でも、新しい仲間、とは生徒のことではありませんよ」
静まり返る教室に生まれる一瞬の間。
「なんと、新しい先生です!!」
えっ?!
なんで?!
もしかして先生辞めちゃうの?!
またもざわつく教室内。
そう思うのも当然だろう、と外から聞いていて俺は思った。
流石に自分の担任の先生がいきなり新しい先生を連れてくるというのだ、驚くに決まっているだろう。
「いや、先生はやめないよ。
ただ、クラスに先生が一人増えるだけだから」
「で、その人って誰なんですか?!」
生徒たちは佐々木先生の話をしっかり聞こうとしているのか、物音一つ聞こえない。
「いやぁ、実は先生も今日始めて会ったばかりだからよく分からないんだよね。
だから、後は本人に任せちゃおうかな。
それじゃあ、藤宮先生!!」
俺からは分からないが、きっと佐々木先生はドアの方へと視線を向けているんだろう。
ガラガラッ
俺は高揚しているのを抑え、教室にはいる。
どんな反応をするんだろうな、と思いながらみんなの顔を見る。
その瞬間、俺は笑いをこらえた。
それは、生徒たちがすごく緊張していて、表情が強張っていたからだ。
何人かはそんなの全然気にしていません、っていう感じだったんだけど、やっぱり大多数は緊張していた。
俺はそんな風景を見て少し緊張が緩み、自然な感じにすることができた。
俺は教壇の前に立ち、できるだけにこやかに話す。
「えーと、これから皆さんとしばらく一緒に勉強したり、一緒に給食食べたりする、新しい先生です。
名前は藤宮ハル、みんなと仲良くできるようします。
これからよろしくお願いします」
ーーよろしくお願いします。
俺の和やかな雰囲気につられてなのか、みんなからの返事も殆ど全員分聞こえた。
「じゃあ、早速藤宮先生へ質問ターイム!!」
ハイハイハイハイ!!
「こんなに質問あるなんて嬉しい…………な?」
俺の憧れの教員生活は幕を開けた。
「はぁ」
「ふふふ、まぁ、あんなに頑張ればそうなりますよ」
俺が職員室で自分の机に突っ伏していると佐々木先生が話しかけて来た。
あの大量の質問に俺は四苦八苦しながらも、やっと一時間目を超えたと思ったら、給食前の四時間目には、体育が待ち構えていた。
体育の内容はサッカー。
俺も最初はなめていた。
いや、小学生だろ、と。
だが、現実はそんなにぬるくはなかった。
技術があるわけでもない。
すんごい足が早いわけでもなかった。
ただただ体力がおかしかった。
お陰で一時間ずっと走ってたよ。
しかもその後「俺、肉体的には10代だよな」って少し泣きそうになった。
そんなこんなで今日の授業はすべて終えた。
「あ、藤宮先生ってバスでしたっけ?」
「あ、はい、そうですね」
俺は佐々木先生の言葉で思い出した。
俺は本来バスを利用して学校を行き来するのだが、今日は歩いて来てしまったため、すっかり忘れていた。
ちなみに、バスは学校が運営しているバスで、家までとは言わないが、周辺までは送ってくれる。
これは、教頭の計らいで、「藤宮先生、自宅から遠いそうですからどうですか?」と言われたので、素直にはい、と答えた。
月々の使用量はちゃんと払うけど。
で、バスの発車時刻は確か4時30分。
今現在、4時ぴったり。
「あと30分くらいですかね」
「あぁ、それじゃあ、自宅でやってもらうしかなさそうですね」
と佐々木先生は困ったように顎に手を持ってくる。
そして、少し考えたあと、何を思いついたのか、自身の机の中から教科書の山を出した。
「まず、最初に覚えていて欲しいのですけど、なんか新しい制度にあるらしくて、これから藤宮先生には、二日に一回、一時間だけ、授業をしてもらいます。
それで、まずは習うより慣れろともいいますし、明日の5時間目を受け持って欲しいんです。
教科も、内容も、やり方も、自由を決めていいですから、一時間分の授業予定を作ってきてください」
言い終えると佐々木先生は、ドスン、と手に持っていた教科書の山を俺の机の上においた。
「頑張ってくださいね」
そして、ニコッと微笑んだあと、佐々木先生は自身の机に戻り、何かの作業に取り掛かっていた。
「これって…………」
先生、半端ねぇな。
「はぁ、疲れた」
自宅の茶の間にて、俺は倒れていた。
「帰りは生徒たちと一緒のバスだったからめっちゃ質問されたし、帰ったら帰ったで晩飯の準備に洗濯と家事のオンパレード。
しかも明日の授業の内容は全然手をつけてないし……」
それで、現在の時刻は10時30分。
「終わるかなぁ…………はぁ…………」
ため息をついた俺は寝返りを打ち、天井を見上げる。
すると、テーブルの端に乗っていたあるものに視線が行った。
「『めにゅ〜』…………」
まだ今日の分書いてなかったな、と思い、動かずともギリギリ届いためにゅ〜を取る。
その表紙には、相変わらずの残り寿命という名の死刑宣告。
「でも、これって、絶対なのかな?」
俺がそう呟くと、めにゅ〜は突然俺の手元を離れ、目の前に浮く。
「?」
段々めにゅ〜の不思議な現象に驚かなくなっていることに、なんとも言えない悲しみを感じたが、直ぐに意識をめにゅ〜へと向ける。
ふよふよと浮いているめにゅ〜のページがめくれ始める。
それは、やがて最後のページで止まる。
今現在のめにゅ〜の総ページ数は、8ページ。
4ページまでは注意書き。
5ページからは秘密道具の名前の記載欄。
そこからはすべて空白だったが、
いまは丁度右側に8ページ目があり、左側は裏表紙という感じだった。
「なんとなく、一瞬だけど、金色のガッシュを思い出した」
よく読んだな、と感傷に浸っていると、8ページ目に次々と文字が現れて行く。
その一番上には、でかでかと技とやってるんじゃないのかと思うくらいの大きさで、『へるぷ』と書いてあった。
『さてさて、転生時以来ですな、藤宮先生。
慣れないこともたくさんあったと思いますし、お疲れでしょうが、これが現れたということは、めにゅ〜を手に取り、なんらかの疑問を抱いたのでしょう。
で、もうお気づきのようですが、これはあなたが『自分』のことについてお答えしちゃう、という良心的ページです』
俺は特に何もツッコミをしないで読み進めて行く。
『いや、良心的ですって!!
まぁまぁ、藤宮先生も落ち着いて落ち着いて』
どうやらここで俺はツッコミをするべきだったんだ。
と心の中で神様虚しwwと思いながらも、さらに先を読み進めて行く。
『じゃあ、使い方ですね。
まぁ、簡単ですけど、このメッセージが消えたあと、空白部分に質問を書いて、質問、のところを押してもらうと、その質問の答えが返ってきます。
あと、あなたのこと以外は質問しても答えは『sss!!(そんな、質問、しちゃダメだ!!)』と返ってくるので、お気をつけください』
sssって…………
せめて3sとかにならなかったのだろうか、と思っているとメッセージは消えていく。
残ったのは、大きく書かれたへるぷ、の文字だけかと思っていたが、下にひょこっとPSという字が見えた。
『PS、仕事中にメールしてこないでね』
「お前が答えるんかい!!」
へるぷ、という文字の意味のなさを実感しつつも、俺は試しに、とボールペンを手に取りさらさらと質問を書いていく。
『寿命って、絶対なの?』
さっきも感じた疑問。
俺は早速、質問、のところを押すと、ページでの中央には『送信中』の文字が。
「これもはや質問掲示板に近いよね…………」
そんな疑問も束の間、すぐに返信は返って来た。
『その通りです。
てか、だからこそ、君は異常なの。
絶対である寿命を無視する、という君が』
「まぁ、そうだよな」
だったら転生者世の中にごまんといるよな、と思っていたら、次の質問を思いついたので、書いていく。
『ならさ、なんでこんな力やったわけ?
不死とか、超速再生とか、いろいろあったんじゃない?』
もはやメール気分で打つ俺。
またもすぐに返ってくる答え。
『お前の特典を選んだ理由は、便利性の高いものにすれば、バンバン使って早く死ぬよな、っていうのと、消去法だ。
で、これを説明する前に、頭にいれておいて欲しいのは、寿命とは神が作ったものではなく、世界のルールであるという事。
よって、神であっても寿命は操作出来ない。
ちなみに、『寿命の数値』は絶対であり、例外なく、寿命に『他人からの』干渉はできない、ということだ。
簡単に言うと、特定の力を持っていれば、寿命は『自分のもの』に限り、『数値の』干渉はできるという事だ。
だからこそ、数値を残したまま死んだお前は異常なんだ。
だから、俺はお前を不死に出来ない。
不死にする時点で寿命は書き変わるからな。
そして、超速再生の方は、人間の構造上やってしまうと結果、寿命が縮む。
まぁ、任意使用だったら、つけることはできたが、それじゃあ早く死んでくれないだろ?
それだったら、便利性が高い秘密道具の方がいい、と思ったんだ』
神様も大変だな。
と思った俺は、ついつい同情してしまったからなのか、こんな質問をしてしまった。
『それじゃあ、適当に力与えた後、強制的に力使わせて寿命0にすれば良かったんじゃないの?』
これの答えには、しばらくかかった。
俺は、そんな返信の遅さに少し怯えていた。
え、もしかして忘れてたとか?
だったらこれから俺拷問されて強制的に力使わされるの?!
返信が来た時、めっちゃビビったのは、言うまでもない。
『神は基本人間に暴力、嘘をつく事ができない。
ついでに言っとくと、人間操るとかも出来ない。
マジで神って制限多いよね』
「神は神で大変なんだな…………」
へるぷ、ならぬメール機能が追加されました。
これからもこのような質問があった場合、「これ話に混ぜ込まないとな」と思ったもの以外は、あとがきにて質問に答える事にします。