やはり俺が315プロにいるのはまちがっている。 作:Hoffnung
今回も割と短めですね、ライブに入るまでの下準備といいますか…取り敢えず後2話ぐらい挟んでからようやくライブかな?なんて作者は思ってますので気長にお待ちくださいませ…
ではどうぞ
「っはぁーー…やぁっと終わった…」
センターを務める事が確定した日から早数日後、俺は1人315プロの廊下をとぼとぼ歩いていた。
やっと終わった、とはつい先程までに受けていたレッスンのことだ。
そこには大抵一緒にいる真丈さん、神波さんの姿は無い、完全に俺1人である。
この315プロでアイドルをする事になってそこそこ経つがこの事務所の方針であるユニット毎に売り出していくというスタンス故にこのエリートぼっちたる俺がほぼ常にさっきいった2人をはじめとする同じ事務所のアイドルと一緒にいる事が多かったが今日はとある事情の為にフリーである、とある事情とは俺が所属しているユニットであるFantastic Dreamers(略してファンドリなんて呼ばれもするぞ)のメンバーの年齢がそれに絡んでくる。
3人の年齢は27、22、17…17とは言わずもがな俺、比企谷八幡の事だ(因みに27が真丈さんで22が神波さんだ)、もう察しの良い人は気づいた人がいると思うがファンドリのメンバーの中で俺だけが唯一の未成年であり現役の高校生である事だ。
まず未成年、つまり18歳未満は労働基準法に則って夜10時以降に働く事は出来ないし、現役の学生である以上義務教育ではないが学校にも通わなくてはいけないのだ。
既に成人済みである2人と全く同じスケジュールなど組める筈も無く学校帰りの夕方からレッスンしたり貴重な土日を返上してユニット毎にレッスンしたりしてるのだが今日2人はそれぞれ違う用事があるらしく恐らく今日は遭遇する事はないだろう。
…あれ?今更だけど俺働き過ぎじゃね?
土日返上して働くとかマジ社畜の鑑じゃねぇか。
今日のレッスンは一応この後もう一回短時間のレッスンを残すのみだが俺は今日個人的な用事が待ち構えているのだ。
それは数学の補習、塾とかでは無くこの事務所に所属しているアイドルによる補習だ。
以前Jupiterのライブの設営を手伝った際に元数学教師である硲道夫さんによって数学の補習を受ける事が決まってしまったからだ。
あの後、頻度は少ないがお互いの都合があった時に補習を受けている。
俺は数学のこの分野が苦手というタイプでは無く数学自体が苦手(尚、数学に関しては学年最下層の模様)なので幅広く教えて貰っているがワンツーマンで受ける数学は経験した事は無く、硲さん自体も熱心に教えてくれるので割りかし基本だけなら理解出来てきた気はする。
だがこの後も予定が詰まっているのは純然たる事実、俺に自由時間をもっと恵んでくれとばかりの心境でまた再び溜息を吐く。
幸せが逃げる?ほっとけ。
「!、やふー!はちまん!何してるの?」
こ、この声は…?
漫画のキャラなら闇堕ち一直線じゃないかと思うような心境の中聞こえて来たのはまるでそう、天使の声。
この俺の中で天使と名高い戸塚に匹敵するこの声の持ち主は間違いない。
「ピエール?どうしたんだ?」
同じこの315プロに所属している別ユニットであるBeitのメンバーであるピエールしかいない、嬉しい事に以前ライブ設営の手伝いの内の物販を手伝った時に日本語がまだ不自由であるピエールのサポートに回った事があるが、そのお陰でそこそこ懐かれているのだ、いやマジで嬉しい。
「ぼく、これからレッスン!いーっぱい歌う!」
ピエールは俺の問いかけに笑顔で元気良く答えてくれた、正しく天使その物である、まさかこの男だらけの315プロでマイエンジェルである戸塚に匹敵する程の天使に巡り会えるとは思ってもいなかった。
…戸塚は男?ほっとけ、戸塚は戸塚っていう新たな性別なんだよ。
歌うっていう内容から恐らくボーカルレッスンだろうなと検討を付ける、因みに俺がさっきまでやっていたレッスンはビジュアルレッスンだ。
姿勢が悪いだとか散々言われたのでものすごいメンタルが傷ついた、正直言ってばっくれなれるならばっくれたいレッスン不動のNo.1である。
「はちまん!こんどセンターするってほんと?」
「ああ本当だぞ、黒歴史になりそうな予感しか無いがやるだけやってみる、もうどう足掻いたってほぼ確定してるからな。」
「ほんとなの!?ぼくもセンター!お揃いだね、ステージから見える笑顔、とーっても綺麗!だからはちまんも頑張る!…じゃなくてえてっと頑張って!」
ピエールが自分と同じセンターであるという事が解るととても嬉しいそうにした後、拙い日本語だがにばーっと笑顔で応援してくれた。
なにこれ今日俺死ぬの?尊みがやばいんですけど、浄化されそう。
「おうありがとな、本番も良かったら見てくれ。」
「うん!きょうじやみのりと一緒に見る!ぼく、これからレッスンだから行かなくちゃ、またね!」
「ああ、頑張ってこいよ」
たたっと足音立てながら小走りでレッスンルームの方へと走っていった、なるべくクールに振舞っていたつもりだがちゃんと出来ていたか?手を顔に当ててみたら口角が上がって…あ、これ出来てねぇじゃん。
て事はピエール、にやけてた俺にまであんな風に会話してくれたの?マジもんの天使じゃんやっべぇ。
改めてピエールは天使だという事実を再確認しながらその場を後にした。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「そういえば比企谷君、次の番組でセンターをやるそうだね。」
「え?あ、はい、そうですけど」
事務所の一角にある大きなホワイトボードを使った補習を受けていたところ唐突に硲先生(補習中は元が高校教師というのもあり硲さんでは無く、硲先生と呼んでいる)が声を掛けてきた。
補習内容は学校に合わせてくれるらしく、教科書を事務所に持ち込んで基本問題を徹底的に復習している。
類題を解いている途中だがほぼ終わりかけていたし硲先生もそれを見計らったのだろう。
「そうか、私は以前のライブでセンターを務めていたからな、少し親近感の様な物を感じたのだ」
「センター…ああ、受験生に向けたあのライブですね?」
うむ、と俺の質問にその通りだと頷く硲先生、あのライブとは硲先生が所属する元高校教師ユニットS.E.Mは以前に受験生に向けてのライブステージを披露した事があるのだ。
凡そアイドルとは思えない衣装と斬新かつインパクトなパフォーマン スは学生に大いに満足させた。
インパクトがデカ過ぎて一時的かなり話題になったくらいだ、俺の学校でも廊下で踊ってる奴をもう何人も見たし学生をターゲットにしたS.E.Mは大いに成功したといっていいだろう。
「私は以前センターを務める際、やはり多少ばかり不安だったが山下君や舞田君が共にいた事で私は大いに勇気づけられた。
比企谷君、君も真丈君や神波君という仲間を信じて大きな舞台に自信を持って立ちなさい、以前私に友達がいないだのという話をしたぐらいの君にとっては難しい事かもしれないが何も恐れずに"仲間"を頼りなさい。」
…この人は何でこんなにも真っ直ぐに常人だったら歯痒くなるだろう台詞をこうも容易く言えるのだろうか、ちょっと前の俺ならこの言葉に捻くれた回答を投げつけていそうな内容だがこうもストレートに伝えられるとどうも困る。
俺はどうやら最初にアイドルにスカウトしたプロデューサーと同じく真っ直ぐに伝えてくる人間に弱いらしい、こんな事言われたらさ…
「…わかりました、期待に応えられる様なステージにしてみせます。」
「うむ、君の出演する番組の放送日が一層と楽しみになった、期待している、では雑談はこの辺りにして補習に戻ろう。
教科書の次のページにある例題8をーーー」
硲先生はいつもは無表情に近い硬い表情を浮かべている顔に柔らかい笑みを浮かべながらそう答え、補習へと戻った。
ピエールといい硲先生といい、ここまで言われちゃもうやるしかないよなぁ…なんて思いながら俺は硲先生の言うとおりに教科書のページをめくりながらそう考えていた。
この時、俺の中にあったセンターをどうにかして回避出来ないものかという考えはとうに無くなっていた。
今回も話短くてすいません(深々とした土下座)
これ以上書こうとするとどうしても中途半端になってしまうので今回も短めです、本当にすいません
早くライブしろよなんて思うかもしれませんけれどもあっさりとライブに行っちゃうと折角のデビューライブなのになんか薄くなるかなぁなんて作者の考えでダラダラと伸ばしております。
感想、評価等絶賛募集中です、次回もお楽しみに
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